クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ最終ステージは、逃げ集団からさらに登りで抜け出したエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)が区間優勝。危なげない走りを見せたヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)が初の総合優勝に輝いた。

ラフォールの丘で形成された17名の逃げグループラフォールの丘で形成された17名の逃げグループ photo:Cor Vos昨日のラルプデュエズでほぼ総合争いは決着したクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010。リーダージャージを着るヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)と総合2位のアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)との差は1分41秒。

第7ステージはドマンシィの丘をレース後半に5周回するプチ山岳コースだが、結局は総合争いの動きが勃発することはなかった。

集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)とヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)とヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) photo:Cor Vosレースは62km地点、ラフォールの丘を登ったところで17名の逃げ集団が形成。ここには、エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)、レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)、デーヴィド・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)ら各チームのエースあるいはサブエースが入り込んだ。

この強力なメンバーを警戒して、メイン集団ではアージェードゥーゼルとソール・ソジャサンがコントロールを開始。それぞれ総合7位のクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)、総合6位のジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)の順位を守るための動きだ。残り30km地点で、その差は2分。

残り7kmでアタックを決めるエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)残り7kmでアタックを決めるエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Cor Vos3度目の3級山岳の山頂を越えたところで、逃げグループ内のポリオルが落車。総合14位につけていた彼は、雨に濡れた下りで手痛いタイムロスを負ってしまう。

この落車の影響で逃げグループは分断。先頭はボアッソン、ルメヴェル、アルカイツ・デュラン(スペイン、フットオン・セルヴェット)、イヴァン・サンタロミータ(イタリア、リクイガス・ドイモ)、エゴル・シリン(ロシア、カチューシャ)の5人に。

独走勝利を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)独走勝利を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Cor Vos最終周回の登り、残り7kmで先頭からボアッソンがアタック。デュランが追いすがるが、ボアッソンの勢いについていくことができない。そのまま単独で山頂を通過したボアッソンは、濡れた下りをゴールに向けてひた走る。

この3年、TTノルウェーチャンピオンのタイトルホルダーのボアッソンは、低いポジションで残り1kmを駆け抜け、単独でゴールに飛び込んだ。若干23才のボアッソンは、すでに多くのレースで勝利している若手有望株。ティレーノ〜アドリアティコの集団スプリントでアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)を破って以来の勝利となった。

総合表彰台、左から2位アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)、優勝ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)、3位タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)総合表彰台、左から2位アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)、優勝ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)、3位タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos2位には追い込んだデュランが入り、3位4位にはそれぞれ逃げていたシリン、ルメヴェルが入った。後続は総合上位陣のグループによるスプリントに持ち込まれ、タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)がコンタドールを下して5位。

同じグループでゴールしたブライコヴィッチはタイム差無しの10位に入り、ゴールラインでは小さくガッツポーズ。これまでステージレーサーとして将来を嘱望されてきたスロベニア人が、ついにビッグタイトルに輝いた。

このことはツール・ド・フランスでレディオシャックのエースを務めるランス・アームストロング(アメリカ)にとっても好材料。他にもレディオシャックのアシスト勢が見せたチーム力は、ツールに向けての仕上がりの良さを見せている。

総合成績を狙わないと公言していたアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)も、ふたを開ければ総合2位。山岳での異次元のアタックこそ影を潜めたものの、コンスタントな強さを見せつけた。ツールに向けて更にコンディションを上げてくることを考えると、やはり優勝候補の筆頭の座は揺るがないだろう。


クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第7ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)       3h39'43"
2位 アルカイツ・デュラン(スペイン、フットオン・セルヴェット)      +27"
3位 エゴル・シリン(ロシア、カチューシャ)                +32"
4位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)       +34"
5位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)    +40"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)           
7位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)     
8位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
9位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) 
10位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)      

個人総合成績
1位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)   28h06'28"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)          +1'41"
3位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア   +2'41"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+3'46"
5位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)      +4'17"
6位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム)      +4'23"
7位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)     +4'23"
8位 ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)        +6'16"
9位 クリス・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)         +6'20"
10位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ)   +6'57"

ポイント賞
アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)

山岳賞
エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)

チーム総合成績
エウスカルテル

text:Yufta Omata
photo:Cor Vos

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