トレックがプロデュースするパーツブランドのボントレガーが、フラッグシップ級ロードホイール"Aeolus RSL"を発表した。現行Emondaとともに登場した37mmハイトモデルに加え、51、62、75というスーパーディープリムのラインアップがデビューする。



ボントレガーから登場したAeolus RSLホイール。今回は51、62、75がラインアップに加わったボントレガーから登場したAeolus RSLホイール。今回は51、62、75がラインアップに加わった (c)trek
ボントレガーのフラッグシップモデルに与えられる称号、"RSL"。これまでラインアップの頂点に君臨してきたXXXを超えるモデルに使われるグレード名だ。ボントレガーのAeolusホイールには、2020年に発表されたEmondaと同時にローンチされたAeolus RSL37から用いられている。

RSL37はデビュー直後からリッチー・ポートらがEmondaに装着しレースを戦ってきた。一方で、よりエアロダイナミクスを求める選手たちは既存のXXXシリーズを使用し続けており、よりディープなホイールもRSLへと進化を遂げるのは時間の問題だった。そして2021年の春、ボントレガーはRSLの称号を手にしたディープリムモデル"Aeolus RSL51"、"Aeolus RSL62"、"Aeolus RSL75"を発表する。

先行してデビューしたAeolus RSL37のリムハイトをそのまま高くしただけではない、全く新しいリムのホイールとして開発が行われたこれらの新モデルが目指したのは「Our fastest wheels ever(アイオロス史上最速のホイール)」だ。

3次元でCFD解析を行う開発アプローチが採用された3次元でCFD解析を行う開発アプローチが採用された (c)trekこれまでは2次元で解析していたこれまでは2次元で解析していた (c)trek


今回のRSLシリーズを生み出すにあたり、用いられたのは3Dでの空力解析。これまではタイヤ+リムの断面形状(2D)でエアロダイナミクスの評価を行ってきたが、今作ではホイール+タイヤ+スポーク+ハブ+ディスクブレーキなど各要素を取り入れた立体モデルをシミュレートすることで、ホイールシステム全体としての空力評価を行えるようになったという。

この開発アプローチの変化でタイヤの形状変化や横風による影響も計算することができ、あらゆる局面で最適な形状を導き出すことができたと、ボントレガーは説明する。また、最も良いパフォーマンスを発揮するための前提として使われたのは25Cのタイヤ。これはトレック・セガフレードの選手たちが主に使っているのがこのサイズだという理由から。

ボントレガー Aeolus RSL51 TLR Discボントレガー Aeolus RSL51 TLR Disc (c)trek
ボントレガー Aeolus RSL62 TLR Discボントレガー Aeolus RSL62 TLR Disc (c)trekボントレガー Aeolus RSL75 TLR Discボントレガー Aeolus RSL75 TLR Disc (c)trek


それらを踏まえてリリースされたRSL51、62、75のリムはチューブレスレディ、内幅が23mm、外幅が31mmというワイドな仕様に。結果として最小タイヤ幅が25Cとなり、23Cを選択肢から外したことになった。一方で、軽量性に重きを置いたRSL37では23Cも使用可能となっている。このことからも、RSLシリーズではそれぞれの想定シチュエーションに合わせてパフォーマンスが発揮できるよう、ホイールシステム全体として設計されていることが窺える。

新しいアプローチから導き出されたホイールの設計では、正面からの風に対する抵抗が少ないだけではなく、横風を受けた時の抵抗(ホイールが押される力)の低減を実現。また、ワイドリム化によってタイヤの扁平率が上がることで、走行時のタイヤ変形量を抑えることができ、転がり抵抗の削減にも繋がるという。

中央の溝が広く、ゆるいカーブを描くリムベッド中央の溝が広く、ゆるいカーブを描くリムベッド (c)trekチューブレスバルブやリムフラップなどが付属するチューブレスバルブやリムフラップなどが付属する (c)trek

非常にスマートなルックスのハブとなっている非常にスマートなルックスのハブとなっている (c)trekDT240sにEXPラチェットが組み込まれたハブが用いられているDT240sにEXPラチェットが組み込まれたハブが用いられている (c)trek


ボントレガーでは空気抵抗と転がり抵抗を加味した時の抵抗/パワー(パフォーマンス)と、横風からフロントホイールに受ける力(安定性)を評価軸として設定。Aeolus RSL51は45km/h、ライダー+車重の合計77kgで走行をシミュレートした時、XXX4と比較すると16%の空気抵抗、転がり+空気抵抗では10%、安定性については9%のパフォーマンス向上を果たしたという。

Aeolus RSL62は同条件で走行をシミュレートした時、XXX6と比較すると14%の空気抵抗、転がり+空気抵抗では10%、安定性については8%のパフォーマンス向上を果たしたという。これは、1500Wで200mのスプリントをした際、XXX6に対して34Wのパワーセーブが可能となり、1.6m(バイク約1台分)先行することが可能となる計算だとトレックは説明する。

ボントレガー Aeolus Pro51 TLR Discボントレガー Aeolus Pro51 TLR Disc (c)trek
オールラウンドに使えるRSL51は1410g、スプリンター向けのRSL62は1520g、タイムトライアルなどで活躍するRSL72は1645gという重量だ。いずれもEXPラチェットを搭載したDT240sハブがアセンブルされている。価格は294,500円に統一されている。

また、フラッグシップRSLと同タイミングで、51mmハイトのミドルグレードAeolus Pro 51もラインアップに登場している。リムの内幅が23mmであるなど、RSLと同じような作りとされ空力と安定性を確保したチューブレスレディモデルだ。ProグレードのOCLVカーボン、DTスイスの350ハブを採用することで、手の届きやすい184,000円という価格を実現している。重量は1590g。

Madoneのようなエアロロードとの相性がばっちりなAeolus RSL62Madoneのようなエアロロードとの相性がばっちりなAeolus RSL62 (c)trek
ボントレガー Aeolus RSLラインアップ
モデル名 RSL75 RSL62 RSL51 RSL37
リムハイト 75 62 51 37
重量 1645g 1520g 1410g 1325g
内幅 23mm 23mm 23mm 21mm
タイヤ幅 25-45 25-45 25-45 23-45
ハブ DT 240s with Rachet EXP DT 240s with Rachet EXP DT 240s with Rachet EXP DT 240s with Rachet EXP
リム OCLV RSL OCLV RSL OCLV RSL OCLV RSL
スポーク 24/24 24/24 24/24 24/24
ディスクブレーキ センターロック センターロック センターロック センターロック
アクスル 12mm 12mm 12mm 12mm
価格 294,500円 294,500円 294,500円 294,500円
ボントレガー Aeolus PROラインアップ
モデル名 PRO51 PRO37
リムハイト 51 37
重量 1590g 1505g
内幅 23mm 21mm
タイヤ幅 25-45 23-45
ハブ DT350 DT350
リム OCLV PRO OCLV PRO
スポーク 24/24 24/24
ディスクブレーキ センターロック センターロック
アクスル 12mm 12mm
価格 184,000円 184,000円
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