豪華スプリンターが揃ったベルギークラシックで絶好調サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利。チームメイトのお膳立てを受け、今季5勝目を飾っている。
ヨーロッパ&イタリアチャンピオンのジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) (c)www.sport.be
今季初勝利が欲しいアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) (c)www.sport.be
オキシクリーンクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ2021コースマップ (c)www.sport.beスペインで開催中のボルタ・ア・カタルーニャでクライマーや軽量パンチャーがしのぎを削る一方、クラシックハンターやスプリンターはベルギーで開催された「オキシクリーンクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ(UCIワールドツアー)」に集結した。
2017年まで「ブルッヘ〜デパンヌ3日間レース」として長期開催されていた歴史ある大会で、2018年にワンデーレース化、そして2019年にワールドツアーに昇格しても「ドリダーフス(3日間)」が大会名称につけられていた。昨年はレースカレンダー再編に伴いワールドツアー最終戦となり、2021年は消毒薬ブランドのオキシクリーンがタイトルスポンサーとなったことで長年親しまれた”3日間”とも別れを告げている。
ブルッヘを出発し、中盤からはデパンヌを拠点とする40km超の周回コースを3周回。ベルギークラシックには珍しく急勾配登坂や石畳を含まないド平坦コースだが、毎年北海からの海風が選手たちを苦しめる。爆風の中開催された昨年大会ではスタート早々にエシュロンが形成され、完走人数49名という超サバイバルレースでイヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が優勝を飾っている。
ブルッヘのスタートラインに並んだ選手たち (c)www.sport.be
集団スプリントが見込まれる平坦レースだけに、各チームのエースナンバーを付けるのは豪華なピュアスプリンターたち。絶好調サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)は最強リードアウトトレインを伴って出場するほか、パリ〜ニースでそのベネットを打破したケース・ボル(オランダ、チームDSM)やヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)も参戦。調子を上げきれていないパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)らがブルッヘのスタートラインに並んだ。
当初のエスケープはフィニッシュまで75km以上を残して吸収される (c)www.sport.be
ドゥクーニンク・クイックステップが徹底的なペースメイクを行う (c)www.sport.be
単独逃げたセバスティアン・モラ(スペイン、モビスター) (c)www.sport.be
この日、危険視されていた横風分断は生まれなかった。バルナバーシュ・ペアーク(ハンガリー、バイクエクスチェンジ)を含む逃げグループがフィニッシュまで75km以上を残して吸収されると、スプリンター不在のモビスターが積極策に。セバスティアン・モラ(スペイン)が単独で抜け出し、20km強を逃げて引き戻されるとダヴィデ・マルティネッリ(イタリア、アスタナ・プレミアテック)とルイス・マス(スペイン、モビスター)がカウンターで先行した。
しかし、急坂無し、横風無しのこの日はスプリント勝負を目論むメイン集団がハイペースを維持したため、この二人はすぐさま吸収。続いて先行したブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)もフィニッシュまで10km以上を残して吸収されている。
トタル・ディレクトエネルジーやB&Bホテルズ KTM、チームDSMがコントロールする間隙を突いたトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)が残り1kmで捉えられると、いよいよドゥクーニンク・クイックステップのリードアウトが動きだす。最終コーナーを抜けてなお4名を残したウルフパックはフロリアン・セネシャル(フランス)、ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー)と繋ぎ、最終発射台ミケル・モルコフ(デンマーク)に導かれたベネットが残り200mで発進した。
フィリプセンやアッカーマンを抑えて突き進むサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)www.sport.be
サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)が圧勝 (c)www.sport.be
接触によってリアホイールの固定が緩み(本人は気づかなかったという)、さらにチェーン落ちで失速していくデマールを背後にトップスピードまで上げたベネット。フィリプセンやアッカーマンを寄せ付けることなく、UAEとパリ〜ニースに続く今季5勝目を掴み取った。意外にもワンデー開催のUCIワールドツアーレースにおけるベネットの勝利は今回が初めてだ。
今季5勝目を挙げたサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)www.sport.be
2位フィリプセン、1位ベネット、3位アッカーマン (c)www.sport.be
「僕とチームにとって素晴らしい日になったよ。ワンデー開催のワールドツアー勝利に手が届いていなかったから喜びもひとしおだ。チームは今日も素晴らしい働きを見せてくれた。最終局面ですらライバルを気にすることなく、ただただ自分のスプリントに集中していた。僕たちに、そしてベルギーのチームスポンサーにとって大切な勝利を挙げることができて嬉しいよ」と語るベネット。このままベルギーに残り、日曜日開催のヘント〜ウェヴェルヘム、そして4月7日のシュヘルデプライスと、スプリンター向けのベルギークラシックでさらなる勝利上乗せを見据えている。



2017年まで「ブルッヘ〜デパンヌ3日間レース」として長期開催されていた歴史ある大会で、2018年にワンデーレース化、そして2019年にワールドツアーに昇格しても「ドリダーフス(3日間)」が大会名称につけられていた。昨年はレースカレンダー再編に伴いワールドツアー最終戦となり、2021年は消毒薬ブランドのオキシクリーンがタイトルスポンサーとなったことで長年親しまれた”3日間”とも別れを告げている。
ブルッヘを出発し、中盤からはデパンヌを拠点とする40km超の周回コースを3周回。ベルギークラシックには珍しく急勾配登坂や石畳を含まないド平坦コースだが、毎年北海からの海風が選手たちを苦しめる。爆風の中開催された昨年大会ではスタート早々にエシュロンが形成され、完走人数49名という超サバイバルレースでイヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が優勝を飾っている。

集団スプリントが見込まれる平坦レースだけに、各チームのエースナンバーを付けるのは豪華なピュアスプリンターたち。絶好調サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)は最強リードアウトトレインを伴って出場するほか、パリ〜ニースでそのベネットを打破したケース・ボル(オランダ、チームDSM)やヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)も参戦。調子を上げきれていないパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)らがブルッヘのスタートラインに並んだ。



この日、危険視されていた横風分断は生まれなかった。バルナバーシュ・ペアーク(ハンガリー、バイクエクスチェンジ)を含む逃げグループがフィニッシュまで75km以上を残して吸収されると、スプリンター不在のモビスターが積極策に。セバスティアン・モラ(スペイン)が単独で抜け出し、20km強を逃げて引き戻されるとダヴィデ・マルティネッリ(イタリア、アスタナ・プレミアテック)とルイス・マス(スペイン、モビスター)がカウンターで先行した。
しかし、急坂無し、横風無しのこの日はスプリント勝負を目論むメイン集団がハイペースを維持したため、この二人はすぐさま吸収。続いて先行したブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)もフィニッシュまで10km以上を残して吸収されている。
トタル・ディレクトエネルジーやB&Bホテルズ KTM、チームDSMがコントロールする間隙を突いたトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)が残り1kmで捉えられると、いよいよドゥクーニンク・クイックステップのリードアウトが動きだす。最終コーナーを抜けてなお4名を残したウルフパックはフロリアン・セネシャル(フランス)、ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー)と繋ぎ、最終発射台ミケル・モルコフ(デンマーク)に導かれたベネットが残り200mで発進した。


接触によってリアホイールの固定が緩み(本人は気づかなかったという)、さらにチェーン落ちで失速していくデマールを背後にトップスピードまで上げたベネット。フィリプセンやアッカーマンを寄せ付けることなく、UAEとパリ〜ニースに続く今季5勝目を掴み取った。意外にもワンデー開催のUCIワールドツアーレースにおけるベネットの勝利は今回が初めてだ。


「僕とチームにとって素晴らしい日になったよ。ワンデー開催のワールドツアー勝利に手が届いていなかったから喜びもひとしおだ。チームは今日も素晴らしい働きを見せてくれた。最終局面ですらライバルを気にすることなく、ただただ自分のスプリントに集中していた。僕たちに、そしてベルギーのチームスポンサーにとって大切な勝利を挙げることができて嬉しいよ」と語るベネット。このままベルギーに残り、日曜日開催のヘント〜ウェヴェルヘム、そして4月7日のシュヘルデプライスと、スプリンター向けのベルギークラシックでさらなる勝利上乗せを見据えている。
オキシクリーンクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ2021結果
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 4:27:40 |
2位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
3位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) | |
5位 | ティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル) | |
6位 | ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション) | |
7位 | ケース・ボル(オランダ、チームDSM) | |
8位 | ミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
9位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス) | |
10位 | スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、ビンゴール・ワロニーブリュッセル) |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp