5日間に渡り開催されたバロワーズ・ベルギーツアーで、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が2019年大会に続く2度目の総合優勝。また、ユアンがステージ2勝、カヴェンディッシュが最終日に1勝を挙げている。
沿道に数多く集ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)のファン photo:CorVos
昨年コロナ禍で中止されたバロワーズ・ベルギーツアー(2.Pro)が6月9~13日の5日間で開催された。ツール・ド・フランスに次ぐ世界で2番目に歴史の深いステージレースは個人タイムトライアルを含み、どのマスドステージもクラシックレースを彷彿とさせるパヴェや短くも急勾配の登りが登場。例年春に活躍したクラシックレーサーやツールに向かうスプリンターたちが集結し、豪華な面々による集団スプリントが魅力となっている。
注目すべきは前回大会の総合優勝者レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)や、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)、ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)といったジロ・デ・イタリアに出場した選手たち。そこに約2週間後に迫ったツール・ド・フランスに挑むカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)などのスプリンターが加わる。
第1ステージ 逃げ切りから3人のスプリント勝負を制したロッベ・ヒス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) photo:CorVos
第2ステージ 怪我から復帰後初勝利を挙げたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
ドワーズ・ドール・フラーンデレンに登場する石畳登坂ベルグ・テン・ホーテ(距離1.1km/平均5.8%/最大21%)を含む15.5kmの周回コースで争われた初日は、残り28kmからエヴェネプールがヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)とメイン集団から飛び出す驚きの展開に。
そのまま序盤から逃げていたジャンニ・マルシャン(ベルギー、タルテレット・アイソレックス)とロッベ・ヒス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)に追いつくと、エヴェネプール先頭固定のまま迎えたスプリント勝負をマルシャンが先着し大金星を挙げた。残り14km地点に設定されたスプリントポイントを先頭通過したエヴェネプールが3秒のタイムボーナスを獲得し総合首位に立っている。
11.2kmの平坦で争われた2日目の個人タイムトライアルは、エヴェネプールが12分フラットで怪我から復帰後初となる勝利。2位には2秒遅れでチームメイトのイヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が、3位には出場選手中最年少の19歳フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)が18秒遅れで入り、総合順位でも4位にジャンプアップした。
第3ステージ ラスト100mから圧倒的なスピードで勝利したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
エアロポジションを可能にするヤンウィレム・ファンシップ(オランダ、ビート サイクリング)の縦長ハンドル photo:CorVos
3日目は集団スプリントに持ち込まれた平坦ステージ。ロット・スーダルが終盤のメイン集団を完璧に制圧し、先んじてスプリントを開始したダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)を抜き去ったユアンが勝利した。またこの日逃げに乗ったヤンウィレム・ファンシップ(オランダ、ビート サイクリング)が、腕を置きエアロポジションの取れる縦長のハンドルを使い失格処分を受けた。このハンドルはUCI(国際自転車競技連合)の認定を受けていたものの、同連合の機材を担当する部署の判断により処分が下された。
平坦無しで常にアップダウンを繰り返す第4ステージは、ドゥクーニンク・クイックステップがピュアスプリンターを振り落とすべくハイスピードで牽引。このサバイバルな展開に一度遅れたユアンだったが、フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)などのアシストにより残り5kmで集団に復帰すると、ジャスパー・デブイスト(ベルギー)のリードアウトに導かれ2日連続勝利を挙げた。
真っ平な平坦コースで争われた最終日は、ここまでのステージに組み込まれたアップダウンに苦しんだピュアスプリンターたちが鬱憤を晴らす場となった。ロット・スーダルの牽引で最終ストレートに入ると、右端にメルリール、左端にマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)という2列による戦いを、僅かの差でカヴェンディッシュが先着し自身通算155勝目を飾った。
第4ステージ チーム力で集団復帰し勝利したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
第5ステージ トップ選手たちによる競演となった集団スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
総合ではこの日も先頭集団でフィニッシュしたエヴェネプールが、初日から着用したリーダージャージを守り2019年大会からの2連覇を達成。「何よりも安堵の感情が先立つ。怪我から復帰まで長い道のりを歩んで掴んだ勝利は特別で、以前の状態に戻ってきた実感がある。また、ここに戻るための努力が実を結んだことも証明することができ、サポートしてくれたチームに感謝したい。今大会の連覇と、特に個人TTでの勝利は世界選手権に向かうモチベーションになった」とコメントし、昨年8月に負った怪我からの復活を喜んだ。
大会2連覇を果たしたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos

昨年コロナ禍で中止されたバロワーズ・ベルギーツアー(2.Pro)が6月9~13日の5日間で開催された。ツール・ド・フランスに次ぐ世界で2番目に歴史の深いステージレースは個人タイムトライアルを含み、どのマスドステージもクラシックレースを彷彿とさせるパヴェや短くも急勾配の登りが登場。例年春に活躍したクラシックレーサーやツールに向かうスプリンターたちが集結し、豪華な面々による集団スプリントが魅力となっている。
注目すべきは前回大会の総合優勝者レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)や、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)、ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)といったジロ・デ・イタリアに出場した選手たち。そこに約2週間後に迫ったツール・ド・フランスに挑むカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)などのスプリンターが加わる。


ドワーズ・ドール・フラーンデレンに登場する石畳登坂ベルグ・テン・ホーテ(距離1.1km/平均5.8%/最大21%)を含む15.5kmの周回コースで争われた初日は、残り28kmからエヴェネプールがヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)とメイン集団から飛び出す驚きの展開に。
そのまま序盤から逃げていたジャンニ・マルシャン(ベルギー、タルテレット・アイソレックス)とロッベ・ヒス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)に追いつくと、エヴェネプール先頭固定のまま迎えたスプリント勝負をマルシャンが先着し大金星を挙げた。残り14km地点に設定されたスプリントポイントを先頭通過したエヴェネプールが3秒のタイムボーナスを獲得し総合首位に立っている。
11.2kmの平坦で争われた2日目の個人タイムトライアルは、エヴェネプールが12分フラットで怪我から復帰後初となる勝利。2位には2秒遅れでチームメイトのイヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が、3位には出場選手中最年少の19歳フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)が18秒遅れで入り、総合順位でも4位にジャンプアップした。


3日目は集団スプリントに持ち込まれた平坦ステージ。ロット・スーダルが終盤のメイン集団を完璧に制圧し、先んじてスプリントを開始したダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)を抜き去ったユアンが勝利した。またこの日逃げに乗ったヤンウィレム・ファンシップ(オランダ、ビート サイクリング)が、腕を置きエアロポジションの取れる縦長のハンドルを使い失格処分を受けた。このハンドルはUCI(国際自転車競技連合)の認定を受けていたものの、同連合の機材を担当する部署の判断により処分が下された。
平坦無しで常にアップダウンを繰り返す第4ステージは、ドゥクーニンク・クイックステップがピュアスプリンターを振り落とすべくハイスピードで牽引。このサバイバルな展開に一度遅れたユアンだったが、フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)などのアシストにより残り5kmで集団に復帰すると、ジャスパー・デブイスト(ベルギー)のリードアウトに導かれ2日連続勝利を挙げた。
真っ平な平坦コースで争われた最終日は、ここまでのステージに組み込まれたアップダウンに苦しんだピュアスプリンターたちが鬱憤を晴らす場となった。ロット・スーダルの牽引で最終ストレートに入ると、右端にメルリール、左端にマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)という2列による戦いを、僅かの差でカヴェンディッシュが先着し自身通算155勝目を飾った。


総合ではこの日も先頭集団でフィニッシュしたエヴェネプールが、初日から着用したリーダージャージを守り2019年大会からの2連覇を達成。「何よりも安堵の感情が先立つ。怪我から復帰まで長い道のりを歩んで掴んだ勝利は特別で、以前の状態に戻ってきた実感がある。また、ここに戻るための努力が実を結んだことも証明することができ、サポートしてくれたチームに感謝したい。今大会の連覇と、特に個人TTでの勝利は世界選手権に向かうモチベーションになった」とコメントし、昨年8月に負った怪我からの復活を喜んだ。

第1ステージ 6月9日(水)ベーフェレン〜マールケダル(175.3km)
1位 | ロッベ・ヒス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | 4:05:15 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | ジャンニ・マルシャン(ベルギー、タルテレット・アイソレックス) | |
4位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 0:28 |
5位 | ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) |
第2ステージ 6月10日(木)クノック・ヘイスト〜クノック・ヘイスト(個人TT/11.2km)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 12:00 |
2位 | イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02 |
3位 | フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | 0:18 |
4位 | ルネ・ヘールホーズ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)0:19 | |
5位 | フレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル) |
第3ステージ 6月11日(金)ギンゲロム〜スケルペンフーフェル=ジヘム(174.4km)
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 3:56:43 |
2位 | ミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
4位 | マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
5位 | ティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル) |
第4ステージ 6月12日(土)アモワール〜アモワール(152.7km)
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 3:37:48 |
2位 | ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
4位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) | |
5位 | ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) |
第5ステージ 6月13日(日)トゥルンホウト〜ベリンゲン(178.7km)
1位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 3:50:31 |
2位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
3位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
5位 | ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック) |
個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 15:41:59 |
2位 | イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:46 |
3位 | ジャンニ・マルシャン(ベルギー、タルテレット・アイソレックス) | 0:56 |
4位 | フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | 1:04 |
5位 | イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:08 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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