残り14kmから10名の先行集団に勝負が絞られたツアー・オブ・ブリテン第6ステージ。総合トップ3によるスプリントをワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が制し、今大会ステージ3勝目とともに総合首位ヘイターとの差を4秒まで詰めた。
チームプレゼンテーションで観客に手を振るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
ツアー・オブ・ブリテン2021コースプロフィール photo:www.tourofbritain.co.ukカーライルからゲーツヘッドまで、グレート・ブリテン島を西から東へと横断する198kmで行われたツアー・オブ・ブリテン第6ステージ。レース中盤に3つの1級山岳が連続して現れるものの、最標高でも618mと厳しさはなく、その後はフィニッシュまで平坦な道のりが続いていく。
スタートから40kmほどを消化し、ようやく逃げ集団を形成したのはジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)やティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)を含む9名。残り14km地点のカテゴリーのない登り(距離2.8km/平均6.2%)とフィニッシュ手前に3%の登りがピュアスプリンターには厳しいため、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)もここに合流した。
この逃げに対し、リーダージャージのイネオス・グレナディアーズがタイム差を4分以内に抑えながら追いかける展開。モビスターやカヴェンディッシュ同様に勝負が難しいと判断したアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)も牽引に加勢しながら、イングランドらしい雨の降り注ぐコースを進んでいった。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を先頭に1級山岳の登坂に入る逃げ集団 photo:CorVos
山岳が続くため先頭牽引に役目を切り替えたアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
乾き始めた路面を進み、残り13kmで逃げグループを吸収されると、プロトンから総合首位から8秒遅れの2位につけるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が早くも仕掛けた。この動きにドゥクーニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)とミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)、マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)など総合上位陣が続き、反応の遅れたヘイターを20歳のカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)が引き連れ合流。勝負は10人の先頭集団に絞られた。
スプリントに持ち込みたくないウッズが飛び出し、これをセラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター)をアシストするマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が集団を引いて吸収する。そのままヨルゲンソンとロドリゲスが交代してテンポを作り、追走する後方集団に30秒差をつけてフラムルージュ(残り1km地点)を通過した。
3%の緩やかな登りで先に加速を開始したのはホノレ。そのスリップストリームから抜け出したアルカンシェルのアラフィリップに、リーダージャージのヘイターとベルギー王者ファンアールトの2人が並ぶ。この総合トップ3による接戦スプリントを、ヘイターの後ろから最も伸びやかな加速を見せたファンアールトが勝利した。
先行したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)に並ぶイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
スプリントを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
今大会3勝目を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
今大会3勝目を飾ったファンアールトは「アタックすることでライバルを驚かせたかった。だが彼らは僕の後ろについてきたのでラスト1kmまで待ち、良い位置から全力で踏み込んだ。今回大会3勝目を挙げることができて、とても嬉しいよ」とコメント。「この後に待つレースへの自信になった。何しろ世界選手権は今日のコースに似ているからね。でもいまはこの大会に集中したい」と、9月26日の世界選手権ロードへの意気込みを語った。
2位に入り6秒のボーナスタイムを獲得したヘイターはリーダージャージをキープ。「2位という結果に満足している。カルロス(ロドリゲス)による素晴らしいアシストもあり、スプリントに持ち込むことができた。自分の限界を迎えたステージを越え、今日ファンアールトとアラフィリップとスプリントで争うことができて嬉しいよ」と語る。
翌日の第7ステージは今日と同様の丘陵ステージだが、獲得標高差は今日よりも低く、フィニッシュも平坦のためピュアスプリンターにも勝機のあるステージと言えるだろう。
総合首位と4秒差に迫るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos


スタートから40kmほどを消化し、ようやく逃げ集団を形成したのはジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)やティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)を含む9名。残り14km地点のカテゴリーのない登り(距離2.8km/平均6.2%)とフィニッシュ手前に3%の登りがピュアスプリンターには厳しいため、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)もここに合流した。
この逃げに対し、リーダージャージのイネオス・グレナディアーズがタイム差を4分以内に抑えながら追いかける展開。モビスターやカヴェンディッシュ同様に勝負が難しいと判断したアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)も牽引に加勢しながら、イングランドらしい雨の降り注ぐコースを進んでいった。


乾き始めた路面を進み、残り13kmで逃げグループを吸収されると、プロトンから総合首位から8秒遅れの2位につけるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が早くも仕掛けた。この動きにドゥクーニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)とミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)、マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)など総合上位陣が続き、反応の遅れたヘイターを20歳のカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)が引き連れ合流。勝負は10人の先頭集団に絞られた。
スプリントに持ち込みたくないウッズが飛び出し、これをセラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター)をアシストするマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が集団を引いて吸収する。そのままヨルゲンソンとロドリゲスが交代してテンポを作り、追走する後方集団に30秒差をつけてフラムルージュ(残り1km地点)を通過した。
3%の緩やかな登りで先に加速を開始したのはホノレ。そのスリップストリームから抜け出したアルカンシェルのアラフィリップに、リーダージャージのヘイターとベルギー王者ファンアールトの2人が並ぶ。この総合トップ3による接戦スプリントを、ヘイターの後ろから最も伸びやかな加速を見せたファンアールトが勝利した。



今大会3勝目を飾ったファンアールトは「アタックすることでライバルを驚かせたかった。だが彼らは僕の後ろについてきたのでラスト1kmまで待ち、良い位置から全力で踏み込んだ。今回大会3勝目を挙げることができて、とても嬉しいよ」とコメント。「この後に待つレースへの自信になった。何しろ世界選手権は今日のコースに似ているからね。でもいまはこの大会に集中したい」と、9月26日の世界選手権ロードへの意気込みを語った。
2位に入り6秒のボーナスタイムを獲得したヘイターはリーダージャージをキープ。「2位という結果に満足している。カルロス(ロドリゲス)による素晴らしいアシストもあり、スプリントに持ち込むことができた。自分の限界を迎えたステージを越え、今日ファンアールトとアラフィリップとスプリントで争うことができて嬉しいよ」と語る。
翌日の第7ステージは今日と同様の丘陵ステージだが、獲得標高差は今日よりも低く、フィニッシュも平坦のためピュアスプリンターにも勝機のあるステージと言えるだろう。

ツアー・オブ・ブリテン2021第6ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 4:35:56 |
2位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
4位 | セラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター) | |
5位 | ジェームズ・ショー(イギリス、、リブルウェルドタイトプロサイクリング) | |
6位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | |
8位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
9位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) | 0:04 |
10位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) |
個人総合成績
1位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 22:53:32 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:04 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:21 |
4位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:35 |
5位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:54 |
6位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 1:08 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 1:10 |
8位 | クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 1:37 |
9位 | マーク・ドノヴァン(イギリス、チームDSM) | 1:58 |
10位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 2:01 |
その他の特別賞
ポイント賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
山岳賞 | ジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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