シチリア島を舞台にし、EFエデュケーションNIPPOの日本人選手4名が出場するジロ・デ・シチリアが開幕。初日の集団スプリントで、活躍の場を失っていた元ガスプロムのマッテオ・マルチェッリ(イタリアナショナルチーム)が価値ある1勝を掴んだ。



EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチームからは津田悠義、岡篤志、織田聖、門田祐輔(左から順に)が出場中EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチームからは津田悠義、岡篤志、織田聖、門田祐輔(左から順に)が出場中 photo:RCS Sport
シチリア島を巡る4日間の戦いシチリア島を巡る4日間の戦い photo:RCS Sport「長靴」に例えられるイタリア半島の、つま先のその先に位置するシチリア島を舞台にしたステージレースがその名も「ジロ・デ・シチリア(UCIUCI2.1)」。ジロ・デ・イタリアよりも2年早い1907年に初開催を迎え、3年前に42年もの中止期間を経て復活した大会であり、ジロ主催者RCSスポルトが運営を務める4日間の戦いだ。

最終日に最難関ステージのエトナ火山が登場するレースの走行距離は合計662km。今年はUCIワールドチームの参加数は3(アスタナ、アンテルマルシェ、トレック)と少数だが、シチリア島北部メッシーナ出身のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)が連覇を狙って凱旋。EFエデュケーションNIPPOディベロップメントチームの日本人選手が4名(岡篤志、織田聖、門田祐輔、津田悠義)出場しており、格上チームが多数出場する中でどう走るかにも注目したい。

4日間合計662kmのステージレースがスタート4日間合計662kmのステージレースがスタート photo:RCS Sport
青いティレニア海沿いの海岸線を追い風に乗って南下する青いティレニア海沿いの海岸線を追い風に乗って南下する photo:RCS Sport
ティレニア海沿いの島北西部を199kmに渡ってひた走る初日は、背中を押す海風によって平均45km/hというハイスピードで進行した。UCIコンチネンタルチーム勢が中心となった7名が逃げ、対するメイン集団はイタリアナショナルチームとバルディアーニCSF、そしてアンテルマルシェがアシストを出し合ってコントロールを担った。

緩いコーナーとアップダウンが続くレース終盤戦で逃げグループは引き戻され、シチリア出身のダミアーノ・カルーゾや活躍の場を失った元ガスプロム勢5名で構成されたイタリアナショナルチームが主導権を奪取した。門田にアシストされた岡も集団前方を位置取ってスプリント勝負を目指していく。

先頭で踏むマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)をマッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム)がパス先頭で踏むマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)をマッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム)がパス photo:RCS Sport
緩斜面スプリントを制したマッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム)緩斜面スプリントを制したマッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム) photo:RCS Sport
フィニッシュに向けた緩斜面勾配に入り、イタリアチームを追いやったのはトレック・セガフレードだった。最終コーナーを先頭で通過したエミルス・リエピンス(ラトビア)がマッテオ・モスケッティ(イタリア)を発進させたものの、タイミングが早すぎたせいか失速してしまう。一時出遅れたマッテオ・マルチェッリ(イタリアナショナルチーム)が粘り強く追い上げ、そのまま勝利をかっさらった。

活動停止に追い込まれたガスプロム・ルスヴェロに所属していたイタリア勢が、ナショナルチームとして一致団結し掴み取った価値ある勝利。リーダージャージも掴んだマルチェッリは「本当にこの勝利を欲していたんだ。僕やチームメイトは所属チームがなくなると言う難しい状況に置かれたけれど、この勝利はオフシーズンと、この状況下でうまく練習を積めたという結果。とても嬉しいし、これが新しいスタート地点になることを願っている」と心境を打ち明けている。

価値ある1勝を掴んだマッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム)価値ある1勝を掴んだマッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム) photo:RCS Sport
また、岡は終盤の混戦でポジションを失い18位でフィニッシュ。自身のレースレポートには「風が弱かったのが幸いだが、意外とアップダウンやテクニカルなコーナーが多く、集団内でも神経を使うレースだった。コントロールチームの後ろでラスト2kmまで待機する事が出来たが、コーナー前一瞬の判断ミスで位置を大きく下げてしまった。最終コーナー400mからスプリントするも、全ては時既に遅し。このレースはJsportsやGCNでも配信があったとの事で、日本のロードレースファンの皆様にも良い走りを見せたかった。切り替えて明日からのステージで見せ場を作れるよう頑張ります!!(抜粋)」と綴っている。
ジロ・デ・シチリア2022第1ステージ結果
1位 マッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム) 4:21:36
2位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)
3位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
4位 アレッサンドロ・フェデーリ(イタリア、イタリアナショナルチーム)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、イタリアナショナルチーム)
個人総合成績
1位 マッテオ・マルチェッリ(イタリア、イタリアナショナルチーム) 4:21:26
2位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) +0:04
3位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ) +0:06
4位 アレハンドロ・ロペロ(スペイン、エオーロ・コメタ) +0:07
5位 ミカエル・ベレッリ(イタリア、ビエッセ・カレラ) +0:09