2021/08/18(水) - 10:57
「この勝利を力を貸してくれた全ての人に捧げたい」とは大怪我を乗り越え勝利を上げたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)。2位のデマールや落車したタラマエ、ヤコブセンの勝利を喜ぶセネシャルなどブエルタ4日目を終えた選手のコメントを紹介します。
ステージ1位&ポイント賞 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
落車からここまでの道のりは長かった。勝利できて嬉しいし、何より夢が叶った気持ちだよ。復帰のためには長い時間と努力が必要で、多くの人の手助けのおかげでもあるので、彼らの勝利でもある。僕の治療に尽力してくれたポーランドの医者や医療スタッフ、第2の家族であるチームや、関わってくれた全ての人々に感謝を伝えたい。
最後はとても混沌とした集団スプリントだった。総合勢も前に人数を集めることは分かっていたので、残り3kmから主導権を握ろうと考えていた。最後は緩やかな登りで、頂上で僕の周りをスティバルとベルト(ファンレルベルフ)が固めてくれた。下りを先頭から15〜20番手ぐらいで入り、ベルトが一気に先頭へと導いてくれた。
彼のおかげで緩い右コーナーの内側からスプリントを開始することができ、今日倒すべきライバルであるデマールを見つけたのでその後ろについた。彼よりも少しだけ脚があったので追い抜くことができたんだ。デマールに勝つ自信はなかったが、チームの信頼に応えるべく思いっ切り踏み込んだんだ。彼らの働きに報いることができて本当に良かったよ。
この勝利によって”カムバック”は終わりを迎え、昨年あった出来事に1つの区切りがついた。いま状態は高いレベルにあり、チームとともに出場したここブエルタでマイヨプントスを獲得することができた。これを守り続けるために、この後も引き続き頑張っていきたい。
ステージ2位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
フィニッシュまで僕に適した緩やかな登りが待っていることは分かっていた。僕たちはとても良いレース運びができ、最後は先頭に出てコントロールする決断をした。下り始めで先頭を取らなければいけないと思っており、コーナーもある中スピードが上がることも想定していた。そしてチームメイトによる素晴らしい働きもあり、良いポジションでスプリントに臨むことができた。
力強くスプリントを開始し、勝利も目の前まで見えていた。だが誰もいないと思っていた後ろからヤコブセンが凄いスピードでやってきた。今回は彼の方が強かったということだけなので後悔はない。
ステージ4位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)
今日はレースの大部分を冷静かつリラックスして走ることができた。残り25kmからチームで固まり集団前方に出た。最後は若干の下りで、とても速く混沌としていた。何度か仲間を見失ったりもしたが、まとまって走ることができた。
残り3km地点の最後の小さな登りの麓まで、チームメイトは僕を良い位置に運んでくれ、その後のスプリントは単独で挑むフリースタイルだった。集団の後方からスプリントを開始したが、脚の状態が想像以上に良かった。この後のステージでは、今日よりも高い順位でフィニッシュできるよう頑張っていきたい。
ステージ5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
混沌という言葉に尽きるスプリントで、タイミングが勝負を分けた。ルカ(メズゲッツ)は素晴らしい位置取りをしてくれ、右側を選んだのだが、みんなは左側に行ってしまった。だが集団スプリントではよくあることだし、今日運悪く判断を間違ってしまっただけだ。
昨日の調子の悪さを今日も引きずってしまった。どうやら初日と2日目の暑さにやられてしまい、回復が追いつかなかったのだろう。明日以降はこの暑さに慣れるよう頑張りたい。
ステージ7位 ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
逃げが早く決まるレース序盤はイージーな展開だった。だが残り50~30km地点から横風の影響で緊張感が高まったものの、結局最後まで何も起こることなくそのままスプリントに突入していった。ライバルを含め僕たちはスプリントに向けて準備を進め、ラスト25kmはとても速かったよ。リードアウトを見失うトラブルがあり計画通りにはいかなかったものの、彼らの働きは素晴らしかった。最後はパンチすら打てずに終わってしまった。7位という結果に満足していないが、良いスタートにはなったと思う。
マイヨロホ レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
正直、何が起きたのか分からなかった。緊張感のある最後で、僕の右側にいた選手が蛇行してきて、彼に引っ張られるように接触して落車してしまった。でも僕はまだ生きているし(笑)、怪我も酷くはない。とりあえずは大丈夫だ。
マイヨロホを着て走るレースは素晴らしかった。1日を通してチームメイトが集団先頭を引いてくれ、チーム全体としてこのリーダージャージ楽しむことができた。ただただ美しかった。明日も風がなけれはマイヨロホを守ることができるだろう。そして明後日は最後1kmから登りが始まる。登坂が始まる直前の位置取りが重要になってくるが、先頭に食らいつけるだけの脚はあると思う。だからあと2日はこの赤色ジャージを着用できるんじゃないかな。
総合9位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
シーズンも終わりに近づいているブエルタでは、何が起こっても不思議じゃない。選手たちの体力を奪う酷い暑さに加え、コースの難易度も高い。だからリチャル(カラパス)の失ったタイムは大したものではなく、チームとしても総合上位にたくさんの選手がいることに越したことはない。
個人的にはモチベーションは高く、脚の状態も悪くない。ただジロの後に新型コロナウイルスに感染してしまったので、自分が100%の状態にいるかどうかはわからない。優勝を争えるかどうかはわからないが、レースを楽しみながら毎ステージでベストを尽くすのみだ。もし遅れてもしょうがないし、良い感触で走れるだけで満足だとは思っている。
ヤコブセンの勝利について語るフロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ファビオにとって最高の瞬間だろう。僕も嬉しいしなんてクレイジーな結果なんだ。今日のスプリントの前に、「落ち着いていけ。君には勝てる脚と、何より最強のチームメイトがいるんだ」と伝えていたんだ。
彼がポーランドで落車したときも僕は一緒に走っていて、オランダにいる彼の家族にとっても辛い出来事だったと思う。だが1年という時を経て、彼はより強くなってカムバックを果たした。彼はフィジカルが強いのはもちろん、メンタルもとても強いんだ。あんな大怪我から復帰するなんて、なかなかできることではない。
彼は(リハビリ中も)決して諦めず、常に前を向いていた。弱音なんて吐かず、「いまは簡単なトレーニングしかできないが、必ず強くなってレースに復帰するんだ」と口に出していた。復帰を目指して一歩一歩進み、順調にトレーニングを進めている途中、何度も手術のため中断を強いられた。冬の期間だけで2週間の中断を4回は繰り返したと思う。一度彼と同部屋になったのだが、顎の痛みに苦しんでいた。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ステージ1位&ポイント賞 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
落車からここまでの道のりは長かった。勝利できて嬉しいし、何より夢が叶った気持ちだよ。復帰のためには長い時間と努力が必要で、多くの人の手助けのおかげでもあるので、彼らの勝利でもある。僕の治療に尽力してくれたポーランドの医者や医療スタッフ、第2の家族であるチームや、関わってくれた全ての人々に感謝を伝えたい。
最後はとても混沌とした集団スプリントだった。総合勢も前に人数を集めることは分かっていたので、残り3kmから主導権を握ろうと考えていた。最後は緩やかな登りで、頂上で僕の周りをスティバルとベルト(ファンレルベルフ)が固めてくれた。下りを先頭から15〜20番手ぐらいで入り、ベルトが一気に先頭へと導いてくれた。
彼のおかげで緩い右コーナーの内側からスプリントを開始することができ、今日倒すべきライバルであるデマールを見つけたのでその後ろについた。彼よりも少しだけ脚があったので追い抜くことができたんだ。デマールに勝つ自信はなかったが、チームの信頼に応えるべく思いっ切り踏み込んだんだ。彼らの働きに報いることができて本当に良かったよ。
この勝利によって”カムバック”は終わりを迎え、昨年あった出来事に1つの区切りがついた。いま状態は高いレベルにあり、チームとともに出場したここブエルタでマイヨプントスを獲得することができた。これを守り続けるために、この後も引き続き頑張っていきたい。
ステージ2位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
フィニッシュまで僕に適した緩やかな登りが待っていることは分かっていた。僕たちはとても良いレース運びができ、最後は先頭に出てコントロールする決断をした。下り始めで先頭を取らなければいけないと思っており、コーナーもある中スピードが上がることも想定していた。そしてチームメイトによる素晴らしい働きもあり、良いポジションでスプリントに臨むことができた。
力強くスプリントを開始し、勝利も目の前まで見えていた。だが誰もいないと思っていた後ろからヤコブセンが凄いスピードでやってきた。今回は彼の方が強かったということだけなので後悔はない。
ステージ4位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)
今日はレースの大部分を冷静かつリラックスして走ることができた。残り25kmからチームで固まり集団前方に出た。最後は若干の下りで、とても速く混沌としていた。何度か仲間を見失ったりもしたが、まとまって走ることができた。
残り3km地点の最後の小さな登りの麓まで、チームメイトは僕を良い位置に運んでくれ、その後のスプリントは単独で挑むフリースタイルだった。集団の後方からスプリントを開始したが、脚の状態が想像以上に良かった。この後のステージでは、今日よりも高い順位でフィニッシュできるよう頑張っていきたい。
ステージ5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
混沌という言葉に尽きるスプリントで、タイミングが勝負を分けた。ルカ(メズゲッツ)は素晴らしい位置取りをしてくれ、右側を選んだのだが、みんなは左側に行ってしまった。だが集団スプリントではよくあることだし、今日運悪く判断を間違ってしまっただけだ。
昨日の調子の悪さを今日も引きずってしまった。どうやら初日と2日目の暑さにやられてしまい、回復が追いつかなかったのだろう。明日以降はこの暑さに慣れるよう頑張りたい。
ステージ7位 ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
逃げが早く決まるレース序盤はイージーな展開だった。だが残り50~30km地点から横風の影響で緊張感が高まったものの、結局最後まで何も起こることなくそのままスプリントに突入していった。ライバルを含め僕たちはスプリントに向けて準備を進め、ラスト25kmはとても速かったよ。リードアウトを見失うトラブルがあり計画通りにはいかなかったものの、彼らの働きは素晴らしかった。最後はパンチすら打てずに終わってしまった。7位という結果に満足していないが、良いスタートにはなったと思う。
マイヨロホ レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
正直、何が起きたのか分からなかった。緊張感のある最後で、僕の右側にいた選手が蛇行してきて、彼に引っ張られるように接触して落車してしまった。でも僕はまだ生きているし(笑)、怪我も酷くはない。とりあえずは大丈夫だ。
マイヨロホを着て走るレースは素晴らしかった。1日を通してチームメイトが集団先頭を引いてくれ、チーム全体としてこのリーダージャージ楽しむことができた。ただただ美しかった。明日も風がなけれはマイヨロホを守ることができるだろう。そして明後日は最後1kmから登りが始まる。登坂が始まる直前の位置取りが重要になってくるが、先頭に食らいつけるだけの脚はあると思う。だからあと2日はこの赤色ジャージを着用できるんじゃないかな。
総合9位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
シーズンも終わりに近づいているブエルタでは、何が起こっても不思議じゃない。選手たちの体力を奪う酷い暑さに加え、コースの難易度も高い。だからリチャル(カラパス)の失ったタイムは大したものではなく、チームとしても総合上位にたくさんの選手がいることに越したことはない。
個人的にはモチベーションは高く、脚の状態も悪くない。ただジロの後に新型コロナウイルスに感染してしまったので、自分が100%の状態にいるかどうかはわからない。優勝を争えるかどうかはわからないが、レースを楽しみながら毎ステージでベストを尽くすのみだ。もし遅れてもしょうがないし、良い感触で走れるだけで満足だとは思っている。
ヤコブセンの勝利について語るフロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ファビオにとって最高の瞬間だろう。僕も嬉しいしなんてクレイジーな結果なんだ。今日のスプリントの前に、「落ち着いていけ。君には勝てる脚と、何より最強のチームメイトがいるんだ」と伝えていたんだ。
彼がポーランドで落車したときも僕は一緒に走っていて、オランダにいる彼の家族にとっても辛い出来事だったと思う。だが1年という時を経て、彼はより強くなってカムバックを果たした。彼はフィジカルが強いのはもちろん、メンタルもとても強いんだ。あんな大怪我から復帰するなんて、なかなかできることではない。
彼は(リハビリ中も)決して諦めず、常に前を向いていた。弱音なんて吐かず、「いまは簡単なトレーニングしかできないが、必ず強くなってレースに復帰するんだ」と口に出していた。復帰を目指して一歩一歩進み、順調にトレーニングを進めている途中、何度も手術のため中断を強いられた。冬の期間だけで2週間の中断を4回は繰り返したと思う。一度彼と同部屋になったのだが、顎の痛みに苦しんでいた。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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