序盤から15名による先鋭グループが形成されたアンダルシア第4ステージ。残り20kmから飛び出した2人によるスプリントでワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)が勝利。リーダージャージを獲得した。



序盤の1級山岳で15名の先鋭グループが形成される序盤の1級山岳で15名の先鋭グループが形成される (c)Bahrain Victorious
ブエルタ・ア・アンダルシア2022第4ステージコースプロフィールブエルタ・ア・アンダルシア2022第4ステージコースプロフィール photo:Vuelta a Andalucia Ruta Ciclista Del Sol最終日を翌日に控えたアンダルシア第4ステージは、クリャル・ベガからグラナダを通りバザを目指す167.4kmのクイーンステージ。スタート直後に1級山岳のアルト・デル・パルシェ(距離6.8km/平均9.1%)とプエルト・デ・ブランカレス(距離15.1km/平均3.1%)を越え、後半は2級山岳から下り基調の平坦フィニッシュが待つ。獲得標高差2,987mのコースで、クライマーたちによる激しいアタック合戦が繰り広げられた。

アクチュアルスタートと同時に逃げたグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)ら5名は、僅か20km地点にある最初の1級山岳で吸収。アスタナカザフスタンとバーレーン・ヴィクトリアスが結託し、15名の先鋭集団がレース先頭に立った。

このグループに入ったは、総合上位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン)やサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)たち。一方、ここからリーダージャージのアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)は遅れ、ボーラ・ハンスグローエらと追走したたものの、最後まで合流できず首位から陥落した。

何度もアタックしたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン)何度もアタックしたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン) (c)Astana Qazaqstan Team
先鋭集団はそれぞれ3人ずつが入ったアスタナやバーレーンを中心にローテーション組んで距離を消化していく。1級、2級山岳を越えカテゴリーのつかない登坂に入り、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン)が協力体制が崩す飛び出しを見せる。ここから約5kmに渡ってアタックと吸収が繰り広げられ、その最後にルツェンコが飛び出しを決めた。

ルツェンコのアタックにワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)が同調し、先頭を交代しながらタンデム走行が始まった。後方集団では単独のイェーツがローテーションを呼びかけるが、それぞれのアシストが先行するロペスとヘイグはペースメイクを拒否。同じくアシストのいないベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)やマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が繰り返し仕掛けるが決まらず、勝負は30秒差で前を行くルツェンコとプールスに委ねられた。

フィニッシュ地点のあるバザの街に入り、牽制しつつもペースを上げる2人が残り500mを通過する。先に腰を上げてスプリントを開始したのはプールス。その後方から飛び出し横に並ぶルツェンコを、34歳のプールスが振り切りフィニッシュラインに飛び込んだ。

スプリントを繰り広げるワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン)スプリントを繰り広げるワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン) photo:Vuelta a Andalucia Ruta Ciclista Del Sol
一騎打ちを制したワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)一騎打ちを制したワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Vuelta a Andalucia Ruta Ciclista Del Sol
「嬉しいものはもちろん、とてもハードな一日だった。チームメイトそれぞれが完璧な仕事したおかげだ。ルツェンコが飛び出した瞬間、脚に力があったのでついていったんだ。そして最後のスプリントで勝利を掴み取ることができた」と、3年振りかつバーレーン・ヴィクトリアスに移籍後初勝利を飾ったプールスは喜んだ。「勝利を喜ぶ気持ちもあるが、明日はまた厳しいステージが待っている。結果はタンクに残った燃料次第だろうね」。7分遅れでフィニッシュしたコーヴィから総合首位を奪ったプールスはそう最終日への意気込みを語った。

18秒差でやってきた3位争いはマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が先着。総合順位では2位のロペスが10秒差でつけ、それを12秒差で3位のクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー)たちが迫る。

翌第5ステージは最後に2級山岳チクラーナ・デ・セグーラ(距離6.4km/平均5.6%)を駆け上がる頂上フィニッシュ。そこで6日間に渡る戦いの決着がつけられる。

区間優勝とともに総合でも首位に立ったワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)区間優勝とともに総合でも首位に立ったワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) (c)Bahrain Victorious
ブエルタ・ア・アンダルシア2022第4ステージ結果
1位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:56:52
2位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン)
3位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:18
4位 サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー)
7位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 イバン・ソーサ(コロンビア、モビスター)
9位 ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)
10位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン)
個人総合成績
1位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) 17:06:49
2位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン) 0:10
3位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー) 0:12
4位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 イバン・ソーサ(コロンビア、モビスター)
6位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)
7位 サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 0:21
8位 ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)
9位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン) 0:24
10位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:27
その他特別賞
山岳賞 ヨン・バレネチェア(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ポイント賞 アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 アスタナカザフスタン
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos