2021/08/25(水) - 14:59
この春、カブトがリリースした新型ミドルグレードのVOLZZAをインプレッション。BOAダイヤルアジャスターなど、フラッグシップモデルIZANAGIで培われたテクノロジーをふんだんに取り入れた意欲作を、普段からカブトを愛用する編集部員のヤスオカがインプレッションする。
軽さ、通気性、かっこよさetc……ヘルメットを選ぶにあたって気にすべき要素はたくさんあるが、頭にフィットするか否かというのは大前提。ここ数年で、多くのヨーロッパブランドがアジアンフィットを取り入れ、丸型の典型的な日本人頭の筆者も、ヘルメットの選択肢が増えてきた……のだが、気づけばいつも頭に乗っているのはカブトのヘルメットである。
エアロなAERO-R1、軽量なFLAIR、通気性のZENARD、そしてそれらの要素を融合させたニューフラグシップのIZANAGIと、矢継ぎ早にレーシングスペックのヘルメットをリリースしてきているカブトだが、どのモデルにも共通するのが、一日中被り続けられるフィット感だ。
海外ブランドのヘルメットでは、モデルによって被れたり被れなかったり。実際に試してみるまでわからないが、ことカブトと私の関係においてそんな不安は一切ない。まるで実家のような安心感、いや親とだって喧嘩することはあることを考えれば、いつも喜んで迎えてくれる実家の犬のような安心感である。
そんなカブトのラインアップに新たに加わったのがミドルグレードのVOLZZA。日本代表選手のために開発されたというハイエンドモデルIZANAGIのテクノロジーを受け継いだミドルグレードモデルだ。
とはいえ、ルックスから受ける印象はだいぶ異なる。IZANAGIの丸みを帯びた特徴的なシェイプとは異なり、VOLZZAはエッジの立ったデザインで、どちらかと言えばZENARDとIZANAGIの中間のようなフォルム。男の子の好きな乗り物で例えると、IZANAGIがジオングもしくはグループCカー、ZENARDがストライクフリーダムもしくは2008年ごろのフォーミュラマシンとすれば、VOLZZAはZZかSUPER GTカーといったところだろうか。わからない人はググってください(※編集部注:無視していいです)。
しかし、一旦被ってみればフィット感は完全にIZANAGIのそれ。思わず、間違えて被ってしまったのではないかと一度脱いで確認してしまうほど。そう、フィッティングシステムは完全にIZANAGIと共通とされているのだ。BOAダイヤルを採用したクロージャーやフローティング構造によって、頭部形状に沿って締め付けてくれるためどこかが当たって痛いということも無い。
また、ヘッドレストの幅を2段階、位置を上下に8段階でクロージャー取付位置を変更できるのもIZANAGI譲り。調整箇所がたくさんあると迷ってしまう、という方もいるかもしれないが、まずは最も被りが浅い位置と深い位置を試してみて、しっくりくる方から微調整していくと良いだろう。ちなみに筆者は最も深い位置がIZANGI以来の定位置である。
ちなみに重量的にはほぼ変わらず、わずかにIZANAGIが軽い程度。頭に乗せてしまえばほぼ誤差で、正直被っている状態では鏡を見ないと自分がどちらを被っているのかはわからない。
それならば、VOLLZAで良いのでは?となりそうなものだけれど、走り出してみると通気性の違いを感じる。炎天下のレースに挑む代表選手のために開発されたというIZANAGIの通気性は数多あるヘルメットの中でも最高峰であり、VOLLZAはやはり一歩及ばないといった印象だ。
ベンチレーションホールの数や、吸気から排気に至るシェル内部のエアルートデザインなど、しっかりと考えられた造りをしているVOLLZAだが、こればかりは相手が悪かったと言えるだろう。レインフォースメントブリッジという補強を施すことで、側面に大型の吸気口を配置できたIZANAGIと、トラディショナルな造りながらも細かく多くのベンチレーションホールを配置したVOLLZAとの差が表れた部分だ。
とはいえ、標準的なヘルメット、特に同価格帯のライバルブランドと比較するのであれば十分優秀な冷却性能を持っている。少なくとも、25℃程度の気温であればヒルクライムでも熱が籠って不快になるようなことは無い。カブトで言えばAERO-R1よりは断然涼しく、FLAIRよりわずかに涼しいか?というところ。
忘れてはいけないのは、このVOLLZAがIZANAGIの約半分の価格で手に入るということ。空冷性能で差をつけられてはいるものの、それ以外の要素ではIZANAGIに肉薄しており、フィッティングに関してはほぼ同等。IZANAGIユーザーとしては、真夏のライドではIZANAGIを使いたいところだが、それ以外の季節であればVOLLZAで何の不満もない。全く違和感のないフィッティングで、気兼ねなく使いこめる普段使いメットとして活躍してくれそうだ。
もちろん、初心者の方のファーストメットとしても間違いなくオススメ出来る。被り慣れないうちはどうしても煩わしく感じてしまうヘルメットだけに、しっかりとフィットし違和感やストレスなく着用できるというのは重要だ。最近は1万円以下の入門モデルの出来も良いが、通気性や首への負担といった面ではハイエンドモデルとは比ぶべくもない。その点、トッププロが使っているモデルと限りなく近い性能が1万円台で手に入るというのはそれだけで魅力的だろう。このVOLZZA、これから目にすることが増えそうな一着だ。
カブト VOLZZA
カラー:ホワイトシルバー、マットブラックガンメタ、ブラックレッド、ホワイトブルー、ガンメタイエロー、ガンメタカーキ、マットトランスパープル
サイズ(頭周のめやす/参考重量):S/M(55-58cm/235g)、L/XL(59-61cm/250g)
価格:17,600円(税込)
軽さ、通気性、かっこよさetc……ヘルメットを選ぶにあたって気にすべき要素はたくさんあるが、頭にフィットするか否かというのは大前提。ここ数年で、多くのヨーロッパブランドがアジアンフィットを取り入れ、丸型の典型的な日本人頭の筆者も、ヘルメットの選択肢が増えてきた……のだが、気づけばいつも頭に乗っているのはカブトのヘルメットである。
エアロなAERO-R1、軽量なFLAIR、通気性のZENARD、そしてそれらの要素を融合させたニューフラグシップのIZANAGIと、矢継ぎ早にレーシングスペックのヘルメットをリリースしてきているカブトだが、どのモデルにも共通するのが、一日中被り続けられるフィット感だ。
海外ブランドのヘルメットでは、モデルによって被れたり被れなかったり。実際に試してみるまでわからないが、ことカブトと私の関係においてそんな不安は一切ない。まるで実家のような安心感、いや親とだって喧嘩することはあることを考えれば、いつも喜んで迎えてくれる実家の犬のような安心感である。
そんなカブトのラインアップに新たに加わったのがミドルグレードのVOLZZA。日本代表選手のために開発されたというハイエンドモデルIZANAGIのテクノロジーを受け継いだミドルグレードモデルだ。
とはいえ、ルックスから受ける印象はだいぶ異なる。IZANAGIの丸みを帯びた特徴的なシェイプとは異なり、VOLZZAはエッジの立ったデザインで、どちらかと言えばZENARDとIZANAGIの中間のようなフォルム。男の子の好きな乗り物で例えると、IZANAGIがジオングもしくはグループCカー、ZENARDがストライクフリーダムもしくは2008年ごろのフォーミュラマシンとすれば、VOLZZAはZZかSUPER GTカーといったところだろうか。わからない人はググってください(※編集部注:無視していいです)。
しかし、一旦被ってみればフィット感は完全にIZANAGIのそれ。思わず、間違えて被ってしまったのではないかと一度脱いで確認してしまうほど。そう、フィッティングシステムは完全にIZANAGIと共通とされているのだ。BOAダイヤルを採用したクロージャーやフローティング構造によって、頭部形状に沿って締め付けてくれるためどこかが当たって痛いということも無い。
また、ヘッドレストの幅を2段階、位置を上下に8段階でクロージャー取付位置を変更できるのもIZANAGI譲り。調整箇所がたくさんあると迷ってしまう、という方もいるかもしれないが、まずは最も被りが浅い位置と深い位置を試してみて、しっくりくる方から微調整していくと良いだろう。ちなみに筆者は最も深い位置がIZANGI以来の定位置である。
ちなみに重量的にはほぼ変わらず、わずかにIZANAGIが軽い程度。頭に乗せてしまえばほぼ誤差で、正直被っている状態では鏡を見ないと自分がどちらを被っているのかはわからない。
それならば、VOLLZAで良いのでは?となりそうなものだけれど、走り出してみると通気性の違いを感じる。炎天下のレースに挑む代表選手のために開発されたというIZANAGIの通気性は数多あるヘルメットの中でも最高峰であり、VOLLZAはやはり一歩及ばないといった印象だ。
ベンチレーションホールの数や、吸気から排気に至るシェル内部のエアルートデザインなど、しっかりと考えられた造りをしているVOLLZAだが、こればかりは相手が悪かったと言えるだろう。レインフォースメントブリッジという補強を施すことで、側面に大型の吸気口を配置できたIZANAGIと、トラディショナルな造りながらも細かく多くのベンチレーションホールを配置したVOLLZAとの差が表れた部分だ。
とはいえ、標準的なヘルメット、特に同価格帯のライバルブランドと比較するのであれば十分優秀な冷却性能を持っている。少なくとも、25℃程度の気温であればヒルクライムでも熱が籠って不快になるようなことは無い。カブトで言えばAERO-R1よりは断然涼しく、FLAIRよりわずかに涼しいか?というところ。
忘れてはいけないのは、このVOLLZAがIZANAGIの約半分の価格で手に入るということ。空冷性能で差をつけられてはいるものの、それ以外の要素ではIZANAGIに肉薄しており、フィッティングに関してはほぼ同等。IZANAGIユーザーとしては、真夏のライドではIZANAGIを使いたいところだが、それ以外の季節であればVOLLZAで何の不満もない。全く違和感のないフィッティングで、気兼ねなく使いこめる普段使いメットとして活躍してくれそうだ。
もちろん、初心者の方のファーストメットとしても間違いなくオススメ出来る。被り慣れないうちはどうしても煩わしく感じてしまうヘルメットだけに、しっかりとフィットし違和感やストレスなく着用できるというのは重要だ。最近は1万円以下の入門モデルの出来も良いが、通気性や首への負担といった面ではハイエンドモデルとは比ぶべくもない。その点、トッププロが使っているモデルと限りなく近い性能が1万円台で手に入るというのはそれだけで魅力的だろう。このVOLZZA、これから目にすることが増えそうな一着だ。
カブト VOLZZA
カラー:ホワイトシルバー、マットブラックガンメタ、ブラックレッド、ホワイトブルー、ガンメタイエロー、ガンメタカーキ、マットトランスパープル
サイズ(頭周のめやす/参考重量):S/M(55-58cm/235g)、L/XL(59-61cm/250g)
価格:17,600円(税込)
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