最終コーナーでの落車で集団が割れたツアー・オブ・ブリテン第5ステージ。イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が勝利し、遅れたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)からリーダージャージを取り戻した。
丘陵地帯を行くツアー・オブ・ブリテンのプロトン photo:CorVos
ツアー・オブ・ブリテン2021コースプロフィール photo:www.tourofbritain.co.ukイングランド北西、マンチェスターにほど近いアルダリー・パークからウォリントンまでの152.2kmで行われたツアー・オブ・ブリテン第5ステージ。今大会の最短距離のコースには序盤から3級、2級、3級が登場するものの、その後はフィニッシュまで平坦が続くスプリンター向きのレイアウトだ。
落車リタイアに終わったツール・ド・フランスからの復帰戦だったトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)が再び落車ダメージで出走を取りやめたこの日、4日連続で逃げに乗るジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド)ら5名がエスケープ。3つあるカテゴリー山岳と中間スプリントのすべてを山岳賞ジャージを着るスコットがトップ通過しながら、快調に距離を消化したものの、クベカ・アソスやイスラエル・スタートアップネイション、ドゥクーニンク・クイックステップの主導によって、タイム差が4分以上広がることはなかった。
レース中盤から降り注ぐ雨が路面を濡らすなか、メイン集団との縮まっていくタイム差を見たダニエル・ビガム(イギリス、リビル・ウェルドタイトプロサイクリング)が飛び出した。トラック世界選手権金メダリストが逃げたものの、イネオス・グレナディアーズが牽引するメイン集団に残り1.5kmで吸収され、大集団がスプリント体制でフィニッシュに突っ込んでいった。
今日も逃げに乗ったジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド)を含む5名の逃げ集団 photo:CorVos
今季限りで現役を退くアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
イネオス・グレナディアーズとドゥクーニンク・クイックステップのトレインが交互にスピードを上げ、フラムルージュ(残り1km)を通過。イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のためにミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が先頭で入った最終左コーナーで、止んだ雨で濡れた路面に2番手のオウェイン・ドゥール(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車する。この先頭付近で発生した落車により集団は分裂。落車を免れたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)たちはスプリント勝負から脱落してしまった。
この落車を免れたのはクフィアトコフスキとヘイター、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を見失ったジュリアン・アラフィリップ(フランス)など5名。しかしフィニッシュ手前の緩い傾斜でカヴェンディッシュやジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)が猛追により集団復帰を果たすと、最終ストレートのスプリントが始まった。
先んじて加速したのはリードアウト役のクフィアトコフスキとアラフィリップの後ろから飛び出したヘイター。それに続きニッツォーロが別のラインで踏み始め、ヘイターとニッツォーロの間に割って入ろうとしたカヴェンディッシュは前を閉じられ行き場を失う。アシストの後ろで脚をためていたヘイターがニッツォーロを退け、追撃するダニエル・マクレー(イギリス、チーム アルケア・サムシック)とルーク・ランペルティ(アメリカ、トリニティレーシング)に先頭を譲ることなく先着した。
接戦を制したイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
勝利したヘイターを祝福するワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
名だたるスプリンターたちを撃破し今季7勝目を挙げたヘイター。「路面がスリッピーだったのでコーナーでドゥールと距離を取ったんだ。おかげで落車を回避できよ。左から白いジャージ(ニッツォーロ)が見えたが、一心不乱にビッグギヤを踏み続けた。良いスプリントができたよ」と、ロンドン生まれの22歳は語る。
「地元のレースであるツアー・オブ・ブリテンで勝利を挙げ、再びリーダージャージを手に入れることができて嬉しい。数年暮らしているここで挙げた勝利は思い出に残るだろう」。ボーナスタイム10秒を可算したヘイターは総合首位を奪還。ツアー・オブ・ノルウェーに続く2度目の総合優勝に向け残り3ステージに挑む。
一方、落車により遅れてステージ22位でフィニッシュしたファンアールトは「カヴェンディッシュの後ろについたのだが、濡れた路面で落車が発生した。なんとかブレーキが間に合い落車は回避できたものの、スプリントのチャンスが消え去った。今日はリーダージャージを守ることが目標だったので残念だが、それよりもリスクを回避するほうが大切だ。怪我なくフィニッシュできて良かったよ」と語っている。


落車リタイアに終わったツール・ド・フランスからの復帰戦だったトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)が再び落車ダメージで出走を取りやめたこの日、4日連続で逃げに乗るジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド)ら5名がエスケープ。3つあるカテゴリー山岳と中間スプリントのすべてを山岳賞ジャージを着るスコットがトップ通過しながら、快調に距離を消化したものの、クベカ・アソスやイスラエル・スタートアップネイション、ドゥクーニンク・クイックステップの主導によって、タイム差が4分以上広がることはなかった。
レース中盤から降り注ぐ雨が路面を濡らすなか、メイン集団との縮まっていくタイム差を見たダニエル・ビガム(イギリス、リビル・ウェルドタイトプロサイクリング)が飛び出した。トラック世界選手権金メダリストが逃げたものの、イネオス・グレナディアーズが牽引するメイン集団に残り1.5kmで吸収され、大集団がスプリント体制でフィニッシュに突っ込んでいった。


イネオス・グレナディアーズとドゥクーニンク・クイックステップのトレインが交互にスピードを上げ、フラムルージュ(残り1km)を通過。イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のためにミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が先頭で入った最終左コーナーで、止んだ雨で濡れた路面に2番手のオウェイン・ドゥール(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車する。この先頭付近で発生した落車により集団は分裂。落車を免れたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)たちはスプリント勝負から脱落してしまった。
この落車を免れたのはクフィアトコフスキとヘイター、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を見失ったジュリアン・アラフィリップ(フランス)など5名。しかしフィニッシュ手前の緩い傾斜でカヴェンディッシュやジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)が猛追により集団復帰を果たすと、最終ストレートのスプリントが始まった。
先んじて加速したのはリードアウト役のクフィアトコフスキとアラフィリップの後ろから飛び出したヘイター。それに続きニッツォーロが別のラインで踏み始め、ヘイターとニッツォーロの間に割って入ろうとしたカヴェンディッシュは前を閉じられ行き場を失う。アシストの後ろで脚をためていたヘイターがニッツォーロを退け、追撃するダニエル・マクレー(イギリス、チーム アルケア・サムシック)とルーク・ランペルティ(アメリカ、トリニティレーシング)に先頭を譲ることなく先着した。


名だたるスプリンターたちを撃破し今季7勝目を挙げたヘイター。「路面がスリッピーだったのでコーナーでドゥールと距離を取ったんだ。おかげで落車を回避できよ。左から白いジャージ(ニッツォーロ)が見えたが、一心不乱にビッグギヤを踏み続けた。良いスプリントができたよ」と、ロンドン生まれの22歳は語る。
「地元のレースであるツアー・オブ・ブリテンで勝利を挙げ、再びリーダージャージを手に入れることができて嬉しい。数年暮らしているここで挙げた勝利は思い出に残るだろう」。ボーナスタイム10秒を可算したヘイターは総合首位を奪還。ツアー・オブ・ノルウェーに続く2度目の総合優勝に向け残り3ステージに挑む。
一方、落車により遅れてステージ22位でフィニッシュしたファンアールトは「カヴェンディッシュの後ろについたのだが、濡れた路面で落車が発生した。なんとかブレーキが間に合い落車は回避できたものの、スプリントのチャンスが消え去った。今日はリーダージャージを守ることが目標だったので残念だが、それよりもリスクを回避するほうが大切だ。怪我なくフィニッシュできて良かったよ」と語っている。
ツアー・オブ・ブリテン2021第5ステージ結果
1位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 3:33:01 |
2位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) | |
3位 | ダニエル・マクレー(イギリス、チーム アルケア・サムシック) | |
4位 | ルーク・ランペルティ(アメリカ、トリニティレーシング) | |
5位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | コリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング) | |
7位 | ミハウ・パルタ(ポーランド、グローバル6サイクリング) | |
8位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
9位 | セラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター) | |
10位 | クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | |
22位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
個人総合成績
1位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 18:17:42 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:08 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:19 |
4位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:29 |
5位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:48 |
6位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:52 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 1:04 |
8位 | クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 1:21 |
9位 | マーク・ドノヴァン(イギリス、チームDSM) | 1:42 |
10位 | クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 1:46 |
その他の特別賞
ポイント賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
山岳賞 | ジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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