2021/08/09(月) - 16:59
マイケル・ウッズ(カナダ)の活躍、そしてクリストファー・フルーム(イギリス)のツール復帰など、話題を呼んだイスラエル・スタートアップネイションのツール機材を紹介。カスタムが多数施されたフルームのOSTRO VAMや、未発表のTTバイクHANZOなど、機材マニア必見の内容です。
イスラエル・スタートアップネイションのOSTRO VAM。全ロードステージ使用された photo:Makoto AYANO
今夏、クリストファー・フルーム(イギリス)が2年ぶりのツール・ド・フランス復帰を果たしたこと、そしてマイケル・ウッズ(カナダ)が山岳ステージで存在感をアピールしたことで注目を集めたイスラエル・スタートアップネイション。豊富な資金力をもとに活動する中東チームはUCIワールドツアー昇格を果たした2020年からファクターとタッグを組んでおり、今ツールでは全メンバーが軽量エアロロードのOSTRO VAMを使用した。
昨年までは双胴ダウンチューブとヒンジフォークのONEや軽量モデルのO2 VAMも併用されていたが、今年は平坦から山岳まで全ステージを通じてOSTRO VAMで統一。高速化が進むレースにおいて、フレーム重量780g(54サイズ)という軽さと空力を両立したOSTRO VAMの優位性が見て取れる。なおチームとファクターは2022シーズンも契約延長することを発表したばかり。
セラミックスピードのビッグプーリーキット(未発売のブルー)を使用 photo:Makoto AYANO
4iiii(フォーアイ)のPRECISION PROパワーメーターを使う。大きなロゴを配したモデルも photo:Makoto AYANO
ホイールはブラックインクのTHIRTYまたはSIXTYだが、山岳ではライトウェイトのMEILENSTEIN TUBULAR 24Dを使用した photo:Makoto AYANO
ブラックインクの専用ハンドル。ハンマーヘッド社製のコンピュータマウントが見える photo:Makoto AYANO
ブレーキローターはスイスストップのCatalyst Pro photo:Makoto AYANO
コンポーネントはシマノDURA-ACE DI2だが、4iiii(フォーアイ)のPRECISION PROパワーメーターやセラミックスピードのビッグプーリーキット「OSPW(プーリーのカラーは未発売のブルー)」やボトムブラケット、スイスストップのCatalyst Proディスクローター+パッドなどシマノ以外のパーツを多く組み合わせていることがポイント。
極め付けはフルームで、クランクセットはSRMのOrigin Carbonクランクとパワーメータースパイダー、そして長年愛用しているオーシンメトリックの楕円チェーンリング(52/38T)というチョイス。さらにディスクブレーキのキャリパーはフロント側だけローター社の1X13用と思われる製品に交換されている。フルームは自身のYoutubeチャンネルで乗車中にディスクブレーキが擦ること話しており、そうした不満を解消する試みだと思われる。
クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)のファクター OSTRO VAM photo:Makoto AYANO
フロントにはローター社の1X13用と思われるブレーキキャリパーをセット photo:Makoto AYANO
フルームのみノーマルハンドル+ステムの組み合わせ。ケーブル類がフルインターナル化されていることにも注目 photo:Makoto AYANO
フルームのバイクの駆動系。愛用するオーシンメトリックの楕円チェーンリングなどこだわりが見て取れる photo:Makoto AYANO
OSTRO VAMにはファクター傘下のブラックインク製ステム一体型ハンドルがセットされるが、ここでもフルームだけはノーマルハンドルとロゴを消したFSAのOS99ステムと、チームメイトと異なる選択をしている。本来の標準セットアップではないにも関わらずDI2ケーブルやブレーキホースがフル内装化されていることにも注目したい。
ホイールはブラックインクのTHIRTYまたはSIXTYだが、山岳ステージではペア重量1245gを誇るライトウェイトのMEILENSTEIN TUBULAR 24Dを使用。タイヤは「YALLA ACADEMY」や「TEAM EDITION」のロゴが入ったマキシスのHIGH ROADで、市販されていないチューブラーモデルだ。
未発表の新型TTバイク「HANZO」。フルームとグライペルの二人が実戦投入した photo:Makoto AYANO
フルームのTTバイクのチェーリング歯数は58/46T photo:Makoto AYANO
現行のSLiCKよりも直線的なデザインが見て取れる photo:Makoto AYANO
また、TTステージではフルームとアンドレ・グライペル(ドイツ)が使った未発表の新型TTバイク「HANZO」が注目を集めた。ジロ・デ・イタリアで実戦デビュー(その際は一切のロゴがなかった)を飾った同モデルは、現行のSLiCKと比較して各部の直線的デザインや、ホイールとの間隔を大きく広げた幅広シートステーなどを特徴に持つ。ファクターにはサーヴェロで活躍したエンジニアが移籍しており、彼が深く開発に携わっているものと考えられる。また、OSTRO VAMにTTハンドルとエアロホイールをセットしたものも用意されていた。
ダニエル・マーティン(アイルランド)のSLiCK photo:Makoto AYANO
TTステージではロゴを塗りつぶしたヴィットリアのCORSA SPEEDタイヤが使われた photo:Makoto AYANO
TTステージではブラックインクはもちろんヘッドのVanquish Proホイールも併用 photo:Makoto AYANO
ダニエル・マーティン(アイルランド)のWattShop製ハンドル photo:Makoto AYANO
こちらはOSTRO VAMにTTハンドルをセットしたスペアバイク photo:Makoto AYANO
TTステージでのホイールチョイスはブラックインクのEIGHTY(フロント)とZEROディスク(リア)だが、昨年から継続使用されているヘッドVanquish RC Pro(フロント)とVanquish RCD Pro(リア)を選ぶ選手も。ハンドルは51SPEEDSHOPのTTバーとDrag2Zeroのアームレストが基本だが、ウッズやダニエル・マーティン(アイルランド)はWattShopのTTハンドルを使用。また、TTステージではロゴを塗りつぶしたヴィットリア CORSA SPEEDタイヤも使われていた。
サイクルコンピュータはアメリカのハンマーヘッドで、そのフラッグシップである「Karoo 2」を全選手が使う。サドルはセッレイタリアで、ボトルとケージはエリート。バーテープはブラックインクだ。
text:So Isobe
![イスラエル・スタートアップネイションのOSTRO VAM。全ロードステージ使用された](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf1e-133-2.jpg)
今夏、クリストファー・フルーム(イギリス)が2年ぶりのツール・ド・フランス復帰を果たしたこと、そしてマイケル・ウッズ(カナダ)が山岳ステージで存在感をアピールしたことで注目を集めたイスラエル・スタートアップネイション。豊富な資金力をもとに活動する中東チームはUCIワールドツアー昇格を果たした2020年からファクターとタッグを組んでおり、今ツールでは全メンバーが軽量エアロロードのOSTRO VAMを使用した。
昨年までは双胴ダウンチューブとヒンジフォークのONEや軽量モデルのO2 VAMも併用されていたが、今年は平坦から山岳まで全ステージを通じてOSTRO VAMで統一。高速化が進むレースにおいて、フレーム重量780g(54サイズ)という軽さと空力を両立したOSTRO VAMの優位性が見て取れる。なおチームとファクターは2022シーズンも契約延長することを発表したばかり。
![セラミックスピードのビッグプーリーキット(未発売のブルー)を使用](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf16e-71.jpg)
![4iiii(フォーアイ)のPRECISION PROパワーメーターを使う。大きなロゴを配したモデルも](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf1e-139.jpg)
![ホイールはブラックインクのTHIRTYまたはSIXTYだが、山岳ではライトウェイトのMEILENSTEIN TUBULAR 24Dを使用した](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf1e-140.jpg)
![ブラックインクの専用ハンドル。ハンマーヘッド社製のコンピュータマウントが見える](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf5e-184.jpg)
![ブレーキローターはスイスストップのCatalyst Pro](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf13e-11.jpg)
コンポーネントはシマノDURA-ACE DI2だが、4iiii(フォーアイ)のPRECISION PROパワーメーターやセラミックスピードのビッグプーリーキット「OSPW(プーリーのカラーは未発売のブルー)」やボトムブラケット、スイスストップのCatalyst Proディスクローター+パッドなどシマノ以外のパーツを多く組み合わせていることがポイント。
極め付けはフルームで、クランクセットはSRMのOrigin Carbonクランクとパワーメータースパイダー、そして長年愛用しているオーシンメトリックの楕円チェーンリング(52/38T)というチョイス。さらにディスクブレーキのキャリパーはフロント側だけローター社の1X13用と思われる製品に交換されている。フルームは自身のYoutubeチャンネルで乗車中にディスクブレーキが擦ること話しており、そうした不満を解消する試みだと思われる。
![クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)のファクター OSTRO VAM](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf1e-127.jpg)
![フロントにはローター社の1X13用と思われるブレーキキャリパーをセット](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf16e-87.jpg)
![フルームのみノーマルハンドル+ステムの組み合わせ。ケーブル類がフルインターナル化されていることにも注目](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf1e-132.jpg)
![フルームのバイクの駆動系。愛用するオーシンメトリックの楕円チェーンリングなどこだわりが見て取れる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf16e-80-2.jpg)
OSTRO VAMにはファクター傘下のブラックインク製ステム一体型ハンドルがセットされるが、ここでもフルームだけはノーマルハンドルとロゴを消したFSAのOS99ステムと、チームメイトと異なる選択をしている。本来の標準セットアップではないにも関わらずDI2ケーブルやブレーキホースがフル内装化されていることにも注目したい。
ホイールはブラックインクのTHIRTYまたはSIXTYだが、山岳ステージではペア重量1245gを誇るライトウェイトのMEILENSTEIN TUBULAR 24Dを使用。タイヤは「YALLA ACADEMY」や「TEAM EDITION」のロゴが入ったマキシスのHIGH ROADで、市販されていないチューブラーモデルだ。
![未発表の新型TTバイク「HANZO」。フルームとグライペルの二人が実戦投入した](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf20e-55.jpg)
![フルームのTTバイクのチェーリング歯数は58/46T](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf20e-63.jpg)
![現行のSLiCKよりも直線的なデザインが見て取れる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf20e-59.jpg)
また、TTステージではフルームとアンドレ・グライペル(ドイツ)が使った未発表の新型TTバイク「HANZO」が注目を集めた。ジロ・デ・イタリアで実戦デビュー(その際は一切のロゴがなかった)を飾った同モデルは、現行のSLiCKと比較して各部の直線的デザインや、ホイールとの間隔を大きく広げた幅広シートステーなどを特徴に持つ。ファクターにはサーヴェロで活躍したエンジニアが移籍しており、彼が深く開発に携わっているものと考えられる。また、OSTRO VAMにTTハンドルとエアロホイールをセットしたものも用意されていた。
![ダニエル・マーティン(アイルランド)のSLiCK](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf20e-241.jpg)
![TTステージではロゴを塗りつぶしたヴィットリアのCORSA SPEEDタイヤが使われた](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf20e-54.jpg)
![TTステージではブラックインクはもちろんヘッドのVanquish Proホイールも併用](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf20e-65.jpg)
![ダニエル・マーティン(アイルランド)のWattShop製ハンドル](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf5e-182-2.jpg)
![こちらはOSTRO VAMにTTハンドルをセットしたスペアバイク](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/08/09/ayano2021tdf20e-66.jpg)
TTステージでのホイールチョイスはブラックインクのEIGHTY(フロント)とZEROディスク(リア)だが、昨年から継続使用されているヘッドVanquish RC Pro(フロント)とVanquish RCD Pro(リア)を選ぶ選手も。ハンドルは51SPEEDSHOPのTTバーとDrag2Zeroのアームレストが基本だが、ウッズやダニエル・マーティン(アイルランド)はWattShopのTTハンドルを使用。また、TTステージではロゴを塗りつぶしたヴィットリア CORSA SPEEDタイヤも使われていた。
サイクルコンピュータはアメリカのハンマーヘッドで、そのフラッグシップである「Karoo 2」を全選手が使う。サドルはセッレイタリアで、ボトルとケージはエリート。バーテープはブラックインクだ。
text:So Isobe
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