2021/08/25(水) - 11:07
31名による大きな逃げ集団から、今大会2度目の独走勝利を掴んだマイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM)。マイヨロホを獲得したエイキング、アタック後に落車したログリッチなど、ブエルタ第10ステージを終えた選手たちのコメントを紹介します。
ステージ1位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM)
前回(第7ステージ)よりも今回の勝利の方が信じられない。逃げを目指す激しい戦いが繰り広げられ、残り80km地点でようやく集団が形成された。そこに入ることができてよかったし、最後の山岳で脚が動いてくれた。何より僕が勝つためにはアタックするしかないことも分かっていた。
集団にいる選手をよく見てみたら皆苦しそうにしていたので、運を天に任せて仕掛けたんだ。後ろとのタイム差は把握しておらず、この地域特有のドライかつ滑りやすい下りを、リスクを覚悟で攻めなければならなかった。上手く下れたし、勝利には十分な速度で走ることができた。
ブエルタでのステージ優勝を夢見ていたが、この10日間で2度も勝利できるなんて信じられない。チームメイトは完璧な働きをしてくれ、この勝利は何一つミスを犯すことがなかった彼らのものでもある。
1ヶ月前の僕は、勝利ないただの選手だった。初めての勝利が来年になるのか、はたまた再来年なのかさえわからなかった。それぐらいこの2つの勝利は信じられないことだが、あくまでも勝ちを目指した結果だということには間違いない。
ステージ2位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
とてもタフなステージだった。逃げ集団ができるまでの2時間をずっと全力で、アンドレア(バジオーリ)とともに集団に入り込むことができた。最後の山岳で勝負を分かれ、アタックも予想していた。先頭を引きながらストーラーと約50秒で頂上にたどり着き、みんなと協力して追ったのだが最後まで捉えることはできなかった。最後のスプリントには自信あり、2位という結果は今後へのモチベーションに繋がったよ。しかし、悔しいという気持ちを隠すつもりはない。
ステージ3位 クレモン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン)
今日は逃げに乗るよう指示を受けていた。そのためにレース序盤から力を尽くした。幸運にもジョフリー・ブシャールとリリアン・カルメジャーヌとともに逃げ集団に入ることができ、最後の山岳ではアタックを防ごうと自分のペースで登った。だがストーラーはそれを上回る強さを見せたね。自分の調子は良かったので、次からのステージでも勝利を目指して頑張りたい。
ステージ5位&マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
第3ステージでレイン・タラマエが獲得したマイヨロホを、今度は僕が着用できるなんてチームにとってボーナスみたいなものだ。9分遅れの自分がジャージを着れるなんて思ってもいなかった。ただ無線から聞こえてくるメイン集団とのタイム差が8、9、10分とどんどん広がっていくにしたがい、徐々に総合首位が現実的なものへとなっていった。
(ジャージを争うライバルの)ギヨームはツール・ド・フランスでもトップ10に入る強いクライマーで、総合タイムも近いことは把握していた。それに彼とは元チームメイトだったので、彼がどれほど強い選手かは分かっていた。だから彼の動きをマークして、最後は彼の仕掛けに反応してタイム差をつけることができた。可能な限りこのジャージを守りたいので、明日のステージが重要になるだろう。
ステージ12位&総合2位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
総合でのジャンプアップが目標ではなかったものの、徐々に拡大していくタイム差を見ながらマイヨロホを意識した。最後の山岳でアタックしたのだが、エイキングを上回ることはできなかった。また、滑りやすい下りでもタイムを失ってしまった。なぜなら今年の初めに練習中に下りで落車していたんだ。同じ過ちを繰り返したくなかったので、いつもより慎重に下った。いまは総合2位という順位を守り、この後はマイヨロホも狙っていく。
総合3位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
落車がなければ最高だったのだろうが、この結果に満足しているし、身体も大丈夫だ。これはレースで、リスクを取らなければ勝利はない。コースは予想以上に滑りやすく、落車の原因は下りでスピードを出しすぎてしまったことにある。
総合4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)
観ている人たちにとってエキサイティングだった一方で、僕たち選手にとっては危険なステージだった。今日の僕らの目標は安全にステージを終えることで、それがこの危険なコースで達成できて良かったよ。
ログリッチのアタックは予想していなかった。だがロペスと協力して彼とのタイム差を一定に保つことができ、落車した彼と合流した。そのおかげもあり、後方にいる総合上位の選手たちから30秒奪うことができた。またジャック(ヘイグ)の調子も良さそうだね。フィニッシュ後にログリッチに大丈夫か声をかけたら「心配してくれてありがとう」と答えてくれたんだ。どうやら怪我は深刻なものではないようだね。
総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)
ログリッチの落車は見ていない。だからバイクに跨がろうとしている彼を見つけた時は驚いたよ。僕らはこの下りが滑りやすいと分かっていたので、できるだけ安全に下った。
総合6位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
向かい風の吹くなかアタックしたログリッチには驚かされた。でもその動きがレースを面白くし、おかげで総合上位の選手たちからタイムを奪うことができた。落車したログリッチにフィニッシュのあとに声をかけたのだが、どうやら大丈夫なようだね。僕自身はツールのこと(落車リタイア)もあったので気をつけながら下ったよ。ステージが進むにつれ、自信が確かなものになってきている。
総合7位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
タイムこそ失ったものの、登りでの感触と脚の調子は良かった。とてもタフな登りで激しい争いが繰り広げられ、飛び出したログリッチを追ったのは考えがあってのことではなく、あくまでも本能的なものだった。追いつかなかったが、それがレースというものだ。チームメイトにはまだ(総合優勝を狙う)チャンスは残されていると思うが、同時にステージ優勝も狙わなければならないだろう。僕は少しでも総合で順位を上げられるよう走るだけだ。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
休息日翌日の、しかも逃げきりが可能なステージとあって、アタック合戦は激しかった。最初の1時間はアベレージスピードが50km/hを越えていたそうだ。広い一直線の高速道路なら分かるんだけど、、、今日は海沿いの曲がりくねったアップダウンでのアタック合戦で、このアベレージは十分な疲労を与えてくれた。(苦笑)
逃げが決まってからは、登り口までジャックの位置取りをして、翌日に向けて2級山岳でグルペットに入り、無事にゴールした。明日(第11ステージ)も逃げ切りが可能なステージだけに、また激しいアタック合戦があるだろうね。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ステージ1位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM)
前回(第7ステージ)よりも今回の勝利の方が信じられない。逃げを目指す激しい戦いが繰り広げられ、残り80km地点でようやく集団が形成された。そこに入ることができてよかったし、最後の山岳で脚が動いてくれた。何より僕が勝つためにはアタックするしかないことも分かっていた。
集団にいる選手をよく見てみたら皆苦しそうにしていたので、運を天に任せて仕掛けたんだ。後ろとのタイム差は把握しておらず、この地域特有のドライかつ滑りやすい下りを、リスクを覚悟で攻めなければならなかった。上手く下れたし、勝利には十分な速度で走ることができた。
ブエルタでのステージ優勝を夢見ていたが、この10日間で2度も勝利できるなんて信じられない。チームメイトは完璧な働きをしてくれ、この勝利は何一つミスを犯すことがなかった彼らのものでもある。
1ヶ月前の僕は、勝利ないただの選手だった。初めての勝利が来年になるのか、はたまた再来年なのかさえわからなかった。それぐらいこの2つの勝利は信じられないことだが、あくまでも勝ちを目指した結果だということには間違いない。
ステージ2位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
とてもタフなステージだった。逃げ集団ができるまでの2時間をずっと全力で、アンドレア(バジオーリ)とともに集団に入り込むことができた。最後の山岳で勝負を分かれ、アタックも予想していた。先頭を引きながらストーラーと約50秒で頂上にたどり着き、みんなと協力して追ったのだが最後まで捉えることはできなかった。最後のスプリントには自信あり、2位という結果は今後へのモチベーションに繋がったよ。しかし、悔しいという気持ちを隠すつもりはない。
ステージ3位 クレモン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン)
今日は逃げに乗るよう指示を受けていた。そのためにレース序盤から力を尽くした。幸運にもジョフリー・ブシャールとリリアン・カルメジャーヌとともに逃げ集団に入ることができ、最後の山岳ではアタックを防ごうと自分のペースで登った。だがストーラーはそれを上回る強さを見せたね。自分の調子は良かったので、次からのステージでも勝利を目指して頑張りたい。
ステージ5位&マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
第3ステージでレイン・タラマエが獲得したマイヨロホを、今度は僕が着用できるなんてチームにとってボーナスみたいなものだ。9分遅れの自分がジャージを着れるなんて思ってもいなかった。ただ無線から聞こえてくるメイン集団とのタイム差が8、9、10分とどんどん広がっていくにしたがい、徐々に総合首位が現実的なものへとなっていった。
(ジャージを争うライバルの)ギヨームはツール・ド・フランスでもトップ10に入る強いクライマーで、総合タイムも近いことは把握していた。それに彼とは元チームメイトだったので、彼がどれほど強い選手かは分かっていた。だから彼の動きをマークして、最後は彼の仕掛けに反応してタイム差をつけることができた。可能な限りこのジャージを守りたいので、明日のステージが重要になるだろう。
ステージ12位&総合2位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
総合でのジャンプアップが目標ではなかったものの、徐々に拡大していくタイム差を見ながらマイヨロホを意識した。最後の山岳でアタックしたのだが、エイキングを上回ることはできなかった。また、滑りやすい下りでもタイムを失ってしまった。なぜなら今年の初めに練習中に下りで落車していたんだ。同じ過ちを繰り返したくなかったので、いつもより慎重に下った。いまは総合2位という順位を守り、この後はマイヨロホも狙っていく。
総合3位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
落車がなければ最高だったのだろうが、この結果に満足しているし、身体も大丈夫だ。これはレースで、リスクを取らなければ勝利はない。コースは予想以上に滑りやすく、落車の原因は下りでスピードを出しすぎてしまったことにある。
総合4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)
観ている人たちにとってエキサイティングだった一方で、僕たち選手にとっては危険なステージだった。今日の僕らの目標は安全にステージを終えることで、それがこの危険なコースで達成できて良かったよ。
ログリッチのアタックは予想していなかった。だがロペスと協力して彼とのタイム差を一定に保つことができ、落車した彼と合流した。そのおかげもあり、後方にいる総合上位の選手たちから30秒奪うことができた。またジャック(ヘイグ)の調子も良さそうだね。フィニッシュ後にログリッチに大丈夫か声をかけたら「心配してくれてありがとう」と答えてくれたんだ。どうやら怪我は深刻なものではないようだね。
総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)
ログリッチの落車は見ていない。だからバイクに跨がろうとしている彼を見つけた時は驚いたよ。僕らはこの下りが滑りやすいと分かっていたので、できるだけ安全に下った。
総合6位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
向かい風の吹くなかアタックしたログリッチには驚かされた。でもその動きがレースを面白くし、おかげで総合上位の選手たちからタイムを奪うことができた。落車したログリッチにフィニッシュのあとに声をかけたのだが、どうやら大丈夫なようだね。僕自身はツールのこと(落車リタイア)もあったので気をつけながら下ったよ。ステージが進むにつれ、自信が確かなものになってきている。
総合7位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
タイムこそ失ったものの、登りでの感触と脚の調子は良かった。とてもタフな登りで激しい争いが繰り広げられ、飛び出したログリッチを追ったのは考えがあってのことではなく、あくまでも本能的なものだった。追いつかなかったが、それがレースというものだ。チームメイトにはまだ(総合優勝を狙う)チャンスは残されていると思うが、同時にステージ優勝も狙わなければならないだろう。僕は少しでも総合で順位を上げられるよう走るだけだ。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
休息日翌日の、しかも逃げきりが可能なステージとあって、アタック合戦は激しかった。最初の1時間はアベレージスピードが50km/hを越えていたそうだ。広い一直線の高速道路なら分かるんだけど、、、今日は海沿いの曲がりくねったアップダウンでのアタック合戦で、このアベレージは十分な疲労を与えてくれた。(苦笑)
逃げが決まってからは、登り口までジャックの位置取りをして、翌日に向けて2級山岳でグルペットに入り、無事にゴールした。明日(第11ステージ)も逃げ切りが可能なステージだけに、また激しいアタック合戦があるだろうね。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
Amazon.co.jp