2021/03/16(火) - 12:17
パリ〜ニース最終日を総合首位で迎えたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)だったが、周回コースの下りで2度目の落車。チームメイトと共に懸命に集団復帰を目指すも、3分8秒遅れの15位で総合優勝を逃してしまった。選手たちのインタビューからその状況を探った。
擦過傷を負ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos
ステージ優勝を挙げたマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーションNIPPO)から、3分8秒遅れの15位でフィニッシュラインにやってきたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)。そのビブショーツは破れ、左側の臀部から太ももまでが顕(あらわ)になっていた。
今大会で2021年シーズンの開幕を迎えたログリッチは、第4、6、7ステージで勝利を挙げる最高のスタートを切る。総合でも第4ステージからマイヨジョーヌを着用し、2位の前年度王者マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)に対し52秒差をつけて最終日を迎えていた。
しかし、この日は最初の2級山岳の登坂を終えると、22km地点から始まる下りでクラッシュに見舞われる。レース後のインタビューに応じたログリッチはこう答えた。
「なんて言えばいいのかな。ただ期待していたようなステージにはならなかった。幾つかのミスをしてしまった。最初の転倒で左肩を脱臼してしまったんだ。そして2回目は…」
1度目の落車から復帰したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos
カメラに映らなかった落車シーンについて、目の前で目撃したというマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)は、「一度目の落車があった時、僕はログリッチの真後ろを走っていたんだ。コーナーでブレーキを握り過ぎたように見えた。おそらく誰かの後輪の内側、(通常と)逆側のラインをとってしまったのだろう」と説明。総合争いのライバルであるマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)も「最初の落車は僕の目の前で起こった。前輪を滑らせたように見えたね」と答えた。
だが、ログリッチ敗北の直接的原因となったのは2度目の落車。チームメイトであるステフェン・クライスヴァイク(オランダ)はその状況を、「一度目の激しい落車後、僕たちは彼(ログリッチ)をメイン集団に連れ戻すことができた。そしてレースをコントロールしようと試みたんだ。だが2度目の落車は突然やってきたんだ。あれがなければジャージはキープできていただろう」と語る。
「2度目の落車は下りの最終コーナーで起こった。外れたチェーンを戻すの手間取ってしまい、そのせいで遅れを取ってしまったんだ。もちろんメイン集団はスピードを上げていたよ。谷間は風が吹き荒び、僕らにはチームメイトが3、4人しかいなかった。だから差を縮めることができなかったんだ。全力を尽くしたのだが、集団復帰は叶わなかった」
チームメイトと共に集団復帰を目指すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) (c)A.S.O.
再び遅れを取ったログリッチを集団復帰させるべく、ユンボ・ヴィズマのクライマーたちによる懸命な牽引が展開。途中、集団から遅れてきたナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシックやヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)による思わぬ助けがあったものの、ステージ勝利を狙うボーラ・ハンスグローエやアスタナ・プレミアテックのペースには届かず、総合優勝を逃す事態に決着した。
「最後まで全力を尽くす激しい戦いだった。悔しいけどこれがスポーツだ。それでもシーズンのスタートとしてはポジティブな内容ではあったと思う。あの(勝利した)瞬間を決して忘れはしない。このパリ〜ニースから学び、次の目標に向かって計画を立てなければならない。いまは回復に努め、次のレースに向けて準備していきたい」と、レース後に報道陣に姿を現したログリッチは話した。
マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)に声を掛けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos
奇しくもA.S.O.が主催するレースの最終決戦でリードを失う結果になったログリッチ。しかしユンボ・ヴィズマの監督であるグリシャ・ニアマン氏は前向きな言葉を残している。
「プリモシュは精神的にとても強い選手だ。今回のことも今後の糧にしていくのだと思う。それは彼自身が過去に証明しているからね。いまは残念だという気持ちが上回っているが、僕たちは3つのステージ勝利とグリーンジャージを獲得したんだ。もちろん総合優勝を獲るためにここに来たのだが、ここからは次のレースを見据えていかなければならない」
text:Sotaro.Arakawa
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ステージ優勝を挙げたマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーションNIPPO)から、3分8秒遅れの15位でフィニッシュラインにやってきたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)。そのビブショーツは破れ、左側の臀部から太ももまでが顕(あらわ)になっていた。
今大会で2021年シーズンの開幕を迎えたログリッチは、第4、6、7ステージで勝利を挙げる最高のスタートを切る。総合でも第4ステージからマイヨジョーヌを着用し、2位の前年度王者マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)に対し52秒差をつけて最終日を迎えていた。
しかし、この日は最初の2級山岳の登坂を終えると、22km地点から始まる下りでクラッシュに見舞われる。レース後のインタビューに応じたログリッチはこう答えた。
「なんて言えばいいのかな。ただ期待していたようなステージにはならなかった。幾つかのミスをしてしまった。最初の転倒で左肩を脱臼してしまったんだ。そして2回目は…」
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カメラに映らなかった落車シーンについて、目の前で目撃したというマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)は、「一度目の落車があった時、僕はログリッチの真後ろを走っていたんだ。コーナーでブレーキを握り過ぎたように見えた。おそらく誰かの後輪の内側、(通常と)逆側のラインをとってしまったのだろう」と説明。総合争いのライバルであるマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)も「最初の落車は僕の目の前で起こった。前輪を滑らせたように見えたね」と答えた。
だが、ログリッチ敗北の直接的原因となったのは2度目の落車。チームメイトであるステフェン・クライスヴァイク(オランダ)はその状況を、「一度目の激しい落車後、僕たちは彼(ログリッチ)をメイン集団に連れ戻すことができた。そしてレースをコントロールしようと試みたんだ。だが2度目の落車は突然やってきたんだ。あれがなければジャージはキープできていただろう」と語る。
「2度目の落車は下りの最終コーナーで起こった。外れたチェーンを戻すの手間取ってしまい、そのせいで遅れを取ってしまったんだ。もちろんメイン集団はスピードを上げていたよ。谷間は風が吹き荒び、僕らにはチームメイトが3、4人しかいなかった。だから差を縮めることができなかったんだ。全力を尽くしたのだが、集団復帰は叶わなかった」
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再び遅れを取ったログリッチを集団復帰させるべく、ユンボ・ヴィズマのクライマーたちによる懸命な牽引が展開。途中、集団から遅れてきたナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシックやヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)による思わぬ助けがあったものの、ステージ勝利を狙うボーラ・ハンスグローエやアスタナ・プレミアテックのペースには届かず、総合優勝を逃す事態に決着した。
「最後まで全力を尽くす激しい戦いだった。悔しいけどこれがスポーツだ。それでもシーズンのスタートとしてはポジティブな内容ではあったと思う。あの(勝利した)瞬間を決して忘れはしない。このパリ〜ニースから学び、次の目標に向かって計画を立てなければならない。いまは回復に努め、次のレースに向けて準備していきたい」と、レース後に報道陣に姿を現したログリッチは話した。
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奇しくもA.S.O.が主催するレースの最終決戦でリードを失う結果になったログリッチ。しかしユンボ・ヴィズマの監督であるグリシャ・ニアマン氏は前向きな言葉を残している。
「プリモシュは精神的にとても強い選手だ。今回のことも今後の糧にしていくのだと思う。それは彼自身が過去に証明しているからね。いまは残念だという気持ちが上回っているが、僕たちは3つのステージ勝利とグリーンジャージを獲得したんだ。もちろん総合優勝を獲るためにここに来たのだが、ここからは次のレースを見据えていかなければならない」
text:Sotaro.Arakawa
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