メインスポンサーがロシア企業ガスプロムだったことにより、3月1日付けでUCIレースへの参加資格が剥奪されたガスプロム・ルスヴェロが声明を発表。戦争反対を強調すると共に、新たなタイトルスポンサーを募集している。



3月1日よりレース参加の資格を剥奪されたガスプロム・ルスヴェロ3月1日よりレース参加の資格を剥奪されたガスプロム・ルスヴェロ photo:CorVos
「UCI(国際自転車競技連合)により、3月1日付けで我々チームの活動資格が剥奪された。シーズンから2勝と好スタートを切ったこともあり、そのショックは大きかった。我々はスポンサーロゴを取り除いたジャージで引き続きレースに出場する予定だったものの、UCIはそれを却下。UCIとは3月3日に交渉を行い、新しいタイトルスポンサーを迎えることを条件に活動が許された」。チーム名を一時的に「Professional Cycling Team」に変えたガスプロム・ルスヴェロは、3月28日にSNSを通してこれまでの経緯を説明した。

「2016年より活動をサポートしてくれたガスプロムに感謝を伝えたい。彼らの支援により多くの選手がプロデビューを果たし、数多くの勝利によって自転車界で認知されるチームへと成長した。しかしチームは次なる段階へと踏み出す時がきた」と、チームはロシア国営のエネルギー企業ガスプロムに対する敬意を綴っている。

チームは2012年にロシア籍プロチーム(旧プロコンチネンタルチーム)として創設され、2016年にガスプロムをタイトルスポンサーに迎え、2019年以降はイタリア人選手を加えるなど国際色を強めながら活動を続けてきた。しかし2月24日にロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、UCIはロシアとベラルーシ籍チームに対してUCIレースへの参加禁止を発表。この決定によりガスプロム・ルスヴェロは3月1日より活動休止を余儀なくされた。

所属する21名の選手たちはチームの拠点があるイタリアのロナート・デル・ガルダを中心に、無地の白色ジャージとブランドロゴを隠したバイクでトレーニングを継続。ロシア人ではない選手の中には各国のナショナルチームメンバーとしてレース活動を続けており、一例を挙げるとアレッサンドロ・フェデーリはイタリアナショナルチームの一員として先日のGPインダストリア&アルティジアナートで2位に入っている。

チームは声明の最後に「政治とスポーツは混じり合うべきではない。スポーツはむしろ異なる国々を一つにするプラットフォームになるべきだ。特に自転車界と我々チームはそのメッセージをより効果的に伝えることができるはず。我々は平和を願い、戦争に反対する」と訴え、「新しいタイトルスポンサーを探しており、新しいチーム名の元で一刻も早いレース復帰を望んでいる」と活動再開に向けスポンサー募集を呼びかけた。


text:Sotaro.Arakawa