2021/06/29(火) - 11:33
再び落車が続出したツール第3ステージ。マイヨジョーヌに導かれ勝利したティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)や3位のブアニ、タイムを失ったポガチャル、落車したログリッチやユアンなどのコメントを紹介します。
ステージ1位 ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
ステージ初優勝を飾ったティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:Kei Tsuji
まるで夢の中にいるようなだ。ジロ・デ・イタリアの勝利ですでに満足していたが、今度は世界で一番大きなツールという舞台での勝利だ。とても信じられないよ。
彼(マチュー・ファンデルプール)がリードアウトを申し出たとき僕は「君はクレイジーだね」って言ったんだ。そして彼は喜んでその役割を全うしてくれた。残り700mからジャスパー(フィリプセン)がリードアウトを引き継いでくれ、残り150mからは全力で踏むだけだった。後ろを振り返っても誰もついてこなかったのは落車があったからだろうね。
(人差し指を口に当てるポーズについて)あれは今朝ジョナス・リカールトと話し合って決めていた。本当にツールで勝てたなんて信じられない。夢みたいだよ。
ステージ3位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
落車を寸前で回避し3位でフィニッシュしたナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック) photo:CorVos
ツールで最初のスプリントは位置取りが重要だとわかっていた。全員が集団前方に上がろうとするせいで、プロトンではたくさんの衝突が起こり緊張感があった。3位という結果は嬉しいが、満足はしていない。何よりも落車せずにフィニッシュできてよかった。(落車した)カレブ・ユアンの横ギリギリをすり抜けたからね。次のスプリントでも今日のような脚があることを願っている。
ステージ5位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
当然落車なんて見たくない。ログリッチの落車は不運だった。フィニッシュに続く狭い道を、集団は右に左に蛇行しながら進んでいた。ログリッチが後ろから上がってきた瞬間、僕らのハンドルが絡まってしまったんだ。2人とも落車しそうになったが、幸運にも僕は免れた。彼の落車直後に僕がしたジェスチャーは、恐怖を表しているだけでそれ以外の意味はない。ログリッチのことは残念に思うし起きてほしくなかったことだが、僕が責められるべきではない。
ステージ7位&マイヨジョーヌ マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
マイヨジョーヌを守ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:Kei Tsuji
マイヨジョーヌを着て走る特別な一日だった。晴れの日の方が輝くので雨は少し残念だったが、勝つことができてチームとしても特別な日になったよ。夢はまだ続いていくようだ。
落車が多発する大変なステージだったが、マイヨジョーヌの力もあってか調子が良かったのでチームメイトの安全を確保しようと前に出た。ティム(メルリール)は最後2、3kmでの位置取りを好むから、残り1kmまでリードアウトしたんだ。その後はアラフィリップと数秒差があるとわかっていたので先頭集団でフィニッシュした。
リードアウトするのは好きだし、いつも僕の為に働いてくれる彼らに恩返ししたかったんだ。(チームが2連勝し)この後に得られる結果はボーナスみたいなものだ。ここまでで既に素晴らしいツール・ド・フランスになっているよ。
ステージ35位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
表情は冴えないが、マイヨブランを守ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Kei Tsuji
良い一日にはならず、多くの落車が発生する大変なステージになった。何が起きたのかわからない。コースは狭く凸凹していて、とにかく混沌としていた。チームメイトが目の前で落車し、なんとか倒れる選手たちを避けて僕自身の落車は免れた。闘技場かと思うほど酷い有り様だった。その後はなんとか先頭集団に追いつこうと試みたのだだが、数秒届かなかった。
フィニッシュしても何秒失ったかも知らなかったので、マイヨブランをキープできたかどうかもわからなかった。ライバル選手たちが落車しタイムを失ったと聞いたが、そんなのは見たくなかった。開幕からストレスフルなステージが続いているので、早く落ち着くことを願っている。
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
1分21秒遅れでフィニッシュしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
骨折はなかったものの身体は傷だらけ。だが幸い身体は無事だった。最良の一日ではなかったが、このままレースを続けていく。最後はストレスフルな道が続いた。主催者を責めるような立場ではないし、何が起きたのかも見ていない。だが何人かの選手が地面に転がっている姿は見えた。このレースのため、ここにいる全員が一生懸命トレーニングに励んできたのに、こんなことがあってはならない。まずはこれからの数日間を乗り切らなければならない。だがレースが続いていく限り、戦いは続いていく。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
幸運にもペダルから足を外すことができ、落車は免れた。だが前輪のスポークがいくつか飛んで壊れてしまった。いつものツール・ド・フランスよりもストレスの多い日だったよ。
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
落車から再乗車してフィニッシュに向かうペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto AYANO
緊張の強いられるステージを予想していたが、中間スプリントを境に一気に慌ただしくなった。調子は良く、チームのみんなや特にニルス(ポリッツ)が素晴らしい働きで位置取りをしてくれた。最終ストレートでは良い位置につき勝利を争う準備が整ったのだが、残念ながらカレブ・ユアンと一緒に転倒してしまった。なんとか立ち上がってバイクに乗りフィニッシュラインを越えることができたが、もちろん思い描いていた形ではなかった。今日落車した全ての選手が無事を願っている。
カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
リタイアしたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:Makoto AYANO
落車は一瞬だったので何が起きたのかあまり覚えていない。だがコーナーから早めに仕掛けようと思った記憶はある。僕らは集団の左側からスプリントを開始したのだが、前の選手たちが右側を閉じたので、力を緩め開くのを待ったんだ。そのとき隣にペテル・サガンがいて、僕らと極めて近い距離に前の選手たちがいた。メルリールが右に進路を取った瞬間、その後輪に触れてしまった。ツール・ド・フランスが終わったとわかるまで、それほど時間はかからなかった。いつも落車の時はアドレナリンが出ているから痛みは感じないんだが、あの瞬間は大変な痛みで、医療スタッフに鎖骨を触られて折れているのが自分でもわかった。
骨折は始めてだ。どうやら折れている部分が4つに分かれ、手術が必要みたいだ。骨は折れるものだし、鎖骨骨折は最も早く治る箇所だと思う。残念だがこれも自転車レースだ。回復に励み、未来の計画について考えるよ。まだブエルタまでは時間があるので、今年の目標を達成できるといいな。
アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)
今日のステージを考えた人間は、曲がりくねった5m幅の道を180名の選手と一緒に走ってみるべきだ。もちろん我々選手は最後までレースを続けたが、同時にフィニッシュ地点を5km手前にする要求は却下された。
ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の容態について語るチームドクター
ジャックは落車により左の鎖骨骨折と脳震盪を起こした。現在は意識もはっきりしており、検査の結果頭部に外傷も見つからなかった。チームとUCIのプロトコルに従い、一晩入院して経過観察をする予定だ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ステージ1位 ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
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まるで夢の中にいるようなだ。ジロ・デ・イタリアの勝利ですでに満足していたが、今度は世界で一番大きなツールという舞台での勝利だ。とても信じられないよ。
彼(マチュー・ファンデルプール)がリードアウトを申し出たとき僕は「君はクレイジーだね」って言ったんだ。そして彼は喜んでその役割を全うしてくれた。残り700mからジャスパー(フィリプセン)がリードアウトを引き継いでくれ、残り150mからは全力で踏むだけだった。後ろを振り返っても誰もついてこなかったのは落車があったからだろうね。
(人差し指を口に当てるポーズについて)あれは今朝ジョナス・リカールトと話し合って決めていた。本当にツールで勝てたなんて信じられない。夢みたいだよ。
ステージ3位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
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ツールで最初のスプリントは位置取りが重要だとわかっていた。全員が集団前方に上がろうとするせいで、プロトンではたくさんの衝突が起こり緊張感があった。3位という結果は嬉しいが、満足はしていない。何よりも落車せずにフィニッシュできてよかった。(落車した)カレブ・ユアンの横ギリギリをすり抜けたからね。次のスプリントでも今日のような脚があることを願っている。
ステージ5位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
当然落車なんて見たくない。ログリッチの落車は不運だった。フィニッシュに続く狭い道を、集団は右に左に蛇行しながら進んでいた。ログリッチが後ろから上がってきた瞬間、僕らのハンドルが絡まってしまったんだ。2人とも落車しそうになったが、幸運にも僕は免れた。彼の落車直後に僕がしたジェスチャーは、恐怖を表しているだけでそれ以外の意味はない。ログリッチのことは残念に思うし起きてほしくなかったことだが、僕が責められるべきではない。
ステージ7位&マイヨジョーヌ マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
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マイヨジョーヌを着て走る特別な一日だった。晴れの日の方が輝くので雨は少し残念だったが、勝つことができてチームとしても特別な日になったよ。夢はまだ続いていくようだ。
落車が多発する大変なステージだったが、マイヨジョーヌの力もあってか調子が良かったのでチームメイトの安全を確保しようと前に出た。ティム(メルリール)は最後2、3kmでの位置取りを好むから、残り1kmまでリードアウトしたんだ。その後はアラフィリップと数秒差があるとわかっていたので先頭集団でフィニッシュした。
リードアウトするのは好きだし、いつも僕の為に働いてくれる彼らに恩返ししたかったんだ。(チームが2連勝し)この後に得られる結果はボーナスみたいなものだ。ここまでで既に素晴らしいツール・ド・フランスになっているよ。
ステージ35位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
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フィニッシュしても何秒失ったかも知らなかったので、マイヨブランをキープできたかどうかもわからなかった。ライバル選手たちが落車しタイムを失ったと聞いたが、そんなのは見たくなかった。開幕からストレスフルなステージが続いているので、早く落ち着くことを願っている。
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
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マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
幸運にもペダルから足を外すことができ、落車は免れた。だが前輪のスポークがいくつか飛んで壊れてしまった。いつものツール・ド・フランスよりもストレスの多い日だったよ。
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
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カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
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落車は一瞬だったので何が起きたのかあまり覚えていない。だがコーナーから早めに仕掛けようと思った記憶はある。僕らは集団の左側からスプリントを開始したのだが、前の選手たちが右側を閉じたので、力を緩め開くのを待ったんだ。そのとき隣にペテル・サガンがいて、僕らと極めて近い距離に前の選手たちがいた。メルリールが右に進路を取った瞬間、その後輪に触れてしまった。ツール・ド・フランスが終わったとわかるまで、それほど時間はかからなかった。いつも落車の時はアドレナリンが出ているから痛みは感じないんだが、あの瞬間は大変な痛みで、医療スタッフに鎖骨を触られて折れているのが自分でもわかった。
骨折は始めてだ。どうやら折れている部分が4つに分かれ、手術が必要みたいだ。骨は折れるものだし、鎖骨骨折は最も早く治る箇所だと思う。残念だがこれも自転車レースだ。回復に励み、未来の計画について考えるよ。まだブエルタまでは時間があるので、今年の目標を達成できるといいな。
アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)
今日のステージを考えた人間は、曲がりくねった5m幅の道を180名の選手と一緒に走ってみるべきだ。もちろん我々選手は最後までレースを続けたが、同時にフィニッシュ地点を5km手前にする要求は却下された。
ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の容態について語るチームドクター
ジャックは落車により左の鎖骨骨折と脳震盪を起こした。現在は意識もはっきりしており、検査の結果頭部に外傷も見つからなかった。チームとUCIのプロトコルに従い、一晩入院して経過観察をする予定だ。
text:Sotaro.Arakawa
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