2022/02/27(日) - 12:45
石畳クラシックシーズン突入を告げるオンループ・ヘットニュースブラッドでワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が圧勝。最後の登坂を前に虚をつくアタックを仕掛け、束になって追いかけるライバル勢を尻目に独走した。
グランツールを目指すオールラウンダー勢が中東やフランス、スペインで登坂勝負を繰り広げたその一方、ロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベを目指す重量系クラシックレーサーたちはベルギー・フランデレン地域のオースト=フランデレン州都ヘントに集結。ヨーロッパのワールドツアーレース開幕戦であり、石畳クラシックシーズンの開幕を告げる第77回オンループ・ヘットニュースブラッドが開催された。
ベルギーの新聞ヘットフォルク紙が1945年に創設したことに端を発するセミクラシックレースであり、ヘントからニノーヴェを結ぶ204kmコースには13の登りと9の石畳(パヴェ)セクターが盛り込まれる。
ロンド・ファン・フラーンデレンのフィニッシュを踏襲する伝統的なレイアウトであり、特にレースが動く終盤区間には「レベルグ」「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」そして「ボスベルグ」と、"北のクラシック"お馴染みの有名登坂が凝縮されている。
ショーアップされたプレゼンテーションとパレード走行を経て、リアルスタートの旗が振られる。風邪で体調を崩したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とセップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)の2名が未出走となったこの日、平坦貴重の序盤区間で逃げを打ったのはベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)を含む7名。最大7分リードを得たエスケープの背後では、ロット・スーダルや、クイックステップ・アルファヴィニル勢がメイン集団の牽引役を担った。
暫くは逃げvsメイン集団という形で距離を消化していたが、メイン集団は残り70km地点あたりから徐々に活発化。最大勾配12.8%の「ファルケンブルグ」では過去2度勝利しているフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)がアタックし集団を揺さぶった。続いてシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)たちが逃げるなどユンボ・ヴィスマがコントロールする集団から各チームがジャブを打ち続けた。
キュングたちは当初からの逃げを捕まえ、およそ1分以下の差をもって逃げる。最大勾配12.3kmを誇る173km地点の石畳登坂「ベレンドリー」ではユンボ新加入のティシュ・べノート(ベルギー)が動き、チームメイトにして優勝候補筆頭のワウト・ファンアールト(ベルギー)とイネオス・グレナディアーズのトーマス・ピドコック(イギリス)とヨナタン・ナルバエス(エクアドル)、そしてソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がジャンプ。今大会初の優勝候補によるアタックはやがて先頭グループを捉え、べノートが独走に持ち込んだものの、メンバーを送り損ねたクイックステップやUAEが追走するメイン集団を大きく引き離すことはなかった。
フランドルの象徴と言える、丘の上に建つ教会を目指す石畳登坂「ミュール・カペルミュール」通過後にべノートを捉え、マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)やファンアールトたちが絞り込まれた集団先頭で動きながら牧草地帯を巡行する。すると、最後の石畳登坂を前にペースが緩んだタイミングを突いて、ファンアールトが強烈なアタックを放った。
全員が「ボスベルグ」に集中する中、虚をつくアタックでファンアールトがリードを築く。躊躇するライバル勢を尻目にトップスピードで最大11%勾配(登坂距離980m/平均5.8%)を駆け上がったベルギーチャンピオンが、約10秒のリードをもってフィニッシュまで10km続く平坦区間に入った。
単独逃げるファンアールトに対し、追走集団の人数は20名弱。各チームのアシスト勢が残っていたため吸収は時間の問題かと思われたものの、世界屈指の独走力を誇るファンアールトはむしろリードを15秒、20秒と広げていく。ピンチを感じた追走グループは束になって追いかけたものの、逃げるファンアールトとの差は最後まで縮まらなかった。
残り3kmでタイム差は30秒。2位争いに切り替えた追走グループを尻目にファンアールトがニノーヴェのフィニッシュ地点にやってきた。出走前に「勝ちにきたわけではない」宣言をしていたベルギーチャンピオンが、ロードシーズン初戦のビッグレースでいきなり勝利をもぎ取った。
「ティシュと僕でベレンドリーの後に上手く攻撃できたんだ。ボスベルグの前はいつもレースが落ち着くので、そこでアドバンテージを握ろうとした。頂上通過時点でも良いギャップを手にしていたので全開で逃げたんだ。全てを出し切り、作戦が噛み合った」と、圧倒的とも言える強さを見せつけたファンアールトはレースを振り返る。
「上手く準備を重ねてきたけれど、いきなりこんな結果になるとは思わなかったよ。このレースで勝ったという事実は素晴らしい。フランドルやルーベでは更に激しいレースとなるが、まだ対応できる余力があると思う。この後、強力なチームメイトと共に臨むパリ〜ニースでもう一段強度を上げていきたい」と、第77代オンループ覇者は余裕を漂わせている。
グランツールを目指すオールラウンダー勢が中東やフランス、スペインで登坂勝負を繰り広げたその一方、ロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベを目指す重量系クラシックレーサーたちはベルギー・フランデレン地域のオースト=フランデレン州都ヘントに集結。ヨーロッパのワールドツアーレース開幕戦であり、石畳クラシックシーズンの開幕を告げる第77回オンループ・ヘットニュースブラッドが開催された。
ベルギーの新聞ヘットフォルク紙が1945年に創設したことに端を発するセミクラシックレースであり、ヘントからニノーヴェを結ぶ204kmコースには13の登りと9の石畳(パヴェ)セクターが盛り込まれる。
ロンド・ファン・フラーンデレンのフィニッシュを踏襲する伝統的なレイアウトであり、特にレースが動く終盤区間には「レベルグ」「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」そして「ボスベルグ」と、"北のクラシック"お馴染みの有名登坂が凝縮されている。
ショーアップされたプレゼンテーションとパレード走行を経て、リアルスタートの旗が振られる。風邪で体調を崩したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とセップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)の2名が未出走となったこの日、平坦貴重の序盤区間で逃げを打ったのはベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)を含む7名。最大7分リードを得たエスケープの背後では、ロット・スーダルや、クイックステップ・アルファヴィニル勢がメイン集団の牽引役を担った。
暫くは逃げvsメイン集団という形で距離を消化していたが、メイン集団は残り70km地点あたりから徐々に活発化。最大勾配12.8%の「ファルケンブルグ」では過去2度勝利しているフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)がアタックし集団を揺さぶった。続いてシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)たちが逃げるなどユンボ・ヴィスマがコントロールする集団から各チームがジャブを打ち続けた。
キュングたちは当初からの逃げを捕まえ、およそ1分以下の差をもって逃げる。最大勾配12.3kmを誇る173km地点の石畳登坂「ベレンドリー」ではユンボ新加入のティシュ・べノート(ベルギー)が動き、チームメイトにして優勝候補筆頭のワウト・ファンアールト(ベルギー)とイネオス・グレナディアーズのトーマス・ピドコック(イギリス)とヨナタン・ナルバエス(エクアドル)、そしてソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がジャンプ。今大会初の優勝候補によるアタックはやがて先頭グループを捉え、べノートが独走に持ち込んだものの、メンバーを送り損ねたクイックステップやUAEが追走するメイン集団を大きく引き離すことはなかった。
フランドルの象徴と言える、丘の上に建つ教会を目指す石畳登坂「ミュール・カペルミュール」通過後にべノートを捉え、マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)やファンアールトたちが絞り込まれた集団先頭で動きながら牧草地帯を巡行する。すると、最後の石畳登坂を前にペースが緩んだタイミングを突いて、ファンアールトが強烈なアタックを放った。
全員が「ボスベルグ」に集中する中、虚をつくアタックでファンアールトがリードを築く。躊躇するライバル勢を尻目にトップスピードで最大11%勾配(登坂距離980m/平均5.8%)を駆け上がったベルギーチャンピオンが、約10秒のリードをもってフィニッシュまで10km続く平坦区間に入った。
単独逃げるファンアールトに対し、追走集団の人数は20名弱。各チームのアシスト勢が残っていたため吸収は時間の問題かと思われたものの、世界屈指の独走力を誇るファンアールトはむしろリードを15秒、20秒と広げていく。ピンチを感じた追走グループは束になって追いかけたものの、逃げるファンアールトとの差は最後まで縮まらなかった。
残り3kmでタイム差は30秒。2位争いに切り替えた追走グループを尻目にファンアールトがニノーヴェのフィニッシュ地点にやってきた。出走前に「勝ちにきたわけではない」宣言をしていたベルギーチャンピオンが、ロードシーズン初戦のビッグレースでいきなり勝利をもぎ取った。
「ティシュと僕でベレンドリーの後に上手く攻撃できたんだ。ボスベルグの前はいつもレースが落ち着くので、そこでアドバンテージを握ろうとした。頂上通過時点でも良いギャップを手にしていたので全開で逃げたんだ。全てを出し切り、作戦が噛み合った」と、圧倒的とも言える強さを見せつけたファンアールトはレースを振り返る。
「上手く準備を重ねてきたけれど、いきなりこんな結果になるとは思わなかったよ。このレースで勝ったという事実は素晴らしい。フランドルやルーベでは更に激しいレースとなるが、まだ対応できる余力があると思う。この後、強力なチームメイトと共に臨むパリ〜ニースでもう一段強度を上げていきたい」と、第77代オンループ覇者は余裕を漂わせている。
オンループ・ヘットニュースブラッド2022結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 4:50:46 |
2位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:22 |
3位 | グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン) | |
4位 | オリヴェル・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン) | |
5位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) | |
6位 | ラスムス・ティレル(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング) | |
7位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | アンドレア・パスクアロン(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
9位 | フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
10位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp