スプリンターが集結したワンデークラシックレース「ブルッヘ〜デパンヌ」でティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が勝利。写真判定による僅差でディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)らを下した。



今季まだ勝利が無いアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)	今季まだ勝利が無いアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVosミラノ〜サンレモからの連戦となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)ミラノ〜サンレモからの連戦となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

快晴のブルッヘをプロトンが出発していく快晴のブルッヘをプロトンが出発していく photo:CorVos
ミネルバクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ2022コースミネルバクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ2022コース スペインで開催中のボルタ・ア・カタルーニャでクライマーや軽量パンチャーがしのぎを削る一方、クラシックハンターやスプリンターはベルギー沿岸部に集結。「ミネルバクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ(UCIワールドツアー)」が開催された。

2017年まで「ブルッヘ〜デパンヌ3日間レース」として開催され、2018年にワンデーレース化、そして2019年にワールドツアーに昇格したスプリンター向けクラシックレースであり、今年は実用E-BIKEブランドのミネルバ社がタイトルスポンサーに就任(昨年は消毒薬ブランドのオキシクリーン)している。

今年はディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)やティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)といった面々が集ったほか、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も出場を果たした。

最高標高地点(海抜14m)のブルッヘを出発し、沿岸部の海抜0m地帯を駆け抜けるコースは200kmオーバーで、最後はデパンヌの周回コースを3周半。例年海風に大きく左右されるレースであるものの、この日強い風は吹き付けず、集団分断は起こらなかった。

エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)ら3名が逃げるエンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)ら3名が逃げる photo:CorVos
ベルギー沿岸地域の平坦コースをひた走るベルギー沿岸地域の平坦コースをひた走る photo:CorVos
スタート直後にエンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)ら3名が逃げを決め、7分台まで広がったタイム差を、スプリンターチームのアシスト勢が協力して追い上げる定石通りの展開でレースは進む。60km地点に用意された中間スプリントポイントはイェンス・レインデルス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)が先着し、ミネルバ製E-BIKEの生涯サポート権を獲得している。

レース後半の周回コースに入り、吹きさらし区間に入って各チームがペースアップを開始する。この流れの中で元々の逃げグループは30km以上を残して吸収され、猛ペースで突き進む集団内では散発的に落車も発生する。決定的な分裂は起こらず、集団一つのままスプリント勝負に向けて距離を消化していった。

メイン集団をコントロールするアルペシン・フェニックスやクイックステップ・アルファヴィニルメイン集団をコントロールするアルペシン・フェニックスやクイックステップ・アルファヴィニル photo:CorVos
UAEチームエミレーツやバイクエクスチェンジ・ジェイコ、クイックステップ・アルファヴィニル、そしてアルペシン・フェニックスといった強豪チームが熾烈な位置取り争いを展開する中、残り1.5kmの直角右コーナー出口でパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)が激しく落車してしまう。

他選手と接触し、バランスを崩して頭と肩から地面に叩きつけられたアッカーマンだったが、チームによれば幸い大きな怪我は無し。そんな混乱を尻目にクイックステップがリードアウトトレインを発進させたものの、肝心のカヴェンディッシュはライバル勢の中に埋もれてしまう。オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)の加速をきっかけに、スプリント勝負の幕が切って落とされた。

ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)とディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がハンドルを投げ込むティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)とディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がハンドルを投げ込む photo:CorVos
ロングスプリントを試みたコーイは徐々に失速し、その両側から加速したメルリールとフルーネウェーヘンが横一列でもがきあう。追い上げたナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)も加わったハンドル投げ勝負の末、写真判定でメルリールの先着が告げられた。

今季3勝目を挙げたティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)今季3勝目を挙げたティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
「早めにスプリントを始めたんだ。前を塞がれなくてよかったよ。フルーネウェーヘンが迫っているのを感じていたけれど、なんとか持ち堪えることができた」と安堵するメルリール。「スプリント勝負前はかなり混沌として危険だった。無事にフィニッシュできてよかったよ。このあとシュヘルデプライスも迫っているけれど、僕はこの時点で3勝目と、もうすでに自分の走りに満足できているよ」と話している。
ミネルバクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ2022結果
1位 ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) 4:45:41
2位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
4位 マックス・ワルシャイド(ドイツ、コフィディス)
5位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
6位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
7位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
8位 アルノー・デリー(ベルギー、ロット・スーダル)
9位 ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
text:So Isobe
photo:CorVos