2021/06/25(金) - 12:20
アルプスでの休息日とモンヴァントゥーのダブル登坂を経て、第108回ツール・ド・フランスはピレネー山脈へ。途中アンドラにも立ち寄り、超級山岳を舞台にマイヨジョーヌ争いが激化する。個人TTを経てパリ・シャンゼリゼで締めくくられる大会後半のステージを紹介します。
7月6日(火)第10ステージ
アルベールヴィル〜ヴァランス 190.7km
7月6日(火)第10ステージ アルベールヴィル〜ヴァランス 190.7km image:A.S.O.1992年に冬季オリンピックが開催されたアルベールヴィルをスタートすると聞くと誰しもが厳しいアルプス決戦を連想するが、この日の目的地は広大なローヌ渓谷のヴァランス。アルプス2連戦を終えた選手たちは、次なる決戦地であるピレネー山脈に向かって西進を開始する。第108回大会は明確にアルプスよりもピレネーの比重が高い。
190.7kmコースは平坦基調。前半に4級山岳とスプリントポイントのコブを越えると、あとはスプリンターたちのスピードを弱める要素は残っていない。ローヌ渓谷を吹き抜ける風に用心しながら、南フランスの入り口として知られるヴァランスに向かう。スプリンター向きの平坦ステージであっても、強風という落とし穴が待ち構えている可能性があるため、総合狙いの各チームは番人としての大柄なルーラーを何名かメンバー入りさせている。
残り3.2kmの直角コーナーを曲がるとひたすら直線路が続くものの、残り350mでロンポワンを右に折れる。超ハイスピードで突入するこの最終コーナーを抜けたと同時に、エーススプリンターの加速がスタート。この今大会4回目の集団スプリントを終えた頃にはマイヨヴェール争いも落ち着いているはずだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
58.5km地点 4級山岳クーズ峠(全長7.4km・平均2.8%)
82.3km地点 スプリントポイント
7月6日(火)第10ステージ アルベールヴィル〜ヴァランス 190.7km image:A.S.O.
7月7日(水)第11ステージ
ソルグ〜マロセーヌ 198.9km
7月7日(水)第11ステージ ソルグ〜マロセーヌ 198.9km image:A.S.O.ツールは「魔の山」を2度登る。遠方からその姿を仰ぐことができる「プロヴァンスの巨人」こと単独峰モンヴァントゥーを2回登っては下るを繰り返す。
前半から2つの4級山岳と1級山岳ラ・リギエール峠(全長9.3km・平均6.7%)を越えると、いよいよ1回目の1級山岳モンヴァントゥー(全長22km・平均5.1%)登坂がスタート。1回目はほとんどツールに登場したことがないという東側からの登坂で、5年前に強風のため急遽フィニッシュ地点が置かれた(フルームがランニングした)シャレ・レナールでお馴染みのルートに合流する。そこから標高1,910mの頂上までは荒涼とした山道。荒凉とした禿山には、風や太陽から身を守る樹木は存在しない。「風の山」という名前が示す通り、モンヴァントゥーでは風を味方につける必要がある。
アンテナ塔が立ったモンヴァントゥーの頂上通過後、長い下り区間を経て反時計回りに今度はベドゥワンから2回目の登坂が始まる。西側からの登坂は前半にかけて10%前後の勾配が続くため、1級山岳から超級山岳(全長15.7km・平均8.8%)にランクアップ。ボーナスポイント(8秒、5秒、2秒)が設定された超級山岳を越え、22kmにわたるダウンヒルをこなしてようやくフィニッシュにたどり着く。アルプスやピレネー以上に大きなタイム差が生まれる可能性を秘めた難関ステージだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
32.1km地点 4級山岳フォンテーヌ=ド=ボークリューズ峠(全長1.9km・平均6%)
40.2km地点 スプリントポイント
43.7km地点 4級山岳ゴルド峠(全長2.5km・平均5.1%)
83.6km地点 1級山岳ラ・リギエール峠(全長9.3km・平均6.7%)
122.5km地点 1級山岳モンヴァントゥー(全長22km・平均5.1%)
176.9km地点 ボーナス/超級山岳モンヴァントゥー(全長15.7km・平均8.8%)
7月7日(水)第11ステージ ソルグ〜マロセーヌ 198.9km image:A.S.O.
7月8日(木)第12ステージ
サン=ポール=トロワ=シャトー〜ニーム 159.4km
7月8日(木)第12ステージ サン=ポール=トロワ=シャトー〜ニーム 159.4km image:A.S.O.ピレネー山脈に向かうトランジションステージ(移動ステージ)が2日間続く。サン=ポール=トロワ=シャトーをスタートする第12ステージは、前半にかけて細かいアップダウンと小刻みなワインディングを繰り返すアルデッシュ峡谷を通過する。中盤にかけて3級山岳も設定されているが、集団スプリントで決する可能性は極めて高い。
マイヨヴェール狙いのスプリンターチームは残り27km地点のスプリントポイントとセットでステージ優勝を狙ってくる。平野ではなく延々と丘が続くエリアのため、この地方特有の暑さと相まってパフォーマンスを発揮できないスプリンターも出てくるはず。
ニームに向かう道のりはユアンが勝利した2019年大会第16ステージとほぼ同じで、サルバドールアジェンデ通りのフィニッシュラインも同じ。残り3kmから連続する市街地コーナーをこなし、残り900mの最終コーナーを曲がるとフィニッシュラインまでほぼ一直線が続いている。残り380mで通過する大きなロンポワン(ラウンドアバウト)の緩いコーナーに向けて激しい位置取りが繰り広げられるだろう。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
83.7km地点 3級山岳タロー峠(全長4.4km・平均4.6%)
132.7km地点 スプリントポイント
7月8日(木)第12ステージ サン=ポール=トロワ=シャトー〜ニーム 159.4km image:A.S.O.
7月9日(金)第13ステージ
ニーム〜カルカッソンヌ 219.9km
7月9日(金)第13ステージ ニーム〜カルカッソンヌ 219.9km image:A.S.O.ニームからカルカッソンヌまで、寄り道することなくオクシタニー地域圏を急ぎ足でまっすぐ西進。ニームの円形闘技場前をスタートする219.9kmのロングコースは再びスプリンター向きだ。
ユネスコ世界遺産の城塞都市カルカッソンヌがツールのフィニッシュを迎え入れるのは8回目だが、意外にも同地で集団スプリントが繰り広げられたことは一度もない。前回登場した2018年大会第15ステージでは3名の逃げ切りが決まっている。しかし今回はスプリンターが苦しむような登りが設定されていないため、史上初めてとなる集団スプリントで締めくくられる可能性は高い。
フラムルージュ(残り1kmアーチ)手前の鋭角コーナーを曲がると、2つの左コーナーを抜けてフィニッシュラインまで勾配1〜2%の緩斜面が続く。翌日からピレネー山岳決戦が始まるため、次の平坦コースは1週間後の第19ステージまで待たなければならない。ピュアスプリンターが勢揃いする高速バトルはここで見納めになるかもしれない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
51.5km地点 4級山岳ピック・サンルー(全長5.5km・平均3.6%)
104.2km地点 スプリントポイント
7月9日(金)第13ステージ ニーム〜カルカッソンヌ 219.9km image:A.S.O.
7月10日(土)第14ステージ
カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km
7月10日(土)第14ステージ カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km image:A.S.O.いよいよピレネー山岳決戦の初日を迎えるが、まだ難易度は序の口。登場するカテゴリー山岳は2級から3級までに限定され、獲得標高差は3,000m程度。このスプリンターには厳しく、マイヨジョーヌ争いが活発化するほど厳しくはない中級山岳ステージを待ち焦がれていた逃げ屋がプロトンの中に大勢いるはずだ。
とは言え登場する山岳はいずれも急勾配で決して侮れない。2級山岳モンセギュール峠(全長4.2km・平均8.7%)、2級山岳ラ・クロワデモール峠(全長6.8km・平均5.7%)、3級山岳ガリナグ峠(全長2.2km・平均9%)をこなすうちにメイン集団の人数は絞られていく。そして最後のボーナスポイント付き2級山岳サンルイ峠(全長4.7km・平均7.4%・最大12%)で逃げグループとメイン集団からそれぞれアタッカーが飛び出すだろう。
ツール初登場のフィニッシュ地点キヤンの街に向かう下り区間は概ね勾配3%ほどのため、ダウンヒルテクニックで差をつけるのは難しい。惰性で下るのではなくガンガン踏んで下らないといけないため、登りでの早めのアタックが仇となる可能性もある。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
50.9km地点 3級山岳バック峠(全長3.1km・平均5.3%)
76.7km地点 スプリントポイント
89km地点 2級山岳モンセギュール峠(全長4.2km・平均8.7%)
110.3km地点 2級山岳ラ・クロワデモール峠(全長6.8km・平均5.7%)
126.3km地点 3級山岳ガリナグ峠(全長2.2km・平均9%)
166.8km地点 ボーナス/2級山岳サンルイ峠(全長4.7km・平均7.4%・最大12%)
7月10日(土)第14ステージ カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km image:A.S.O.
7月11日(日)第15ステージ
セレ〜アンドラ・ラ・ベリャ 191.3km
7月11日(日)第15ステージ セレ〜アンドラ・ラ・ベリャ 191.3km image:A.S.O.フランスとスペインに挟まれる形でピレネー山脈の山間に佇むアンドラ公国をツールは訪れる。セレからアンドラの首都ラ・ベリャに向かう191.3kmコースには当然いくつものピレネーの峠が組み込まれた。
スタート直後から始まるフルトゥ峠(カテゴリー無し)を越えると、そこから実質的な登坂距離が50kmに達する1級山岳モンルイ峠(全長8.4km・平均5.7%)の長い登坂がスタート。続く2級山岳ピュイモランス峠(全長5.8km・平均4.7%)を越え、1級山岳エンヴァリラ峠(全長10.7km・平均5.9%)の登坂中にプロトンはアンドラに入国する(フランスからアンドラへの入国は制限無し)。この標高2,408mのエンヴァリラ峠は今大会の最高地点であり、先頭通過の選手には「アンリ・デグランジュ賞」が贈られる。
アンドラの中心地に向かう下り区間に、主催者は1級山岳ベイシャリス峠(全長6.4km・平均8.5%)を追加した。ボーナスポイントが設定されたこのベイシャリス峠は前半に11%の勾配が続く急坂であり、頂上通過後のハイスピードダウンヒルと合わせてステージ優勝とマイヨジョーヌをかけた動きが巻き起こるのは間違いない。ピレネー2連戦を終えたツールは、アンドラで大会最後の休息日を迎える。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
66.9km地点 スプリントポイント
86.3km地点 1級山岳モンルイ峠(全長8.4km・平均5.7%)
133.1km地点 2級山岳ピュイモランス峠(全長5.8km・平均4.7%)
146.7km地点 1級山岳エンヴァリラ峠(全長10.7km・平均5.9%)※アンリ・デグランジュ賞
176.5km地点 1級山岳ベイシャリス峠(全長6.4km・平均8.5%)
7月11日(日)第15ステージ セレ〜アンドラ・ラ・ベリャ 191.3km image:A.S.O.
7月12日(月)休息日
7月13日(火)第16ステージ
パス・ダ・ラ・カザ〜サン=ゴーダンス 169km
7月13日(火)第16ステージ パス・ダ・ラ・カザ〜サン=ゴーダンス 169km image:A.S.O.休息日を過ごしたアンドラからツールはフランスに戻る。国境を越える際にワクチン接種済みの証明書もしくはPCR検査の陰性証明書が必要(関係者は主催者が用意した検査所での無料検査が可能)なため、選手たちはほぼ国境上(厳密には150mほどアンドラ側)をスタートし、すぐにフランスに入る。正式なスタートフラッグが振られるのは、全長19kmにおよぶ長いニュートラル区間で高低差1,000mほどを下った先だ。
ピレネー山脈の4つの峠道を繋いだ169kmコースで再び逃げ屋に出番が回ってくる。何しろこの第16ステージが実質的な逃げ切りラストチャンス。正式スタート後も続く下り区間で超高速アタック合戦が繰り広げられるだろう。
逃げグループとメイン集団ともに、2級山岳ポール峠(全長11.4km・平均5.1%)と1級山岳ラ・コール峠(全長13.1km・平均6.6%)、そして2級山岳ポルテ・ダスペ峠(全長5.4km・平均7.1%)で徐々に人数を減らす。特に登りだけでなく下りも10%前後の勾配が続くポルテ・ダスペ峠では本格的なマイヨジョーヌ争いが勃発してもおかしくはない。残り7km地点の4級山岳アスプレ・サラ(全長800m・平均8.4%)もパンチが効いたもので、休息日明けだけに思わぬ脱落者が出ることも考えられる。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
54km地点 2級山岳ポール峠(全長11.4km・平均5.1%)
84.7km地点 スプリントポイント
101.1km地点 1級山岳ラ・コール峠(全長13.1km・平均6.6%)
136.5km地点 2級山岳ポルテ・ダスペ峠(全長5.4km・平均7.1%)
162km地点 4級山岳アスプレ・サラ(全長800m・平均8.4%)
7月13日(火)第16ステージ パス・ダ・ラ・カザ〜サン=ゴーダンス 169km image:A.S.O.
7月14日(水)第17ステージ
ミュレ〜サン=ラリ=スラン コル・デュ・ポルテ 178.4km
7月14日(水)第17ステージ ミュレ〜サン=ラリ=スラン コル・デュ・ポルテ 178.4km image:A.S.O.フランス革命記念日を祝福する超級山岳サン=ラリ=スラン/ポルテ峠の山頂フィニッシュ。後半の60kmに3つの難関山岳が詰め込まれたレイアウトは今大会最難関であり、クイーンステージと呼んでも差し支えなさそうだ。
逆にステージ前半は平坦基調のため、マイヨヴェールを狙うスプリンターたちも逃げに乗って113.4km地点のスプリントポイントを狙うはず。温泉保養地ルションを通過すると、そこから先は短距離コース&グリッドスタートが話題になった2018年大会第17ステージのコースをトレース。まずは毎年のようにコースに組み込まれている定番の1級山岳ペイルスルド峠(全長13.2km/平均7%)にアタックする(3年前はペイルスルド峠からさらにペイラギュードまで登った)。
続いてさらに勾配のきつい1級山岳ヴァル・ルーロン・アゼ峠(全長7.4km・平均8.3%)を越え、最後に待つのが3年ぶり2度目の登場となる超級山岳サンラリ=スラン/ポルテ峠(全長16km・平均8.7%)だ。標高2,215mのスキーゲレンデを目指す舗装路はとにかく勾配がきつい。最大勾配こそ12%ほどだが、常に勾配は8〜11%を行ったり来たり。トゥールマレー峠よりも高く、自動車で到達できるフレンチピレネー最高地点で、総合上位陣の中に大きなタイム差がつくはず。しかし第108回ツールの山岳決戦はこれで終わらない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
113.4km地点 スプリントポイント
129.1km地点 1級山岳ペイルスルド峠(全長13.2km/平均7%)
149.5km地点 1級山岳ヴァル・ルーロン・アゼ峠(全長7.4km・平均8.3%)
178.4km地点 超級山岳サンラリ=スラン/ポルテ峠(全長16km・平均8.7%)
7月14日(水)第17ステージ ミュレ〜サン=ラリ=スラン コル・デュ・ポルテ 178.4km image:A.S.O.
7月15日(木)第18ステージ
ポー〜リュ・ザルディダン 129.7km
7月15日(木)第18ステージ ポー〜リュ・ザルディダン 129.7km image:A.S.O.第18ステージにはピレネーが誇る2つの超級山岳が登場する。ツール73回目の登場となるポーから、前日同様になだらかな平坦区間を走って険しいステージ後半へ。この日も62.7km地点のスプリントポイントに向かってマイヨヴェール候補たちは動かなければならない。
気づけば選手たちは超級山岳トゥールマレー峠(全長17.1km・平均7.3%)に向かって高度を上げている。正式な登坂距離は17.1kmだが、スプリントポイント通過後からじわりとコースは上昇を続け、中盤にかけて登場する10%前後のこなしながら標高2,115mまで登りきる。「ジャック・ゴデ賞」が設定されたこの名峰を越えると一気に高低差1,400mをダウンヒル。休むまもなく、10年ぶり9回目の登場となる超級山岳リュズ・アルディダン(全長13.5km・平均7.4%)の登坂に取り掛かる。
最終山岳決戦の舞台となるリュズ・アルディダンは、麓から頂上まで5〜10%の範囲で勾配が変化する。過去8回のうち5回はスパニッシュクライマーが制しており、今年もバスク地方を中心にスペインから応援団が駆けつけるだろう。この日の2連続超級山岳だけで60ポイント獲得が可能なだけに、マイヨジョーヌの夢破れてマイヨアポワに目標を切り替えたクライマーは一発逆転を狙って動いてくるに違いない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
10.6km地点 4級山岳ノートルダム・ド・ピエタ峠(全長2.6km・平均5.6%)
54.6km地点 4級山岳ルクルー峠(全長2km・平均7%)
62.7km地点 スプリントポイント
94.1km地点 超級山岳トゥールマレー峠(全長17.1km・平均7.3%)
129.7km地点 超級山岳リュズ・アルディダン(全長13.5km・平均7.4%)
7月15日(木)第18ステージ ポー〜リュ・ザルディダン 129.7km image:A.S.O.
7月16日(金)第19ステージ
ムランクス〜リブルヌ 207km
7月16日(金)第19ステージ ムランクス〜リブルヌ 207km image:A.S.O.ピレネー山脈を制限時間内で走り切ったピュアスプリンターたちに、久々にスポットライトが当てられる。ポー近郊のムランクスから平野をズバッと北上。ボルドー近郊のリブルヌまでの平坦な207kmコースが用意された。
よほどの僅差ではない限り、スタート直後の4級山岳を狙って動いてくるクライマーはいないだろう(何しろ1ポイントしか獲得できない)。それよりも54.1km地点に置かれた登り基調のスプリントポイントを狙って動くマイヨヴェール候補がいるかもしれない。
残り6.3km地点で幅の広い幹線道路に入ると、そこからフィニッシュラインまでロンポワンなどの障害物は無し。スプリンターチームが猛烈なスピードでトレインを走らせると見られるが、この時点でどこまでのリードアウト要員を残せているかは不明だ。スプリンターチームが機能不全に陥った場合は、思わぬ逃げ切りが決まる可能性だってある。まだステージ優勝を手にしていないチームは果敢に逃げを打つだろう。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
12.1km地点 4級山岳バレイユ峠(全長1.9km・平均5.1%)
54.1km地点 スプリントポイント
7月16日(金)第19ステージ ムランクス〜リブルヌ 207km image:A.S.O.
7月17日(土)第20ステージ
リブルヌ〜サン=テミリオン 30.8km(個人TT)
7月17日(土)第20ステージ リブルヌ〜サン=テミリオン 30.8km(個人TT) image:A.S.O.10ヶ月前のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユで劇的な逆転劇が起こったように、ツールの最終個人TTではいつも何かが起こる。第108回ツールのマイヨジョーヌの持ち主を決める30.8kmの「時間との戦い」がボルドーワインの産地を舞台に繰り広げられる。
前日のフィニッシュ地点リブルヌに置かれたスタート台から、TTバイクに乗った選手たちが大きな起伏のない平野に向かって駆け出す。全体的にコーナーが散りばめられているものの、ひたすら高強度で踏み続ける直線区間も長い。葡萄畑が広がる平野を抜け、最後はサン=テミリオンに向かって緩斜面を駆け上がってフィニッシュを迎える。
ステージ優勝タイムは35分強。TTを得意とするオールラウンダーであればピュアクライマーから1分を超えるリードを奪えるだろう。とにかくここで総合首位を守った選手もしくは総合首位を奪った選手が実質的な総合優勝者に。サン=テミリオンでマイヨジョーヌを受け取った選手が、翌日パリに凱旋する。なお、例年であれば終着地パリまで空路やTGVで移動するが、レースバブルを維持するために選手たちは600kmをチームバスなどの陸路で移動しなければならない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
設定無し
7月17日(土)第20ステージ リブルヌ〜サン=テミリオン 30.8km(個人TT) image:A.S.O.
7月18日(日)第21ステージ
シャトゥ〜パリ シャンゼリゼ 108.4km
7月18日(日)第21ステージ シャトゥ〜パリ シャンゼリゼ 108.4km image:A.S.O.46年連続で、ツールはパリ・シャンゼリゼで千秋楽を迎える。ブルターニュで始まった総走行距離3,414.4kmの長旅を終えんとする選手たちを、今年もシャンゼリゼ周回コースが出迎える。パリ郊外のシャトゥをスタート後、互いの健闘をたたえつつ、マイヨジョーヌチームはシャンパンで乾杯をしつつ、ゆったりとパレード走行ペースでパリの中心部を目指す。
今年もノートルダム大聖堂の近くをかすめてルーヴル美術館の中庭を走り、52km地点でシャンゼリゼ周回コースに入る。マイヨジョーヌチームを先頭にフィニッシュラインを一旦通過したところでアタックがスタート。石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りや凱旋門の外周路、ルーヴル前のトンネル、コンコルド広場を含む6.8kmの定番周回コースを9周する。
他のステージよりもずっと遅い午後7時過ぎに、「スプリンターの世界選手権」とも呼ばれるシャンゼリゼ決戦が幕を閉じる。そして同時に、第108代ツール総合優勝者が正式に誕生。凱旋門をバックにした荘厳な表彰台で、総合上位3名や各賞ジャージ獲得者、チーム総合優勝の受賞チームが花束とトロフィーを受け取る。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
7.4km地点 4級山岳グレ峠(全長1.9km・平均5%)
68.3km地点 スプリントポイント
7月18日(日)第21ステージ シャトゥ〜パリ シャンゼリゼ 108.4km image:A.S.O.
text:Kei Tsuji in Paris, France
7月6日(火)第10ステージ
アルベールヴィル〜ヴァランス 190.7km
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190.7kmコースは平坦基調。前半に4級山岳とスプリントポイントのコブを越えると、あとはスプリンターたちのスピードを弱める要素は残っていない。ローヌ渓谷を吹き抜ける風に用心しながら、南フランスの入り口として知られるヴァランスに向かう。スプリンター向きの平坦ステージであっても、強風という落とし穴が待ち構えている可能性があるため、総合狙いの各チームは番人としての大柄なルーラーを何名かメンバー入りさせている。
残り3.2kmの直角コーナーを曲がるとひたすら直線路が続くものの、残り350mでロンポワンを右に折れる。超ハイスピードで突入するこの最終コーナーを抜けたと同時に、エーススプリンターの加速がスタート。この今大会4回目の集団スプリントを終えた頃にはマイヨヴェール争いも落ち着いているはずだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
58.5km地点 4級山岳クーズ峠(全長7.4km・平均2.8%)
82.3km地点 スプリントポイント
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7月7日(水)第11ステージ
ソルグ〜マロセーヌ 198.9km
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前半から2つの4級山岳と1級山岳ラ・リギエール峠(全長9.3km・平均6.7%)を越えると、いよいよ1回目の1級山岳モンヴァントゥー(全長22km・平均5.1%)登坂がスタート。1回目はほとんどツールに登場したことがないという東側からの登坂で、5年前に強風のため急遽フィニッシュ地点が置かれた(フルームがランニングした)シャレ・レナールでお馴染みのルートに合流する。そこから標高1,910mの頂上までは荒涼とした山道。荒凉とした禿山には、風や太陽から身を守る樹木は存在しない。「風の山」という名前が示す通り、モンヴァントゥーでは風を味方につける必要がある。
アンテナ塔が立ったモンヴァントゥーの頂上通過後、長い下り区間を経て反時計回りに今度はベドゥワンから2回目の登坂が始まる。西側からの登坂は前半にかけて10%前後の勾配が続くため、1級山岳から超級山岳(全長15.7km・平均8.8%)にランクアップ。ボーナスポイント(8秒、5秒、2秒)が設定された超級山岳を越え、22kmにわたるダウンヒルをこなしてようやくフィニッシュにたどり着く。アルプスやピレネー以上に大きなタイム差が生まれる可能性を秘めた難関ステージだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
32.1km地点 4級山岳フォンテーヌ=ド=ボークリューズ峠(全長1.9km・平均6%)
40.2km地点 スプリントポイント
43.7km地点 4級山岳ゴルド峠(全長2.5km・平均5.1%)
83.6km地点 1級山岳ラ・リギエール峠(全長9.3km・平均6.7%)
122.5km地点 1級山岳モンヴァントゥー(全長22km・平均5.1%)
176.9km地点 ボーナス/超級山岳モンヴァントゥー(全長15.7km・平均8.8%)
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7月8日(木)第12ステージ
サン=ポール=トロワ=シャトー〜ニーム 159.4km
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マイヨヴェール狙いのスプリンターチームは残り27km地点のスプリントポイントとセットでステージ優勝を狙ってくる。平野ではなく延々と丘が続くエリアのため、この地方特有の暑さと相まってパフォーマンスを発揮できないスプリンターも出てくるはず。
ニームに向かう道のりはユアンが勝利した2019年大会第16ステージとほぼ同じで、サルバドールアジェンデ通りのフィニッシュラインも同じ。残り3kmから連続する市街地コーナーをこなし、残り900mの最終コーナーを曲がるとフィニッシュラインまでほぼ一直線が続いている。残り380mで通過する大きなロンポワン(ラウンドアバウト)の緩いコーナーに向けて激しい位置取りが繰り広げられるだろう。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
83.7km地点 3級山岳タロー峠(全長4.4km・平均4.6%)
132.7km地点 スプリントポイント
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7月9日(金)第13ステージ
ニーム〜カルカッソンヌ 219.9km
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ユネスコ世界遺産の城塞都市カルカッソンヌがツールのフィニッシュを迎え入れるのは8回目だが、意外にも同地で集団スプリントが繰り広げられたことは一度もない。前回登場した2018年大会第15ステージでは3名の逃げ切りが決まっている。しかし今回はスプリンターが苦しむような登りが設定されていないため、史上初めてとなる集団スプリントで締めくくられる可能性は高い。
フラムルージュ(残り1kmアーチ)手前の鋭角コーナーを曲がると、2つの左コーナーを抜けてフィニッシュラインまで勾配1〜2%の緩斜面が続く。翌日からピレネー山岳決戦が始まるため、次の平坦コースは1週間後の第19ステージまで待たなければならない。ピュアスプリンターが勢揃いする高速バトルはここで見納めになるかもしれない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
51.5km地点 4級山岳ピック・サンルー(全長5.5km・平均3.6%)
104.2km地点 スプリントポイント
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7月10日(土)第14ステージ
カルカッソンヌ〜キヤン 183.7km
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とは言え登場する山岳はいずれも急勾配で決して侮れない。2級山岳モンセギュール峠(全長4.2km・平均8.7%)、2級山岳ラ・クロワデモール峠(全長6.8km・平均5.7%)、3級山岳ガリナグ峠(全長2.2km・平均9%)をこなすうちにメイン集団の人数は絞られていく。そして最後のボーナスポイント付き2級山岳サンルイ峠(全長4.7km・平均7.4%・最大12%)で逃げグループとメイン集団からそれぞれアタッカーが飛び出すだろう。
ツール初登場のフィニッシュ地点キヤンの街に向かう下り区間は概ね勾配3%ほどのため、ダウンヒルテクニックで差をつけるのは難しい。惰性で下るのではなくガンガン踏んで下らないといけないため、登りでの早めのアタックが仇となる可能性もある。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
50.9km地点 3級山岳バック峠(全長3.1km・平均5.3%)
76.7km地点 スプリントポイント
89km地点 2級山岳モンセギュール峠(全長4.2km・平均8.7%)
110.3km地点 2級山岳ラ・クロワデモール峠(全長6.8km・平均5.7%)
126.3km地点 3級山岳ガリナグ峠(全長2.2km・平均9%)
166.8km地点 ボーナス/2級山岳サンルイ峠(全長4.7km・平均7.4%・最大12%)
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7月11日(日)第15ステージ
セレ〜アンドラ・ラ・ベリャ 191.3km
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スタート直後から始まるフルトゥ峠(カテゴリー無し)を越えると、そこから実質的な登坂距離が50kmに達する1級山岳モンルイ峠(全長8.4km・平均5.7%)の長い登坂がスタート。続く2級山岳ピュイモランス峠(全長5.8km・平均4.7%)を越え、1級山岳エンヴァリラ峠(全長10.7km・平均5.9%)の登坂中にプロトンはアンドラに入国する(フランスからアンドラへの入国は制限無し)。この標高2,408mのエンヴァリラ峠は今大会の最高地点であり、先頭通過の選手には「アンリ・デグランジュ賞」が贈られる。
アンドラの中心地に向かう下り区間に、主催者は1級山岳ベイシャリス峠(全長6.4km・平均8.5%)を追加した。ボーナスポイントが設定されたこのベイシャリス峠は前半に11%の勾配が続く急坂であり、頂上通過後のハイスピードダウンヒルと合わせてステージ優勝とマイヨジョーヌをかけた動きが巻き起こるのは間違いない。ピレネー2連戦を終えたツールは、アンドラで大会最後の休息日を迎える。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
66.9km地点 スプリントポイント
86.3km地点 1級山岳モンルイ峠(全長8.4km・平均5.7%)
133.1km地点 2級山岳ピュイモランス峠(全長5.8km・平均4.7%)
146.7km地点 1級山岳エンヴァリラ峠(全長10.7km・平均5.9%)※アンリ・デグランジュ賞
176.5km地点 1級山岳ベイシャリス峠(全長6.4km・平均8.5%)
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7月12日(月)休息日
7月13日(火)第16ステージ
パス・ダ・ラ・カザ〜サン=ゴーダンス 169km
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ピレネー山脈の4つの峠道を繋いだ169kmコースで再び逃げ屋に出番が回ってくる。何しろこの第16ステージが実質的な逃げ切りラストチャンス。正式スタート後も続く下り区間で超高速アタック合戦が繰り広げられるだろう。
逃げグループとメイン集団ともに、2級山岳ポール峠(全長11.4km・平均5.1%)と1級山岳ラ・コール峠(全長13.1km・平均6.6%)、そして2級山岳ポルテ・ダスペ峠(全長5.4km・平均7.1%)で徐々に人数を減らす。特に登りだけでなく下りも10%前後の勾配が続くポルテ・ダスペ峠では本格的なマイヨジョーヌ争いが勃発してもおかしくはない。残り7km地点の4級山岳アスプレ・サラ(全長800m・平均8.4%)もパンチが効いたもので、休息日明けだけに思わぬ脱落者が出ることも考えられる。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
54km地点 2級山岳ポール峠(全長11.4km・平均5.1%)
84.7km地点 スプリントポイント
101.1km地点 1級山岳ラ・コール峠(全長13.1km・平均6.6%)
136.5km地点 2級山岳ポルテ・ダスペ峠(全長5.4km・平均7.1%)
162km地点 4級山岳アスプレ・サラ(全長800m・平均8.4%)
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7月14日(水)第17ステージ
ミュレ〜サン=ラリ=スラン コル・デュ・ポルテ 178.4km
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逆にステージ前半は平坦基調のため、マイヨヴェールを狙うスプリンターたちも逃げに乗って113.4km地点のスプリントポイントを狙うはず。温泉保養地ルションを通過すると、そこから先は短距離コース&グリッドスタートが話題になった2018年大会第17ステージのコースをトレース。まずは毎年のようにコースに組み込まれている定番の1級山岳ペイルスルド峠(全長13.2km/平均7%)にアタックする(3年前はペイルスルド峠からさらにペイラギュードまで登った)。
続いてさらに勾配のきつい1級山岳ヴァル・ルーロン・アゼ峠(全長7.4km・平均8.3%)を越え、最後に待つのが3年ぶり2度目の登場となる超級山岳サンラリ=スラン/ポルテ峠(全長16km・平均8.7%)だ。標高2,215mのスキーゲレンデを目指す舗装路はとにかく勾配がきつい。最大勾配こそ12%ほどだが、常に勾配は8〜11%を行ったり来たり。トゥールマレー峠よりも高く、自動車で到達できるフレンチピレネー最高地点で、総合上位陣の中に大きなタイム差がつくはず。しかし第108回ツールの山岳決戦はこれで終わらない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
113.4km地点 スプリントポイント
129.1km地点 1級山岳ペイルスルド峠(全長13.2km/平均7%)
149.5km地点 1級山岳ヴァル・ルーロン・アゼ峠(全長7.4km・平均8.3%)
178.4km地点 超級山岳サンラリ=スラン/ポルテ峠(全長16km・平均8.7%)
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7月15日(木)第18ステージ
ポー〜リュ・ザルディダン 129.7km
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気づけば選手たちは超級山岳トゥールマレー峠(全長17.1km・平均7.3%)に向かって高度を上げている。正式な登坂距離は17.1kmだが、スプリントポイント通過後からじわりとコースは上昇を続け、中盤にかけて登場する10%前後のこなしながら標高2,115mまで登りきる。「ジャック・ゴデ賞」が設定されたこの名峰を越えると一気に高低差1,400mをダウンヒル。休むまもなく、10年ぶり9回目の登場となる超級山岳リュズ・アルディダン(全長13.5km・平均7.4%)の登坂に取り掛かる。
最終山岳決戦の舞台となるリュズ・アルディダンは、麓から頂上まで5〜10%の範囲で勾配が変化する。過去8回のうち5回はスパニッシュクライマーが制しており、今年もバスク地方を中心にスペインから応援団が駆けつけるだろう。この日の2連続超級山岳だけで60ポイント獲得が可能なだけに、マイヨジョーヌの夢破れてマイヨアポワに目標を切り替えたクライマーは一発逆転を狙って動いてくるに違いない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
10.6km地点 4級山岳ノートルダム・ド・ピエタ峠(全長2.6km・平均5.6%)
54.6km地点 4級山岳ルクルー峠(全長2km・平均7%)
62.7km地点 スプリントポイント
94.1km地点 超級山岳トゥールマレー峠(全長17.1km・平均7.3%)
129.7km地点 超級山岳リュズ・アルディダン(全長13.5km・平均7.4%)
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7月16日(金)第19ステージ
ムランクス〜リブルヌ 207km
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よほどの僅差ではない限り、スタート直後の4級山岳を狙って動いてくるクライマーはいないだろう(何しろ1ポイントしか獲得できない)。それよりも54.1km地点に置かれた登り基調のスプリントポイントを狙って動くマイヨヴェール候補がいるかもしれない。
残り6.3km地点で幅の広い幹線道路に入ると、そこからフィニッシュラインまでロンポワンなどの障害物は無し。スプリンターチームが猛烈なスピードでトレインを走らせると見られるが、この時点でどこまでのリードアウト要員を残せているかは不明だ。スプリンターチームが機能不全に陥った場合は、思わぬ逃げ切りが決まる可能性だってある。まだステージ優勝を手にしていないチームは果敢に逃げを打つだろう。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
12.1km地点 4級山岳バレイユ峠(全長1.9km・平均5.1%)
54.1km地点 スプリントポイント
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7月17日(土)第20ステージ
リブルヌ〜サン=テミリオン 30.8km(個人TT)
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前日のフィニッシュ地点リブルヌに置かれたスタート台から、TTバイクに乗った選手たちが大きな起伏のない平野に向かって駆け出す。全体的にコーナーが散りばめられているものの、ひたすら高強度で踏み続ける直線区間も長い。葡萄畑が広がる平野を抜け、最後はサン=テミリオンに向かって緩斜面を駆け上がってフィニッシュを迎える。
ステージ優勝タイムは35分強。TTを得意とするオールラウンダーであればピュアクライマーから1分を超えるリードを奪えるだろう。とにかくここで総合首位を守った選手もしくは総合首位を奪った選手が実質的な総合優勝者に。サン=テミリオンでマイヨジョーヌを受け取った選手が、翌日パリに凱旋する。なお、例年であれば終着地パリまで空路やTGVで移動するが、レースバブルを維持するために選手たちは600kmをチームバスなどの陸路で移動しなければならない。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
設定無し
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7月18日(日)第21ステージ
シャトゥ〜パリ シャンゼリゼ 108.4km
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今年もノートルダム大聖堂の近くをかすめてルーヴル美術館の中庭を走り、52km地点でシャンゼリゼ周回コースに入る。マイヨジョーヌチームを先頭にフィニッシュラインを一旦通過したところでアタックがスタート。石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りや凱旋門の外周路、ルーヴル前のトンネル、コンコルド広場を含む6.8kmの定番周回コースを9周する。
他のステージよりもずっと遅い午後7時過ぎに、「スプリンターの世界選手権」とも呼ばれるシャンゼリゼ決戦が幕を閉じる。そして同時に、第108代ツール総合優勝者が正式に誕生。凱旋門をバックにした荘厳な表彰台で、総合上位3名や各賞ジャージ獲得者、チーム総合優勝の受賞チームが花束とトロフィーを受け取る。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
7.4km地点 4級山岳グレ峠(全長1.9km・平均5%)
68.3km地点 スプリントポイント
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text:Kei Tsuji in Paris, France