2021/09/21(火) - 01:16
次世代の最速TTスペシャリストを決める男子U23個人タイムトライアルで、最終走者ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク)が勝利。イネオス入りを決めたルーク・プラップ(オーストラリア)は長らく暫定首位を守ったものの、最後の最後で2位銀メダルに。
悪魔おじさんが選手の走りを見守る photo:CorVos
男子U23個人タイムトライアル・コースプロフィール
ベルギー北部のフランドル地方。世界選手権2日目の第一種目として、北海に面したクノックヘイストをスタートし、内陸部のブルージュまでを結ぶ30.3kmで男子U23個人タイムトライアルが開催された。
昨年のロード世界選手権において、U23とジュニアカテゴリーは新型コロナウイルスによる渡航制限が敷かれたことでロードレース、個人タイムトライアル共に開催が見送られたという経緯がある。獲得標高わずか54mというパワーコースで、次世代を担うスピードマンたちが2年ぶりの晴れ舞台でU23個人タイムトライアル世界チャンピオンの座を狙い戦った。
34分39秒を叩き出したルーク・プラップ(オーストラリア) photo:CorVos
男子エリートレースが行われた前日よりも若干涼しい、薄曇りのフランドルの空模様。この日序盤に好記録を叩き出し、長くホットシートを温めたのは2000年生まれの20歳、ルーク・プラップ(オーストラリア)だった。
トラックの中長距離種目で力を伸ばし、東京オリンピックではオーストラリアチームの一員としてチームパシュート銅メダルを射止めたプラップ。2022年からイネオス・グレナディアーズの一員(8月1日よりトレーニーとして加入済み)となるオーストラリア期待の星は平均52.468km/h、34分39秒で走り抜き暫定トップタイムを叩き出した。
フロリアン・フェルメルシュ(ベルギー)は13秒遅れ3位 photo:CorVos
13秒遅れのソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー)は4位 photo:CorVos
中盤を過ぎても、有力選手がずらり揃う後半戦になっても”プラッピー”のタイムを破る選手は現れなかった。ロット・スーダルの一員として既にグランツール出場完走経験を持つフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー)は1.15秒、ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー)は3.18秒届かない。実力伯仲の戦いが繰り広げられる中、最終走者ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク)が第2中間計測でプラップを6秒近く上回った。
「出走が最後というアドバンテージがあったので、どこの区間で踏めばいいのかが分かっていた」と振り返るプリースパイタースンは、最終区間でもプラップを上回るスピードで駆け抜ける。最後の最後までTTポジションを維持したデンマークのTTスペシャリストがプラップを10.24秒上回る34分29秒(平均52.721km/h)で雄叫びを挙げながらフィニッシュに飛び込んだ。
雄叫びをあげながらフィニッシュしたヨハン・プリースパイタースン(デンマーク) photo:CorVos
地面に座り込むヨハン・プリースパイタースン(デンマーク) photo:CorVos
「(優勝した)先の欧州選手権では途中で力を使い果たしてしまっていたので、第1計測地点までよりコントロールして入ろうと思った。出走が最後というアドバンテージがあったので、どこの区間で踏めばいいのかが分かっていたんだ。第1計測地点で全体の3位と聞かされたが、トップとの差が僅かだった。第2計測地点までに厳しい区間があったものの、そこから最後まで全力で踏んだんだ」とレースを振り返るプリースパイタースンは1999年生まれの22歳。これまで2度ヨーロッパ選手権個人TTを制すなどTTスペシャリストとして力を伸ばしてきたが、アルカンシエル獲得は自身初めて。
「ここ数年はミッケル(ビョーグ:UAEチームエミレーツ所属)の影に隠れていた。彼は僕よりも速く、実力も上回っている。僕がたまに勝つことはあったが、彼はすでに世界のトップ選手たちと渡り合っている。彼のいないレースを、良いペースで勝つことができて満足しているよ」。1歳年上のビョーグは2018、2019年と連続でU23個人タイムトライアル世界チャンピオンに輝いており、プリースパイタースンはデンマークにアルカンシエルをキープすることに。「世界選手権では6分の5を僕らデンマークが勝利しているので、ナショナルチームとしてもこの勝利は重要だったんだ」。
2位ルーク・プラップ(オーストラリア)、1位ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク)、3位フロリアン・フェルメルシュ(ベルギー) photo:CorVos
プリースパイタースンが金、最後の最後で逆転負けを喫したプラップが銀、最終区間をトップタイムで走ったフェルメルシュが銅メダルを獲得。トップ10のタイム差が1分以内という僅差の戦いが終わり、女子エリートの個人タイムトライアルに熱視線が注がれた。
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ベルギー北部のフランドル地方。世界選手権2日目の第一種目として、北海に面したクノックヘイストをスタートし、内陸部のブルージュまでを結ぶ30.3kmで男子U23個人タイムトライアルが開催された。
昨年のロード世界選手権において、U23とジュニアカテゴリーは新型コロナウイルスによる渡航制限が敷かれたことでロードレース、個人タイムトライアル共に開催が見送られたという経緯がある。獲得標高わずか54mというパワーコースで、次世代を担うスピードマンたちが2年ぶりの晴れ舞台でU23個人タイムトライアル世界チャンピオンの座を狙い戦った。
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男子エリートレースが行われた前日よりも若干涼しい、薄曇りのフランドルの空模様。この日序盤に好記録を叩き出し、長くホットシートを温めたのは2000年生まれの20歳、ルーク・プラップ(オーストラリア)だった。
トラックの中長距離種目で力を伸ばし、東京オリンピックではオーストラリアチームの一員としてチームパシュート銅メダルを射止めたプラップ。2022年からイネオス・グレナディアーズの一員(8月1日よりトレーニーとして加入済み)となるオーストラリア期待の星は平均52.468km/h、34分39秒で走り抜き暫定トップタイムを叩き出した。
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中盤を過ぎても、有力選手がずらり揃う後半戦になっても”プラッピー”のタイムを破る選手は現れなかった。ロット・スーダルの一員として既にグランツール出場完走経験を持つフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー)は1.15秒、ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー)は3.18秒届かない。実力伯仲の戦いが繰り広げられる中、最終走者ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク)が第2中間計測でプラップを6秒近く上回った。
「出走が最後というアドバンテージがあったので、どこの区間で踏めばいいのかが分かっていた」と振り返るプリースパイタースンは、最終区間でもプラップを上回るスピードで駆け抜ける。最後の最後までTTポジションを維持したデンマークのTTスペシャリストがプラップを10.24秒上回る34分29秒(平均52.721km/h)で雄叫びを挙げながらフィニッシュに飛び込んだ。
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「(優勝した)先の欧州選手権では途中で力を使い果たしてしまっていたので、第1計測地点までよりコントロールして入ろうと思った。出走が最後というアドバンテージがあったので、どこの区間で踏めばいいのかが分かっていたんだ。第1計測地点で全体の3位と聞かされたが、トップとの差が僅かだった。第2計測地点までに厳しい区間があったものの、そこから最後まで全力で踏んだんだ」とレースを振り返るプリースパイタースンは1999年生まれの22歳。これまで2度ヨーロッパ選手権個人TTを制すなどTTスペシャリストとして力を伸ばしてきたが、アルカンシエル獲得は自身初めて。
「ここ数年はミッケル(ビョーグ:UAEチームエミレーツ所属)の影に隠れていた。彼は僕よりも速く、実力も上回っている。僕がたまに勝つことはあったが、彼はすでに世界のトップ選手たちと渡り合っている。彼のいないレースを、良いペースで勝つことができて満足しているよ」。1歳年上のビョーグは2018、2019年と連続でU23個人タイムトライアル世界チャンピオンに輝いており、プリースパイタースンはデンマークにアルカンシエルをキープすることに。「世界選手権では6分の5を僕らデンマークが勝利しているので、ナショナルチームとしてもこの勝利は重要だったんだ」。
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プリースパイタースンが金、最後の最後で逆転負けを喫したプラップが銀、最終区間をトップタイムで走ったフェルメルシュが銅メダルを獲得。トップ10のタイム差が1分以内という僅差の戦いが終わり、女子エリートの個人タイムトライアルに熱視線が注がれた。
ロード世界選手権2021男子U23個人タイムトライアル結果
タイム | 平均スピード | ||
---|---|---|---|
1位 | ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク) | 0:34:29 | 52.721km/h |
2位 | ルーク・プラップ(オーストラリア) | 0:10 | 52.468km/h |
3位 | フロリアン・フェルメルシュ(ベルギー) | 0:11 | 52.442km/h |
4位 | ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー) | 0:13 | 52.392km/h |
5位 | ミック・ファンダイク(オランダ) | 0:24 | 52.117km/h |
6位 | ダーン・ホール(オランダ) | 0:39 | 51.746km/h |
7位 | イーサン・バーノン(イギリス) | 0:43 | 51.648km/h |
8位 | ミシェル・ヘスマン(ドイツ) | 0:48 | 51.526km/h |
9位 | フィリッポ・バロンチーニ(イタリア) | 0:57 | 51.308km/h |
10位 | マグナス・シェフィールド(アメリカ) | 0:58 | 51.283km/h |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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