2021/06/10(木) - 08:52
逃げを決め、力強いスプリントでライバル2人を下したのはシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)。スイスの次代を担う22歳が母国で大きな勝利を挙げた。
晴れ渡るザンクト・ウルバンをスタートする (c)CorVos
隣国オーストリアのザンクト・ウルバンから南下し、山岳リゾート地として知られるグシュタードの飛行場にフィニッシュするツール・ド・スイス第4ステージ。獲得標高は2,000m弱で、最後は標高1,266mの2級山岳「ザーネンメサー(全長6.6km/平均4.8%)」を下って山岳リゾート地として知られるグシュタードの飛行場にフィニッシュする。
果たしてマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)のステージ3連勝なるか。そんな期待の掛かった第4ステージは、スタッフの新型コロナウイルス陽性によるアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの撤退と、逃げ切りを狙う選手たちによる長いアタック合戦で幕開けた。
序盤に逃げたマークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)たちはすぐさま吸収される (c)CorVos
6分リードで逃げるジョエル・ズーター(スイス、スイスナショナルチーム)たち (c)CorVos
一時はアントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)や、先のジロ・デ・イタリアで逃げまくったシモン・ペロー(スイスナショナルチーム)を含む6名が先行したものの、メイン集団はこれを許さず追撃。続いてバンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ)とジョセフ・ロスコフ(アメリカ、ラリーサイクリング)、ジョエル・ズーター(スイス、スイスナショナルチーム)が逃げ、ここに初日TTで2位に甘んじたシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)が追いついた。
こうして生まれた逃げグループのうち、最も総合成績の良いビッセガーで6分5秒遅れ。ワールドツアーのステージレースで初めてリーダージャージを着用して走るマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)たちはこのエスケープを容認し、ビッセガーの成績に合わせて6分リードを与えて泳がせた。
スイスの美しい山村風景の中を走る (c)CorVos
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、AG2Rシトロエン)と談笑するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) (c)CorVos
メイン集団はペースが上がらず、逃げグループ吸収を諦める (c)CorVos
TTスペシャリストや、オムニアムの現世界チャンピオンであるトマなど、スピードに長ける4名は、後半にかけて雨が降り注ぐ中を快調に逃げ続ける。メイン集団ではアルペシン・フェニックスがコントロールを止め、その後を引き継いだモビスターも、他に同調するチームが現れずペースダウン。逃げる4名はステージ優勝を諦めゆったりモードに切り替えた集団から更にリードを上積みしていった。
逃げ切りが確定的となった4名は2級山岳ザーネンメサーをこなし、ペースに付いていけなくなったズーターが脱落。雨に濡れたダウンヒルではビッセガーが何度も何度もアタックしたが、トマとロスコフは食らいついて離れない。積極的に仕掛けるビッセガーとロスコフ、対するトマは着き位置で守りの体制。手に汗握るアタックと牽制を繰り返しながらフラムルージュ(残り1km)をくぐり、残り200m標識をきっかけに3名同時のスプリントが始まった。
終盤の2級山岳を逃げるロスコフ、トマ、ビッセガー (c)CorVos
トマやロスコフを抑えてシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)が伸びる (c)CorVos
力強いガッツポーズを繰り出すシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) (c)CorVos
先行したロスコフは勢いが足りず、ビッセガーが先頭に立ってスプリント。瞬発力で対抗するトマだったが、猛然と突き進むビッセガーには届かない。トマが追いついてこないことを確認したビッセガーが力強いガッツポーズで勝利をアピールした。
「ついにツール・ド・スイスで勝つことができた。最高に嬉しいよ」とインタビューに答えたビッセガー。今年のパリ〜ニースで初のワールドツアーステージ優勝を挙げたスイス期待の星は、期待されていた初日個人TTでシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)に敗れ2位。前戦のツール・ド・ロマンディでもプロローグ5位、最終個人TTで2位に終わっていたが、その悔しさをロードステージの逃げ切りという形で晴らした。「パリ〜ニースはTTだったけれど、今回はロードステージで勝てた。どちらも嬉しいけれど、(母国)スイスでの勝利だから今回の方がより嬉しいかもしれない」と加えている。
ツール・ド・スイス初勝利を挙げたシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) (c)CorVos
エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)を先頭に、メイン集団は5分16秒遅れでフィニッシュ。首位ファンデルプールや2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)など総合勢は全員集団内でレースを終えたため、総合成績の変動は無かった。
翌第5ステージは、終盤に1級山岳エルシュマットを越え、立て続けに標高1,211mの1級山岳ロイカーバードを目指す今大会初の難関山岳フィニッシュが待ち受ける。総合成績は大きくシャッフルされるはずだ。
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隣国オーストリアのザンクト・ウルバンから南下し、山岳リゾート地として知られるグシュタードの飛行場にフィニッシュするツール・ド・スイス第4ステージ。獲得標高は2,000m弱で、最後は標高1,266mの2級山岳「ザーネンメサー(全長6.6km/平均4.8%)」を下って山岳リゾート地として知られるグシュタードの飛行場にフィニッシュする。
果たしてマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)のステージ3連勝なるか。そんな期待の掛かった第4ステージは、スタッフの新型コロナウイルス陽性によるアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの撤退と、逃げ切りを狙う選手たちによる長いアタック合戦で幕開けた。
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一時はアントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)や、先のジロ・デ・イタリアで逃げまくったシモン・ペロー(スイスナショナルチーム)を含む6名が先行したものの、メイン集団はこれを許さず追撃。続いてバンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ)とジョセフ・ロスコフ(アメリカ、ラリーサイクリング)、ジョエル・ズーター(スイス、スイスナショナルチーム)が逃げ、ここに初日TTで2位に甘んじたシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)が追いついた。
こうして生まれた逃げグループのうち、最も総合成績の良いビッセガーで6分5秒遅れ。ワールドツアーのステージレースで初めてリーダージャージを着用して走るマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)たちはこのエスケープを容認し、ビッセガーの成績に合わせて6分リードを与えて泳がせた。
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TTスペシャリストや、オムニアムの現世界チャンピオンであるトマなど、スピードに長ける4名は、後半にかけて雨が降り注ぐ中を快調に逃げ続ける。メイン集団ではアルペシン・フェニックスがコントロールを止め、その後を引き継いだモビスターも、他に同調するチームが現れずペースダウン。逃げる4名はステージ優勝を諦めゆったりモードに切り替えた集団から更にリードを上積みしていった。
逃げ切りが確定的となった4名は2級山岳ザーネンメサーをこなし、ペースに付いていけなくなったズーターが脱落。雨に濡れたダウンヒルではビッセガーが何度も何度もアタックしたが、トマとロスコフは食らいついて離れない。積極的に仕掛けるビッセガーとロスコフ、対するトマは着き位置で守りの体制。手に汗握るアタックと牽制を繰り返しながらフラムルージュ(残り1km)をくぐり、残り200m標識をきっかけに3名同時のスプリントが始まった。
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「ついにツール・ド・スイスで勝つことができた。最高に嬉しいよ」とインタビューに答えたビッセガー。今年のパリ〜ニースで初のワールドツアーステージ優勝を挙げたスイス期待の星は、期待されていた初日個人TTでシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)に敗れ2位。前戦のツール・ド・ロマンディでもプロローグ5位、最終個人TTで2位に終わっていたが、その悔しさをロードステージの逃げ切りという形で晴らした。「パリ〜ニースはTTだったけれど、今回はロードステージで勝てた。どちらも嬉しいけれど、(母国)スイスでの勝利だから今回の方がより嬉しいかもしれない」と加えている。
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エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)を先頭に、メイン集団は5分16秒遅れでフィニッシュ。首位ファンデルプールや2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)など総合勢は全員集団内でレースを終えたため、総合成績の変動は無かった。
翌第5ステージは、終盤に1級山岳エルシュマットを越え、立て続けに標高1,211mの1級山岳ロイカーバードを目指す今大会初の難関山岳フィニッシュが待ち受ける。総合成績は大きくシャッフルされるはずだ。
ツール・ド・スイス2021第4ステージ結果
1位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) | 3:46:21 |
2位 | バンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ) | |
3位 | ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、ラリーサイクリング) | |
4位 | ジョエル・ズーター(スイス、スイスナショナルチーム) | 0:23 |
5位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | 5:16 |
6位 | フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | オマール・フライレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
8位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
9位 | フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) |
個人総合成績
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 12:40:51 |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01 |
3位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | 0:04 |
4位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:06 |
5位 | マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:13 |
6位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | 0:16 |
7位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:17 |
8位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:29 |
9位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) | 0:37 |
10位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:38 |
その他の特別賞
ポイント賞 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) |
山岳賞 | ニコラス・ズコウスキー(カナダ、ラリーサイクリング) |
ヤングライダー賞 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO) |
チーム総合成績 | EFエデュケーション・NIPPO |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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