2021/07/03(土) - 05:07
全長249.1kmという最長コースで行われたツール・ド・フランス第7ステージでマイヨジョーヌやマイヨヴェールを含む29名の逃げ集団が先行。マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)が独走逃げ切り勝利を飾り、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)が総合リードを広げ、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)が脱落した。
ヴィエルゾンの街をスタートしていく photo:Luca Bettini
7月2日(金)第7ステージ
ヴィエルゾン〜ル・クルーゾ
距離:249.1km
獲得標高差:3,200m
天候:晴れ時々曇り
気温:26度
7月2日(金)第7ステージ ヴィエルゾン〜ル・クルーゾ 249.1km image:A.S.O.
7月2日(金)第7ステージ ヴィエルゾン〜ル・クルーゾ 249.1km image:A.S.O.
ブルターニュ地方からアルプス山脈までの大移動の途中に、21世紀に入ってから最も長い249.1kmというマラソンステージが用意された。距離が長いだけではなく、獲得標高差が3,200mに達するアップダウンコース。その起伏の大半は後半100kmに詰め込まれており、合計5つのカテゴリー山岳が選手たちを待ち受ける。
中でも注目は最後から2つ目の2級山岳シニアル・デュション(全長5.7km・平均5.7%)。後半にかけて平均勾配10%を超え、最大勾配18%をマークする激坂が残り18km地点に置かれ、そこからさらに4級山岳ラ・グルロワ峠を経てル・クルーゾの登りスプリントで決する。アルプス突入前日の足慣らしと言うにはいささか厳しいコースに177名の選手たちが挑んだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
115.4km地点 スプリントポイント
161.5km地点 3級山岳シャトーシノン(全長3.2km・平均5.3%)
178.2km地点 4級山岳グリューアングレンヌ(全長2.6km・平均4.2%)
213.8km地点 3級山岳ラ・クロワ・ド・ラ・リベラシオン(全長4.6km・平均5.3%)
231km地点 ボーナス/2級山岳シニアル・デュション(全長5.7km・平均5.7%・最大18%)
241.2km地点 4級山岳ラ・グルロワ峠(全長2.4km・平均5.3%)
ブールジュの街を通過するプロトン photo:Kei Tsuji
マイヨジョーヌがマイヨジョーヌを守るために逃げる
レースはスタートの瞬間から高速化した。ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ)やフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)、カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)らが果敢に飛び出し、ここに総合3位ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)も加わる。宿敵であり盟友のアタックに呼応するようにマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)も集団先頭から飛び出すと、フィニッシュまで200kmを残して29名の逃げ集団が形成された。
逃げが決まらず、高速走行が続く photo:Kei Tsuji
29名の逃げ集団を見送ったメイン集団 photo:Luca Bettini
マイヨブランのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Luca Bettini
総合1位ファンデルプール、総合3位ファンアールト、総合11位アスグリーン、総合19位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)、さらに総合ですでに12分以上遅れているサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)、マイヨヴェールを着るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を含む強力な逃げ集団。猛烈なスピードでアタック合戦が繰り広げられ、逃げ集団吸収後も高速走行が続いたためレース1時間目の平均スピードは51.6km/に達している。
逃げ集団を形成した29名の選手たち
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)総合1位
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)総合53位/8分53秒遅れ
ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)総合3位/30秒遅れ
マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)総合19位/2分55秒遅れ
トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)総合28位/4分29秒遅れ
カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)総合11位/1分49秒遅れ
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ポイント賞1位
イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)
イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・NIPPO)総合31位/4分47秒遅れ
マグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)
ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン)
ミヒャエル・シェアー(スイス、アージェードゥーゼール・シトロエン)
セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)総合23位/3分38秒遅れ
フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)
ハリー・スウェニー(オーストラリア、ロット・スーダル)
マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)総合33位/4分59秒遅れ
サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)
ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ・プレミアテック)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ)
ヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)7分17秒遅れ
ボーイ・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
フランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)
ステージ優勝経験者10名(ファンデルプール、ニバリ、クラーウアナスン、イェーツ、ジルベール、カヴェンディッシュ、バークランツ、コルトニールセン、テウニッセン)を含む逃げ集団に対し、UAEチームエミレーツとトタルエネルジーがメイン集団を牽引して追いかけたもののタイム差は広がるばかり。フィニッシュまで100kmを残してここまでのステージで最も大きな6分のタイム差がつき、その後も拡大傾向のままステージ後半の山岳区間に差し掛かった。
逃げ集団の先頭で顔を見合わせるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Luca Bettini
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)らが逃げ集団を牽引する photo:Luca Bettini
最終的に29名の大きな逃げ集団が先行した photo:Kei Tsuji
UAEチームエミレーツとトタルエネルジーが牽引するメイン集団 photo:Kei Tsuji
最初の3級山岳シャトーシノンで早速マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)とブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)の先行が始まり、ここにカンペナールツとジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が合流して先頭は4名に。
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)やマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が献身的に牽引する逃げ集団からは、スプリントポイント通過したカヴェンディッシュらが相次いで脱落した一方で、ニバリやフランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)、パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がカウンターアタックを仕掛けたが先頭には追いつかない。
この日最大の難所である2級山岳シニアル・デュションに差し掛かると、先頭ではモホリッチの独走が始まった。「ユイの壁」を彷彿とさせる激坂で先頭に立ったモホリッチはそのまま頂上を通過し、続く4級山岳ラ・グルロワ峠も独走通過。この日だけで11ポイントを稼いで山岳賞ランキングトップに立ったモホリッチが、ストゥイヴェンらの追走を振り切ってフィニッシュまで逃げ切った。
残り87km地点で飛び出したマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)とブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Luca Bettini
カンペナールツやストゥイヴェンを従えて逃げるマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
独走に持ち込んだマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
2017年にブエルタ・ア・エスパーニャで、2018年にジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾っているモホリッチが自身初のツールステージ優勝。2013年のU23世界チャンピオンは「超強力なメンバーの逃げだったので、終盤の登り勝負になれば勝ち目がないと思った。だから早めに仕掛けようと思っていた。でも実は最初の飛び出しは山岳賞ジャージのための動きで、気がついたらタイム差がついていたのでそのまま踏むことにした」と振り返る。
「今日は絶好のチャンスだと思っていた。ずっとこのステージを狙っていたんだ。ジロとブエルタのステージ優勝経験があるけど、この勝利はやっぱり別格。間違いなくキャリア最大の勝利。まだ自分向きのステージがもう一つだけあるので、そこでも勝利を狙いたい。そしてこのジャージ(マイヨアポワ)に敬意を表して、明日からも逃げたい」。
終始ファンアールトとランデブー走行しながら、登りで飛び出していた逃げのライバルたちを捕らえたファンデルプールは1分40秒遅れのグループでフィニッシュ。スプリントでマグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)に敗れたためボーナスタイム獲得を逃したものの、ファンデルプールがマイヨジョーヌのリード拡大に成功した。
追走を振り切って独走勝利したマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
独走でフィニッシュラインを着るマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Kei Tsuji
フィニッシュラインに向かってスプリントするマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:Kei Tsuji
メイン集団ではログリッチが脱落し、カラパスがアタック
先頭から6分遅れで2級山岳シニアル・デュションに差し掛かったメイン集団からピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)が飛び出すと、後方では総合10位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が脱落。すでにチームメイトを失っていたログリッチは懸命にペースを刻んだものの、メイン集団とのタイム差は広がっていく。続いて脱落したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)は集団復帰を果たしたが、ログリッチはメイン集団から3分48秒遅れる結果となった。
ログリッチのいないメイン集団から、ラトゥールに続いて飛び出したのは2019年ジロ・デ・イタリア覇者のリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)。急勾配区間で仕掛けたカラパスは30秒のリードで独走に持ち込むことに成功する。
イネオスの実質的な単独エースとなったカラパスの独走。しかし30名ほどまで人数を増やしたメイン集団がじわりとその差を詰めた。スプリント体制に入ったメイン集団が最終ストレートでカラパスを吸収される。5分15秒遅れのメイン集団はジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を先頭にフィニッシュした。ログリッチを除くマイヨジョーヌ候補たちは同タイムでフィニッシュしている。
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の後ろに集団が迫る photo:Kei Tsuji
5分15秒遅れの集団先頭でフィニッシュするジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Luca Bettini
この日は合計18名が逃げ切りを果たし、アスグリーンとモホリッチ、ニバリが総合トップ10にジャンプアップした。この日の主役であるファンデルプールとファンアールトが総合1位と2位で、両者の総合タイム差は30秒のまま。ポガチャルが総合2位から5位にダウンしたことで、ファンアールトは翌日以降のマイヨジョーヌ獲得に可能性をつなげたと言える。
マイヨジョーヌを守るためにマイヨジョーヌを着て逃げたファンデルプールは「こんなに長いレースを走るのは稀なことで、最後は空っぽだった。限界まで追い込んでマイヨジョーヌを守ったことに満足している。(アルプスの登りをこなすには)身体が重すぎるかもしれないけど、できるだけ長くこのジャージを着続けたい」とコメントする。
同郷スロベニア出身のステージ優勝者モホリッチを表彰台裏で祝福し、その後マイヨブランを受け取ったポガチャルは「まだまだ山岳ステージが多く残っているとはいえ、ファンデルプールやファンアールトに7分先行されるのは危険な展開だった。全力でタイム差を詰めようとしてくれたチームを誇りに思う。でもチームメイトは間違いなく疲弊しているので、明日は自力でライバルたちの動きをマークしないといけない」と語る。翌日からのアルプス2連戦でマイヨジョーヌ争いは前半戦のクライマックスを迎える。
ステージ優勝を飾ったマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Kei Tsuji
総合リード拡大に成功したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:Kei Tsuji
マイヨアポワも手にしたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Luca Bettini
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7月2日(金)第7ステージ
ヴィエルゾン〜ル・クルーゾ
距離:249.1km
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天候:晴れ時々曇り
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ブルターニュ地方からアルプス山脈までの大移動の途中に、21世紀に入ってから最も長い249.1kmというマラソンステージが用意された。距離が長いだけではなく、獲得標高差が3,200mに達するアップダウンコース。その起伏の大半は後半100kmに詰め込まれており、合計5つのカテゴリー山岳が選手たちを待ち受ける。
中でも注目は最後から2つ目の2級山岳シニアル・デュション(全長5.7km・平均5.7%)。後半にかけて平均勾配10%を超え、最大勾配18%をマークする激坂が残り18km地点に置かれ、そこからさらに4級山岳ラ・グルロワ峠を経てル・クルーゾの登りスプリントで決する。アルプス突入前日の足慣らしと言うにはいささか厳しいコースに177名の選手たちが挑んだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
115.4km地点 スプリントポイント
161.5km地点 3級山岳シャトーシノン(全長3.2km・平均5.3%)
178.2km地点 4級山岳グリューアングレンヌ(全長2.6km・平均4.2%)
213.8km地点 3級山岳ラ・クロワ・ド・ラ・リベラシオン(全長4.6km・平均5.3%)
231km地点 ボーナス/2級山岳シニアル・デュション(全長5.7km・平均5.7%・最大18%)
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逃げ集団を形成した29名の選手たち
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)総合1位
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)総合53位/8分53秒遅れ
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マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ポイント賞1位
イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)
イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・NIPPO)総合31位/4分47秒遅れ
マグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)
ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン)
ミヒャエル・シェアー(スイス、アージェードゥーゼール・シトロエン)
セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)総合23位/3分38秒遅れ
フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)
ハリー・スウェニー(オーストラリア、ロット・スーダル)
マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)総合33位/4分59秒遅れ
サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)
ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ・プレミアテック)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ)
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ボーイ・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
フランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)
ステージ優勝経験者10名(ファンデルプール、ニバリ、クラーウアナスン、イェーツ、ジルベール、カヴェンディッシュ、バークランツ、コルトニールセン、テウニッセン)を含む逃げ集団に対し、UAEチームエミレーツとトタルエネルジーがメイン集団を牽引して追いかけたもののタイム差は広がるばかり。フィニッシュまで100kmを残してここまでのステージで最も大きな6分のタイム差がつき、その後も拡大傾向のままステージ後半の山岳区間に差し掛かった。
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クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)やマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が献身的に牽引する逃げ集団からは、スプリントポイント通過したカヴェンディッシュらが相次いで脱落した一方で、ニバリやフランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)、パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がカウンターアタックを仕掛けたが先頭には追いつかない。
この日最大の難所である2級山岳シニアル・デュションに差し掛かると、先頭ではモホリッチの独走が始まった。「ユイの壁」を彷彿とさせる激坂で先頭に立ったモホリッチはそのまま頂上を通過し、続く4級山岳ラ・グルロワ峠も独走通過。この日だけで11ポイントを稼いで山岳賞ランキングトップに立ったモホリッチが、ストゥイヴェンらの追走を振り切ってフィニッシュまで逃げ切った。
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2017年にブエルタ・ア・エスパーニャで、2018年にジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾っているモホリッチが自身初のツールステージ優勝。2013年のU23世界チャンピオンは「超強力なメンバーの逃げだったので、終盤の登り勝負になれば勝ち目がないと思った。だから早めに仕掛けようと思っていた。でも実は最初の飛び出しは山岳賞ジャージのための動きで、気がついたらタイム差がついていたのでそのまま踏むことにした」と振り返る。
「今日は絶好のチャンスだと思っていた。ずっとこのステージを狙っていたんだ。ジロとブエルタのステージ優勝経験があるけど、この勝利はやっぱり別格。間違いなくキャリア最大の勝利。まだ自分向きのステージがもう一つだけあるので、そこでも勝利を狙いたい。そしてこのジャージ(マイヨアポワ)に敬意を表して、明日からも逃げたい」。
終始ファンアールトとランデブー走行しながら、登りで飛び出していた逃げのライバルたちを捕らえたファンデルプールは1分40秒遅れのグループでフィニッシュ。スプリントでマグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)に敗れたためボーナスタイム獲得を逃したものの、ファンデルプールがマイヨジョーヌのリード拡大に成功した。
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メイン集団ではログリッチが脱落し、カラパスがアタック
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ログリッチのいないメイン集団から、ラトゥールに続いて飛び出したのは2019年ジロ・デ・イタリア覇者のリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)。急勾配区間で仕掛けたカラパスは30秒のリードで独走に持ち込むことに成功する。
イネオスの実質的な単独エースとなったカラパスの独走。しかし30名ほどまで人数を増やしたメイン集団がじわりとその差を詰めた。スプリント体制に入ったメイン集団が最終ストレートでカラパスを吸収される。5分15秒遅れのメイン集団はジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を先頭にフィニッシュした。ログリッチを除くマイヨジョーヌ候補たちは同タイムでフィニッシュしている。
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この日は合計18名が逃げ切りを果たし、アスグリーンとモホリッチ、ニバリが総合トップ10にジャンプアップした。この日の主役であるファンデルプールとファンアールトが総合1位と2位で、両者の総合タイム差は30秒のまま。ポガチャルが総合2位から5位にダウンしたことで、ファンアールトは翌日以降のマイヨジョーヌ獲得に可能性をつなげたと言える。
マイヨジョーヌを守るためにマイヨジョーヌを着て逃げたファンデルプールは「こんなに長いレースを走るのは稀なことで、最後は空っぽだった。限界まで追い込んでマイヨジョーヌを守ったことに満足している。(アルプスの登りをこなすには)身体が重すぎるかもしれないけど、できるだけ長くこのジャージを着続けたい」とコメントする。
同郷スロベニア出身のステージ優勝者モホリッチを表彰台裏で祝福し、その後マイヨブランを受け取ったポガチャルは「まだまだ山岳ステージが多く残っているとはいえ、ファンデルプールやファンアールトに7分先行されるのは危険な展開だった。全力でタイム差を詰めようとしてくれたチームを誇りに思う。でもチームメイトは間違いなく疲弊しているので、明日は自力でライバルたちの動きをマークしないといけない」と語る。翌日からのアルプス2連戦でマイヨジョーヌ争いは前半戦のクライマックスを迎える。



ツール・ド・フランス2021第7ステージ結果
1位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 5:28:20 |
2位 | ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | 0:01:20 |
3位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:01:40 |
4位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | |
5位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | フランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ・KTM) | |
7位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
9位 | ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:44 |
10位 | ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:02:45 |
11位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
12位 | ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ・プレミアテック) | 0:02:57 |
13位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
14位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | |
15位 | クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 0:04:22 |
16位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル) | |
17位 | ヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 0:04:25 |
18位 | セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM) | 0:04:32 |
19位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:05:15 |
20位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
21位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | |
22位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) | |
24位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | |
25位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | |
26位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
37位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | |
41位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
49位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) | |
65位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:09:03 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 25:39:17 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:30 |
3位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:49 |
4位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:03:01 |
5位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:03:43 |
6位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:04:12 |
7位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04:23 |
8位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:04:56 |
9位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) | 0:05:03 |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:05:04 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 168pts |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 103pts |
3位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 102pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 11pts |
2位 | イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 5pts |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 4pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 25:43:00 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:35 |
3位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:27 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 77:09:12 |
2位 | トレック・セガフレード | 0:00:13 |
3位 | EFエデュケーション・NIPPO | 0:02:25 |
text:Kei Tsuji in Le Creusot, France
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