ジロ・ドンネ最終日はマリアローザのアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)たちが序盤から逃げるという驚きの展開に。コリン・リヴェラ(アメリカ、チームDSM)が逃げグループの勝負を制し、ファンデルブレッヘンが自身4度目となる総合優勝を射止めた。
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の丘陵地帯を駆ける最終ステージ photo:CorVos
10日間に渡り続いた女子レースの最高峰、ジロ・ドンネ(正式名称ジロ・ディタリア・インテルナツィオナーレ・フェミニーレ)もいよいよ最終日。圧倒的なタイム差でマリアローザを保持するアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)を筆頭に、102名の選手がフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の丘陵地帯を駆ける最終ステージに到達した。
東京五輪を目指してアマンダ・スプラット(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)が未出走となったこの日は、スタート後15km地点の3級山岳でマリアローザのファンデルブレッヘン自ら動いた。ファンデルブレッヘン、エリザベス・ダイグナン(イギリス)とルシンダ・ブラント(オランダ)のトレック・セガフレードコンビ、コリン・リヴェラ(アメリカ、チームDSM)、前日に総合成績を5位から11位に落としたエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)という超強力メンバーが逃げ、これを他チーム率いるメイン集団が追うという掟破りな展開で幕開けた。
逃げるアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)やコリン・リベラ(アメリカ、チームDSM)たち photo:CorVos
逃げグループに入ったマリアローザのアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) photo:CorVos
続く第2山岳ポイントではメイン集団からアタック合戦が掛かったものの、相対的にペースを落としたことで先頭グループへのブリッジは不発に終わった。快調にローテーションを回すマリアローザグループは、最大2分以上、残り50km地点で1分50秒のリードを得てフィニッシュを目指す。フィニッシュラインが近くに連れてタイム差は増減を繰り返したものの、結局35秒以下まで縮まることはなかった。
ポイントランキングリーダーのブラントはダイグナンのために力を尽くして最終山岳で遅れたものの、残る4名はきっちりとローテーションを回してフィニッシュラインへ。メイン集団の追走も届かず、ジロ・ドンネ最終日はトップ選手4名によるスプリント勝負に持ち込まれた。
横並びでスプリントを繰り広げるコリン・リベラ(アメリカ、チームDSM)とエリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) photo:CorVos
新型コロナウイルスとの戦いで命を落とした父と、誕生日を迎えた婚約者に勝利を捧げたコリン・リベラ(アメリカ、チームDSM) photo:CorVos
2015年に世界チャンピオンに輝いたダイグナンが先行するも、スプリントで分があるのはリヴェラだった。ここまでロレーナ・ウィーブス(オランダ、チームDSM)のリードアウト役としてステージ2勝をお膳立てし、エースとして臨んだ第6ステージでは2位に甘んじていたリヴェラが身体をよじりながらダイグナンに並びかけ、ハンドルを投げる。2019年以降勝利から遠ざかっていたリヴェラが悲願のジロドンネ初勝利をマークした。
「逃げグループに入ってからすぐタイム差を稼ぎ、全員が協力しあっていたので逃げ切れると確信があった。最後の山ではトレックの2人をふるい落とそうとしたけれど1人(ブラント)しか脱落させられなかった。スプリントでは最大のライバルであるリジーを先行させる作戦をとった」とリヴェラは言う。リヴェラは数ヶ月前に医療従事者だった父を新型コロナウイルスで無くし、さらに婚約者の誕生日でもあったことでモチベーションに満ち溢れていたという。
総合優勝を決めたアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) photo:CorVos
リヴェラが嬉しい勝利を手にした3秒後、スプリントを見送ったファンデルブレッヘンもガッツポーズと共にフィニッシュした。今季限りでの引退を表明しているファンデルブレッヘンにとっては自身4度目となる総合優勝であり、SDワークスは2位にアシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)、3位にデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)と総合ワンツースリー体制を2日目から維持しきる完璧なレース運びを披露した。
総合表彰台をSDワークスが独占。1位ファンデルブレッヘン、2位モールマン、3位フォレリング photo:CorVos
自身最後のジロドンネで4度目の総合優勝を決めたアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) photo:CorVos
「こういうステージレースで勝つことには大きな意味がある」と、表彰台でアルカンシエルの上にマリアローザを重ね着したファンデルブレッヘンは言う。「タフで、10日間も続くステージの中、9日間ストレスフルなマリアローザ着用者として過ごせた。本当に疲れたけれど、それと同時に嬉しい。最高の終わりを迎えることができた」と最後のレース後インタビューで答えている。
トップコンディションを維持するファンデルブレッヘンは、引退を前に短い休養を経てディフェンディングチャンピオンとして東京五輪へと乗り込む。ジロドンネ参加を見送りリヴィーニョで合宿を行うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)や、今大会2勝を挙げ、通算ステージ勝利数を30にのせたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)、そして今大会総合3位に入ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)という、最強オランダチームの舵取りを担う予定だ。

10日間に渡り続いた女子レースの最高峰、ジロ・ドンネ(正式名称ジロ・ディタリア・インテルナツィオナーレ・フェミニーレ)もいよいよ最終日。圧倒的なタイム差でマリアローザを保持するアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)を筆頭に、102名の選手がフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の丘陵地帯を駆ける最終ステージに到達した。
東京五輪を目指してアマンダ・スプラット(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)が未出走となったこの日は、スタート後15km地点の3級山岳でマリアローザのファンデルブレッヘン自ら動いた。ファンデルブレッヘン、エリザベス・ダイグナン(イギリス)とルシンダ・ブラント(オランダ)のトレック・セガフレードコンビ、コリン・リヴェラ(アメリカ、チームDSM)、前日に総合成績を5位から11位に落としたエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)という超強力メンバーが逃げ、これを他チーム率いるメイン集団が追うという掟破りな展開で幕開けた。


続く第2山岳ポイントではメイン集団からアタック合戦が掛かったものの、相対的にペースを落としたことで先頭グループへのブリッジは不発に終わった。快調にローテーションを回すマリアローザグループは、最大2分以上、残り50km地点で1分50秒のリードを得てフィニッシュを目指す。フィニッシュラインが近くに連れてタイム差は増減を繰り返したものの、結局35秒以下まで縮まることはなかった。
ポイントランキングリーダーのブラントはダイグナンのために力を尽くして最終山岳で遅れたものの、残る4名はきっちりとローテーションを回してフィニッシュラインへ。メイン集団の追走も届かず、ジロ・ドンネ最終日はトップ選手4名によるスプリント勝負に持ち込まれた。


2015年に世界チャンピオンに輝いたダイグナンが先行するも、スプリントで分があるのはリヴェラだった。ここまでロレーナ・ウィーブス(オランダ、チームDSM)のリードアウト役としてステージ2勝をお膳立てし、エースとして臨んだ第6ステージでは2位に甘んじていたリヴェラが身体をよじりながらダイグナンに並びかけ、ハンドルを投げる。2019年以降勝利から遠ざかっていたリヴェラが悲願のジロドンネ初勝利をマークした。
「逃げグループに入ってからすぐタイム差を稼ぎ、全員が協力しあっていたので逃げ切れると確信があった。最後の山ではトレックの2人をふるい落とそうとしたけれど1人(ブラント)しか脱落させられなかった。スプリントでは最大のライバルであるリジーを先行させる作戦をとった」とリヴェラは言う。リヴェラは数ヶ月前に医療従事者だった父を新型コロナウイルスで無くし、さらに婚約者の誕生日でもあったことでモチベーションに満ち溢れていたという。

リヴェラが嬉しい勝利を手にした3秒後、スプリントを見送ったファンデルブレッヘンもガッツポーズと共にフィニッシュした。今季限りでの引退を表明しているファンデルブレッヘンにとっては自身4度目となる総合優勝であり、SDワークスは2位にアシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)、3位にデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)と総合ワンツースリー体制を2日目から維持しきる完璧なレース運びを披露した。


「こういうステージレースで勝つことには大きな意味がある」と、表彰台でアルカンシエルの上にマリアローザを重ね着したファンデルブレッヘンは言う。「タフで、10日間も続くステージの中、9日間ストレスフルなマリアローザ着用者として過ごせた。本当に疲れたけれど、それと同時に嬉しい。最高の終わりを迎えることができた」と最後のレース後インタビューで答えている。
トップコンディションを維持するファンデルブレッヘンは、引退を前に短い休養を経てディフェンディングチャンピオンとして東京五輪へと乗り込む。ジロドンネ参加を見送りリヴィーニョで合宿を行うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)や、今大会2勝を挙げ、通算ステージ勝利数を30にのせたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)、そして今大会総合3位に入ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)という、最強オランダチームの舵取りを担う予定だ。
ジロ・デ・イタリア・ドンネ2021第10ステージ結果
1位 | コリン・リベラ(アメリカ、チームDSM) | 2:56:40 |
2位 | エリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) | ,, |
3位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | 0:03 |
4位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) | ,, |
5位 | エマセシル・ノースガード(デンマーク、モビスター) | 0:23 |
6位 | リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM) | ,, |
7位 | イラリア・サングイネッティ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス) | ,, |
8位 | アヌースカ・コスター(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | ,, |
9位 | ソフィア・ベルティツォーロ(イタリア、リブレーシング) | ,, |
10位 | アレクシス・ライアン(アメリカ、キャニオン・スラム) | ,, |
個人総合成績
1位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) | 27:00:55 |
2位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | 1:43 |
3位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | 3:25 |
4位 | エリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) | 6:39 |
5位 | マビ・ガルシア(スペイン、アレBTCリュブリャナ) | 8:26 |
6位 | マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) | 8:29 |
7位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、チームDSM) | 8:40 |
8位 | タチアナ・グデルツォ(イタリア、アレBTCリュブリャナ) | 9:12 |
9位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) | 9:44 |
10位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | 10:42 |
その他の特別賞
ポイント賞 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) |
山岳賞 | ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) |
チーム総合成績 | SDワークス |
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