2010/06/13(日) - 11:11
ドーフィネ第6ステージのラルプデュエズ山頂ゴールは、度重なるライバルのアタックをことごとく潰したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が制した。コンタドールに対し唯一遅れなかったヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)が総合リーダーを守っている。
あくまで総合を狙わないと公言している総合3位につけるアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)だが、この日のラルプデュエズ山頂ゴールでのモチベーションは高かった。総合リーダーにつけるヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)が最も警戒するのも、コンタドールだった。
レースは序盤からアスタナとレディオシャックがコントロール。49.5km地点、2級の山岳グラン・クシュロンを越えた下りでこの日の逃げが形成されるが、その数20人の大所帯。ここには山岳賞獲得を狙うエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ルーベン・プラザ(スペイン、ケスデパーニュ)とディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)の2人のナショナルチャンピオンらが含まれた。
ラルプデュエズのひとつ前にも超級山岳グランドン峠が設定された。ツール・ド・フランスでもたびたび登場するこの峠で逃げ集団は徐々に人数を減らす。ここをトップで通過したのはマルティネスで、この日ここまでの山岳ポイントを全て先頭通過する走りで山岳賞獲得へ大きく前進した。
アスタナがコントロールするメイン集団も人数を減らしながら、1分25秒差でこの山頂を通過。先頭では下りでアタックがかかり、下り切った平坦路で6名が抜け出す形に。オスカル・プホル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)、ステファン・デニフィル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)、アマエル・モワナール(フランス、コフィディス)、ディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)、レミ・ディグレゴリオ(フランス、フランセーズデジュー)、ギヨーム・ルヴァルル(フランス、ソール・ソジャサン)が6人で先頭グループを形成しラルプデュエズへ挑む。
ここから単独アタックを成功させたのは、プホル。しかしラルプデュエズに入りペースを上げたメイン集団に、残り10kmのところで飲み込まれてしまう。
有力選手たちの残る先頭集団から、残り8.8km地点で総合2位のタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)が脱落。それに合わせるようにアタックをかけたのはコンタドールで、一気に加速して抜け出しを図る。
コンタドールに唯一ついていけたのはイエローのリーダージャージを着るブライコヴィッチのみ。ここからコンタドールはペースの上げ下げをしてブライコヴィッチに揺さぶりをかけるが、一定のペースを守る冷静な走りを見せるブライコヴィッチはコンタドールから離れない。
追走に回ったシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)もそれぞれ先頭に合流。シュミットは再三アタックをかけ、これを追うのは必ずコンタドール。徐々にコンタドールの表情が険しくなっていく。
残り4kmで今度はコッペルがアタック。これにカウンターでコンタドールがやり返すと、再びブライコヴィッチだけがついていき、先頭はまたも2名に。コンタドールも抜け出すためのアタックを仕掛けるが、この日の山頂付近は強風。なかなかいつもの強力なアタックが見られない。
残り2kmで、これまでずっとマーク一辺倒だったブライコヴィッチが先頭に立つ。ちらちらとコンタドールを警戒しつつも、山頂まで協力してゴールすることを選択。コンタドールもここからブライコヴィッチを千切ることはできず、2人でゴール前へ。
2人のスプリントはブライコヴィッチが先行したものの、ゴール前150mで加速したコンタドールがかわしてこれを制した。コンタドールはピストルを打つ決めポーズでゴール。ブライコヴィッチはタイム差無しの2位に入り、総合リーダーの座を堅守した。
3位には2人に対して積極的に攻撃を仕掛けたシュミットが17秒遅れで入った。シュミットは最終コーナーでオフィシャルサポートのバイクにあわや追突、という不運のストップを余儀なくされて悔しい17秒差でのゴールとなってしまった。
4位にはコッペル、5位にはファンデンブロックが入った。総合2位につけていたヴァンガーデレンは1分26秒差の11位でゴールし、コンタドールと入れ替わる形で総合順位を3位に落としている。
翌第7ステージはドーフィネ最終ステージ。レース後半に3級の山岳を5周回するアップダウンコースが設定されている。平均勾配9.2%のこの登りで、最後の総合争いが見られるだろう。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第6ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 4h31'01"
2位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
3位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ) +17"
4位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +24"
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +40"
6位 クリストフ・モロー(フランス、ケスデパーニュ) +1'17"
7位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +1'18"
8位 サミュエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)
9位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム)
10位 クリス・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +1'26"
個人総合成績
1位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) 24h26'05"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'41"
3位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア +2'41"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+3'46"
5位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) +4'01"
6位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +4'17"
7位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +4'23"
8位 ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム) +5'54"
9位 クリス・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +6'10"
10位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ) +6'33"
ポイント賞
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
山岳賞
エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)
チーム総合成績
エウスカルテル
text:Yufta Omata
photo:Cor Vos
あくまで総合を狙わないと公言している総合3位につけるアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)だが、この日のラルプデュエズ山頂ゴールでのモチベーションは高かった。総合リーダーにつけるヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)が最も警戒するのも、コンタドールだった。
レースは序盤からアスタナとレディオシャックがコントロール。49.5km地点、2級の山岳グラン・クシュロンを越えた下りでこの日の逃げが形成されるが、その数20人の大所帯。ここには山岳賞獲得を狙うエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ルーベン・プラザ(スペイン、ケスデパーニュ)とディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)の2人のナショナルチャンピオンらが含まれた。
ラルプデュエズのひとつ前にも超級山岳グランドン峠が設定された。ツール・ド・フランスでもたびたび登場するこの峠で逃げ集団は徐々に人数を減らす。ここをトップで通過したのはマルティネスで、この日ここまでの山岳ポイントを全て先頭通過する走りで山岳賞獲得へ大きく前進した。
アスタナがコントロールするメイン集団も人数を減らしながら、1分25秒差でこの山頂を通過。先頭では下りでアタックがかかり、下り切った平坦路で6名が抜け出す形に。オスカル・プホル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)、ステファン・デニフィル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)、アマエル・モワナール(フランス、コフィディス)、ディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)、レミ・ディグレゴリオ(フランス、フランセーズデジュー)、ギヨーム・ルヴァルル(フランス、ソール・ソジャサン)が6人で先頭グループを形成しラルプデュエズへ挑む。
ここから単独アタックを成功させたのは、プホル。しかしラルプデュエズに入りペースを上げたメイン集団に、残り10kmのところで飲み込まれてしまう。
有力選手たちの残る先頭集団から、残り8.8km地点で総合2位のタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)が脱落。それに合わせるようにアタックをかけたのはコンタドールで、一気に加速して抜け出しを図る。
コンタドールに唯一ついていけたのはイエローのリーダージャージを着るブライコヴィッチのみ。ここからコンタドールはペースの上げ下げをしてブライコヴィッチに揺さぶりをかけるが、一定のペースを守る冷静な走りを見せるブライコヴィッチはコンタドールから離れない。
追走に回ったシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)もそれぞれ先頭に合流。シュミットは再三アタックをかけ、これを追うのは必ずコンタドール。徐々にコンタドールの表情が険しくなっていく。
残り4kmで今度はコッペルがアタック。これにカウンターでコンタドールがやり返すと、再びブライコヴィッチだけがついていき、先頭はまたも2名に。コンタドールも抜け出すためのアタックを仕掛けるが、この日の山頂付近は強風。なかなかいつもの強力なアタックが見られない。
残り2kmで、これまでずっとマーク一辺倒だったブライコヴィッチが先頭に立つ。ちらちらとコンタドールを警戒しつつも、山頂まで協力してゴールすることを選択。コンタドールもここからブライコヴィッチを千切ることはできず、2人でゴール前へ。
2人のスプリントはブライコヴィッチが先行したものの、ゴール前150mで加速したコンタドールがかわしてこれを制した。コンタドールはピストルを打つ決めポーズでゴール。ブライコヴィッチはタイム差無しの2位に入り、総合リーダーの座を堅守した。
3位には2人に対して積極的に攻撃を仕掛けたシュミットが17秒遅れで入った。シュミットは最終コーナーでオフィシャルサポートのバイクにあわや追突、という不運のストップを余儀なくされて悔しい17秒差でのゴールとなってしまった。
4位にはコッペル、5位にはファンデンブロックが入った。総合2位につけていたヴァンガーデレンは1分26秒差の11位でゴールし、コンタドールと入れ替わる形で総合順位を3位に落としている。
翌第7ステージはドーフィネ最終ステージ。レース後半に3級の山岳を5周回するアップダウンコースが設定されている。平均勾配9.2%のこの登りで、最後の総合争いが見られるだろう。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第6ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 4h31'01"
2位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
3位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ) +17"
4位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +24"
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +40"
6位 クリストフ・モロー(フランス、ケスデパーニュ) +1'17"
7位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +1'18"
8位 サミュエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)
9位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム)
10位 クリス・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +1'26"
個人総合成績
1位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) 24h26'05"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'41"
3位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア +2'41"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+3'46"
5位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) +4'01"
6位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +4'17"
7位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +4'23"
8位 ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム) +5'54"
9位 クリス・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +6'10"
10位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ) +6'33"
ポイント賞
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
山岳賞
エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)
チーム総合成績
エウスカルテル
text:Yufta Omata
photo:Cor Vos
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