1月2日に開催された「シクロクロス・グルレーゲム」でマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が圧勝。女子レースではカータ・ヴァス(ハンガリー、ドルチーニ・ファンアイクスポーツ)が元世界王者を下しベルギーレース2勝目を飾っている。



砂区間をリードするマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)砂区間をリードするマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
欧州シクロクロスカレンダーは年末年始のレース密集期間をフルスロットルで進行中。1月1日(金)のGPスヴェンネイスと1月3日(日)のUCIワールドカップ第4戦に挟まれた1月2日(土)には、ベルギーのコルトレイクに近い街グルレーゲムを舞台にした「シクロクロス・グルレーゲム」が開催された。

シクロクロスの三大シリーズ(ワールドカップ、スーパープレスティージュ、X2Oトロフェー)ではなく選手層こそ薄いものの、男子レースにはGPスヴェンネイスで勝利したばかりのマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)や、3位に入ったトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)らが連戦出場を選んだ。

サイトメガロウイルス感染症によって約2ヶ月レースから離れていたイェンス・アダムス(ベルギー)がホールショットを奪い、ファンデルプールやピドコック、宇都宮シクロクロス優勝経験を持つフェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポーツ)らが先頭グループを作ってレースは動き出す。スロースタートを選んだファンデルプールグループには、スヴェン・ネイスの息子であり、ジュニア世界王者のティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)も加わった。

トーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)とマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が先頭グループを組むトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)とマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が先頭グループを組む photo:CorVosティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は9位にティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は9位に photo:CorVos

年明け2勝目を飾ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)年明け2勝目を飾ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
7〜8名の先頭集団からファンデルプールが動いたのは全9周回中の3周目だった。アタック一発で独走に持ち込んだファンデルプールは一旦ピドコックの合流を許したものの、6周目に再び攻撃して単独に。今季互角と言えるレースを見せているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)不在のレースで世界チャンピオンの走りが輝いた。

ピドコックの追撃を許さなかったファンデルプールが今大会3年連続勝利を飾り、2021年1月2日にして今季既に2勝をマーク。イネオス・グレナディアーズ入りを控えるピドコックが2位に入り、ジャンニ・フェルメルシュ(ベルギー、クレディショップ・フリスタッズ)との接戦を制したアダムスが復帰戦で3位表彰台を射止めている。また、落車しながらもネイスJr.は9位に入っている。



盛り土区間をクリアするカータ・ヴァス(ハンガリー、ドルチーニ・ファンアイクスポーツ)盛り土区間をクリアするカータ・ヴァス(ハンガリー、ドルチーニ・ファンアイクスポーツ) photo:CorVos
元U23世界王者のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)元U23世界王者のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) photo:CorVosサンドセクションを走るサンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン)サンドセクションを走るサンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン) photo:CorVos


翌日のワールドカップに集中するため、セイリン・アルバラード(アルペシン・フェニックス)やルシンダ・ブラント(バロワーズ・トレック・ライオンズ)など強豪オランダ勢が参加を見送った女子レースを制圧したのはハンガリーチャンピオンのカータ・ヴァス(ドルチーニ・ファンアイクスポーツ)だった。

ヴァスはホールショットを奪ったマリオン・ノーブルリブロール(フランス、スターカジノCXチーム)と共にリードを稼ぎ、その後時間を要さず独走に持ち込んだ。12月30日のシクロクロス・ブレーデネで勝利している19歳が、元世界王者サンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン)やアンナ・カイ(イギリス、スターカジノCXチーム)を寄せ付けず、フィニッシュまで逃げ切った。

2連勝を飾ったカータ・ヴァス(ハンガリー、ドルチーニ・ファンアイクスポーツ)2連勝を飾ったカータ・ヴァス(ハンガリー、ドルチーニ・ファンアイクスポーツ) photo:CorVos
スプリントでインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)がサンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン)を下すスプリントでインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)がサンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン)を下す photo:CorVosシクロクロス・グルレーゲム2021女子エリート表彰台シクロクロス・グルレーゲム2021女子エリート表彰台 photo:CorVos


ヴァスは今季ベルギーレースで価値ある2勝目を収め、ロードとシクロクロスでハンガリーチャンピオンに輝き、MTB世界選手権U23レースで銀メダルを獲得した実力を今一度証明。大きなミスを出しながらも挽回し、ベルギーチャンピオンのカントをゴールスプリントで下した元U23世界チャンピオンのインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)が2位を掴み取っている。

シクロクロス・グルレーゲム2021男子エリート結果
1位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) 1:00:35
2位 トーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング) 0:45
3位 イェンス・アダムス(ベルギー) 0:53
4位 ジャンニ・フェルメルシュ(ベルギー、クレディショップ・フリスタッズ) 0:57
5位 フェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポーツ) 1:27
6位 ディエテル・スウェーク(ベルギー、クレディショップ・フリスタッズ) 1:45
7位 ヨラン・ワイスール(ベルギー) 1:51
8位 エミエル・ヴェルストリンゲ(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) 2:03
9位 ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 2:17
10位 ジム・アールノーツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 2:23
シクロクロス・グルレーゲム2021女子エリート結果
1位 カータ・ヴァス(ハンガリー、ドルチーニ・ファンアイクスポーツ) 45:47
2位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) 0:30
3位 サンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン)
4位 アンナ・カイ(イギリス、スターカジノCXチーム) 1:15
5位 マリオン・ノーブルリブロール(フランス、スターカジノCXチーム) 1:28
6位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) 2:05
7位 カレン・フェルヘストラーテン(IKOクレラン) 2:29
8位 レベッカ・ファーリンガー(アメリカ、コナ・マキシス・シマノ) 2:55
9位 スザンヌ・メイストロク(オランダ、プロキシマス・アルファモーターホームズ・ドルチーニ) 3:03
10位 ジョイス・ファンデルべーケン(ベルギー) 3:12
text:So Isobe
photo:CorVos