2021/06/12(土) - 08:33
1級山岳を2つ越える山岳コースで大集団が逃げ切り。3名のスプリントで先着したルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は斜行で降格され、23歳アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル)にワールドツアー2勝目がもたらされた。
ツール・ド・フランスに向けての重要な前哨戦であるツール・ド・スイス(UCI2.ワールドツアー)も残すところあと3日。第6ステージは当初予定されていたルートが雪のため通行できず、5月中に決定された代替コースで争われた。
アンデルマットからディゼンティスを目指す130.1kmは、スタート直後に標高2,099mの1級山岳ゴッタルド峠を越え、40km以上の下りと40km以上の登りを経て1級山岳ルクマニエ峠をクリア。続いて3級山岳を通過してそのままフィニッシュまで標高を上げ続ける。登りと下りしかない130kmの短距離ステージ(獲得標高3,190m)は、逃げ切りを狙う選手たちの戦いの場となった。
ここまでの2日間総合リーダーとして戦ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)は軽い風邪症状によってレースを降り、総合6位につけていたルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)はチームメイト3名とともに胃腸炎によってレースを去ることに。そんなスイス6日目は総合4位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)のアタックで幕開けた。
この日29歳の誕生日を迎えたアラフィリップはスタート直後のゴッタルド峠でアントニオ・ニバリ(トレック・セガフレード)やマルク・ソレル(スペイン、モビスター)たちと逃げていたものの、メイン集団を抜け出した選手たちが次々と合流。総合成績上位のアラフィリップは集団に戻ったものの、最終的に40名弱という大所帯が逃げグループを作ることとなる。
前日レースを動かしたアントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)や元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、ピエール・ラトゥール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)といった粒揃いのエスケープ。イネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団に吸収する意思は無く、逃げグループ内には1級山岳ルクマニエ峠の中腹からステージ優勝に向けたアタック合戦が勃発した。
一番最初に抜け出したセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)はダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)に追い抜かれ、その後方ではアタックと吸収の末に登坂力に優れる14名が追走グループを作り出す。1級山岳ルクマニエ峠山頂でデラクルスは1分20秒リードを得ていたものの、下りで徐々にリードを失い、続く3級山岳通過後にアタック勃発中の追走グループに吸収される。このカウンターアタックによって先頭グループはコスタ、ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、そしてアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル)という3名に絞り込まれた。
逃げる3名は、トールクやラトゥールが入った追走グループとの差を広げながらフィニッシュへの距離を減らしていく。アタックと吸収によってスピードを失う後続グループを尻目に、長い牽制を経て残り200mからゴール勝負が始まった。
コスタが一気にスピードを乗せてペーンシュタイナーは遅れ、スリップストリームを抜け出したクロンが左側から並びかけるも、コスタは大きく幅寄せして牽制する。進路妨害をアピールするクロンの手前でコスタがフィニッシュラインに先着した。当初はコスタにステージ優勝が告げられたものの、長い時間をかけた審議の末クロンがステージ勝者となった。
「フィニッシュ後に自分自身でスプリントの映像を見たけれど審判判断は正しいと思う。右からスプリントを初めて左でフィニッシュ。僕もルイもどちらも自分たちが最強だと思っていた。普通のスプリント勝負であればその結論が出ていたと思う。僕は審判を信頼し、僕が勝者となった。結果は嬉しく思っている」と、勝者となったクロンは言う。北欧選手の人材発掘を担うリワル・レディーネスから今年ワールドチーム昇格を果たしたばかりの23歳が、早くも3月のカタルーニャに続くワールドツアー2勝目を挙げてみせた。
この日は序盤に逃げた大きなグループのうち19名が逃げ切り、2分49秒遅れのメイン集団は翌日の山岳タイムトライアルを見据えて平穏にフィニッシュ。登坂距離9.5kmのオーバーアルプ峠を登って下る特殊な個人TTで総合勢の登坂力が浮き彫りとなる。
ツール・ド・フランスに向けての重要な前哨戦であるツール・ド・スイス(UCI2.ワールドツアー)も残すところあと3日。第6ステージは当初予定されていたルートが雪のため通行できず、5月中に決定された代替コースで争われた。
アンデルマットからディゼンティスを目指す130.1kmは、スタート直後に標高2,099mの1級山岳ゴッタルド峠を越え、40km以上の下りと40km以上の登りを経て1級山岳ルクマニエ峠をクリア。続いて3級山岳を通過してそのままフィニッシュまで標高を上げ続ける。登りと下りしかない130kmの短距離ステージ(獲得標高3,190m)は、逃げ切りを狙う選手たちの戦いの場となった。
ここまでの2日間総合リーダーとして戦ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)は軽い風邪症状によってレースを降り、総合6位につけていたルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)はチームメイト3名とともに胃腸炎によってレースを去ることに。そんなスイス6日目は総合4位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)のアタックで幕開けた。
この日29歳の誕生日を迎えたアラフィリップはスタート直後のゴッタルド峠でアントニオ・ニバリ(トレック・セガフレード)やマルク・ソレル(スペイン、モビスター)たちと逃げていたものの、メイン集団を抜け出した選手たちが次々と合流。総合成績上位のアラフィリップは集団に戻ったものの、最終的に40名弱という大所帯が逃げグループを作ることとなる。
前日レースを動かしたアントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)や元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、ピエール・ラトゥール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)といった粒揃いのエスケープ。イネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団に吸収する意思は無く、逃げグループ内には1級山岳ルクマニエ峠の中腹からステージ優勝に向けたアタック合戦が勃発した。
一番最初に抜け出したセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)はダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)に追い抜かれ、その後方ではアタックと吸収の末に登坂力に優れる14名が追走グループを作り出す。1級山岳ルクマニエ峠山頂でデラクルスは1分20秒リードを得ていたものの、下りで徐々にリードを失い、続く3級山岳通過後にアタック勃発中の追走グループに吸収される。このカウンターアタックによって先頭グループはコスタ、ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、そしてアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル)という3名に絞り込まれた。
逃げる3名は、トールクやラトゥールが入った追走グループとの差を広げながらフィニッシュへの距離を減らしていく。アタックと吸収によってスピードを失う後続グループを尻目に、長い牽制を経て残り200mからゴール勝負が始まった。
コスタが一気にスピードを乗せてペーンシュタイナーは遅れ、スリップストリームを抜け出したクロンが左側から並びかけるも、コスタは大きく幅寄せして牽制する。進路妨害をアピールするクロンの手前でコスタがフィニッシュラインに先着した。当初はコスタにステージ優勝が告げられたものの、長い時間をかけた審議の末クロンがステージ勝者となった。
「フィニッシュ後に自分自身でスプリントの映像を見たけれど審判判断は正しいと思う。右からスプリントを初めて左でフィニッシュ。僕もルイもどちらも自分たちが最強だと思っていた。普通のスプリント勝負であればその結論が出ていたと思う。僕は審判を信頼し、僕が勝者となった。結果は嬉しく思っている」と、勝者となったクロンは言う。北欧選手の人材発掘を担うリワル・レディーネスから今年ワールドチーム昇格を果たしたばかりの23歳が、早くも3月のカタルーニャに続くワールドツアー2勝目を挙げてみせた。
この日は序盤に逃げた大きなグループのうち19名が逃げ切り、2分49秒遅れのメイン集団は翌日の山岳タイムトライアルを見据えて平穏にフィニッシュ。登坂距離9.5kmのオーバーアルプ峠を登って下る特殊な個人TTで総合勢の登坂力が浮き彫りとなる。
ツール・ド・スイス2021第6ステージ結果
1位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) | 3:14:52 |
2位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:01 |
4位 | ゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター)0:03 | |
5位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | |
6位 | ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ・プレミアテック) | |
7位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO) | |
8位 | アントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
9位 | マッテーオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:50 |
10位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | 1:00 |
個人総合成績
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 20:00:31 |
2位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック) | 0:26 |
3位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:38 |
4位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:53 |
5位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 1:11 |
6位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 1:32 |
7位 | サム・オーメン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 2:19 |
8位 | エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ) | 2:22 |
9位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、クベカ・アソス) | 3:10 |
10位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 3:37 |
その他の特別賞
ポイント賞 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) |
山岳賞 | アントニオ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) |
チーム総合成績 | ドゥクーニンク・クイックステップ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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