2021/08/26(木) - 07:49
ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージを締めくくったのは最大勾配が24%に達すると言われる名物のバルデペーニャス・デ・ハエン激坂フィニッシュ。好調さを見せつける走りでプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がステージ2勝目を飾った。
8月25日(水)第11ステージ
アンテケラ〜バルデペーニャス・デ・ハエン 133.6km
ブエルタ第11ステージは全長133.6kmという今大会の最短コース(個人タイムトライアルを除く)。定番のバルデペーニャス・デ・ハエン激坂フィニッシュが登場する。
スタート地点アンテケラから内陸の山岳地帯を進み、カテゴリーのついていない山岳をいくつもこなしながら徐々に標高を上げていく(獲得標高差は2,550m)。残り8km地点に設置された2級山岳プエルト・デ・ロクビン(全長8.8km・平均5%)を越え、最後は2013年ぶりの登場となるバルデペーニャス・デ・ハエンの激坂フィニッシュへ。残り1kmを切ってから始まる、最大勾配20%以上、白壁の旧市街を貫く激坂でトップレーサーたちが高強度バトルを繰り広げることに。
ここまでステージ2勝&ポイント賞2位のジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)と、初日の第1ステージ2位のアレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ・プレミアテック)がスタートラインに現れなかった。軽い発熱の症状が出たフィリプセンはチームの判断により2度目のブエルタを不本意な形で終えた。アランブルは前日の落車の影響でレースを続行できず。
序盤のアタック合戦中、逃げメンバーの選別を行なったのはマイケル・マシューズ(オーストラリア)のステージ優勝を狙うバイクエクスチェンジ。なかなかメイン集団を納得させる逃げが生まれない状況が続き、スタートから約20km走行後に総合争いに関係しない5名の先行が始まった。
逃げグループを形成した5名
マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)
エドワード・プランカールト(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ジョアン・ボウ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)
バイクエクスチェンジに加えて、同じくステージ優勝チャンスのあるユンボ・ヴィスマがメイン集団のコントロールを担ったため逃げグループのリードは2分で頭打ち。タイム差1分台でアップダウンコースをこなし、ステージ後半に入るとモビスターも集団先頭ローテーションに合流する。残り15kmを切って2級山岳プエルト・デ・ロクビンの登りが始まるとすぐ、逃げグループはバラバラに崩壊した。
第6ステージの山頂フィニッシュを驚異的な粘りで制したコルトが先頭を独走。他の逃げメンバーがバイクエクスチェンジ率いるメイン集団に吸収される中、50秒あったリードを25秒まで縮めながらコルトが2級山岳プエルト・デ・ロクビンを先頭通過する。メイン集団では総合13位のダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)がアタックを仕掛けたためさらにペースアップ。ユンボ・ヴィスマの集団牽引によってリードを奪えなかったデラクルスをかわして、マイヨモンターニャを着るダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が2級山岳を2番手通過している。
下り区間でも先頭コルトはリードを失わず、メイン集団から30秒先行した状態で残り1.9km地点からの登り区間に挑んだ。ガツンと勾配が増す残り1kmアーチ通過時点でタイム差は15秒。白壁の街並みを一直線に駆け上がる激坂区間が始まると、セップ・クス(アメリカ)がプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を引き連れて集団先頭に立つ。
クスのリードアウトから加速したログリッチに唯一対抗できたのはエンリク・マス(スペイン、モビスター)だけだった。集団から抜け出しながら牽制状態に陥ったログリッチとマスには後続が追いついたものの、今度はマスがペースアップすると再びログリッチとのマッチレースに。先頭で粘り強く登坂を続けていたコルトを、残り150mで総合上位陣が追い抜いていく。
歯を食いしばって激坂を駆け上がったマスだったが、振り返ればそこには常にログリッチの姿があった。そして最終ストレートで踏み始めたログリッチにマスは対抗できなかった。激坂区間を常に体重の8倍以上の出力で踏み続ける高強度バトルの末に、ログリッチがライバルたちに秒差をつけて勝利した。
「前回(第6ステージの激坂)はマグナス・コルトが1位で自分が2位。今回は自分が勝利できた。ハードで、ショートで、スーパーホットなステージだった。大いに苦しんだけど幸い勝てる力が残っていたんだ。逃げとのタイム差を調整して、ずっとコントロールしてくれたチームメイトたちに感謝したい」。初日の個人タイムトライアルに続くステージ2勝目を飾ったログリッチは、改めて総合上位陣の中で最も鋭い登坂力を披露した。
「昨日も良い日だったし、落車はしたけどポジティブに結果を捉えていた。そうして今日ステージ優勝。美しい結果を残すことができたよ」。ログリッチは総合ライバルたちに3〜11秒のタイム差をつけることに成功。ボーナスタイム10秒も獲得し、総合リードを着実に積み重ねている。マスとの総合タイム差は28秒から35秒に広がった。
マイヨロホはステージ10位に食い込んだオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)がキープ。最終的な総合争いを目標に据えるギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)がステージ11位で、総合2位の座を守っている。
8月25日(水)第11ステージ
アンテケラ〜バルデペーニャス・デ・ハエン 133.6km
ブエルタ第11ステージは全長133.6kmという今大会の最短コース(個人タイムトライアルを除く)。定番のバルデペーニャス・デ・ハエン激坂フィニッシュが登場する。
スタート地点アンテケラから内陸の山岳地帯を進み、カテゴリーのついていない山岳をいくつもこなしながら徐々に標高を上げていく(獲得標高差は2,550m)。残り8km地点に設置された2級山岳プエルト・デ・ロクビン(全長8.8km・平均5%)を越え、最後は2013年ぶりの登場となるバルデペーニャス・デ・ハエンの激坂フィニッシュへ。残り1kmを切ってから始まる、最大勾配20%以上、白壁の旧市街を貫く激坂でトップレーサーたちが高強度バトルを繰り広げることに。
ここまでステージ2勝&ポイント賞2位のジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)と、初日の第1ステージ2位のアレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ・プレミアテック)がスタートラインに現れなかった。軽い発熱の症状が出たフィリプセンはチームの判断により2度目のブエルタを不本意な形で終えた。アランブルは前日の落車の影響でレースを続行できず。
序盤のアタック合戦中、逃げメンバーの選別を行なったのはマイケル・マシューズ(オーストラリア)のステージ優勝を狙うバイクエクスチェンジ。なかなかメイン集団を納得させる逃げが生まれない状況が続き、スタートから約20km走行後に総合争いに関係しない5名の先行が始まった。
逃げグループを形成した5名
マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)
エドワード・プランカールト(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ジョアン・ボウ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)
バイクエクスチェンジに加えて、同じくステージ優勝チャンスのあるユンボ・ヴィスマがメイン集団のコントロールを担ったため逃げグループのリードは2分で頭打ち。タイム差1分台でアップダウンコースをこなし、ステージ後半に入るとモビスターも集団先頭ローテーションに合流する。残り15kmを切って2級山岳プエルト・デ・ロクビンの登りが始まるとすぐ、逃げグループはバラバラに崩壊した。
第6ステージの山頂フィニッシュを驚異的な粘りで制したコルトが先頭を独走。他の逃げメンバーがバイクエクスチェンジ率いるメイン集団に吸収される中、50秒あったリードを25秒まで縮めながらコルトが2級山岳プエルト・デ・ロクビンを先頭通過する。メイン集団では総合13位のダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)がアタックを仕掛けたためさらにペースアップ。ユンボ・ヴィスマの集団牽引によってリードを奪えなかったデラクルスをかわして、マイヨモンターニャを着るダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が2級山岳を2番手通過している。
下り区間でも先頭コルトはリードを失わず、メイン集団から30秒先行した状態で残り1.9km地点からの登り区間に挑んだ。ガツンと勾配が増す残り1kmアーチ通過時点でタイム差は15秒。白壁の街並みを一直線に駆け上がる激坂区間が始まると、セップ・クス(アメリカ)がプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を引き連れて集団先頭に立つ。
クスのリードアウトから加速したログリッチに唯一対抗できたのはエンリク・マス(スペイン、モビスター)だけだった。集団から抜け出しながら牽制状態に陥ったログリッチとマスには後続が追いついたものの、今度はマスがペースアップすると再びログリッチとのマッチレースに。先頭で粘り強く登坂を続けていたコルトを、残り150mで総合上位陣が追い抜いていく。
歯を食いしばって激坂を駆け上がったマスだったが、振り返ればそこには常にログリッチの姿があった。そして最終ストレートで踏み始めたログリッチにマスは対抗できなかった。激坂区間を常に体重の8倍以上の出力で踏み続ける高強度バトルの末に、ログリッチがライバルたちに秒差をつけて勝利した。
「前回(第6ステージの激坂)はマグナス・コルトが1位で自分が2位。今回は自分が勝利できた。ハードで、ショートで、スーパーホットなステージだった。大いに苦しんだけど幸い勝てる力が残っていたんだ。逃げとのタイム差を調整して、ずっとコントロールしてくれたチームメイトたちに感謝したい」。初日の個人タイムトライアルに続くステージ2勝目を飾ったログリッチは、改めて総合上位陣の中で最も鋭い登坂力を披露した。
「昨日も良い日だったし、落車はしたけどポジティブに結果を捉えていた。そうして今日ステージ優勝。美しい結果を残すことができたよ」。ログリッチは総合ライバルたちに3〜11秒のタイム差をつけることに成功。ボーナスタイム10秒も獲得し、総合リードを着実に積み重ねている。マスとの総合タイム差は28秒から35秒に広がった。
マイヨロホはステージ10位に食い込んだオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)がキープ。最終的な総合争いを目標に据えるギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)がステージ11位で、総合2位の座を守っている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第11ステージ結果
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 41:48:57 |
2位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:00:58 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:56 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:02:31 |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) | 0:03:28 |
6位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:03:55 |
7位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:04:46 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:04:57 |
9位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:03 |
10位 | フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:05:38 |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 180pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 101pts |
3位 | マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) | 84pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 31pts |
2位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | 22pts |
3位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM) | 17pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 41:53:43 |
2位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:22 |
3位 | ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:02:08 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 125:25:12 |
2位 | UAEチームエミレーツ | 0:12:18 |
3位 | モビスター | 0:14:17 |
text:Kei Tsuji
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