25ヶ所の登坂区間が登場するブラバンツペイルで、イネオス・グレナディアーズのチーム力が炸裂。小集団から飛び出した19歳マグナス・シェフィールド(アメリカ)が独走勝利を挙げた。
スタート前に表彰を受ける現役ラストイヤーのフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
今年で第62回を迎えたベルギー・フランドル地方を駆けるセミクラシックレース「ブラバンツ・ペイル(UCI1.Pro)」。ベルギーの首都ブリュッセル南東に広がる丘陵地帯を舞台に、フランス語で「ラ・フレーシュ・ブラバンソンヌ(ブラバントの矢)」と呼ばれ、親しまれる水曜日開催の大会だ。
これまでアルデンヌ3連戦(アムステル、フレーシュ、リエージュ)の前哨戦として重要な役割を担ってきた本大会だが、今年はレーススケジュール変更によってアムステルゴールドレースの3日後に変更。同レースを走り終えた選手も含め、有力勢が多く集まった。
今年はベルギーのワンデーレース組に加わっている新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
激坂と呼ぶような急勾配の登りは登場しないものの、オーベレルエイセに向かう選手たちは205.1kmという距離に設定された25ヶ所の登坂区間に挑む。勝負所となるのはフィニッシュ手前の「ハーガールト(平均勾配10%)」「ヘルトストラート(平均勾配4%)」「モスケストラート(平均勾配8.9%)」「ホルストハイデ(平均勾配5%)」「オーベレルエイセのS字コーナー(平均勾配3%)」という短い登坂が詰め込まれた約20kmの周回コース。レース後半から選手たちはここを4周する。
2022年大会には前年王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やそのチームメイトで直前のアムステルゴールドレースを制したミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が出場。春のクラシックで結果の出ないクイックステップ・アルファヴィニルからは一昨年大会を制したジュリアン・アラフィリップ(フランス)や母国勝利を狙うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が顔を揃え、今年はベルギー組となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)もスタート地点に並んだ。
ベルギー・ルーヴェンの街をスタートするプロトン photo:CorVos
曇天のルーヴェンを出発し、逃げを形成したのは地元ベルギーのアーロン・ファンパウク(スポートフラーンデレン・バロワーズ)とルドヴィク・ロベート(ビンゴール・パウェルスソースWB)の2人。メイン集団はロット・スーダルやイネオス・グレナディアーズが積極的に牽引し、周回コースに入った残り80km地点でイネオスのベン・ターナー(イギリス)とマグナス・シェフィールド(アメリカ)がアタック。ここにエヴェネプールやディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)などが加わり、早くも9名の第2グループを形成が出来上がった。
逃げ集団を飲み込んだエヴェネプールたちを、マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)やアラフィリップが自ら先頭で牽引するプロトンが捉え、再び集団はひと塊に。一方、新城や過去2度大会を制し現役ラストイヤーのフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)がバイクを降り、雨が降り始めたホルストハイデ(残り51km地点)で再度イネオスが動いた。
プロトンの中でも一際大きい194cmのベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が登りでペースを上げると、それにエヴェネプールやロンドで2位のブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン)などが追従する。再び生まれた10名の先頭グループは、バーレーン・ヴィクトリアスやUAEチームエミレーツが追走するメイン集団を最後まで寄せ付けなかった。
先頭集団に3名入ったイネオス・グレナディアーズ photo:CorVos
自チームのチームカーが引き起こした落車に巻き込まれるジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
イネオスのアタックをマークするレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
先頭集団にターナーとピドコック、そしてマグナス・シェフィールド(アメリカ)と3名を送り込むことに成功したイネオス・グレナディアーズが、ここから登りの度に波状攻撃を仕掛けた。エヴェネプールやワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)たちはなんとか食らいつき、先頭集団は最終周回へと突入。一方の追走集団ではクイックステップのチームカーが追い抜き時に接触し、余波を受けたアラフィリップなどが落車するシーンも。チームには危険行為として2,000スイスフラン(約27万円)の罰金が課されている。
先頭グループでは終盤に入ってもなおイネオスがアタックを繰り返した。ヘルトストラート(平均勾配4%)ではシェフィールドが飛び出してコスヌフロワが唯一反応し、単騎での戦いを強いられるエヴェネプールが必死に追撃。一度は再合流を果たしたものの、残り4kmで再びシェフィールドが仕掛けた。
イネオスの波状攻撃に、エヴェネプールたちはついに力尽きる。そのままペースを維持した19歳のシェフィールドがフィニッシュラインに辿り着き、両手を突き上げた。
登坂区間で加速するベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
プロ2勝目を挙げたマグナス・シェフィールド(アメリカ) photo:CorVos
チームとして大会2連覇、またアムステルゴールドレースから続く勝利を掴み取ったシェフィールド。「信じられない勝利だ。シーズン序盤にルダデルソルで区間優勝を挙げ、今度はセミクラシックでの勝利だ。ただただ信じられない。当初はベン(ターナー)のリードアウトに備えるつもりだった。だが先頭集団に入り、飛び出してからは重たいギヤを懸命に踏み込みフィニッシュを目指した。本当に嬉しいよ」と、19歳の若き王者は喜んだ。
2位争いはコスヌフロワが先着し、3位に入ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がスプリントで斜行し降格処分になったため、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が表彰台に上がっている。
レースを通して積極的な動きを見せながらも6位に沈んだエヴェネプールは「正直シェフィールドのことを知らなかったため、マークしていなかった。でも彼の走りには驚かされたし、今日はイネオスが勝利に相応しい強さを見せた。最近僕たちはワンデーレースで成績を残せていないが、次のラ・フレーシュ・ワロンヌでも勝利を貪欲に狙いたい」とコメントしている。
プラバンツ・ベイル2022表彰台 photo:CorVos

今年で第62回を迎えたベルギー・フランドル地方を駆けるセミクラシックレース「ブラバンツ・ペイル(UCI1.Pro)」。ベルギーの首都ブリュッセル南東に広がる丘陵地帯を舞台に、フランス語で「ラ・フレーシュ・ブラバンソンヌ(ブラバントの矢)」と呼ばれ、親しまれる水曜日開催の大会だ。
これまでアルデンヌ3連戦(アムステル、フレーシュ、リエージュ)の前哨戦として重要な役割を担ってきた本大会だが、今年はレーススケジュール変更によってアムステルゴールドレースの3日後に変更。同レースを走り終えた選手も含め、有力勢が多く集まった。

激坂と呼ぶような急勾配の登りは登場しないものの、オーベレルエイセに向かう選手たちは205.1kmという距離に設定された25ヶ所の登坂区間に挑む。勝負所となるのはフィニッシュ手前の「ハーガールト(平均勾配10%)」「ヘルトストラート(平均勾配4%)」「モスケストラート(平均勾配8.9%)」「ホルストハイデ(平均勾配5%)」「オーベレルエイセのS字コーナー(平均勾配3%)」という短い登坂が詰め込まれた約20kmの周回コース。レース後半から選手たちはここを4周する。
2022年大会には前年王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やそのチームメイトで直前のアムステルゴールドレースを制したミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が出場。春のクラシックで結果の出ないクイックステップ・アルファヴィニルからは一昨年大会を制したジュリアン・アラフィリップ(フランス)や母国勝利を狙うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が顔を揃え、今年はベルギー組となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)もスタート地点に並んだ。

曇天のルーヴェンを出発し、逃げを形成したのは地元ベルギーのアーロン・ファンパウク(スポートフラーンデレン・バロワーズ)とルドヴィク・ロベート(ビンゴール・パウェルスソースWB)の2人。メイン集団はロット・スーダルやイネオス・グレナディアーズが積極的に牽引し、周回コースに入った残り80km地点でイネオスのベン・ターナー(イギリス)とマグナス・シェフィールド(アメリカ)がアタック。ここにエヴェネプールやディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)などが加わり、早くも9名の第2グループを形成が出来上がった。
逃げ集団を飲み込んだエヴェネプールたちを、マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)やアラフィリップが自ら先頭で牽引するプロトンが捉え、再び集団はひと塊に。一方、新城や過去2度大会を制し現役ラストイヤーのフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)がバイクを降り、雨が降り始めたホルストハイデ(残り51km地点)で再度イネオスが動いた。
プロトンの中でも一際大きい194cmのベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が登りでペースを上げると、それにエヴェネプールやロンドで2位のブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン)などが追従する。再び生まれた10名の先頭グループは、バーレーン・ヴィクトリアスやUAEチームエミレーツが追走するメイン集団を最後まで寄せ付けなかった。



先頭集団にターナーとピドコック、そしてマグナス・シェフィールド(アメリカ)と3名を送り込むことに成功したイネオス・グレナディアーズが、ここから登りの度に波状攻撃を仕掛けた。エヴェネプールやワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)たちはなんとか食らいつき、先頭集団は最終周回へと突入。一方の追走集団ではクイックステップのチームカーが追い抜き時に接触し、余波を受けたアラフィリップなどが落車するシーンも。チームには危険行為として2,000スイスフラン(約27万円)の罰金が課されている。
先頭グループでは終盤に入ってもなおイネオスがアタックを繰り返した。ヘルトストラート(平均勾配4%)ではシェフィールドが飛び出してコスヌフロワが唯一反応し、単騎での戦いを強いられるエヴェネプールが必死に追撃。一度は再合流を果たしたものの、残り4kmで再びシェフィールドが仕掛けた。
イネオスの波状攻撃に、エヴェネプールたちはついに力尽きる。そのままペースを維持した19歳のシェフィールドがフィニッシュラインに辿り着き、両手を突き上げた。


チームとして大会2連覇、またアムステルゴールドレースから続く勝利を掴み取ったシェフィールド。「信じられない勝利だ。シーズン序盤にルダデルソルで区間優勝を挙げ、今度はセミクラシックでの勝利だ。ただただ信じられない。当初はベン(ターナー)のリードアウトに備えるつもりだった。だが先頭集団に入り、飛び出してからは重たいギヤを懸命に踏み込みフィニッシュを目指した。本当に嬉しいよ」と、19歳の若き王者は喜んだ。
2位争いはコスヌフロワが先着し、3位に入ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がスプリントで斜行し降格処分になったため、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が表彰台に上がっている。
レースを通して積極的な動きを見せながらも6位に沈んだエヴェネプールは「正直シェフィールドのことを知らなかったため、マークしていなかった。でも彼の走りには驚かされたし、今日はイネオスが勝利に相応しい強さを見せた。最近僕たちはワンデーレースで成績を残せていないが、次のラ・フレーシュ・ワロンヌでも勝利を貪欲に狙いたい」とコメントしている。

ブラバンツペイル2022結果
1位 | マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) | 4:53:21 |
2位 | ブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン) | 0:37 |
3位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | |
4位 | ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:40 |
5位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:41 |
6位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
7位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
8位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
9位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
10位 | クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 0:51 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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