2021/03/14(日) - 10:03
コースが短縮され119.2kmのクイーンステージとなったパリ〜ニース第7ステージは、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が前日に引き続き勝利。今大会3勝目と共に自身キャリア50勝目を挙げた。
山間の小村を通過していく (c)CorVos
パリ〜ニース2021第7ステージ コースプロフィール (c)A.S.O.パリ〜ニース(UCIワールドツアー)7日目はル・ブロックから1級山岳ヴァルドゥブロール/ラ・コルミアーヌ(全長16.2km/平均6.2%)に向かうクイーンステージ。前日にニース市が新型コロナウイルス感染拡大による週末のロックダウンを決定し、スタート地が急遽予定されていたニースから変更。距離も166.5kmから119.2kmに短縮される措置が取られた。
距離は短くなったものの、レース前半に3つの2級山岳を越え、最終山岳を約1000m駆け上がる獲得標高差は3728m。そんなタフなコースで逃げグループを形成したのは、山岳賞ジャージを着るアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)や、前日も逃げたケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)、「逃げ屋」のトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)に、繰り下げでポイント賞ジャージを着用するサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)を含む13人。逃げ切りも十分に考えられる強力なメンバーが、標高1,500mのスキー場に向かい突き進む。
逃げグループを牽引するトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) (c)CorVos
逃げに乗った13名
ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーションNIPPO)
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、イネオス・グレナディアーズ)
ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ)
アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
アントニー・ペレス(フランス、コフィディス):山岳ランキング1位
ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)
ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)
ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)
マイヨ・ポワのペレスが前半3つの2級山岳をすべて先頭で通過すると、15ポイントを加算し合計67ポイントで山岳賞をほぼ確定させる。一方でポイント賞狙いのサム・ベネットも、残り31km地点にあるスプリントポイントで3点を無事加えた。
逃げを試みたサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
ダウンヒルをこなす新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) (c)CorVos
イネオス・グレナディアーズとボーラ・ハンスグローエが中心にコントロールするメイン集団は、最終山岳(全長16.2km/平均6.2%)の登りに入ると逃げグループから落ちてくる選手を次々と吸収していく。
後ろのペースアップの気配を感じ、逃げ集団で最初に動いたのはルツェンコ。だが決定的な加速には繋がらず、今度はマーダーがライバルたちの脚色を伺うようにテンポを上げる。それについて行けたのはポーレスとエリッソンドの二人だけ。キッカケを作ったルツェンコは痙攣した脚を抑えながらそのまま下がっていった。
タイム差を41秒まで詰めたメイン集団では、ユンボ・ヴィズマのアシストを削りたいコフィディスが積極的に前を引くと、そこから総合16位1分47秒遅れのシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)が飛び出す。だがタイム差を1分まで戻し、エリッソンドを置き去りにした逃げの二人に追いつくことはできず、この日が35歳の誕生日のゲシュケもあえなく吸収されてしまう。
チームメイトに守られて走るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
途中アスタナ・プレミアテックが積極的に引く動きを見せるも、集団はユンボ・ヴィズマのジョージ・ベネット(ニュージーランド)とステフェン・クライスヴァイク(オランダ)が他チームのアタックを防ぐ鉄壁の牽引を見せる。
この時点でポーレスを振り切ったマーダーとメイン集団との差は24秒。残り2kmでクライスヴァイクが仕事を終えると、そのままプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が一回目の加速を見せるが、これはライバルたちの反応を伺っただけ。一拍置いて今度は総合2位マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出すも、ログリッチ、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)、ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM)の4人を引き離せない。
様子見のジャブを打つプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
カウンターで飛び出すティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) (c)CorVos
フラムルージュをくぐると今度はべノートがアタック。しかし迫力のないこの動きにカウンターでログリッチが二度目の加速。シャフマンがマークし、後ろから3人が追いついて再び集団走行になるも、残り250mからログリッチが三度目のスパート。これが決定打となり、そのままステージ優勝目前だったマーダーもフィニッシュライン手前25mで差し切り、2日連続のステージ勝利をもぎ取った。
ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)をプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が引き離す (c)CorVos
「常に勝利を願っている。チャンスが見えたのでそれを掴んだまでだ。短くもタフなステージだった。最後はとても厳しい展開だったが、幸運にも勝つことができた。チームはステージを通してうまくコントロールしてくれて、幸運にも彼らの為に最後までやり遂げることができた」と喜びを語るのは、これがキャリア通算50勝目となったログリッチ。ボーナスタイムを10秒を加え、総合2位のシャフマンとの差を52秒まで広げてパリ〜ニース総合優勝を引き寄せた。
最終日を見据えたログリッチは、「パリ〜ニースは素晴らしいレースで、自分の戦績に加えたい。しかしまだ終わっていない。明日はアタックがあるだろうから、勝利を持ち帰る為に抜け目なく、集中しなければならない」と加えた。
キャリア通算50勝目を射止めたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
マイヨジョーヌのリードを広げたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
なお新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は18分19秒遅れの79位でフィニッシュ。勝利に一歩届かなかったチームメイトのマーダーは敢闘賞に輝いている。
翌日の第8ステージはニース市内を走るコースから急遽変更になったル・プラン・デュ・バールからルヴァンまでの92.7km。あらゆる可能性を残す丘陵ステージだ。
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距離は短くなったものの、レース前半に3つの2級山岳を越え、最終山岳を約1000m駆け上がる獲得標高差は3728m。そんなタフなコースで逃げグループを形成したのは、山岳賞ジャージを着るアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)や、前日も逃げたケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)、「逃げ屋」のトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)に、繰り下げでポイント賞ジャージを着用するサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)を含む13人。逃げ切りも十分に考えられる強力なメンバーが、標高1,500mのスキー場に向かい突き進む。
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逃げに乗った13名
ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーションNIPPO)
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、イネオス・グレナディアーズ)
ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ)
アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
アントニー・ペレス(フランス、コフィディス):山岳ランキング1位
ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)
ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)
ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)
マイヨ・ポワのペレスが前半3つの2級山岳をすべて先頭で通過すると、15ポイントを加算し合計67ポイントで山岳賞をほぼ確定させる。一方でポイント賞狙いのサム・ベネットも、残り31km地点にあるスプリントポイントで3点を無事加えた。
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後ろのペースアップの気配を感じ、逃げ集団で最初に動いたのはルツェンコ。だが決定的な加速には繋がらず、今度はマーダーがライバルたちの脚色を伺うようにテンポを上げる。それについて行けたのはポーレスとエリッソンドの二人だけ。キッカケを作ったルツェンコは痙攣した脚を抑えながらそのまま下がっていった。
タイム差を41秒まで詰めたメイン集団では、ユンボ・ヴィズマのアシストを削りたいコフィディスが積極的に前を引くと、そこから総合16位1分47秒遅れのシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)が飛び出す。だがタイム差を1分まで戻し、エリッソンドを置き去りにした逃げの二人に追いつくことはできず、この日が35歳の誕生日のゲシュケもあえなく吸収されてしまう。
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途中アスタナ・プレミアテックが積極的に引く動きを見せるも、集団はユンボ・ヴィズマのジョージ・ベネット(ニュージーランド)とステフェン・クライスヴァイク(オランダ)が他チームのアタックを防ぐ鉄壁の牽引を見せる。
この時点でポーレスを振り切ったマーダーとメイン集団との差は24秒。残り2kmでクライスヴァイクが仕事を終えると、そのままプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が一回目の加速を見せるが、これはライバルたちの反応を伺っただけ。一拍置いて今度は総合2位マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出すも、ログリッチ、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)、ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM)の4人を引き離せない。
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「常に勝利を願っている。チャンスが見えたのでそれを掴んだまでだ。短くもタフなステージだった。最後はとても厳しい展開だったが、幸運にも勝つことができた。チームはステージを通してうまくコントロールしてくれて、幸運にも彼らの為に最後までやり遂げることができた」と喜びを語るのは、これがキャリア通算50勝目となったログリッチ。ボーナスタイムを10秒を加え、総合2位のシャフマンとの差を52秒まで広げてパリ〜ニース総合優勝を引き寄せた。
最終日を見据えたログリッチは、「パリ〜ニースは素晴らしいレースで、自分の戦績に加えたい。しかしまだ終わっていない。明日はアタックがあるだろうから、勝利を持ち帰る為に抜け目なく、集中しなければならない」と加えた。
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なお新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は18分19秒遅れの79位でフィニッシュ。勝利に一歩届かなかったチームメイトのマーダーは敢闘賞に輝いている。
翌日の第8ステージはニース市内を走るコースから急遽変更になったル・プラン・デュ・バールからルヴァンまでの92.7km。あらゆる可能性を残す丘陵ステージだ。
パリ〜ニース2021第7ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 3:09:18 |
2位 | ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:02 |
3位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:05 |
4位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 0:08 |
5位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 0:10 |
6位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) | |
7位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:15 |
8位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
9位 | ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:22 |
10位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チームDSM) | 0:27 |
79位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | 18:19 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 26:32:01 |
2位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:52 |
3位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 1:11 |
4位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | 1:15 |
5位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) | 1:34 |
6位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | |
7位 | ギヨーム・マルタン(フランス、バイクエクスチェンジ) | 2:06 |
8位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 2:07 |
9位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 2:10 |
10位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) | 2:21 |
その他の特別賞
ポイント賞 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) |
山岳賞 | アントニー・ペレス(フランス、コフィディス) |
ヤングライダー賞 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) |
チーム総合成績 | アスタナ・プレミアテック |
text:Sotaro.Arakawa
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