2021/11/05(金) - 16:00
元アワーレコードホルダーのアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が11月3日、メキシコのアグアスカリエンテスで記録更新に挑戦。カンペナールツの持つ世界記録には届かなかったものの、54.555kmで歴代2位の距離を叩き出した。
スタートを切るアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Alex Dowsett
今回ドーセットが挑戦の場に選んだのは2019年にヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ)が世界記録を樹立したメキシコのアグアスカリエンテス・ヴェロドローム。標高1,887mの低圧で空気密度が小さい(空気抵抗が減る)環境の中、61x13というビッグギアを使い55.089kmの世界記録に挑んだ。
時速55.2km/hと順調なスタートを見せたドーセットだったが「30分までは問題なかったのだがそれ以降は思うように力が出せなかった」というように、30分経過時の4秒遅れだったカンペナールツの世界記録とのタイム差を挽回することはできなかった。結果は54.555kmと2015年に出した記録を1.618km上回ったものの、世界記録と今年10月にダニエル・ビガムがUCI非公式ながら更新したイギリス記録(54.723km)には届かなかった。
「力を振り絞って出した54.555kmという記録を誇りに思う。今日は世界記録とイギリス記録の更新に挑んだのだが、どちらにも僅かに及ばなかった。改めてヴィクトールとダニエル・ビガムの走りに称賛を贈りたい。彼らの走りには脱帽だよ」。
61x13というギヤ比を選択したアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Alex Dowsett
世界記録更新を逃し悔しがるアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Alex Dowsett
アレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Alex Dowsett
6年振りの2度目が失敗に終わったドーセットだが、自身が設立した血友病(遺伝性血液凝固異常症)のための基金”Little Bleeders”には目標を大きく上回る42,000ユーロ(約640万円)の寄付金が集まった。「この挑戦で最も伝えたかったことは、若くして血友病を患っている人や血友病と戦うすべての人、また逆境に直面する人々に挑戦することの価値を伝えることだった。なぜなら最も大きな失敗とは、挑戦しないことなのだからね」。
「僕は両親からサッカーやラグビー、ボクシングなど、やってはいけないことを言われ続ける幼少期を過ごしてきた。だから僕にでもできることを探し続けてきたんだ。常に逆境をポジティブに変えてきた。そんな逆境の中で、僕は自転車選手という大きなキャリアを築いてきたんだ。たとえ悪い状況に追いやられた時であっても、それにどう対処するかが重要なんだ」。
今回の挑戦について現世界記録保持者のカンペナールツは「僕がまだ世界記録保持者でいられることに嬉しさも感じながらも、記録は破られるためにある。彼の脚と心は痛んでいるはずだろう。しかし彼が成し遂げた結果を誇りに思うべきだ」とコメント。「次は(フォリッポ)ガンナの挑戦を待っている。彼が僕の記録を更新するかではなく、注目すべきなのは何km上回るのかだろう」と、世界選手権個人タイムトライアルを2連覇しているフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)について言及した。
なおガンナは今年10月、アワーレコード挑戦について「来年の1月にやるかどうか考えるつもりだ。そして挑戦するのであれば夏頃になるだろう」と語っている。
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今回ドーセットが挑戦の場に選んだのは2019年にヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ)が世界記録を樹立したメキシコのアグアスカリエンテス・ヴェロドローム。標高1,887mの低圧で空気密度が小さい(空気抵抗が減る)環境の中、61x13というビッグギアを使い55.089kmの世界記録に挑んだ。
時速55.2km/hと順調なスタートを見せたドーセットだったが「30分までは問題なかったのだがそれ以降は思うように力が出せなかった」というように、30分経過時の4秒遅れだったカンペナールツの世界記録とのタイム差を挽回することはできなかった。結果は54.555kmと2015年に出した記録を1.618km上回ったものの、世界記録と今年10月にダニエル・ビガムがUCI非公式ながら更新したイギリス記録(54.723km)には届かなかった。
「力を振り絞って出した54.555kmという記録を誇りに思う。今日は世界記録とイギリス記録の更新に挑んだのだが、どちらにも僅かに及ばなかった。改めてヴィクトールとダニエル・ビガムの走りに称賛を贈りたい。彼らの走りには脱帽だよ」。
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6年振りの2度目が失敗に終わったドーセットだが、自身が設立した血友病(遺伝性血液凝固異常症)のための基金”Little Bleeders”には目標を大きく上回る42,000ユーロ(約640万円)の寄付金が集まった。「この挑戦で最も伝えたかったことは、若くして血友病を患っている人や血友病と戦うすべての人、また逆境に直面する人々に挑戦することの価値を伝えることだった。なぜなら最も大きな失敗とは、挑戦しないことなのだからね」。
「僕は両親からサッカーやラグビー、ボクシングなど、やってはいけないことを言われ続ける幼少期を過ごしてきた。だから僕にでもできることを探し続けてきたんだ。常に逆境をポジティブに変えてきた。そんな逆境の中で、僕は自転車選手という大きなキャリアを築いてきたんだ。たとえ悪い状況に追いやられた時であっても、それにどう対処するかが重要なんだ」。
今回の挑戦について現世界記録保持者のカンペナールツは「僕がまだ世界記録保持者でいられることに嬉しさも感じながらも、記録は破られるためにある。彼の脚と心は痛んでいるはずだろう。しかし彼が成し遂げた結果を誇りに思うべきだ」とコメント。「次は(フォリッポ)ガンナの挑戦を待っている。彼が僕の記録を更新するかではなく、注目すべきなのは何km上回るのかだろう」と、世界選手権個人タイムトライアルを2連覇しているフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)について言及した。
なおガンナは今年10月、アワーレコード挑戦について「来年の1月にやるかどうか考えるつもりだ。そして挑戦するのであれば夏頃になるだろう」と語っている。
歴代アワーレコード記録
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) | 55.089km(2019年4月) |
アレックス・ドーセット(イギリス) | 54.555km(2021年11月) |
ブラドレー・ウィギンズ(イギリス) | 54.526km(2015年6月) |
アレックス・ドーセット(イギリス) | 52.937km(2015年5月) |
ローハン・デニス(オーストラリア) | 52.491km(2015年2月) |
text:Sotaro.Arakawa
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