2021/06/11(金) - 10:08
精鋭グループから抜け出し、先行していたヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック)をゴール勝負で下す。リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)がステージ優勝を飾るとともに総合首位浮上を叶えた。
ついに始まったツール・ド・スイスの山岳決戦。前日のフィニッシュ地点グシュタードからコの字を描いて渓谷沿いに東進し、終盤に1級山岳エルシュマット(距離8km/平均勾配8.4%)を越え、立て続けに標高1,385mのロイカーバードに登り詰める。これまでパンチャー向けのコースが続いてきた今大会は、この獲得標高2,850mの山岳コースを皮切りに最終日まで総合争いが続くこととなる。
総合変動必至のこの山岳ステージで逃げたのは、リーダージャージを着用するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、セルヒオ・サミティエル(スペイン、モビスター)、そして3日連続エスケープのクラウディオ・インホフ(スイス、スイスナショナルチーム)という4名だった。
リーダージャージを諦めざるを得ない難関コースにおいても魅せるファンデルプールたちは、最大3分強というリードでローヌ川が作り出した渓谷沿いを走っていく。UCI(国際自転車競技連合)の本拠地エーグルを通過し、マルティニーからは進行方向を90度左に取って終盤の山岳地帯へ。残り40km地点でタイム差は1分まで縮まった。
ドゥクーニンク・クイックステップやイスラエル・スタートアップネイションの集団ペースアップで逃げグループを視界に捉え、まずインホフを、続いてファンデルプールを、そして踏み続けていたペーンシュタイナーとサミティエルを吸収。ユンボ・ヴィズマがペースアップした状態で、8kmに渡って平均8.4%勾配が続く1級エルシュマットへと挑んだ。
まず動いたのはアントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)で、イネオス・グレナディアーズコントロールに代わったメイン集団からはエステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)もアタック。チャベスはトールクを追い抜いて先頭に立ち、メイン集団はエディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)のペースメイクによって14名だけに絞り込まれた。
エルシュマット山頂手前ではイネオスのコントロールを突き破るかのようにヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック)が抜け出し、下りであわや落車仕掛けたことでスピードを失ったチャベスに合流する。こうして先行2人が精鋭グループ10名(カラパス、ダンバー、トールク、オーメン、ウッズ、アラフィリップ、ハミルトン、ポッツォヴィーヴォ、シャフマン、ウラン)に対して20秒リードでロイカーバードの登りへと突入した。
先頭では残り5.5kmでフルサンがチャベスを千切り、後続グループではトールクが牽き終わると共に各エースたちのバトルが幕開ける。マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)のペースアップに畳み掛けるようにリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が仕掛けると、ライバル勢は一人として追従することができなかった。
誰よりも速いペースで駆け上がるカラパスは「一人追い上げてきていると聞いてペースを少し緩めた」と振り返るフルサンに合流し、アタックと吸収を繰り返すことでペースを落とす後続グループを引き離していく。残り1km(フラムルージュ)でタイム差は15秒。完全な牽制状態に陥った後続グループはステージ優勝のチャンスを失ってしまった。
ボーナスタイムとステージ優勝が懸かったカラパスとフルサンの一騎打ち。フルサンが流し先行で緩いカーブのイン側を閉めたものの、残り50mから踏み込んだカラパスが並びかけ、25mを切ってから追い抜いていく。最後の最後で踏み込んだカラパスが、うなだれるフルサンの前で片手を突き上げた。
「この結果を射止めるためにここまで積み重ねてきた。今日はスペシャルな一日になると分かっていたよ。総合成績を考えていたけれど、ステージ優勝できる可能性もあった。どちらも獲ることができてとても嬉しい」と語るカラパスは、ファンデルプールからリーダージャージの引き継ぎに成功。最後まで戦ったフルサンを26秒、後続グループに入ったシャフマンを38秒引き離している。
「多くのライバルが総合狙いだと分かっていたし、もちろん僕らの目標でもあった。多くの選手が動いたけれど、僕は完璧なアタックができた。僕らはツール・ド・フランスを目指してここに来た。主眼はツールだが、このスイスでも成功を収められたら完璧だ」と、カラパスは総合優勝を狙う構えを見せている。
なおアラフィリップは、フィニッシュ手前の補給禁止区間においてチームカーから補給を受け取ったとして20秒のペナルティが与えられている。
ついに始まったツール・ド・スイスの山岳決戦。前日のフィニッシュ地点グシュタードからコの字を描いて渓谷沿いに東進し、終盤に1級山岳エルシュマット(距離8km/平均勾配8.4%)を越え、立て続けに標高1,385mのロイカーバードに登り詰める。これまでパンチャー向けのコースが続いてきた今大会は、この獲得標高2,850mの山岳コースを皮切りに最終日まで総合争いが続くこととなる。
総合変動必至のこの山岳ステージで逃げたのは、リーダージャージを着用するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、セルヒオ・サミティエル(スペイン、モビスター)、そして3日連続エスケープのクラウディオ・インホフ(スイス、スイスナショナルチーム)という4名だった。
リーダージャージを諦めざるを得ない難関コースにおいても魅せるファンデルプールたちは、最大3分強というリードでローヌ川が作り出した渓谷沿いを走っていく。UCI(国際自転車競技連合)の本拠地エーグルを通過し、マルティニーからは進行方向を90度左に取って終盤の山岳地帯へ。残り40km地点でタイム差は1分まで縮まった。
ドゥクーニンク・クイックステップやイスラエル・スタートアップネイションの集団ペースアップで逃げグループを視界に捉え、まずインホフを、続いてファンデルプールを、そして踏み続けていたペーンシュタイナーとサミティエルを吸収。ユンボ・ヴィズマがペースアップした状態で、8kmに渡って平均8.4%勾配が続く1級エルシュマットへと挑んだ。
まず動いたのはアントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)で、イネオス・グレナディアーズコントロールに代わったメイン集団からはエステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)もアタック。チャベスはトールクを追い抜いて先頭に立ち、メイン集団はエディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)のペースメイクによって14名だけに絞り込まれた。
エルシュマット山頂手前ではイネオスのコントロールを突き破るかのようにヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック)が抜け出し、下りであわや落車仕掛けたことでスピードを失ったチャベスに合流する。こうして先行2人が精鋭グループ10名(カラパス、ダンバー、トールク、オーメン、ウッズ、アラフィリップ、ハミルトン、ポッツォヴィーヴォ、シャフマン、ウラン)に対して20秒リードでロイカーバードの登りへと突入した。
先頭では残り5.5kmでフルサンがチャベスを千切り、後続グループではトールクが牽き終わると共に各エースたちのバトルが幕開ける。マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)のペースアップに畳み掛けるようにリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が仕掛けると、ライバル勢は一人として追従することができなかった。
誰よりも速いペースで駆け上がるカラパスは「一人追い上げてきていると聞いてペースを少し緩めた」と振り返るフルサンに合流し、アタックと吸収を繰り返すことでペースを落とす後続グループを引き離していく。残り1km(フラムルージュ)でタイム差は15秒。完全な牽制状態に陥った後続グループはステージ優勝のチャンスを失ってしまった。
ボーナスタイムとステージ優勝が懸かったカラパスとフルサンの一騎打ち。フルサンが流し先行で緩いカーブのイン側を閉めたものの、残り50mから踏み込んだカラパスが並びかけ、25mを切ってから追い抜いていく。最後の最後で踏み込んだカラパスが、うなだれるフルサンの前で片手を突き上げた。
「この結果を射止めるためにここまで積み重ねてきた。今日はスペシャルな一日になると分かっていたよ。総合成績を考えていたけれど、ステージ優勝できる可能性もあった。どちらも獲ることができてとても嬉しい」と語るカラパスは、ファンデルプールからリーダージャージの引き継ぎに成功。最後まで戦ったフルサンを26秒、後続グループに入ったシャフマンを38秒引き離している。
「多くのライバルが総合狙いだと分かっていたし、もちろん僕らの目標でもあった。多くの選手が動いたけれど、僕は完璧なアタックができた。僕らはツール・ド・フランスを目指してここに来た。主眼はツールだが、このスイスでも成功を収められたら完璧だ」と、カラパスは総合優勝を狙う構えを見せている。
なおアラフィリップは、フィニッシュ手前の補給禁止区間においてチームカーから補給を受け取ったとして20秒のペナルティが与えられている。
ツール・ド・スイス2021第5ステージ結果
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 4:01:52 |
2位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック) | |
3位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:39 |
4位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | |
5位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | |
6位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
8位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、クベカ・アソス) | |
9位 | エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ) | 0;49 |
10位 | サム・オーメン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 1:22 |
個人総合成績
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 16:42:50 |
2位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック) | 0:26 |
3位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:38 |
4位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:53 |
5位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 1:11 |
6位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 1:31 |
7位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 1:32 |
8位 | サム・オーメン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 2:19 |
9位 | エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ) | 2:22 |
10位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、クベカ・アソス) | 3:10 |
その他の特別賞
ポイント賞 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) |
山岳賞 | エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ) |
ヤングライダー賞 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) |
チーム総合成績 | ドゥクーニンク・クイックステップ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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