2022/01/02(日) - 08:48
1月1日恒例のCXレース「GPスヴェンネイス」でルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がそれぞれ圧勝した。
ベルギーのバールで開催されたX2Oバドカマートロフェー第4戦は、年明け早々1月1日の恒例レースとして親しまれれている大会。この街ゆかりのシクロクロスレジェンド、スヴェン・ネイス(現バロワーズ・トレック・ライオンズ監督)を称えて「GPスヴェンネイス」と呼ばれ、ネイスの名を冠した常設CXコースを舞台にする。新体制のチームや、新機材、新デザインのジャージが披露される場としてもお馴染みだ。
過去ネイス自身が16回参戦し、12回優勝した今大会。2022年大会は暖かな晴天にも関わらず、前日までの雨によって路面が掘り起こされ、さらに天候回復によって泥の粘度が増すというヘビーマッドコンディションに仕上がった。
女子:アルバラードを下し、ブラントが涙の勝利
女子レースは体調不良から復活したマーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ)がダッシュを決めたものの、レースが進むにつれてオランダ勢が主導権を掌握。ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)とデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)、そしてセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)の3人が先頭グループを組み上げた。
やがて、ハイペースを刻む新旧席王者2人(ブラント&アルバラード)がベッツィマを振り落とし、一騎打ちの様相を呈していく。今季コンディショニングが遅れていたあるバラードだが、この日は初めてブラントの加速に対応するなど対等に渡り合う。ミスで生まれた5秒以上の差も自力で埋め、残り半周でレースは振り出しに戻ったものの、ここから世界女王が力でねじ伏せにかかった。
リスキーなダウンヒルを飛ばし、続くランニング区間を飛ばしたブラントは、2,3秒のリードを得てそのままフィニッシュ。アルバラードが4秒差の2位、2人を追いかけ続けたベッツェマが37秒遅れの3位に入った。
カルペでのチーム合宿中に事故に遭い、昏睡状態に置かれているエイミー・ピーターズ(オランダ、SDワークス)へのメッセージが記されたヘルメットを着用して走ったブラント。「オランダの自転車界にとってとても苦しい時期。今日の勝利は素晴らしいことだけど、彼女のことを想えば結果は重要なことじゃない。今日のレースを通じて彼女や、彼女の家族が少しでも元気になってくれたら嬉しい」と、ブラントは涙をこぼしながらインタビューに答えた。
男子エリート:ファンアールトが無双、メカトラブルを覆す逆転勝利
明けた男子エリートレースは序盤、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がハイペースを刻んで隊列を引き伸ばした。
ややペースを緩めたピドコックには、絶好調ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)やエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)、そしてトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が合流して先頭グループを形成。傾いた太陽光が差し込む中、ベルギー3人+イギリス人1人のトップグループがハイペースを刻んだ。
この中からはまず、アールツが高速コーナーで轍に車輪を取られ脱落。マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)と共に4位グループを組み、その後方には1月1日付けでトリニティレーシングからイネオス・グレナディアーズに加入したベン・ターナー(イギリス)を含む6番手グループが続いた。
レースが動いたのはスタート後30分が経とうとしたタイミング。ファンアールトが猛然とペースアップしてリードを稼いだものの、落車によって帳消しに。落車でシューズを壊したファンアールトは次のピットインで履き替えたことで時間を取られ、3番手からの追走を強いられた。
しかし「コース上で何箇所かピドコックより速く走れる場所があったし、まだ勝てるチャンスがあると分かったので全力で追いかけた」と言うファンアールトは倒れなかった。一時20秒ほど開いた差を猛然と縮め、まずイゼルビットを抜き、全7周回中の6周目中盤にピドコックをキャッチ。ややペースを緩めていたピドコックも攻撃したものの、ファンアールトを引き離すことはできなかった。
ファンアールトが動いたのは長く急勾配の登り区間だった。一気にピドコックを抜き去り、続く重馬場の泥区間でも猛然と踏みこむ。追う立場になったピドコックは泥区間でラインを外すなど、対抗することができなかった。
大きなビハインドを覆し、その実力を改めてアピールしたファンアールトが勝利。圧倒的とも言えるフィジカルでシーズンイン後負けなしの7勝目を勝ち取った。
「最終周回の登りで仕掛けようと決めていたんだ。あの場所は僕の方が強かった。こういう勝ち方は安心するけれど、その一方で無駄な力を使っていることも事実だ」と話している。
また、イネオス入りしたターナーは今季CX最高位となる6位でフィニッシュ。2017年のCX世界選手権ジュニアレースで3位(優勝はピドコック)に入った22歳が存在感を際立たせた。
トップレーサーたちは翌日の1月2日、オランダのフルストで連続開催されるUCIワールドカップ第13戦で再び相見える。
ベルギーのバールで開催されたX2Oバドカマートロフェー第4戦は、年明け早々1月1日の恒例レースとして親しまれれている大会。この街ゆかりのシクロクロスレジェンド、スヴェン・ネイス(現バロワーズ・トレック・ライオンズ監督)を称えて「GPスヴェンネイス」と呼ばれ、ネイスの名を冠した常設CXコースを舞台にする。新体制のチームや、新機材、新デザインのジャージが披露される場としてもお馴染みだ。
過去ネイス自身が16回参戦し、12回優勝した今大会。2022年大会は暖かな晴天にも関わらず、前日までの雨によって路面が掘り起こされ、さらに天候回復によって泥の粘度が増すというヘビーマッドコンディションに仕上がった。
女子:アルバラードを下し、ブラントが涙の勝利
女子レースは体調不良から復活したマーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ)がダッシュを決めたものの、レースが進むにつれてオランダ勢が主導権を掌握。ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)とデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)、そしてセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)の3人が先頭グループを組み上げた。
やがて、ハイペースを刻む新旧席王者2人(ブラント&アルバラード)がベッツィマを振り落とし、一騎打ちの様相を呈していく。今季コンディショニングが遅れていたあるバラードだが、この日は初めてブラントの加速に対応するなど対等に渡り合う。ミスで生まれた5秒以上の差も自力で埋め、残り半周でレースは振り出しに戻ったものの、ここから世界女王が力でねじ伏せにかかった。
リスキーなダウンヒルを飛ばし、続くランニング区間を飛ばしたブラントは、2,3秒のリードを得てそのままフィニッシュ。アルバラードが4秒差の2位、2人を追いかけ続けたベッツェマが37秒遅れの3位に入った。
カルペでのチーム合宿中に事故に遭い、昏睡状態に置かれているエイミー・ピーターズ(オランダ、SDワークス)へのメッセージが記されたヘルメットを着用して走ったブラント。「オランダの自転車界にとってとても苦しい時期。今日の勝利は素晴らしいことだけど、彼女のことを想えば結果は重要なことじゃない。今日のレースを通じて彼女や、彼女の家族が少しでも元気になってくれたら嬉しい」と、ブラントは涙をこぼしながらインタビューに答えた。
男子エリート:ファンアールトが無双、メカトラブルを覆す逆転勝利
明けた男子エリートレースは序盤、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がハイペースを刻んで隊列を引き伸ばした。
ややペースを緩めたピドコックには、絶好調ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)やエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)、そしてトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が合流して先頭グループを形成。傾いた太陽光が差し込む中、ベルギー3人+イギリス人1人のトップグループがハイペースを刻んだ。
この中からはまず、アールツが高速コーナーで轍に車輪を取られ脱落。マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)と共に4位グループを組み、その後方には1月1日付けでトリニティレーシングからイネオス・グレナディアーズに加入したベン・ターナー(イギリス)を含む6番手グループが続いた。
レースが動いたのはスタート後30分が経とうとしたタイミング。ファンアールトが猛然とペースアップしてリードを稼いだものの、落車によって帳消しに。落車でシューズを壊したファンアールトは次のピットインで履き替えたことで時間を取られ、3番手からの追走を強いられた。
しかし「コース上で何箇所かピドコックより速く走れる場所があったし、まだ勝てるチャンスがあると分かったので全力で追いかけた」と言うファンアールトは倒れなかった。一時20秒ほど開いた差を猛然と縮め、まずイゼルビットを抜き、全7周回中の6周目中盤にピドコックをキャッチ。ややペースを緩めていたピドコックも攻撃したものの、ファンアールトを引き離すことはできなかった。
ファンアールトが動いたのは長く急勾配の登り区間だった。一気にピドコックを抜き去り、続く重馬場の泥区間でも猛然と踏みこむ。追う立場になったピドコックは泥区間でラインを外すなど、対抗することができなかった。
大きなビハインドを覆し、その実力を改めてアピールしたファンアールトが勝利。圧倒的とも言えるフィジカルでシーズンイン後負けなしの7勝目を勝ち取った。
「最終周回の登りで仕掛けようと決めていたんだ。あの場所は僕の方が強かった。こういう勝ち方は安心するけれど、その一方で無駄な力を使っていることも事実だ」と話している。
また、イネオス入りしたターナーは今季CX最高位となる6位でフィニッシュ。2017年のCX世界選手権ジュニアレースで3位(優勝はピドコック)に入った22歳が存在感を際立たせた。
トップレーサーたちは翌日の1月2日、オランダのフルストで連続開催されるUCIワールドカップ第13戦で再び相見える。
X2Oバドカマートロフェー2021-2022第4戦女子結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 44:28 |
2位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) | +0:04 |
3位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:37 |
4位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | +1:15 |
5位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:32 |
6位 | サンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン) | +2:08 |
7位 | カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス) | +2:20 |
8位 | マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ) | +2:25 |
9位 | クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド) | +2:27 |
10位 | ケイティ・クラウス(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド) | +3:27 |
X2Oバドカマートロフェー2021-2022第4戦男子エリート結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 1:04:22 |
2位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:10 |
3位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:29 |
4位 | トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:16 |
5位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:58 |
6位 | ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +2:13 |
7位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +2:25 |
8位 | イェンス・アダムス(ベルギー、ホルベークホーフ) | +2:44 |
9位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:48 |
10位 | トム・メーウセン(ベルギー、CXチームデスシャフト・グループヘンス・マースコンテナーズ) | +2:50 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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