強風が選手たちを翻弄したシチリア3日目は、逃げ集団からアタックを成功させた19歳のフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD)が勝利。総合でもダミアーノ・カルーゾ(イタリア、イタリアナショナルチーム)を逆転し、リーダージャージを獲得している。



海岸線のレアルモンテをスタートし、内陸部の丘陵地帯を目指す第3ステージ海岸線のレアルモンテをスタートし、内陸部の丘陵地帯を目指す第3ステージ photo:CorVos
前日のステージで逃げた門田祐輔(EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチーム)を含む4名の日本人選手が出場するジロ・デ・シチリア(UCI2.1)。最終日前日の第3ステージは、レアルモンテをスタートし徐々に標高を上げながらピアッツァ・アルメリーナを目指す171km。難易度の高い山岳は登場しないものの、アップダウンが連続するため獲得標高差は2,813mに及ぶ丘陵ステージだ。

スタートから強い風が吹き付けるなか、序盤から勃発したアタック合戦の末にイタリア勢2人を含む5名の逃げ集団が形成される。これを追うメイン集団は、前日と同様にダミアーノ・カルーゾを擁するイタリアナショナルチームが最大5分半のリードを与えコントロールした。

序盤から逃げグループを形成した5名序盤から逃げグループを形成した5名 photo:RCS Sport
ピアッツァ・アルメリーナの街に近づきエオーロ・コメタに牽引が代わったプロトンは、残り13km地点で逃げとの差を1分半まで縮める。一方、4人に減った逃げグループからはフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD)が飛び出し単独走行を開始した。

クロアチアの国内U23個人タイムトライアル王者であるミハリェヴィッチは、その独走力を発揮しながらフィニッシュに向けて突き進む。それを追うプロトンでは横風分断が発生。総合上位勢で遅れる選手はいなかったものの、分裂の混沌と合流後のペースダウンによって、ミハリェヴィッチを積極的に追うチームは現れなかった。

一定のペースで淡々とペダルを踏み続けたミハリェヴィッチは、メイン集団と1分差でフラムルージュを通過。そのままミハリェヴィッチは頭を抱え、戸惑いの表情を浮かべながら先頭でフィニッシュラインを通過した。

後ろを振り返り、勝利を確かめるフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD)後ろを振り返り、勝利を確かめるフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD) photo:RCS Sport
頭を抱えながらフィニッシュしたフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD)頭を抱えながらフィニッシュしたフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD) photo:CorVos
「まだ信じられない。人生を変える勝利だ。フィニッシュ手前50mまでこの勝利が現実とは思えなかった。この勝利はもちろん、リーダージャージの獲得にも驚いている。明日は首位を守るため全力を尽くすが、もし失敗したとしても、既に成功の大会となっている」と、総合でも首位に立ったミハリェヴィッチは話す。

今年8月で20歳を迎えるミハリェヴィッチは、父親のウラディミルが元選手で現在バーレーン・ヴィクトリアスで監督を務めるサラブレッド。ウラディミルは現役時代、国内選手権ロードで3度の優勝(1998、2000、2012年)を誇り、2009年のリクイガス時代は現在総合3位につけているヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)とチームメイトだった過去を持っている。

また、41秒遅れで2位を争う集団スプリントはピエールアンドレ・コテ(カナダ、ヒューマンパワードヘルス)が先着している。翌日はラストに2つの超級山岳が連続する頂上フィニッシュ。ミハリェヴィッチに対し、ワールドチームのクライマーたちがどんな戦いを繰り広げるかが注目される。

リーダージャージに袖を通したフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD)リーダージャージに袖を通したフラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD) photo:CorVos
ジロ・デ・シチリア2022第3ステージ結果
個人総合成績
1位 フラン・ミハリェヴィッチ(クロアチア、サイクリングチーム・フリウリASD) 13:01:14
2位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、イタリアナショナルチーム) 0:18
3位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) 0:22
4位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ) 0:23
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 0:24
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos