オマーンを舞台にした5日間の戦いが開幕。スプリントステージの初日にフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)がマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)を下しシーズン初勝利を挙げた。



スタートの前列にはオマーンナショナルチームの選手たちが並んだスタートの前列にはオマーンナショナルチームの選手たちが並んだ photo:CorVos
いよいよ開幕したツアー・オブ・オマーン(UCI2.Pro)初日はイスラーム建築が立ち並ぶアル・ルスタックフォートから首都マスカットを目指す138km。内陸地から山間部を通って沿岸部に向かう平坦基調のレイアウトだが、フィニッシュ手前1km、平均勾配9.6%の登りが集団スプリントにどう影響するか注目された。

ペイオ・ゴイコエチェア(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)の飛び出しにノボノルディスクとオマーンナショナルチームが1人ずつ送り込み、3名による逃げが形成される。それをUAEチームエミレーツやバイクエクスチェンジ・ジェイコが追うスプリントステージらしい展開で距離を消化していった。

この日唯一登場したファンジャの登りではゴイコエチェアが一緒に逃げていた2人を引き離し、中間スプリントポイントと共にボーナスタイムを獲得。カヴェンディッシュ擁するクイックステップ・アルファヴィニルではなく、スプリンターのいないチームDSM率いるプロトンによって残り10km地点でゴイコエチェアは飲み込まれている。

首都マスカットに向かい山間部を駆け抜けるプロトン首都マスカットに向かい山間部を駆け抜けるプロトン photo:CorVos
序盤から逃げたペイオ・ゴイコエチェア(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)ら3名序盤から逃げたペイオ・ゴイコエチェア(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)ら3名 photo:CorVos観戦者も2年振りの開催を喜んだ観戦者も2年振りの開催を喜んだ photo:CorVos

チームDSMによるハイスピードな牽引から、残り5km地点に差し掛かるとセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)が早めのアタックを仕掛けた。ステージ優勝を視野にとらえるパワフルな逃げに対し、クイックステップ・アルファヴィニルがチーム総出で引き戻しに成功するものの、残り1km地点でカヴェンディッシュの前にはネオプロ(プロ1年目)のスタン・ファントリヒト(ベルギー)しか残っていなかった。

メンバーを削ぎ落とされたクイックステップに代わり、バイクエクスチェンジ・ジェイコやグルパマFDJ、アルケア・サムシックがスプリントに向けて競り合う中、ガビリアを携え残り300mで先頭に立ったのは、引退を6ヶ月延長してUAEチームエミレーツに残ったリードアウトの名手、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)だった。

先頭でスプリントするフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)先頭でスプリントするフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
スプリント勝利を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)スプリント勝利を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) (c)www.tour-of-oman.com
一列棒状の集団をフェンス右側に寄せ、リケーゼの後ろから残り100mでガビリアがスプリントを開始する。ガビリアの左側から役割を終えて下がるリケーゼに、ガビリアの後ろにつくカーデン・グローブス(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)とカヴェンディッシュが阻まれ行き場を失う。残り50mから更に加速したガビリアにリケーゼの左側を周らざるを得なくなったカヴェンディッシュは届かず、グローブスも抑え込んだカビリアが先着した。

「昨日、メディアに対し自分がどれほど勝利に飢えているかを伝えた。そうすることで自分にプレッシャーを与えていたんだ。サウジツアーでは惜しくも勝利を逃していたので、まだこの優勝が信じられない。オマーンという美しい国を走るだけで嬉しいものの、この1勝だけでは満足できない」と、サウジツアーで3位、6位、4位と辛酸を嘗めたガビリアは喜んだ。

一方、レース後に「位置取りに失敗した」と敗因を語ったカヴェンディッシュは、「ステージを通して身体は動いているし、骨折後6週間のトレーニングしかできない中でこの結果には満足だ」と開幕レースを振り返っている。怪我は大きく響いていない様子だ。

チームシーズン2勝目を喜ぶUAEチームエミレーツチームシーズン2勝目を喜ぶUAEチームエミレーツ photo:CorVos


翌第2ステージも167.5kmのスプリントステージ。ナシーム公園から西のスハーラ・コーニッシュを目指し、オマーン湾沿いをひたすらに駆け抜ける。
ツアー・オブ・オマーン2022第1ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) 3:17:04
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)
3位 カーデン・グローブス(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
4位 アモリ・カピオ(ベルギー、アルケア・サムシック)
5位 ポール・ペノエ(フランス、グルパマ・エフデジ)
6位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、UAEチームエミレーツ)
7位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、コフィディス)
8位 ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
9位 アンドレア・ペロン(イタリア、ノボノルディスク)
10位 ミヒケル・レイム(エストニア、ブルゴスBH)
個人総合成績
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) 3:16:54
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:02
3位 ペイオ・ゴイコエチェア(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) 0:04
4位 カーデン・グローブス(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 0:06
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 0:09
6位 アンドレア・ペロン(イタリア、ノボノルディスク)
7位 アモリ・カピオ(ベルギー、アルケア・サムシック) 0:10
8位 ポール・ペノエ(フランス、グルパマ・エフデジ)
9位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、UAEチームエミレーツ)
10位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、コフィディス)
その他特別賞
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos