2021/06/30(水) - 10:58
「このチームで最後に挙げた勝利がここフジェールだった。これ以上完璧な勝利はない」と語るのは、ツール第4ステージで5年ぶりに優勝したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)。残り150mまで逃げたファンムールや、ルフェーブルGMなどのコメントを紹介します。
ステージ1位&マイヨヴェール(ポイント賞) マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
なんて言えばいいかわからない。一時は戻ることさえできないと思っていたこの場所に、戻ってこれただけで特別なことなのに。信じられない。多くの人とは違い、僕(の復活)を最後まで信じてくれた彼らのおかげだ。
マイヨヴェールを着る世界王者(アラフィリップ)が僕のために力を尽くし、アシストしてくれた。その後はミケル(モルコフ)が賢い走りで、僕を常に冷静にしてくれた。彼らが僕をやる気にさせたんだ。最終局面は慌ただしく、当初の計画を捨てて対応しなければならなかった。完璧な位置まで運んでくれた彼らには感謝しかない。
このチームで最後に勝ったステージが、ここフジェールだった。同じ場所で再び手を上げ勝利を喜べるなんて、これ以上完璧なことはあるのだろうか。小説だとしても出来すぎだ。選手生活を通して沢山の勝利を挙げてきたが、この勝利は間違いなくキャリア最高の勝利の1つだ。パトリック(ルフェーブルGM)やコーチ、チームのみんなに感謝している。
ステージ2位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
最終コーナーで内側を取らなければとわかっていたのだが、スプリントが開始した時点ではすでにもう遅かった。昨日は3位で今日は2位。だがまだ勝つチャンスが6つ残っている。次はシャトールー(第6ステージ)だ。
ステージ3位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
チームに3勝目を届けられず残念だ。だが生ける伝説マーク・カヴェンディッシュとスプリントで争うことは喜びでしかない。また次の機会で頑張るよ。
ステージ4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
例年のツール・ド・フランスと同様に熱い戦いだった。チームにはスプリントで勝負できる選手が僕とルカ・メズゲッツしかいないので、集団の中でじっと待ち、最終局面で前に出た。ルカによる素晴らしい働きのおかげで最後に良い位置につくことができ、4位に入ることができた。もちろん勝利のためにここに来たが、4位という結果には満足している。
ステージ5位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
昨日の落車の影響は酷く、まだ膝が痛む。だが最後の35kmからは徐々に調子がよくなっていった。トリッキーな区間でも、チームは素晴らしい働きで位置取りをしてくれた。特にニルス(ポリッツ)とダニエル(オス)の働きは素晴らしかった。ファンムールを追いかけていたせいで、残り5kmから集団は慌ただしかった。そこからポジションを落としてしまい、最後の1kmまでに取り戻すことができず、かなり後ろからのスプリントになってしまったんだ。だが来るステージに向けて気持ちは前向きだよ。
敢闘賞 ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)
カレブ・ユアンがレースを去り、チームのスプリンターを失ってしまった。昨晩の食事は静かだったよ。なぜならこのチームはカレブ中心に組まれ、まだスプリントステージは多く残っているのだからね。だから戦術を変え、積極的にいったんだ。
残り15kmを過ぎた辺りでチームメイトが無線で「勝てるぞ!」と言ってくれ、その言葉が大きなブーストになった。残念ながらあと100mのところで捉まってしまったが、チームが僕をツールに選び、それが間違っていなかったと証明することができた。2週目もまた逃げたいと持っている。僕はまだ23歳だ。まだチャンスはたくさんあるだろう。
マイヨジョーヌ マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
今日もこのマイヨジョーヌを楽しみ、天気も良く沿道にはたくさんの観客がいた。最後は僕らのスプリンターのために良い仕事ができたと思うが、そんな毎日勝てるわけはない。現実的に考えれば、明日(の個人TT)は難しいだろう。それほどタイムトライアルには取り組んでいないし、マイヨジョーヌを守るためベストは尽くすが、難しいだろう。
総合4位(31秒遅れ) ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
今日は集団スプリントの妨げにならないよう走った。幸運にもチームは無事にこのステージを終えることができ、僕個人としては明日のタイムトライアルに集中している。目標は勝利、そしてマイヨジョーヌだ。明日が楽しみだし、ベストを尽くす。
パトリック・ルフェーブルGM(ドゥクーニンク・クイックステップ)
グランツールで100勝以上しているが、スタッフ全員が泣いたのは初めてだ。全員彼の勝利に心動かされたのだろう。カヴェンディッシュはツールの初日からここで2015年に勝ったという話をしていた。彼はまるで初めてのレースを走る少年のようにやる気に満ち溢れていた。
8ヶ月前、カヴェンディッシュには所属チームがなかった。そこで私がチームに招き入れたんだ。コロナ禍で来るのを嫌がっていた彼をツアー・オブ・ターキーに呼び、そこで4勝を挙げた。当初、彼はツールのメンバーには入っていなかったのだが、ツールに出発する3日前に急遽メンバーに入れたんだ。そしてここで再び勝利を挙げた。これで感動しない人間がいるのならば、そいつの心は一生動かないだろう。
彼は(所属当時から)このチームを離れたいと思ったことはなかったそうだが、プロ選手にはお金の事情が関わるものだ。彼は私に4年もの間ずっと「戻りたい」と訴えていたのだが、私は「時が来るのを待つんだ」と諭していた。そしてその時が来た。
「ありがとう」とはありきたりな言葉だが、彼の「ありがとう」には本当に心がこもっている。そんな彼に私は「感謝なんてしなくていい。君はここに最低年俸でやってきた。私は君にチャンスを与え、その恩はペダルで返してくれ」と伝え、彼はそれをやってのけた。
text:Sotaro.Arakawa
ステージ1位&マイヨヴェール(ポイント賞) マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
なんて言えばいいかわからない。一時は戻ることさえできないと思っていたこの場所に、戻ってこれただけで特別なことなのに。信じられない。多くの人とは違い、僕(の復活)を最後まで信じてくれた彼らのおかげだ。
マイヨヴェールを着る世界王者(アラフィリップ)が僕のために力を尽くし、アシストしてくれた。その後はミケル(モルコフ)が賢い走りで、僕を常に冷静にしてくれた。彼らが僕をやる気にさせたんだ。最終局面は慌ただしく、当初の計画を捨てて対応しなければならなかった。完璧な位置まで運んでくれた彼らには感謝しかない。
このチームで最後に勝ったステージが、ここフジェールだった。同じ場所で再び手を上げ勝利を喜べるなんて、これ以上完璧なことはあるのだろうか。小説だとしても出来すぎだ。選手生活を通して沢山の勝利を挙げてきたが、この勝利は間違いなくキャリア最高の勝利の1つだ。パトリック(ルフェーブルGM)やコーチ、チームのみんなに感謝している。
ステージ2位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
最終コーナーで内側を取らなければとわかっていたのだが、スプリントが開始した時点ではすでにもう遅かった。昨日は3位で今日は2位。だがまだ勝つチャンスが6つ残っている。次はシャトールー(第6ステージ)だ。
ステージ3位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
チームに3勝目を届けられず残念だ。だが生ける伝説マーク・カヴェンディッシュとスプリントで争うことは喜びでしかない。また次の機会で頑張るよ。
ステージ4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
例年のツール・ド・フランスと同様に熱い戦いだった。チームにはスプリントで勝負できる選手が僕とルカ・メズゲッツしかいないので、集団の中でじっと待ち、最終局面で前に出た。ルカによる素晴らしい働きのおかげで最後に良い位置につくことができ、4位に入ることができた。もちろん勝利のためにここに来たが、4位という結果には満足している。
ステージ5位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
昨日の落車の影響は酷く、まだ膝が痛む。だが最後の35kmからは徐々に調子がよくなっていった。トリッキーな区間でも、チームは素晴らしい働きで位置取りをしてくれた。特にニルス(ポリッツ)とダニエル(オス)の働きは素晴らしかった。ファンムールを追いかけていたせいで、残り5kmから集団は慌ただしかった。そこからポジションを落としてしまい、最後の1kmまでに取り戻すことができず、かなり後ろからのスプリントになってしまったんだ。だが来るステージに向けて気持ちは前向きだよ。
敢闘賞 ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)
カレブ・ユアンがレースを去り、チームのスプリンターを失ってしまった。昨晩の食事は静かだったよ。なぜならこのチームはカレブ中心に組まれ、まだスプリントステージは多く残っているのだからね。だから戦術を変え、積極的にいったんだ。
残り15kmを過ぎた辺りでチームメイトが無線で「勝てるぞ!」と言ってくれ、その言葉が大きなブーストになった。残念ながらあと100mのところで捉まってしまったが、チームが僕をツールに選び、それが間違っていなかったと証明することができた。2週目もまた逃げたいと持っている。僕はまだ23歳だ。まだチャンスはたくさんあるだろう。
マイヨジョーヌ マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
今日もこのマイヨジョーヌを楽しみ、天気も良く沿道にはたくさんの観客がいた。最後は僕らのスプリンターのために良い仕事ができたと思うが、そんな毎日勝てるわけはない。現実的に考えれば、明日(の個人TT)は難しいだろう。それほどタイムトライアルには取り組んでいないし、マイヨジョーヌを守るためベストは尽くすが、難しいだろう。
総合4位(31秒遅れ) ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
今日は集団スプリントの妨げにならないよう走った。幸運にもチームは無事にこのステージを終えることができ、僕個人としては明日のタイムトライアルに集中している。目標は勝利、そしてマイヨジョーヌだ。明日が楽しみだし、ベストを尽くす。
パトリック・ルフェーブルGM(ドゥクーニンク・クイックステップ)
グランツールで100勝以上しているが、スタッフ全員が泣いたのは初めてだ。全員彼の勝利に心動かされたのだろう。カヴェンディッシュはツールの初日からここで2015年に勝ったという話をしていた。彼はまるで初めてのレースを走る少年のようにやる気に満ち溢れていた。
8ヶ月前、カヴェンディッシュには所属チームがなかった。そこで私がチームに招き入れたんだ。コロナ禍で来るのを嫌がっていた彼をツアー・オブ・ターキーに呼び、そこで4勝を挙げた。当初、彼はツールのメンバーには入っていなかったのだが、ツールに出発する3日前に急遽メンバーに入れたんだ。そしてここで再び勝利を挙げた。これで感動しない人間がいるのならば、そいつの心は一生動かないだろう。
彼は(所属当時から)このチームを離れたいと思ったことはなかったそうだが、プロ選手にはお金の事情が関わるものだ。彼は私に4年もの間ずっと「戻りたい」と訴えていたのだが、私は「時が来るのを待つんだ」と諭していた。そしてその時が来た。
「ありがとう」とはありきたりな言葉だが、彼の「ありがとう」には本当に心がこもっている。そんな彼に私は「感謝なんてしなくていい。君はここに最低年俸でやってきた。私は君にチャンスを与え、その恩はペダルで返してくれ」と伝え、彼はそれをやってのけた。
text:Sotaro.Arakawa
Amazon.co.jp