小林海が4勝目を挙げ、前日に続きマトリックスパワータグがワン・ツーフィニッシュを決めたJプロツアー第5戦群馬CSCロードレース。開幕5連勝で独走するマトリックスパワータグに勝てるチームはあるのだろうか?と思わせるレースを振り返る。



春の花木をバックにJプロツアースタート春の花木をバックにJプロツアースタート photo:Satoru Kato
4月24日、前日の青空から一転して2日目のDAY2は朝から曇り空。みなかみ町の最高気温は17℃までしか上がらなかったが、山の上にある群馬サイクルスポーツセンターはそれよりも気温が低く、寒い1日となった。

前日の第4戦レース中盤に落車リタイアしたフランシスコ・マンセボは欠場。昨年までなら大きな損失となったであろうが、今年のマトリックスパワータグにはその気配が感じられない。その大きな要因は、絶好調の小林海の存在だ。前日よりさらに短い102kmのレースで、マトリックスパワータグを止められるチームはあるのか?という期待は、またしても打ち砕かれることになる。

山桜の前を一列棒状で通過していく山桜の前を一列棒状で通過していく photo:Satoru Kato
リーダージャージの小林海(マトリックスパワータグ)自ら集団前方で動くリーダージャージの小林海(マトリックスパワータグ)自ら集団前方で動く photo:Satoru Kato
スタート直後からのアタック合戦には、リーダージャージの小林も自ら参戦。2周目には7分を切ろうかという最速ラップタイムを記録した直後、10名ほどの集団が先行。その後5周目までに再構成された9名の先頭集団が形成される。

序盤に形成された先頭集団序盤に形成された先頭集団 photo:Satoru Kato
メンバーは、小林海、レオネル・キンテロ(以上マトリックスパワータグ)、松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、入部正太朗、香山飛龍(以上弱虫ペダルサイクリングチーム)、中井唯晶、井上文成(以上シマノレーシング)、大町健斗(備後しまなみeNshare)。

7周目までに香山と中井が遅れ、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)、山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)らと合流して第2集団を形成するが、先頭集団との差は1分以上まで開く。8周目に入るとメイン集団が第2集団を吸収。9周目からはシマノレーシングがコントロールを始めるが、差は2分まで広がる。レース後半に入ると、愛三工業レーシングチームが中心となってペースアップするが、先行する7名を捉えるまでにはならない。

レース後半、シマノレーシングが集団コントロールレース後半、シマノレーシングが集団コントロール photo:Satoru Katoレース終盤 愛三工業レーシングチームが集団をペースアップさせるレース終盤 愛三工業レーシングチームが集団をペースアップさせる photo:Satoru Kato

最終周回 心臓破りへの登り始めから加速する小林海(マトリックスパワータグ)最終周回 心臓破りへの登り始めから加速する小林海(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
残り4周となる15周目、先頭集団から小林、キンテロ、松田の3名が先行。残り3周、心臓破りへの登りで小林がシッティングのまま加速。「全開で行っていたのに、力の差で離されてしまった」と松田が振り返るように、一気に差が開く。すこし遅れてキンテロが追従し、ここで勝負は決まった。

残り1km 遅れたレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)を待つ小林海(マトリックスパワータグ)残り1km 遅れたレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)を待つ小林海(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
小林海とレオネル・キンテロでマトリックスパワータグ1-2フィニッシュ小林海とレオネル・キンテロでマトリックスパワータグ1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato
残り2周、小林とキンテロは揃って周回。最終周回の登りでキンテロが遅れるも、小林はバックストレートでキンテロを待つ余裕を見せた。そして2人揃ってフィニッシュ。キンテロが小林の腕を高々と掲げた。

「監督の腕のおかげ」「監督の腕のおかげ」 photo:Satoru Kato「勝ててホッとしている。群馬のようなコースで僕のような脚質の選手が勝つのは難しいが、昨日レオ(キンテロ)が行ったあと僕が全員引き離して2位に入れたので自信になった。群馬で勝てれば本物だと僕の中では思っているので、今は率直に嬉しい」と、4勝目の感想を語る小林。

改めてその強さを見せつけられた感もあるが「僕にとっては1人で練習してる時と同じくらいの強度。周りは消耗していたようだけれど、僕は誰が踏めそうか見られるくらい余裕があった。松田(祥位)選手が余裕があるようだったので、当然ついてくるだろうなと警戒していた。いつ足元をすくわれるか分からないから、毎回勝ってホッとしている」と、連勝にも浮かれたような言葉は出ない。

この後は、5月にはツアー・オブ・ジャパンとツール・ド・熊野、6月の全日本選手権と、重要なレースが続く。ここまで好調なら、それら大会でも期待が高まるところだが、

「当然、それらのレースは僕の目標に入っているが、目の前のレースで勝ち続けることも重要。TOJ、熊野、全日本で結果を出すことは当然だと思っているし、これからもっとコンディションを上げていきたい。今はまだ今年のピークではないので、Jプロツアーと変わらずにしっかりと臨んでいきたい」と、今後について語った。

表彰式表彰式 photo:Satoru Katoプロリーダージャージの小林海(マトリックスパワータグ、写真左)と、ネクストリーダージャージの山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)プロリーダージャージの小林海(マトリックスパワータグ、写真左)と、ネクストリーダージャージの山本哲央(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato

一方、敗れた松田は「調子は悪くないので、前回の広島よりは勝負になるかなと思っていたのだけれど、やられてしまった。でも好きな力勝負が出来たので良かった」と振り返る。小林の強さについて聞かれると「強いのは確かだけれど、ヨーロッパで考えればこれがデフォルトの展開」と語った。

次戦のJプロツアーは、6月の日本サイクルスポーツセンターで行われる「東日本ロードクラシック修善寺大会」。タイミングとしては全日本選手権の1週間前となり、5月のツアー・オブ・ジャパンとツール・ド・熊野を経て各選手がどこまでコンディションを上げてくるのかが注目される。マトリックスパワータグ1強の勢力図に変化を期待したいが、果たして?
Jプロツアー第5戦 群馬CSCロードレース4月 DAY2 結果(102km)
1位 小林海(マトリックスパワータグ) 2時間34分11秒
2位 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ) +0秒
3位 松田祥位(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +24秒
4位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +2分5秒
5位 入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム) +2分6秒
6位 大町健斗(備後しなまみeNShare) +2分6秒
スプリント賞
1回目 該当なし(該当者DNF)
2回目 入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)

プロリーダージャージ 小林海(マトリックスパワータグ)
ネクストリーダージャージ 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)



その他結果

女子 岩元杏奈(日本体育大学)が優勝女子 岩元杏奈(日本体育大学)が優勝 photo:Satoru Kato
E1優勝 寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)E1優勝 寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム) photo:Satoru Kato
2連勝した寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)がエリートリーダージャージを獲得2連勝した寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)がエリートリーダージャージを獲得 photo:Satoru Kato
60kmで行われた女子のレースは、終盤に植竹海貴(Y's Road)と岩元杏奈(日本体育大学)のマッチレースとなり、スプリントで岩元が植竹を下して優勝した。

84kmで行われたE1のレースは、単独で逃げていた佐野千尋(イナーメ信濃山形-EFT)が残り2kmで吸収され、集団スプリントを制した寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)が前日に続き2連勝。「競技者人生で初めて」と言うリーダージャージを獲得した。

E2優勝 石下翔太(ブラウ・ブリッツェン)E2優勝 石下翔太(ブラウ・ブリッツェン) photo:Satoru KatoE3優勝 西村行生(慶應義塾大学)E3優勝 西村行生(慶應義塾大学) photo:Satoru Kato

Y1優勝 望月蓮(Avenir Yamanashi Yamanakako)Y1優勝 望月蓮(Avenir Yamanashi Yamanakako) photo:Satoru KatoY2優勝 佐竹清亮(AVENTURA VICTORIA RACING)Y2優勝 佐竹清亮(AVENTURA VICTORIA RACING) photo:Satoru Kato



女子、E1、E2、E3、Y1、Y2 結果

text&photo:Satoru Kato

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