2010/07/05(月) - 11:04
ツール第1ステージはロッテルダム〜ブリュッセル間の223.5kmで行われ、ゴール前2kmから落車が多発した危険なスプリントをアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)が力で押し切って勝利した。
リアルスタート。この直後にラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)がアタック photo:Makoto Ayanoオランダ・ロッテルダムからベルギーの首都ブリュッセルを結ぶ第1ステージ。コースに主だった起伏は無いものの、今年のジロ・デ・イタリアで選手を苦しめた強風区間がここでも取り入れられ、この日のレースを難しくすると目されていた。
レースは0km地点、今大会のファーストアタックがいきなり成功。アタックしたのは地元オランダ期待の星ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)。これに乗ったのはマールテン・ワイナンツ(ベルギー、クイックステップ)とアラン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)の2人。3人の長旅が始まった。
北海沿いの強風区間をゆくプロトン photo:Makoto Ayanoメイン集団のコントロールはマイヨジョーヌのファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)を擁するサクソバンク勢と、スプリンターで区間を狙うチームHTCコロンビア、ガーミン・トランジションズ勢。
逃げる3人は40km地点で7分弱の差を稼いだが、その後は強風区間にナーバスなサクソバンクやスプリンターチームのコントロールにより、差は減少。やがてルートが北海沿岸に出ると、強い海風が逃げる3人を苦しめる。
前の3人を泳がせた集団はリラックスムード photo:Makoto Ayanoジロではここでメイン集団の分裂が起こったが、警戒を怠らないメイン集団はひとつのまま風車の立ち並ぶこの区間を通過。人数の少ない逃げグループはやや分が悪く、ここを経過した時点でタイム差は3分まで縮まる。
ゴールまでまだ100km以上を残して、逃げグループを吸収したくないメイン集団はややペースダウン。先頭3名とのタイム差をしっかりとコントロール。コースがベルギーに入り、落車が発生するなどメイン集団も落ち着かなかったが、残り60kmでその差を1分25秒まで詰める。
逃げるマールテン・ワイナンツ(ベルギー、クイックステップ)、アラン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)、ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) photo:Makoto Ayanoその後、チームHTCコロンビア、ガーミン・トランジションズ、サーヴェロ・テストチームの選手が引く集団は先頭3人との差を2分前後にキープ。そして残り30km地点を前にして先頭グループを捉えにかかる。
みすみす捕まりたくない先頭3人からワイナンツが石畳区間で単独で抜け出しに成功。その30秒後方に迫っていたメイン集団からはアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)がアタック。一気に集団を置き去り、ボームとペレスもかわしてワイナンツに合流を果たす。
スプリンターチームが牽引を開始 photo:Makoto Ayano2名になった先頭だが、ワイナンツは長旅が祟って先頭を引くことができない。代わりにフレッシュなプリウスチンが力強い走りを見せ、残り17km地点で54秒差をつけることに成功。
伏兵の思わぬ好走に焦ったのはスプリンターチーム。残り11kmでチームHTCコロンビアが隊列を形成し追いにかかると、みるみるタイム差は減少。最後まで粘りの走りをみせたプリウスチンとワイナンツだったが、残り8.7kmで大集団に飲み込まれた。
集団内で走るアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ) photo:Makoto Ayanoそしてメイン集団ではスプリンターチームの激しい位置取り争いが開始。ランプレ・ファルネーゼヴィーニ勢がチームHTCコロンビア勢と真っ向から争い、そこにガーミンが割って入ろうという展開に。
数的有利はコロンビアだったが、残り2km付近のコーナーで起きた集団前方の落車で歯車が狂ってしまう。この落車にはオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)が巻き込まれ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)も集団から離れることを余儀なくされた。
両手を挙げてゴールするアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ) photo:Kei Tsujiマイヨ・ヴェールを着るデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)を先頭に残り1kmに突入したメイン集団では再度落車が発生。残り700m地点の見通しのよい道で、またも集団前方での落車。これは多くの選手を巻き込む大きな落車となり、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)はこれで戦線離脱。
マイヨ・ジョーヌのファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)らランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)もストップを余儀なくされた。新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)はこの落車のすぐ手前で危機一髪。減速こそしたものの、怪我無くゴールへ向かった。
第1ステージを走り終えた新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:Kei Tsuji勝負の行方は前方に残った30人ほどの選手に絞られ、ブレット・ランカスター(オーストラリア、サーヴェロ・テストチーム)がロングスパートで抜け出しを図る。しかしこれを冷静に追ったダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)に助けられ、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)がカウンターのロングスプリントで発進。
一度先頭に立つと、その後300mを誰にも先頭を譲らない見事なスプリントでペタッキが区間優勝を飾った。追いすがったマーク・レンショー(オーストラリア、チームHTCコロンビア)が2位、トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)が3位に続いて入った。
マイヨジョーヌに袖を通したファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がエディ・メルクスと抱き合う photo:Kei Tsujiかつてツール一大会で区間4勝を上げ、最強スプリンターと称されたペタッキのツールでの勝利はその2003年以来7年ぶり。ベテランスプリンターが円熟のロングスプリントでビッグな勝利を再びつかみ取った。
落車の影響で多くの選手が遅れてゴールしたが、ゴール前1kmだったためタイム差は規定によりつかず、総合順位に変動は無し。カンチェラーラがマイヨジョーヌをキープしている。マイヨヴェールは区間優勝したペタッキが袖を通した。
翌第2ステージは4級山岳が3つ、3級山岳が3つ並ぶ起伏の激しいコース。アルデンヌクラシックさながらのコースで、ピュアスプリンターとは違った選手の活躍が期待される。
ツール・ド・フランス2010第1ステージ結果
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)5h09'38"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTCコロンビア)
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
4位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
5位 マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)
6位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・ドイモ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケスデパーニュ)
8位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)
9位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
10位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
35位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 5h19'38"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア) +10"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +20"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) +22"
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +23"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +27"
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +28"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +28"
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +32"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +35"
170位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)35pts
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTCコロンビア)30pts
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)26pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)5h19'48"
2位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)+13"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)+22"
チーム総合成績
1位 レディオシャック 16h00'19"
2位 チームHTCコロンビア +01"
3位 ガーミン・トランジションズ +02"
text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano,Kei Tsuji
レースは0km地点、今大会のファーストアタックがいきなり成功。アタックしたのは地元オランダ期待の星ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)。これに乗ったのはマールテン・ワイナンツ(ベルギー、クイックステップ)とアラン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)の2人。3人の長旅が始まった。
逃げる3人は40km地点で7分弱の差を稼いだが、その後は強風区間にナーバスなサクソバンクやスプリンターチームのコントロールにより、差は減少。やがてルートが北海沿岸に出ると、強い海風が逃げる3人を苦しめる。
ゴールまでまだ100km以上を残して、逃げグループを吸収したくないメイン集団はややペースダウン。先頭3名とのタイム差をしっかりとコントロール。コースがベルギーに入り、落車が発生するなどメイン集団も落ち着かなかったが、残り60kmでその差を1分25秒まで詰める。
みすみす捕まりたくない先頭3人からワイナンツが石畳区間で単独で抜け出しに成功。その30秒後方に迫っていたメイン集団からはアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)がアタック。一気に集団を置き去り、ボームとペレスもかわしてワイナンツに合流を果たす。
伏兵の思わぬ好走に焦ったのはスプリンターチーム。残り11kmでチームHTCコロンビアが隊列を形成し追いにかかると、みるみるタイム差は減少。最後まで粘りの走りをみせたプリウスチンとワイナンツだったが、残り8.7kmで大集団に飲み込まれた。
数的有利はコロンビアだったが、残り2km付近のコーナーで起きた集団前方の落車で歯車が狂ってしまう。この落車にはオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)が巻き込まれ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)も集団から離れることを余儀なくされた。
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マイヨ・ジョーヌのファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)らランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)もストップを余儀なくされた。新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)はこの落車のすぐ手前で危機一髪。減速こそしたものの、怪我無くゴールへ向かった。
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一度先頭に立つと、その後300mを誰にも先頭を譲らない見事なスプリントでペタッキが区間優勝を飾った。追いすがったマーク・レンショー(オーストラリア、チームHTCコロンビア)が2位、トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)が3位に続いて入った。
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落車の影響で多くの選手が遅れてゴールしたが、ゴール前1kmだったためタイム差は規定によりつかず、総合順位に変動は無し。カンチェラーラがマイヨジョーヌをキープしている。マイヨヴェールは区間優勝したペタッキが袖を通した。
翌第2ステージは4級山岳が3つ、3級山岳が3つ並ぶ起伏の激しいコース。アルデンヌクラシックさながらのコースで、ピュアスプリンターとは違った選手の活躍が期待される。
ツール・ド・フランス2010第1ステージ結果
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)5h09'38"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTCコロンビア)
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
4位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
5位 マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)
6位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・ドイモ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケスデパーニュ)
8位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)
9位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
10位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
35位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 5h19'38"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア) +10"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +20"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) +22"
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +23"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +27"
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +28"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +28"
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +32"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +35"
170位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)35pts
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、チームHTCコロンビア)30pts
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)26pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)5h19'48"
2位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)+13"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)+22"
チーム総合成績
1位 レディオシャック 16h00'19"
2位 チームHTCコロンビア +01"
3位 ガーミン・トランジションズ +02"
text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano,Kei Tsuji
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