2010/06/11(金) - 11:23
2010年6月10日、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIプロツアー)第4ステージが頂上ゴール有りの210kmコースで行なわれ、ゴール2km手前で飛び出したニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム)が独走勝利。ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)がマイヨジョーヌを堅持した。
平坦コースをこなして1級山岳リゾールに向かう photo:Cor Vosドーフィネの総合争いを決定づけるのが、厳しい山岳が設定された第4・5・6ステージ。第4ステージは1級山岳リゾールに至る今大会最長の210kmで行なわれた。
この日の難所は最後の1級山岳リゾールのみで、その上り口まで約200kmに渡って平坦路が続く。レース序盤からのアタック合戦を制したダニー・ペイト(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)とステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)がロングエスケープを敢行した。
メイン集団をコントロールするラボバンク photo:Cor Vosメイン集団をコントロールしたのは、前日にマイヨジョーヌを獲得したブライコヴィッチ擁するレディオシャック。レース中盤にタイム差は最大9分10秒まで広がったが、ラボバンクやリクイガスの集団コントロールによってタイム差は詰まって行く。
結局最後の1級山岳リゾール突入時で先頭2名のリードは3分。平均勾配7%が12.8kmに渡って続くこの上りで、先頭からペイトが脱落。22歳のデニフルの独走が始まった。
レディオシャックがコントロールを再開したメイン集団からは、1級山岳でローラン・ルフェーヴル(フランス、Bboxブイグテレコム)やブラニスラウ・サモイラウ(ベラルーシ、クイックステップ)、エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、シルヴァン・カルザッティ(フランス、チームスカイ)らが断続的にアタック。しかしどれも決定力を欠き、先頭デニフルに追いつけずに集団に引き戻された。
レディオシャックに代わってアスタナがペースを上げ始めたメイン集団から、ラスト3.5kmで飛び出したのは総合8位のデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)。先に飛び出していた追走者を抜き去ったメンショフは、ゴールまで2.5kmを残して先頭のデニフルを捉えた。
序盤から逃げたステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)が独走で1級山岳を駆け上がる photo:Cor Vos
1級山岳でアタックを仕掛けたデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)にオスカル・プヨル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)が反応 photo:Cor Vos
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)の様子を伺いながらアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos
しかしメンショフは後続のメイン集団を引き離すことが出来ず、集団から飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)やブライコヴィッチらに捉えられてフリダシに。
1級山岳でメイン集団から飛び出したデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)、アルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ)、オスカル・プヨル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) photo:Cor Vosこの時点で総合2位のデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)と総合3位タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)の姿は無し。
ゴールまで2kmを残して先頭はコンタドール、ブライコヴィッチ、メンショフ、ファンデンブロック、プヨル、ターラマエ、ポリオル、シカール、ロラン、カペッキ、ヴォゴンディの11名。
ラスト2km地点でメイングループから飛び出したニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vos総合上位陣を出し抜いて、ここからヴォゴンディがアタックを仕掛けると、誰も反応出来ないまま距離が広がって行く。遅れて現U23世界チャンピオンのロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)がカウンターアタックで飛び出したが届かず、ゴールまで独走したヴォゴンディが優勝。コンタドールは最後までブライコヴィッチを引き離すことが出来ず、揃ってゴールに飛び込んだ。
袖口にトリコロールの三色を配したヴォゴンディは元フランスチャンピオン。これまで国内レースを中心に勝ち星を上げているベテランだが、国内トップレースでの勝利に喜びを隠しきれない。
独走でゴールに飛び込むニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vos「過去に2回フランスチャンピオンに輝いているけど、コンタドールやブライコヴィッチ、そして北京五輪金メダリストのサンチェスが出場しているこのドーフィネでの勝利は格別だ!本当に夢のようで、訳が分からない。何を喋ったらいいのかも分からない。Bboxブイグテレコムはシーズン序盤から好調で、その勢いがこのドーフィネでも活きた。ファンタスティックだ。チームにとってこのドーフィネは大成功だと言える」。
Bboxブイグテレコムはジロ・デ・イタリアに続くビッグレースでのステージ優勝。ツールに向けて志気が上がっていることだろう。しかし日本人の視点からすると、ツールのメンバー選抜において、2年連続出場を目指す新城幸也のライバルがまた一人増えたことになる。
コンタドールらのアタックを防ぎ切ったヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) photo:Cor Vos総合争いは、ライバルたちのアタックを抑え込んだブライコヴィッチがマイヨジョーヌをキープ。40秒遅れでゴールしたヴァンガーデレンが総合2位に残り、1分35秒遅れたミラーが総合4位に転落。コンタドールは1分41秒遅れの総合3位に浮上している。
やはり総合優勝を狙うブライコヴィッチの最大のライバルはコンタドールだ。この日、レディオシャックは山岳におけるアシスト体制の脆さを露呈した。チーム力の面ではアスタナに分があるが、肝心のコンタドールのアタックには好調時のようなキレがない。今年のドーフィネは早くもブライコヴィッチvsコンタドールの様相を呈して来た。
翌日の第5ステージは序盤に2級山岳ロータレ峠(標高2058m)を越え、標高310mまで下ってから超級山岳シャンルース(標高1750m)に突入する。この超級山岳は平均勾配7.5%・登坂距離17.5km。頂上通過後、グルノーブルまで下ってゴール。再び総合成績は変動することになりそうだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第4ステージ結果
1位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) 6h03'25"
2位 ロメン・シカール(フランス、エウスカルテル) +12"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +15"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
5位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +18"
6位 ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)
7位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
8位 エロス・カペッキ(イタリア、フットオン・セルヴェット)
9位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス) +23"
10位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)
個人総合成績
1位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) 16h25'44"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア +1'15"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'41"
4位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +1'56"
5位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) +2'43"
6位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +2'55"
7位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+3'06"
8位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム) +3'10"
9位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +3'28"
10位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル) +3'29"
ポイント賞
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
山岳賞
ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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この日の難所は最後の1級山岳リゾールのみで、その上り口まで約200kmに渡って平坦路が続く。レース序盤からのアタック合戦を制したダニー・ペイト(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)とステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)がロングエスケープを敢行した。
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結局最後の1級山岳リゾール突入時で先頭2名のリードは3分。平均勾配7%が12.8kmに渡って続くこの上りで、先頭からペイトが脱落。22歳のデニフルの独走が始まった。
レディオシャックがコントロールを再開したメイン集団からは、1級山岳でローラン・ルフェーヴル(フランス、Bboxブイグテレコム)やブラニスラウ・サモイラウ(ベラルーシ、クイックステップ)、エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、シルヴァン・カルザッティ(フランス、チームスカイ)らが断続的にアタック。しかしどれも決定力を欠き、先頭デニフルに追いつけずに集団に引き戻された。
レディオシャックに代わってアスタナがペースを上げ始めたメイン集団から、ラスト3.5kmで飛び出したのは総合8位のデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)。先に飛び出していた追走者を抜き去ったメンショフは、ゴールまで2.5kmを残して先頭のデニフルを捉えた。
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袖口にトリコロールの三色を配したヴォゴンディは元フランスチャンピオン。これまで国内レースを中心に勝ち星を上げているベテランだが、国内トップレースでの勝利に喜びを隠しきれない。
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Bboxブイグテレコムはジロ・デ・イタリアに続くビッグレースでのステージ優勝。ツールに向けて志気が上がっていることだろう。しかし日本人の視点からすると、ツールのメンバー選抜において、2年連続出場を目指す新城幸也のライバルがまた一人増えたことになる。
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やはり総合優勝を狙うブライコヴィッチの最大のライバルはコンタドールだ。この日、レディオシャックは山岳におけるアシスト体制の脆さを露呈した。チーム力の面ではアスタナに分があるが、肝心のコンタドールのアタックには好調時のようなキレがない。今年のドーフィネは早くもブライコヴィッチvsコンタドールの様相を呈して来た。
翌日の第5ステージは序盤に2級山岳ロータレ峠(標高2058m)を越え、標高310mまで下ってから超級山岳シャンルース(標高1750m)に突入する。この超級山岳は平均勾配7.5%・登坂距離17.5km。頂上通過後、グルノーブルまで下ってゴール。再び総合成績は変動することになりそうだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第4ステージ結果
1位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) 6h03'25"
2位 ロメン・シカール(フランス、エウスカルテル) +12"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +15"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
5位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +18"
6位 ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)
7位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
8位 エロス・カペッキ(イタリア、フットオン・セルヴェット)
9位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス) +23"
10位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)
個人総合成績
1位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) 16h25'44"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア +1'15"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'41"
4位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +1'56"
5位 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、Bboxブイグテレコム) +2'43"
6位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +2'55"
7位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+3'06"
8位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム) +3'10"
9位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +3'28"
10位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル) +3'29"
ポイント賞
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
山岳賞
ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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