最大勾配20%の登坂スプリントで決したツアー・オブ・ブリテンのクイーンステージ。ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を破り、遅れたヘイターから総合首位を奪還した。
スタート前に談笑するリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)とユンボ・ヴィスマの選手たち photo:CorVos
ツアー・オブ・ブリテン2021コースプロフィール photo:www.tourofbritain.co.ukイングランドからウェールズに戦いの場を移したツアー・オブ・ブリテン第4ステージは、港町アベルアイロンからランディドノーのグレート・オーム岬に向かう210km。2級、1級、2級と3つのカテゴリー山岳を越えると、フィニッシュに至る最大勾配20%(登坂距離1.9km/平均勾配9.8%)の激坂が選手たちを待ち受ける。
スタートアタックを成功させたのは2大会連続の山岳賞ジャージ獲得に向かうジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド)ら6名。中間ポイント争いを繰り広げながらもスコットが2級、1級山岳をトップ通過し、同じく逃げに乗ったニコラス・セスラー(ブラジル、グローバル6サイクリング)との差を18ポイントまで拡大した。
リーダーチームのイネオス・グレナディアーズにイスラエル・スタートアップネイションやドゥクーニンク・クイックステップが加勢する形でメイン集団はハイペースをキープ。最大3分差あった逃げグループは、残り40kmでプロトンに追いつかれた。
ホームコースで逃げたグリフィズ・ルイス(イギリス、リブルウェルドタイトプロサイクリング) photo:CorVos
今日も先頭で仕事をするトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
再び一塊となったメイン集団は、飛び出したマックス・カンター(ドイツ、チームDSM)や残り2.5kmまで逃げたマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)を吸収しながら、ドゥクーニンク・クイックステップを先頭に最後の1級山岳に突入した。
勾配が13%に上がり、ファンアールトの前でニュージーランド王者のジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィスマ)がダンシングでペースメイク。10名程度に絞られ、勾配が急になる区間で集団からマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)が徐々にスピードを上げるとリーダージャージを着るイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が遅れる。ウッズが刻むテンポについていけたのは、ベルギー王者ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)と世界王者かつ2018年大会覇者のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の2人だけだった。
残り1km地点の手前から今度はアラフィリップが加速するも、ウッズとファンアールトを引き離すことはできず、勾配が緩やかになる区間に牽制が入りペースが落ちる。ここにヘイターとミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が合流し、ホノレが間髪入れずにコーナーの内側から先頭に出て一気に速度を上げた。
この動きにファンアールトが反応してその後ろにアラフィリップという、ドゥクーニンク・クイックステップによる必勝パターンが出来上がった。頂上まで200mを残してファンアールトの後ろからスプリントを開始したアラフィリップ。しかしこの動きにも食らいつき、横並びからハンドルを投げたファンアールトが先着。直接対決を制した。
急勾配区間で加速するマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
登りスプリントでジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を下したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
「いままでの勝ったレースの中でも、今日は思い出になる勝利になった。ビックレースではないとはいえ記憶に残る勝ち方だったよ」と、ステージ優勝とともに総合首位を奪還したファンアールトは語る。「アラフィリップとウッズが最大のライバルになることは分かっていた。彼らの後ろにつき、自分のスプリント力で勝負できる自信があった。もちろん総合順位のことも考えながらね。ジュリアンのアタックをきっかけに、とても良いスプリントができた」。
昨年9月の世界選手権では同様の激坂区間で飛び出しファンアールトを下したアラフィリップは、「今日はまるでクラシックのようなレースだった。勝てなかったものの、今後に繋がる走りができた。今日の戦いのおかげでシーズン終盤に向かう脚の準備は万全だ」とコメント。総合でも11秒遅れの3位まで順位を上げた。一方でリーダージャージを奪われたヘイターは、粘りの走りで8秒遅れでフィニッシュし、トップと2秒差の総合2位につけている。
フィニッシュ直後に倒れ込んだジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
世界選手権に向け弾みをつけたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos


スタートアタックを成功させたのは2大会連続の山岳賞ジャージ獲得に向かうジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド)ら6名。中間ポイント争いを繰り広げながらもスコットが2級、1級山岳をトップ通過し、同じく逃げに乗ったニコラス・セスラー(ブラジル、グローバル6サイクリング)との差を18ポイントまで拡大した。
リーダーチームのイネオス・グレナディアーズにイスラエル・スタートアップネイションやドゥクーニンク・クイックステップが加勢する形でメイン集団はハイペースをキープ。最大3分差あった逃げグループは、残り40kmでプロトンに追いつかれた。


再び一塊となったメイン集団は、飛び出したマックス・カンター(ドイツ、チームDSM)や残り2.5kmまで逃げたマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)を吸収しながら、ドゥクーニンク・クイックステップを先頭に最後の1級山岳に突入した。
勾配が13%に上がり、ファンアールトの前でニュージーランド王者のジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィスマ)がダンシングでペースメイク。10名程度に絞られ、勾配が急になる区間で集団からマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)が徐々にスピードを上げるとリーダージャージを着るイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が遅れる。ウッズが刻むテンポについていけたのは、ベルギー王者ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)と世界王者かつ2018年大会覇者のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の2人だけだった。
残り1km地点の手前から今度はアラフィリップが加速するも、ウッズとファンアールトを引き離すことはできず、勾配が緩やかになる区間に牽制が入りペースが落ちる。ここにヘイターとミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が合流し、ホノレが間髪入れずにコーナーの内側から先頭に出て一気に速度を上げた。
この動きにファンアールトが反応してその後ろにアラフィリップという、ドゥクーニンク・クイックステップによる必勝パターンが出来上がった。頂上まで200mを残してファンアールトの後ろからスプリントを開始したアラフィリップ。しかしこの動きにも食らいつき、横並びからハンドルを投げたファンアールトが先着。直接対決を制した。


「いままでの勝ったレースの中でも、今日は思い出になる勝利になった。ビックレースではないとはいえ記憶に残る勝ち方だったよ」と、ステージ優勝とともに総合首位を奪還したファンアールトは語る。「アラフィリップとウッズが最大のライバルになることは分かっていた。彼らの後ろにつき、自分のスプリント力で勝負できる自信があった。もちろん総合順位のことも考えながらね。ジュリアンのアタックをきっかけに、とても良いスプリントができた」。
昨年9月の世界選手権では同様の激坂区間で飛び出しファンアールトを下したアラフィリップは、「今日はまるでクラシックのようなレースだった。勝てなかったものの、今後に繋がる走りができた。今日の戦いのおかげでシーズン終盤に向かう脚の準備は万全だ」とコメント。総合でも11秒遅れの3位まで順位を上げた。一方でリーダージャージを奪われたヘイターは、粘りの走りで8秒遅れでフィニッシュし、トップと2秒差の総合2位につけている。


ツアー・オブ・ブリテン2021第4ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 5:04:22 |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:01 |
4位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04 |
5位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:08 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:13 |
7位 | クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 0:16 |
8位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、クベカ・アソス) | |
9位 | セルジオ・マルティン(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | 0:27 |
10位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームDSM) | 0:29 |
個人総合成績
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 14:44:49 |
2位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:02 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:11 |
4位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:21 |
5位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:40 |
6位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:44 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:56 |
8位 | クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 1:13 |
9位 | マーク・ドノヴァン(イギリス、チームDSM) | 1:34 |
10位 | クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 1:38 |
その他の特別賞
ポイント賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
山岳賞 | ジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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