3日目にしてようやく持ち込まれた集団スプリント。勾配4%の登りスプリントは第1、第2ステージで2位だったソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が勝利。レース序盤で落車したマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)は脳震盪のためレースを去っている。



緑鮮やかなフランス中部をプロトンが走る緑鮮やかなフランス中部をプロトンが走る photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2021第3ステージクリテリウム・デュ・ドーフィネ2021第3ステージ photo:A.S.O.クリテリウム・デュ・ドーフィネ第2ステージは、前半に2つのカテゴリー山岳が登場するサン=タオン=ル=ヴューまでの丘陵ステージ。84km地点の3級山岳を最後に平坦が続いていくが、ラスト3kmの鋭角コーナーを曲がると、平均4%の勾配が2km続く登りフィニッシュとなり、今大会で最も難易度が低い設定だが決してピュアスプリンター向きとは言えないレイアウトになっている。

スタートとともに飛び出したロイック・ヴリーヘン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)とイスラエル王者オメル・ゴールドスタイン(イスラエル・スタートアップネイション)の2人が逃げを開始。しかし、2日連続で逃げ切り勝利を許した集団先頭は、リーダージャージを保持するボーラ・ハンスグローエを中心に4分差以上を許さずコントロールした。

逃げるロイック・ヴリーヘン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)とオメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション)逃げるロイック・ヴリーヘン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)とオメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
メイン集団はボーラ・ハンスグローエを中心にコントロールメイン集団はボーラ・ハンスグローエを中心にコントロール photo:CorVos
スタートから18kmを過ぎると今日の優勝候補でもあった元世界王者マッズ・ピーダスンとサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が接触し落車。ピーダスンに外傷はなかったものの、チームが2019年より独自に取り組む『脳震盪プロトコル』に従いレースを去った。

残り20kmで最後まで逃げたヴリーヘンが吸収されると、集団スプリントを目指すプロトンは再び一塊に。肘の骨折から順調な回復を見せるトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)と中根英登 (EFエデュケーションNIPPO)らが先頭を引く集団は、時速70kmを越えるハイスピードでフィニッシュへと突き進む。一方、集団後方では総合優勝候補の1人ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)がワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)など数名の選手とともに落車したが、マルタンはアシストの力を借り無事に集団内でレースを終えている。

激しいポジション争いが繰り広げられる中、残り3km地点の鋭角コーナーを曲がると、ドゥクーニンク・クイックステップを先頭にフラムルージュ(残り1km)を通過。エースを守るため先頭に出たミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)が役割を終えると、登り基調になった残り300mからアレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ・プレミアテック)が早くもスプリントを開始する。この加速に飛び乗ったソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が、勾配が6%を越えるストレートを力強いダンシングで追い抜いた。

上りスプリントで先行するソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)上りスプリントで先行するソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
念願の勝利を挙げたソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)念願の勝利を挙げたソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
初日、2日目と連続で2位だったコルブレッリは「ようやく勝ててとても嬉しい。最後の10kmはとても速く位置取りするためにハードな戦いを強いられた。勾配が6〜7%あったラスト1kmは(ミハウ)クフィアトコフスキの後ろにつき、残り200mでアランブルにジャンプした。ここ2日は逃げに勝利を取られていたが、今日はチームの素晴らしいサポートのおかげで勝つことができた」と語る。

終盤のポジション取りなどアシストとして役割を果たした中根は、1分49秒遅れの95位でフィニッシュ。「速度が上がってる集団の先頭に出る事は物凄く難しい。先頭に出てそのハイスピードを維持してその位置に居続けるのはさらに難しい。自分は常に課題だらけ。逆に、レベルの差はあれど課題の無いプロ選手なんて居ないだろうけど。流石に下り区間は僕の体重とパワーではどうしようもなく、番手を下げてしまった事が申し訳なかった。昨日よりも今日。今日よりも明日がより良く走れるように頑張ります」と、中根はSNSに投稿している。

総合首位は先頭集団でフィニッシュしたルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がキープ。翌日に16kmの個人タイムトライアルを挟み、第5ステージには再び集団スプリントが予想される平坦コースが登場する。

シーズン2勝目を飾ったソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)シーズン2勝目を飾ったソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2021第3ステージ結果
1位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:56:36
2位 アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ・プレミアテック)
3位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
4位 ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)
5位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 クレモン・ヴァントゥリーニ(フランス、AG2Rシトロエン)
7位 カルロス・バルベロ(スペイン、クベカ・アソス)
8位 クレモン・ルッソ(フランス、アルケア・サムシック)
9位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
10位 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
95位 中根英登 (EFエデュケーションNIPPO) 1:49
個人総合成績
1位 ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) 12:35:08
2位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:02
3位 アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ・プレミアテック) 0:18
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 0:20
5位 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:23
6位 カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ KTM) 0:24
7位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
9位 イラン・ファンワイルダー(ベルギー、チームDSM)
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
その他の特別賞
山岳賞 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
ポイント賞 マシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)
ヤングライダー賞 イラン・ファンワイルダー(ベルギー、チームDSM)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro Arakawa
photo:CorVos

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