2021/07/04(日) - 10:37
「開幕一週間前に亡くなった祖父も誇りに思ってくれるだろう」と語るのは、アルプス初日を制したディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)。ライバルを圧倒しマイヨジョーヌを獲得したポガチャルや、チームへの感謝を語るファンデルプールなどツール第8ステージを終えた選手のコメントを紹介します。
ステージ1位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)
独走で雨のル・グラン=ボルナンにフィニッシュするディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
本当に素晴らしい。今年は春から目標に近づくことすらできない難しい年だったのだが、最終的に喜べる結果を掴むことができた。決して楽なレースではなく、序盤からストレスの多いナーバスな展開だった。逃げ集団に乗るために相当な力を使わなければならず、約60人の選手たちによるアタック合戦が繰り広げられていた。そしてワウト(プールスが)山岳賞ジャージを狙い1人仕掛けたので、(追走)集団で前を引くことなく楽に走ることができた。最後から2つ目の登りは麓からハイペースだったのでついていけるか不安だったが、なんとか乗り越えることができた。
最終山岳でポガチャルが1分15秒差まで迫っていると聞き、それが1分5秒まで縮まり、その後は覚えていない。だが、山頂に1分差で到達すれば下りでそのタイム差をキープできると思っていた。とてもスリッピーだったので下りは慎重に走っていたが、何度か後輪がドリフトしていたよ。残り1kmを過ぎ、後ろにまだオフィシャルカーがついるのを見てようやく勝利を確信したんだ。このまま踏み続ければ、勝利は僕のものだとね。
アルプス初日に逃げ切り勝利を果たしたディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
ツールでの勝利は素晴らしいし、今大会の直前に亡くなってしまった祖父に勝利を捧げるべく、フィニッシュする瞬間に天を指差したんだ。ツールで勝利を挙げた2年前、新聞社が僕の祖父母のところまで取材に来て、とても誇らしげだった。そして開幕の一週間前、ツールに出発する数日前にお葬式が執り行われたんだ。だから最後の10kmは感傷的になっていた。この勝利を誇りに思ってくれると嬉しいね。
ステージ2位 ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)
ディラン・トゥーンスとマイケル・ウッズを追うヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) photo:Makoto AYANO
難しい一日だったね。最後の登りで前をフルガスで追いかけていたら、後ろからポガチャルがやってきたんだ。今日はトゥーンスが最も強かった。また、山岳山頂でレインジャケットを脱ぐという間違いを犯してしまった。そのせいで先頭集団に入れず、復帰のために力を使わなければならなかった。勝利に届かず残念だし、登りと悪天候の厳しいステージだったが自分の走りには満足しているよ。
ステージ3位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)
1級山岳モン・サクソネ峠の下りを追走グループ内でこなすマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Kei Tsuji
最終山岳では限界に達しないよう自分のテンポを守っていた。トゥーンスが後ろから凄い速さで戻ってきたのだが、ついていくことができなかった。だがベストを尽くしたので落ち込んではいない。あらゆるアタックに反応する積極的な走りができたし、勝利を目指せば負ける時もある。なにより挑戦することが大事なんだ。
ステージ4位&マイヨジョーヌ&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
10ヶ月ぶりにマイヨジョーヌに袖を通したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:ASO Charly Lopez
今朝の作戦にアタックする計画はなく、展開次第で走り方を決めるつもりだった。レースは序盤から多くの選手によるアタックが繰り広げられる厳しい展開となったが、僕の好きな雨が味方してくれた。だからこそ3つの登りが残っている時点でアタックしようと決断したんだ。
そのためにもチームに集団先頭でペースを上げてもらい、(ブランドン)マクナルティや(ダヴィデ)フォルモロ、チームの働きは素晴らしかった。そしてライバルたちが苦しんでいるのが見えたので、フィニッシュまで距離があるにもかかわらず仕掛けたんだ。低い気温はなおさら僕に味方してくれると思ってね。
今日の結果は嬉しいし、昨日のステージで力を尽くしてくれたチームに感謝したい。マイヨジョーヌを手に入れ、僕らが集団でリーダーシップを発揮する準備があるのだと示したい。僕らは強いチームだということをね。
ステージ5位&マイヨアポワ(山岳賞) ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)
マイヨアポワを獲得したワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
とても嬉しいよ。レース序盤から積極的にいって、何度も逃げに繋がるアタックをした。その甲斐もありタイム差を広げ、山岳ポイントを獲得できた。集団が再び一塊になった後も山頂に向けて加速し、ジャージ獲得に十分なポイントを得ることができた。今日の立てた計画が達成できて嬉しいよ。明日はまた違った戦いが繰り広げられるだろうから、マイヨアポワを守るために頑張りたい。
ステージ44位(21分47秒遅れ) マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
1級山岳モン・サクソネ峠を集団内で乗り切ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:Kei Tsuji
とても楽しめたレースだった。そして今後についてチームと話し合わなければならない。ツールでの成功にはとても満足している。ステージ優勝を果たし、想像していたよりも長くマイヨジョーヌを着用することができた。マイヨジョーヌとともに走った6日間は素晴らしかった。サポートしてくれたみんなに感謝したい。
ステージ174位(35分1秒遅れ) ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
予想していたよりも落車の影響が大きかった。いつもは自分に対し「すぐに回復するからもう少し頑張れ」と言い聞かせながら乗り越えるのだが、激しい序盤とスーパーハードなステージでは何もできなかった。路面は濡れて走りにくく、集団に復帰するチャンスはゼロだった。今年1月から努力してきた結果が33分遅れとは、思い描いていた結果からは程遠い。ここまで来るまで多くの犠牲を強いられてきたんだ。まだ頭の整理がつかないよ。
総合5位につけるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)について語るメーリン・ゼーマン監督(ユンボ・ヴィスマ)
1級山岳ラ・コロンビエール峠を登るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)。ジャージの肩が破れている photo:Makoto AYANO
我々は死んでしまったが、まだ埋められてはいない。チャンスを探し、狙って行くつもりだ。ヨナス(ヴィンゲゴー)にとって初めてのツールは、経験と学びの場になっている。彼には長期的なプランがあり、今大会は経験を積む絶好の機会といえるだろう。彼にはツールで良い結果という目標があるものの、それはあくまでも将来的なものであり、今年がその時ではない。
デイブ・ブレイルスフォードGM(イネオス・グレナディアーズ)
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が1級山岳ラ・コロンビエール峠を登る photo:Makoto AYANO
いつ何が起こるかは誰にもわからない。長年自転車レースを見ている人でも、あの(ポガチャルの)走りは滅多に見られるものではない。素晴らしかった、脱帽だよ。1人だけ異次元の走りを見せ、とても勇気のいるアタックだったと思う。しかし、全員が今日のような激しいレースを続けるのであれば、誰が2週間半後に立っていられるのだろうか。ポガチャルは現状で最も強い選手だが、まだまだ先は長い。
text:Sotaro.Arakawa
ステージ1位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)
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本当に素晴らしい。今年は春から目標に近づくことすらできない難しい年だったのだが、最終的に喜べる結果を掴むことができた。決して楽なレースではなく、序盤からストレスの多いナーバスな展開だった。逃げ集団に乗るために相当な力を使わなければならず、約60人の選手たちによるアタック合戦が繰り広げられていた。そしてワウト(プールスが)山岳賞ジャージを狙い1人仕掛けたので、(追走)集団で前を引くことなく楽に走ることができた。最後から2つ目の登りは麓からハイペースだったのでついていけるか不安だったが、なんとか乗り越えることができた。
最終山岳でポガチャルが1分15秒差まで迫っていると聞き、それが1分5秒まで縮まり、その後は覚えていない。だが、山頂に1分差で到達すれば下りでそのタイム差をキープできると思っていた。とてもスリッピーだったので下りは慎重に走っていたが、何度か後輪がドリフトしていたよ。残り1kmを過ぎ、後ろにまだオフィシャルカーがついるのを見てようやく勝利を確信したんだ。このまま踏み続ければ、勝利は僕のものだとね。
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ツールでの勝利は素晴らしいし、今大会の直前に亡くなってしまった祖父に勝利を捧げるべく、フィニッシュする瞬間に天を指差したんだ。ツールで勝利を挙げた2年前、新聞社が僕の祖父母のところまで取材に来て、とても誇らしげだった。そして開幕の一週間前、ツールに出発する数日前にお葬式が執り行われたんだ。だから最後の10kmは感傷的になっていた。この勝利を誇りに思ってくれると嬉しいね。
ステージ2位 ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)
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ステージ3位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)
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最終山岳では限界に達しないよう自分のテンポを守っていた。トゥーンスが後ろから凄い速さで戻ってきたのだが、ついていくことができなかった。だがベストを尽くしたので落ち込んではいない。あらゆるアタックに反応する積極的な走りができたし、勝利を目指せば負ける時もある。なにより挑戦することが大事なんだ。
ステージ4位&マイヨジョーヌ&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
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そのためにもチームに集団先頭でペースを上げてもらい、(ブランドン)マクナルティや(ダヴィデ)フォルモロ、チームの働きは素晴らしかった。そしてライバルたちが苦しんでいるのが見えたので、フィニッシュまで距離があるにもかかわらず仕掛けたんだ。低い気温はなおさら僕に味方してくれると思ってね。
今日の結果は嬉しいし、昨日のステージで力を尽くしてくれたチームに感謝したい。マイヨジョーヌを手に入れ、僕らが集団でリーダーシップを発揮する準備があるのだと示したい。僕らは強いチームだということをね。
ステージ5位&マイヨアポワ(山岳賞) ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)
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とても嬉しいよ。レース序盤から積極的にいって、何度も逃げに繋がるアタックをした。その甲斐もありタイム差を広げ、山岳ポイントを獲得できた。集団が再び一塊になった後も山頂に向けて加速し、ジャージ獲得に十分なポイントを得ることができた。今日の立てた計画が達成できて嬉しいよ。明日はまた違った戦いが繰り広げられるだろうから、マイヨアポワを守るために頑張りたい。
ステージ44位(21分47秒遅れ) マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
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ステージ174位(35分1秒遅れ) ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
予想していたよりも落車の影響が大きかった。いつもは自分に対し「すぐに回復するからもう少し頑張れ」と言い聞かせながら乗り越えるのだが、激しい序盤とスーパーハードなステージでは何もできなかった。路面は濡れて走りにくく、集団に復帰するチャンスはゼロだった。今年1月から努力してきた結果が33分遅れとは、思い描いていた結果からは程遠い。ここまで来るまで多くの犠牲を強いられてきたんだ。まだ頭の整理がつかないよ。
総合5位につけるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)について語るメーリン・ゼーマン監督(ユンボ・ヴィスマ)
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我々は死んでしまったが、まだ埋められてはいない。チャンスを探し、狙って行くつもりだ。ヨナス(ヴィンゲゴー)にとって初めてのツールは、経験と学びの場になっている。彼には長期的なプランがあり、今大会は経験を積む絶好の機会といえるだろう。彼にはツールで良い結果という目標があるものの、それはあくまでも将来的なものであり、今年がその時ではない。
デイブ・ブレイルスフォードGM(イネオス・グレナディアーズ)
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いつ何が起こるかは誰にもわからない。長年自転車レースを見ている人でも、あの(ポガチャルの)走りは滅多に見られるものではない。素晴らしかった、脱帽だよ。1人だけ異次元の走りを見せ、とても勇気のいるアタックだったと思う。しかし、全員が今日のような激しいレースを続けるのであれば、誰が2週間半後に立っていられるのだろうか。ポガチャルは現状で最も強い選手だが、まだまだ先は長い。
text:Sotaro.Arakawa
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