2021/11/29(月) - 07:34
泥のパワーコースで繰り広げられたW杯第8戦。ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が女子レースを制し、エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が激しい一騎打ちの末に勝利を飾った。
女子エリート:ブラントが独走、ロシェットがW杯欧州ラウンドで初表彰台
ベルギーで開催されたX2Oバドカマートロフェー第2戦から一夜明け、シクロクロスのトップ選手たちは東フランスはブザンソンへ。初登場のコースでUCIシクロクロスワールドカップ第8戦が開催された。
降車を強いる長い直登区間やキャンバーを組み合わせたパワーコースは雨に濡れた。「先が見えないような大きなのぼり下りがたくさんある。雨で泥なのでいくつかトリッキーなポイントがあり勝負の鍵になるかもしれない」とルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が言うように、落車を頻発させるスリッピーなコースに選手たちが挑んだ。
前日の落車で手首を痛めたヤラ・カステリン(オランダ、IKOクレラン)がDNSとなった女子レースは、前日5位のアンナ・カイ(イギリス、スターカジノCXチーム)が落車するのを尻に母国フランス勢がホールショット。しかしすぐさま好調の波に乗るルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) が先頭を奪い返した。
パワフルに登りをこなし、思い切りの良い走りで泥のキャンバーや下りを攻めるブラントはすぐさまリードを拡大。単独で追いかけたデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)との差は周回を重ねるごとに広がっていった。
勝ちパターンに持ち込んだブラントの後方で注目を集めたのは、カナダから渡欧し、前日8位に入ったマーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ)だった。アメリカ大陸チャンピオンであるロシェットは2列目スタートから怒涛の追い上げを披露し、3周目には2番手ベッツィマを捉え、力強い走りで突き放す。最終周回突入時にはベッツィマから9秒のリードを奪い取った。
激しい表彰台争いを尻目に、安定した走りを保ちきったブラントは26秒リードのままフィニッシュラインへ。2日連続勝利で11月最後の週末を締めくくった。
「序盤でリードを稼ぐことができたので、その後も正しいラインを選んで走り確実に差を広げることに集中した」とブラントは振り返る。2位にはロシェットが入り、自身の目標としていたワールドカップ欧州ラウンドでの表彰台を初めて確保している。
男子エリート:アールツとの接戦をイゼルビットが制す
ツール・ド・フランスのステージ勝者であるハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が出場した男子エリートレースでダッシュを決めたのは元U23世界チャンピオンのライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)。しかしすぐ、前日勝者トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が単独先頭に立った。
その背後ではライバル関係を築くエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が追いかけ、抜きつ抜かれつの接近戦で先頭争いを繰り広げる。ワンミスが命取りになる高速泥コースで、2人のペースは3番手以降を大きく凌駕した。
日本でもお馴染みのフェリペ・オルツ(スペイン、ブルゴスBH)が10番手前後を、スティーブ・シェネル(フランス、クロスチームレジェンドル)が25番手前後を走行。長くランデブーを続けた先頭グループでは全6周回中の5周目にアールツがリードを奪い取ったものの、先行アールツは下りキャンバー折り返しコーナーの降車バランスを失い落車してしまう。すぐに再乗車し、逃げ体制に入ったイゼルビットとの差を詰めにかかったが、その最中のコーナーでイン側の杭に引っかかって再び差を広げてしまう。続くキャンバー区間でもミスを出したことで、両者の差は決定的なものとなった。
逃げるイゼルビットも直登区間で失速してずり落ちるミスを出したものの、勢いを失っていたアールツとの差は縮まらない。残る区間を踏み抜いた前欧州王者が僅差の勝負を逃げ切った。
「今日は調子が良かったけれど、多分トーンも同じだったと思う」とイゼルビットは言う。「彼がミスを出してからは自分のペースを貫かなければならないと思っていた。今日のようなコースだと、エキサイトしすぎるとミスってしまうんだ。なんとか逃げきれて良かった」と加えている。
激しい先頭争いを繰り広げた2人の後ろでは、前U23世界王者で20歳のピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)を退け自身初のワールドカップエリートレースのポディウムを確保。調子を上げているベテラン、トム・メーウセン(ベルギー、CXチームデスシャフト・グループヘンス・マースコンテナーズ)は7位で今季ワールドカップで初のトップ10入りを果たした。
来週末に開催されるスーパープレスティージュ(ボーム)からはトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が合流を果たす。CX戦線の状況は大きく変わると見られている。
女子エリート:ブラントが独走、ロシェットがW杯欧州ラウンドで初表彰台
ベルギーで開催されたX2Oバドカマートロフェー第2戦から一夜明け、シクロクロスのトップ選手たちは東フランスはブザンソンへ。初登場のコースでUCIシクロクロスワールドカップ第8戦が開催された。
降車を強いる長い直登区間やキャンバーを組み合わせたパワーコースは雨に濡れた。「先が見えないような大きなのぼり下りがたくさんある。雨で泥なのでいくつかトリッキーなポイントがあり勝負の鍵になるかもしれない」とルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が言うように、落車を頻発させるスリッピーなコースに選手たちが挑んだ。
前日の落車で手首を痛めたヤラ・カステリン(オランダ、IKOクレラン)がDNSとなった女子レースは、前日5位のアンナ・カイ(イギリス、スターカジノCXチーム)が落車するのを尻に母国フランス勢がホールショット。しかしすぐさま好調の波に乗るルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) が先頭を奪い返した。
パワフルに登りをこなし、思い切りの良い走りで泥のキャンバーや下りを攻めるブラントはすぐさまリードを拡大。単独で追いかけたデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)との差は周回を重ねるごとに広がっていった。
勝ちパターンに持ち込んだブラントの後方で注目を集めたのは、カナダから渡欧し、前日8位に入ったマーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ)だった。アメリカ大陸チャンピオンであるロシェットは2列目スタートから怒涛の追い上げを披露し、3周目には2番手ベッツィマを捉え、力強い走りで突き放す。最終周回突入時にはベッツィマから9秒のリードを奪い取った。
激しい表彰台争いを尻目に、安定した走りを保ちきったブラントは26秒リードのままフィニッシュラインへ。2日連続勝利で11月最後の週末を締めくくった。
「序盤でリードを稼ぐことができたので、その後も正しいラインを選んで走り確実に差を広げることに集中した」とブラントは振り返る。2位にはロシェットが入り、自身の目標としていたワールドカップ欧州ラウンドでの表彰台を初めて確保している。
男子エリート:アールツとの接戦をイゼルビットが制す
ツール・ド・フランスのステージ勝者であるハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が出場した男子エリートレースでダッシュを決めたのは元U23世界チャンピオンのライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)。しかしすぐ、前日勝者トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が単独先頭に立った。
その背後ではライバル関係を築くエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が追いかけ、抜きつ抜かれつの接近戦で先頭争いを繰り広げる。ワンミスが命取りになる高速泥コースで、2人のペースは3番手以降を大きく凌駕した。
日本でもお馴染みのフェリペ・オルツ(スペイン、ブルゴスBH)が10番手前後を、スティーブ・シェネル(フランス、クロスチームレジェンドル)が25番手前後を走行。長くランデブーを続けた先頭グループでは全6周回中の5周目にアールツがリードを奪い取ったものの、先行アールツは下りキャンバー折り返しコーナーの降車バランスを失い落車してしまう。すぐに再乗車し、逃げ体制に入ったイゼルビットとの差を詰めにかかったが、その最中のコーナーでイン側の杭に引っかかって再び差を広げてしまう。続くキャンバー区間でもミスを出したことで、両者の差は決定的なものとなった。
逃げるイゼルビットも直登区間で失速してずり落ちるミスを出したものの、勢いを失っていたアールツとの差は縮まらない。残る区間を踏み抜いた前欧州王者が僅差の勝負を逃げ切った。
「今日は調子が良かったけれど、多分トーンも同じだったと思う」とイゼルビットは言う。「彼がミスを出してからは自分のペースを貫かなければならないと思っていた。今日のようなコースだと、エキサイトしすぎるとミスってしまうんだ。なんとか逃げきれて良かった」と加えている。
激しい先頭争いを繰り広げた2人の後ろでは、前U23世界王者で20歳のピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)を退け自身初のワールドカップエリートレースのポディウムを確保。調子を上げているベテラン、トム・メーウセン(ベルギー、CXチームデスシャフト・グループヘンス・マースコンテナーズ)は7位で今季ワールドカップで初のトップ10入りを果たした。
来週末に開催されるスーパープレスティージュ(ボーム)からはトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が合流を果たす。CX戦線の状況は大きく変わると見られている。
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第8戦 女子結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 51:09 |
2位 | マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ) | +0:26 |
3位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:34 |
4位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:37 |
5位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) | +0:44 |
6位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) | +1:21 |
7位 | クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド) | +1:31 |
8位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:40 |
9位 | ケイティ・クラウス(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド) | +2:10 |
10位 | リヌ・ブルキエ(フランス、A.S.バイククロスチーム) | +2:31 |
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第8戦 男子結果
1位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 1:03:47 |
2位 | トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:10 |
3位 | ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:44 |
4位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:57 |
5位 | コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンス・サーカスCXチーム) | +2:19 |
6位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | +2:21 |
7位 | トム・メーウセン(ベルギー、CXチームデスシャフト・グループヘンス・マースコンテナーズ) | +2:27 |
8位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:31 |
9位 | マルセル・マイセン(ドイツ、アルペシン・フェニックス) | +2:40 |
10位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:42 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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