140kmという距離に3つの超級山岳が詰め込まれたジロ・デ・シチリア最終日。標高約1,800mの超級山岳エトナ山でアタックを繰り返したダミアーノ・カルーゾ(イタリアナショナルチーム)が、大会2勝目とともに総合優勝に輝いた。



前日に逃げ切り勝利を挙げ、リーダージャージを獲得したフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD)前日に逃げ切り勝利を挙げ、リーダージャージを獲得したフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD) photo:CorVos
ジロ・デ・シチリア2022第4ステージコースプロフィールジロ・デ・シチリア2022第4ステージコースプロフィール photo:RCS Sport4日間の大会を締めくくるジロ・デ・シチリア第4ステージには、距離が140kmと短いものの、3つの超級山岳が詰め込まれている。超級山岳コントラーダ・ジュリアーナ(距離10.9km/平均4.9%)を北から登り、その後南(距離11.3km/平均5.8%)から再び登坂。最後は標高約1,800mの超級山岳エトナ山(距離17.7km/平均5.5%)を駆け上がる。

レースは序盤から山岳賞ジャージのステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コッラテック)を含む9名の逃げグループが形成される。そこに総合4位(23秒遅れ)のフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)が入ったため、後方では総合2位ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)を擁するイタリアナショナルチームがタイトなコントロールを見せた。

第1ステージに18位に入る走りを見せた岡篤志(EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチーム)第1ステージに18位に入る走りを見せた岡篤志(EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチーム) photo:CorVos山岳を登坂するプロトンには織田聖(EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチーム)の姿も山岳を登坂するプロトンには織田聖(EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチーム)の姿も photo:CorVos

イタリアナショナルチームを先頭に超級山岳エトナ山を登るプロトンイタリアナショナルチームを先頭に超級山岳エトナ山を登るプロトン photo:CorVos
逃げ集団から飛び出したジャーマン・ゴメス(コロンビア、コロンビア・ティエラ・デ・アトレタス=GWビシクレタス・シマノ)が2度目の超級山岳コントラーダ・ジュリアーナ(距離11.3km/平均5.8%)をトップで通過。一方で3位通過したガンディンは山岳賞ジャージを確定させている。

前日勝者でリーダージャージを着るフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD)が早々に遅れていったプロトンは、人数を減らしながらイタリアナショナルチームを先頭に最後の超級山岳エトナ山(距離17.7km/平均5.5%)の登坂を開始する。残り10kmで最後まで逃げたゴメスを吸収した先頭集団は、元ガスプロム・ルスヴェロでイタリアナショナルチームのニコラ・コンチがアシストの役割を終えると、区間優勝と総合優勝をかけた山岳バトルが幕開けた。

残り1.5kmからのアタックを成功させたダミアーノ・カルーゾ(イタリアナショナルチーム)残り1.5kmからのアタックを成功させたダミアーノ・カルーゾ(イタリアナショナルチーム) photo:CorVos
まず加速したのはシチリア出身でコースを知るダミアーノ・カルーゾ(イタリアナショナルチーム)。それにヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)やジェフェルソン・セペダオルティス(エクアドル、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)が追従すると、一度下ってからの登り返しでカルーゾが再びアタックした。

何度も遅れながらも食らいつくルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が力尽き、カルーゾは粘りを見せたニバリも置き去りにする。そしてシッティングのままハイペースで踏み続けたカルーゾが、超級山岳エトナ山の頂上にフィニッシュした。

大会2勝目とともに、地元シチリアで総合優勝を掴み取ったダミアーノ・カルーゾ(イタリアナショナルチーム)大会2勝目とともに、地元シチリアで総合優勝を掴み取ったダミアーノ・カルーゾ(イタリアナショナルチーム) photo:CorVos
初出場となったジロ・デ・シチリアで区間2勝目と総合優勝に輝いたカルーゾ。「忘れられない大会になったよ。どうしてもここエトナ山での勝利が欲しかった。また勝利だけではなく、総合リーダージャージとマリアチクラミーノ(ポイント賞)も手に入れた。サポートしてくれたイタリアナショナルチームに感謝したい。君たちは素晴らしかった!」と、シチリア南部ラグーザで生まれ育ったカルーゾは喜んだ。

日本人選手4名が出場したEFエデュケーションNIPPOディベロップメントチームでは、ウェレイ・ベレヘ(エチオピア)が最高位の46位(16分42秒遅れ)でフィニッシュ。第2ステージで逃げに乗った門田祐輔はリタイアしたものの、津田悠義、岡篤志、織田聖の3名は無事フィニッシュし、4日間の戦いを終えている。

ジロ・デ・シチリア2022 表彰台ジロ・デ・シチリア2022 表彰台 photo:CorVos
ジロ・デ・シチリア2022第4ステージ結果
1位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、イタリアナショナルチーム) 4:01:47
2位 ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 0:05
3位 ジェフェルソン・セペダオルティス(エクアドル、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ) 0:10
4位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) 0:17
5位 ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ) 0:50
個人総合成績
1位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、イタリアナショナルチーム) 17:03:09
2位 ジェフェルソン・セペダオルティス(エクアドル、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ) 0:29
3位 ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
4位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) 0:31
5位 ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード) 1:17
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos