2020/12/24(木) - 12:39
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)vsワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)再び。リードを築いたファンデルプールはパンクで遅れ、その間先頭を奪ったファンアールトが今季CXシーズン初勝利をマークした。
ベルギー北部、アントワープに近い街ヘーレンタルスを舞台にX2Oトロフェー第4戦が開催された。普段キッズ向けの自転車教室も開催されているスポーツ施設は高低差のある森に覆われ、言わずもがなコースもその斜面を利用している。
乗車を拒む厳しい急勾配区間や、木の根が露出した神経質な下り、女子エリート選手ですら降車を選ぶ荒れた盛り土区間が組み込まれた初登場のコースは、ジェレミー・パワーズ(アメリカ)の言葉を借りれば「MTB選手向け」。折からの雨がコースに無数の深い泥たまり区間を作り上げる、難コンディションの中レースが繰り広げられた。
最前列からスタートダッシュを決め、そのまま先頭でレースを進めたのはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)。前日開催された「シクロクロス・エッセン」で圧勝している世界王者を追いかけたのは、日曜日のワールドカップ第2戦で一騎討ちを繰り広げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)と、好調マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)の2人だった。
ヨーロッパチャンピオンのエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)ら4番手以降を寄せ付けずに逃げた3名の中、テクニカルコースに適性を見せるファンデルプールが抜け出し、ファントーレンハウトを切り離したファンアールトが2番手。何年にも渡ってシクロクロスで、そして今年はロードレースとシクロクロスで長いライバル関係を築く2人が5〜10秒差の追走劇を繰り広げた。
ファンデルプールはテクニカルかつパワーが求められるコースでリードを徐々に重ねていったが、レース時間が30分に到達しようというタイミングで突如ファンアールトの合流を許し、2番手にダウン。ピットを通過したタイミングで後輪パンクに見舞われた世界王者がペースダウンを強いられた。
パンクしたタイヤで長時間走り続け、新しいバイクに乗り換えたファンデルプールだったが、前を逃げるファンアールトとの差は30秒にまで広がっていた。「(それまで)互いに良い勝負をしていたので追いつかないだろうと思った。ピット通過直後のパンクだったので随分と時間が掛かってしまった。ワウトは僕と同じスピードで走っていたから、もう終わったと分かった」と白旗。「これまで走った中でも有数の大好きなコースだったので、勝負を諦めてからは楽しんで走った」と言う世界王者の35秒前で、安定した走りを披露したファンアールトがフィニッシュラインに辿り着いた。
ジャージの泥を払い落とし、両手を広げて笑顔を見せたファンアールトが今季シクロクロスシーズン初勝利。これまでの4レースで3度表彰台に登るなど、過去3度の男子エリートアルカンシエル経験者がその力を存分に発揮することとなった。
「勝利に満足しているよ。もちろんマチューのパンクは僕にとってラッキーだった。今日本当に勝利を欲していたし、全てが上手くいったんだ」と話すファンアールト。「最初は空気圧が低すぎて遅れてしまったんだ。マチューに追いついた時に彼がパンクしていることに気づいた。そこからすぐさま30秒を稼ぎ、最後まで維持することができた。今日は一騎討ちにはならなかったけれど、互いにリスペクトしあっている」と、レースとファンデルプールについて話している。
2人に置き去りにされつつもペースを維持したファントーレンハウトが3位に入り、トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が4位。シクロクロスに連戦出場中のハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)は54位で完走とならなかった。
アンマリー・ワースト(オランダ、777)を除くトップ選手が一堂に会した女子レースを掌握したのは世界王者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)だった。デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とサンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン)に続く3番手で滑り出したアルバラードは、1周目に先頭を奪い、テクニカルなシングルトラック区間でリードを奪った。
前日に一足遅れてシクロクロスシーズンイン&初勝利を挙げた元世界王者マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ)が後方から追い上げるのを尻目に、アルバラードは2周目に独走態勢に持ち込んだ。今季圧倒的な勝率を誇るルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)はベッツィマを引き離して追走したものの、泥の下りで前転するなどリズムが噛み合わない。アルバラードのリードは最終周回突入時、12秒にまで広がっていた。
難コースで力強い走りを見せたアルバラードが、ブラントを19秒、ベッツィマを23秒引き離して勝利。トップコンディションから外れていることを公言し、メカトラも重なり1ヶ月以上勝利から遠ざかっていた世界王者は「待ち遠しい勝利。ここ数週間上手くいかなかったからと言って、私のやってきたことが間違っていたというわけではない。今日は楽しみながらレースを走ることができた」と、苦しい期間を帳消しにする勝利を喜んだ。
表彰台圏外では、日曜日のシクロクロスワールドカップで2位に入ったクララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com)が4位に入り、徐々にコンディションを上げつつある元世界王者カントが5位。4列目スタートを強いられたフォスは6位に入り、その実力を遺憾無く発揮している。
ベルギー北部、アントワープに近い街ヘーレンタルスを舞台にX2Oトロフェー第4戦が開催された。普段キッズ向けの自転車教室も開催されているスポーツ施設は高低差のある森に覆われ、言わずもがなコースもその斜面を利用している。
乗車を拒む厳しい急勾配区間や、木の根が露出した神経質な下り、女子エリート選手ですら降車を選ぶ荒れた盛り土区間が組み込まれた初登場のコースは、ジェレミー・パワーズ(アメリカ)の言葉を借りれば「MTB選手向け」。折からの雨がコースに無数の深い泥たまり区間を作り上げる、難コンディションの中レースが繰り広げられた。
最前列からスタートダッシュを決め、そのまま先頭でレースを進めたのはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)。前日開催された「シクロクロス・エッセン」で圧勝している世界王者を追いかけたのは、日曜日のワールドカップ第2戦で一騎討ちを繰り広げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)と、好調マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)の2人だった。
ヨーロッパチャンピオンのエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)ら4番手以降を寄せ付けずに逃げた3名の中、テクニカルコースに適性を見せるファンデルプールが抜け出し、ファントーレンハウトを切り離したファンアールトが2番手。何年にも渡ってシクロクロスで、そして今年はロードレースとシクロクロスで長いライバル関係を築く2人が5〜10秒差の追走劇を繰り広げた。
ファンデルプールはテクニカルかつパワーが求められるコースでリードを徐々に重ねていったが、レース時間が30分に到達しようというタイミングで突如ファンアールトの合流を許し、2番手にダウン。ピットを通過したタイミングで後輪パンクに見舞われた世界王者がペースダウンを強いられた。
パンクしたタイヤで長時間走り続け、新しいバイクに乗り換えたファンデルプールだったが、前を逃げるファンアールトとの差は30秒にまで広がっていた。「(それまで)互いに良い勝負をしていたので追いつかないだろうと思った。ピット通過直後のパンクだったので随分と時間が掛かってしまった。ワウトは僕と同じスピードで走っていたから、もう終わったと分かった」と白旗。「これまで走った中でも有数の大好きなコースだったので、勝負を諦めてからは楽しんで走った」と言う世界王者の35秒前で、安定した走りを披露したファンアールトがフィニッシュラインに辿り着いた。
ジャージの泥を払い落とし、両手を広げて笑顔を見せたファンアールトが今季シクロクロスシーズン初勝利。これまでの4レースで3度表彰台に登るなど、過去3度の男子エリートアルカンシエル経験者がその力を存分に発揮することとなった。
「勝利に満足しているよ。もちろんマチューのパンクは僕にとってラッキーだった。今日本当に勝利を欲していたし、全てが上手くいったんだ」と話すファンアールト。「最初は空気圧が低すぎて遅れてしまったんだ。マチューに追いついた時に彼がパンクしていることに気づいた。そこからすぐさま30秒を稼ぎ、最後まで維持することができた。今日は一騎討ちにはならなかったけれど、互いにリスペクトしあっている」と、レースとファンデルプールについて話している。
2人に置き去りにされつつもペースを維持したファントーレンハウトが3位に入り、トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が4位。シクロクロスに連戦出場中のハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)は54位で完走とならなかった。
アンマリー・ワースト(オランダ、777)を除くトップ選手が一堂に会した女子レースを掌握したのは世界王者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)だった。デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とサンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン)に続く3番手で滑り出したアルバラードは、1周目に先頭を奪い、テクニカルなシングルトラック区間でリードを奪った。
前日に一足遅れてシクロクロスシーズンイン&初勝利を挙げた元世界王者マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ)が後方から追い上げるのを尻目に、アルバラードは2周目に独走態勢に持ち込んだ。今季圧倒的な勝率を誇るルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)はベッツィマを引き離して追走したものの、泥の下りで前転するなどリズムが噛み合わない。アルバラードのリードは最終周回突入時、12秒にまで広がっていた。
難コースで力強い走りを見せたアルバラードが、ブラントを19秒、ベッツィマを23秒引き離して勝利。トップコンディションから外れていることを公言し、メカトラも重なり1ヶ月以上勝利から遠ざかっていた世界王者は「待ち遠しい勝利。ここ数週間上手くいかなかったからと言って、私のやってきたことが間違っていたというわけではない。今日は楽しみながらレースを走ることができた」と、苦しい期間を帳消しにする勝利を喜んだ。
表彰台圏外では、日曜日のシクロクロスワールドカップで2位に入ったクララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com)が4位に入り、徐々にコンディションを上げつつある元世界王者カントが5位。4列目スタートを強いられたフォスは6位に入り、その実力を遺憾無く発揮している。
男子エリートレース結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 58:13 |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:35 |
3位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:32 |
4位 | トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 2:15 |
5位 | エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 2:18 |
6位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 2:26 |
7位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) | 2:38 |
8位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 2:48 |
9位 | コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム) | 2:50 |
10位 | ジャンニ・フェルメルシュ(ベルギー、クレディショップ・フリスタッズ) | 3:25 |
女子エリートレース結果
1位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 45:53 |
2位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 0:19 |
3位 | デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:23 |
4位 | クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com) | 1:30 |
5位 | サンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン) | 1:36 |
6位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ) | 1:50 |
7位 | マノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 2:03 |
8位 | ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 2:19 |
9位 | カータ・ヴァス(ハンガリー、ドルチーニ・ファンアイクスポーツ) | 2:45 |
10位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 2:53 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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