2021/08/22(日) - 22:07
第76回全日本大学対抗選手権自転車競技大会、通称インカレのロードレースが、8月21日と22日の2日間に渡り、群馬サイクルスポーツセンターで開催された。男子は谷内健太(京都産業大学)、女子は石上夢乃(鹿屋体育大学)が優勝。大学対抗の総合成績は、男子は日本大学、女子は鹿屋体育大学が、それぞれ逆転で優勝を決めた。
男子 森の中を走るような8月の群馬CSC photo:Satoru Kato
3日間のトラック競技から1週間、インカレは会場を群馬サイクルスポーツセンター(以下群馬CSC)
に移し、ロードレースが行われた。近年は長野県大町市の公道コースで行われてきたが、コロナ禍などの事情により、昨年のインカレ代替大会に続き群馬CSCの6kmサーキットでの開催となった。
トラック競技を終えての大学対抗の総合順位は、男子は中央大学が93点で首位、2位日本大学が76点。その差は17点。ロードレースは団体種目と同じ配点となるため、優勝14点、2位12点、3位10点となる。上位に複数名を送り込めれば逆転も可能な点差だ。
一方女子は、首位の法政大学が41点、2位の鹿屋体育大学が35点で、その差は6点という僅差。女子は優勝10点、2位8点・3位6点が配点されるため、こちらも逆転の可能性を含む。
例年であれば男子と女子は同日開催だが、今年は女子が21日、男子が22日と別日程での開催となった。
女子は石上夢乃が優勝 鹿屋体育大学が5年ぶり女子総合優勝
女子 序盤は落ち着いたペースで周回を重ねる集団 photo:Satoru Kato
女子 1周目に先行した船橋星来(法政大学) photo:Satoru Kato
女子 3周目に単独で飛び出した牧田咲子(順天堂大学) photo:Satoru Kato
21日に行われた女子のレースは17周102km。序盤は船橋星来(法政大学)や、牧田咲子(順天堂大学)が単独で飛び出すが、中盤までに集団が吸収。後半に入ると石田唯(早稲田大学)や石上夢乃(鹿屋体育大学)らが登り区間でペースをつくり、集団の人数を絞っていく。
女子 石田唯(早稲田大学)を先頭に心臓破りを登る集団 photo:Satoru Kato
女子 太郎田水桜(法政大学)の後ろに鹿屋体育大学の2人が続く photo:Satoru Kato
女子 残った6名が最終周回に入っていく photo:Satoru Kato
女子 残り1kmにさしかかる4名 photo:Satoru Kato
最終周回までに残ったのは、石田、石上、成海綾香(鹿屋体育大学)、小口加奈絵(日本体育大学)、阿部花梨(順天堂大学)、トラック三冠の太郎田水桜(法政大学)の6名。
最後の登り区間で石上、成海、小口、太郎田の4名が先行し、遅れて石田、阿部の2人が続いてバックストレートの残り1kmを過ぎる。残り500m、太郎田が落車して脱落。入れ替わるように石田が追いつき、4名でのスプリント勝負へ。追いついた勢いで石田が差し込むものの、石上が押さえ切ってインカレロード初優勝を決めた。成海が3位に入り、鹿屋体育大学が2016年以来となるインカレ女子総合優勝となった。
女子 石上夢乃(鹿屋体育大学)がインカレロード初優勝 photo:Satoru Kato
女子ロードレース優勝 石上夢乃コメント
「最後の場面で石田選手が追いかけてきて、彼女は追いついた勢いでもがいて行くスタイルなのでそれを警戒していました。あのメンバーならスプリントで勝てる自信があったので、トラックの先行逃げ切りのパターンをイメージしてラスト1kmからは先頭にいるようにして、自分の勝ちパターンに持ちこめるように考えていました。石田さんが追いついてきても、どうやって展開するかを冷静に判断できたことが勝因だと思います」
女子ロードレース 表彰式 photo:Satoru Kato
女子の高木秀彰賞は、優勝した石上夢乃の鹿屋体育大学へ贈られた photo:Satoru Kato
女子総合表彰 優勝・鹿屋体育大学、2位・法政大学、3位・早稲田大学 photo:Satoru Kato「昨年1年間まったく成績が出なくて、個人戦ロードで初めてDNF(未完走)を経験して、インカレ代替大会では完走したけれど先頭集団に絡まずに終えてしまい、自転車を辞めたいと思ったほどでした。だから今年のインカレ・トラックであそこまで上位を争えると思っていなかったので、悔しかったところもあるけれど弾みになって、ロードも行けるかもという自信になりました。成海も3位に入って鹿屋が総合優勝出来たのは、来年に向けてステップアップ出来る良い機会になったと思います。
今回、渡部春雅選手(明治大学)が出場出来なかったのは残念ですが、彼女がいたら自分に不利な展開に持ち込まれて勝てなかったと思います。来年はどこまで渡部さんと張り合えるか、強化していかないといけないと思っています」
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3日間のトラック競技から1週間、インカレは会場を群馬サイクルスポーツセンター(以下群馬CSC)
に移し、ロードレースが行われた。近年は長野県大町市の公道コースで行われてきたが、コロナ禍などの事情により、昨年のインカレ代替大会に続き群馬CSCの6kmサーキットでの開催となった。
トラック競技を終えての大学対抗の総合順位は、男子は中央大学が93点で首位、2位日本大学が76点。その差は17点。ロードレースは団体種目と同じ配点となるため、優勝14点、2位12点、3位10点となる。上位に複数名を送り込めれば逆転も可能な点差だ。
一方女子は、首位の法政大学が41点、2位の鹿屋体育大学が35点で、その差は6点という僅差。女子は優勝10点、2位8点・3位6点が配点されるため、こちらも逆転の可能性を含む。
例年であれば男子と女子は同日開催だが、今年は女子が21日、男子が22日と別日程での開催となった。
女子は石上夢乃が優勝 鹿屋体育大学が5年ぶり女子総合優勝
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21日に行われた女子のレースは17周102km。序盤は船橋星来(法政大学)や、牧田咲子(順天堂大学)が単独で飛び出すが、中盤までに集団が吸収。後半に入ると石田唯(早稲田大学)や石上夢乃(鹿屋体育大学)らが登り区間でペースをつくり、集団の人数を絞っていく。
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最終周回までに残ったのは、石田、石上、成海綾香(鹿屋体育大学)、小口加奈絵(日本体育大学)、阿部花梨(順天堂大学)、トラック三冠の太郎田水桜(法政大学)の6名。
最後の登り区間で石上、成海、小口、太郎田の4名が先行し、遅れて石田、阿部の2人が続いてバックストレートの残り1kmを過ぎる。残り500m、太郎田が落車して脱落。入れ替わるように石田が追いつき、4名でのスプリント勝負へ。追いついた勢いで石田が差し込むものの、石上が押さえ切ってインカレロード初優勝を決めた。成海が3位に入り、鹿屋体育大学が2016年以来となるインカレ女子総合優勝となった。
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女子ロードレース優勝 石上夢乃コメント
「最後の場面で石田選手が追いかけてきて、彼女は追いついた勢いでもがいて行くスタイルなのでそれを警戒していました。あのメンバーならスプリントで勝てる自信があったので、トラックの先行逃げ切りのパターンをイメージしてラスト1kmからは先頭にいるようにして、自分の勝ちパターンに持ちこめるように考えていました。石田さんが追いついてきても、どうやって展開するかを冷静に判断できたことが勝因だと思います」
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今回、渡部春雅選手(明治大学)が出場出来なかったのは残念ですが、彼女がいたら自分に不利な展開に持ち込まれて勝てなかったと思います。来年はどこまで渡部さんと張り合えるか、強化していかないといけないと思っています」
インカレ 女子個人ロードレース 結果(102km)
1位 | 石上夢乃(鹿屋体育大学) | 3時間19分14秒 |
2位 | 石田 唯(早稲田大学) | +0 |
3位 | 成海綾香(鹿屋体育大学) | +1秒 |
4位 | 小口加奈絵(日本体育大学) | |
5位 | 阿部花梨(順天堂大学) | +5秒 |
6位 | 太郎田水桜(法政大学) | +1分41秒 |
大学対抗 女子総合成績
1位 | 鹿屋体育大学 | 51p |
2位 | 法政大学 | 45p |
3位 | 早稲田大学 | 17p |
男子 京産大の谷内健太が優勝 日本大学が逆転総合優勝


女子の翌日22日に行われた男子のレースは午前8時スタートの予定だったが、朝方の濃霧と雨によりスタート時間が30分繰り下げられた。また、午後から雷雨が予想されていたため、30周180kmを25周150kmに短縮して行われた。気温が低めだったことから、アームウォーマーとレッグウォーマーの使用が認められたものの、スタート直後に急速に天気が回復し、夏の青空と暑さの中でのレースとなった。
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
落車多発により仕切り直しの再スタートとなったレースは、総合連覇を目指す中央大学が先手を打って動く。しかし2周目、優勝候補と目されていた山本哲央(中央大学)がトラブルで遅れてしまう。集団復帰を試みるも、集団がペースを上げたこともあり3周目には1分以上離されてしまい、その後レースから降りることになってしまう。
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5周目、7名の先頭集団が形成され、メイン集団に40秒前後の差をつける。メンバーは、西村行成(慶應義塾大学)、五十嵐洸太(中央大学)、塩出皓成(順天堂大学)、津留崚、古谷田貴斗(以上、鹿屋体育大学)、北宅柊麻(日本大学)、武智光(愛媛大学)。
メイン集団との差はその後も大きく開かず、10周目に吸収。その直後、新たな先頭集団が構成される。メンバーは、木原与志寛(近畿大学)、岩田聖矢(中央大学)、仮屋和駿(日本大学)、渡邉和貴(順天堂大学)、佐藤宇志(明星大学)、河野翔輝(早稲田大学)、比嘉祐貴(日本体育大学)、それに最初の逃げに加わっていた古谷田と北宅をあわせた9名。しかしこの集団も14周目までに吸収される。
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残り6周となる20周目に入ると、日本大学による集団のペースアップが続き、人数が絞られていく。中央大学はただ1人残っていた岩田が21周目の心臓破りの登りでストップしてリタイアとなってしまう。
残り4周となる22周目、集団が大きく割れて12名前後が先行する。この中に日本大学は3名を残し、逆転の総合優勝の可能性が濃厚になる。
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残った12名の先頭集団は、バラけることなく最終周回の25周目へ。残り1kmのバックストレートではアタックと牽制が混じりながら進行し、最後のスプリント勝負へ。早めに仕掛けたという谷内健太(京都産業大学)が抜け出して残り100mを過ぎる。日本大学の2人が追うも届かず、谷内が26年ぶりとなるインカレロード優勝を京都産業大学にもたらした。
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男子ロードレース優勝 谷内健太コメント
「主導権は日大に取られていましたが、少しでも京産大の総合順位を上げられるようにと考えていました。終盤は状況を見ながら後ろで待機していたが、みんな脚が残っていないと分かったので、最後の登りに耐えたらスプリントで勝つ自信はあったし、ロングスプリントでもまくられずに行けると思っていました。あせらず冷静に判断出来たので、スプリントで良い形に持っていけたと思います」
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仮屋和駿が2位、片桐東次郎が3位に入った日本大学は、計25点を加算。完走者ゼロとなってしまった中央大学を逆転し、2018年以来のインカレ総合優勝を果たした。
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自分が大学1年の時に日大が総合優勝して以来なので、4年の今年は勝って終わりたいと思い、この1年取り組んできました。強い後輩も入ってきたので、この流れを来年も続けて欲しいと思っています」と、語った。
インカレ 男子個人ロードレース 結果(150km)
1位 | 谷内健太(京都産業大学) | 3時間54分59秒 |
2位 | 仮屋和駿(日本大学) | +1秒 |
3位 | 片桐東次郎(日本大学) | |
4位 | 園田大智(順天堂大学) | |
5位 | 武智 光(愛媛大学) | |
6位 | 松井夢源(明星大学) |
大学対抗 男子総合成績
1位 | 日本大学 | 101p |
2位 | 中央大学 | 93p |
3位 | 京都産業大学 | 53p |
text&photo:Satoru Kato
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