ツアー・オブ・ジャパンの第2ステージ相模原は、スタート直後に形成された先頭集団が最後まで逃げ切り、スプリントを制したホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が優勝した。総合首位は増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が維持し、最終日を迎える。



新旧小倉橋をバックに進む集団新旧小倉橋をバックに進む集団 ©️TOJ
ツアー・オブ・ジャパン第2ステージは、神奈川県の相模原市が舞台。本来であれば昨年大会で新たに組み込まれたステージだが、中止となったため今年初開催となる。

宮ヶ瀬湖畔のコースを進む集団 奥に見えるのは宮ヶ瀬ダム宮ヶ瀬湖畔のコースを進む集団 奥に見えるのは宮ヶ瀬ダム photo:Kensaku SAKAI
コースは、JR橋本駅近くにある橋本公園をスタートし、東京五輪のロードレースコースにも使用される市内道路をパレード走行したのち、宮ヶ瀬湖畔を通る周回コースを7周する計108.5km。1周13.8kmの周回コースは道幅が狭く、アップダウンとカーブが続き、トンネルが連続する区間もある変化に富んだレイアウト。途中、スプリントポイントと2級山岳ポイントが3回ずつ設定される。

前日に続き、この日の天気も薄雲が広がる晴れとは言い難い天気。それでも時々陽が差し、夏の暑さを感じさせる陽気だ。

スタート直後に形成された16名の先頭集団スタート直後に形成された16名の先頭集団 photo:Kensaku SAKAI
相模川にかかる旧小倉橋でリアルスタートが切られ、周回コースに入ると16名の集団が先行する。この中には、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックス・パワータグ)、畑中勇介、山本元喜(キナンサイクリングチーム)、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、谷順成(那須ブラーゼン)、小石祐馬(チーム右京 相模原)、沢田時(チームブリヂストンサイクリング)、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、平井光介(日本ナショナルチーム)、小出樹(京都産業大学)、仮屋和駿(日本大学)らが含まれる。

リーダージャージの増田成幸を従えて宇都宮ブリッツェンがコントロールリーダージャージの増田成幸を従えて宇都宮ブリッツェンがコントロール photo:Satoru Katoリーダージャージの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の後ろには、総合2位のトマ・ルバと総合3位の山本大喜(共にキナンサイクリングチーム)が続くリーダージャージの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の後ろには、総合2位のトマ・ルバと総合3位の山本大喜(共にキナンサイクリングチーム)が続く photo:Kensaku SAKAI

メイン集団はリーダージャージを着る増田成幸を擁する宇都宮ブリッツェンがコントロール。しかし人数が多く、強力なメンバーが揃った先頭集団に対して差は開いていき、落車の影響もあって4分以上まで開く。この時点で、2分51秒差の7位につける谷がバーチャルリーダーとなる。

5周目 先頭集団から飛び出した入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)5周目 先頭集団から飛び出した入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoru Katoレース終盤は愛三工業レーシングも集団コントロールに加勢レース終盤は愛三工業レーシングも集団コントロールに加勢 photo:Satoru Kato

残り3周となる5周目、先頭集団から入部が飛び出し、平井が追いついて先行。ほどなく他の先頭集団メンバーも合流するが、この動きで10名未満まで絞られる。一方、メイン集団では愛三工業レーシングチームなどが集団コントロールに加担し始め、先頭集団との差を徐々に縮めていく。しかしカーブが連続するコース特性もあってか、差を縮めきれない。

最終周回 先行していた小石祐馬(チーム右京 相模原)に、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)が追いつき、さらに大学生2名が迫る最終周回 先行していた小石祐馬(チーム右京 相模原)に、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)が追いつき、さらに大学生2名が迫る photo:Kensaku SAKAI
先頭集団では、最終周回に入る直前に小石が単独で飛び出して先行。小出、トリビオ、山本元喜、仮屋らが追走していく。相模原を本拠地とするチームとしてステージ優勝が期待された小石だが、残り5kmで追走の4名が捕まえ、勝負はスプリントに持ち込まれた。

フェンスの脚に乗り上げながらも山本元喜を差し切ったホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ、写真左)フェンスの脚に乗り上げながらも山本元喜を差し切ったホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ、写真左) photo:Satoru Kato
フィニッシュ直後、不満を露わにするホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)フィニッシュ直後、不満を露わにするホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato

残り100m、山本元喜の背後からトリビオがまくりにかかり、フェンスぎりぎりのスペースから差し切ったトリビオが先着。しかしトリビオは山本が寄せてきたとして、フィニッシュ後に不満を露わにした。審議の結果、山本の走路妨害があったとして3位に降格となり、仮屋が繰り上がりの2位となった。

「調子が良かったのでステージ優勝を狙えると思っていた。昨日の第1ステージでタイム差を付けられてしまったので、その分自由に動くことが出来た。最後のスプリントは危険な状況だったが、勝機はここしかないと思って引く気は無かった」と、コメントしたトリビオ。明日はポイント賞ジャージを着てスタートする。

第2ステージ相模原優勝 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)第2ステージ相模原優勝 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Katoスプリント賞はホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は総合首位と山岳賞を維持 新人賞は留目夕陽(日本ナショナルチーム)スプリント賞はホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は総合首位と山岳賞を維持 新人賞は留目夕陽(日本ナショナルチーム) photo:Satoru Kato

リーダージャージの増田はメイン集団内でフィニッシュ。最後はトップから1分30秒差まで詰め、総合首位を守った。総合2位のトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)も同じ集団内でフィニッシュし、総合上位3名の順位に動きはなく終えた。

増田は「自分が見ていたのは総合上位勢で、トマ(・ルバ)選手だったり、(山本)大喜の動きは自分でチェックしていたが、選別しきれなかった部分があったと思う。トンネルの照明が落ちていた時にうちのチームが落車の原因を作ってしまい、厳しい展開になってしまった。利害関係の一致する他チームの協力もあって、なんとか差を縮めて首位を守ることが出来たが、危ないレースだった」と、反省を交えてレースを振り返った。

最終日も現地での観戦は控えて欲しい最終日も現地での観戦は控えて欲しい photo:Satoru Kato最終日は東京都の大井埠頭でのレース。総合順位はまだボーナスタイムで逆転可能な範囲とは言え、フラットコースでのステージ優勝を狙うスプリンターも黙って見てはいないだろう。最後まで目が離せない。

主催者は重ねて観戦自粛を呼びかけ

土曜日ということもあり、相模原ステージは現地で観戦された方が少なくなかった。しかしツアー・オブ・ジャパンの主催者は現地観戦の自粛を呼びかけており、ライブ中継での観戦を推奨している。明日は大井埠頭に出向くことなく、自宅などでライブ中継での観戦をお楽しみ頂きたい。
ツアー・オブ・ジャパン 第2ステージ相模原 結果(108.5km)
1位 ホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレア(マトリックスパワータグ) 2時間38分44秒
2位 仮屋和駿(日本大学) +0秒
3位 山本元喜(キナンサイクリングチーム)
4位 小出 樹(京都産業大学) +2秒
5位 小石祐馬(チーム右京 相模原) +9秒
6位 畑中勇介(キナンサイクリングチーム) +1分4秒
個人総合順位(第2ステージ相模原終了時)
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 5時間16分11秒
2位 トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム) +11秒
3位 山本大喜(キナンサイクリングチーム) +44秒
4位 フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ) +1分24秒
5位 小石祐馬(チーム右京 相模原) +1分31秒
6位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) +2分2秒
ポイント賞(第2ステージ相模原終了時)
山岳賞(第2ステージ相模原終了時)
チーム総合順位
text:Satoru Kato
photo:Satroru Kato, Kensaku SAKAI, Tour of JAPAN

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