2020/12/14(月) - 12:09
世界王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が破れる。滑りやすい泥に覆われたガーフェレのコースを攻略したトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)が、シクロクロスメジャーレースで初勝利を飾った。
ベルギー西部、ヘントの南に位置するガーフェレで開催されたスーパープレスティージュ第6戦。ガーフェレの森を走るコースは起伏に富んでおり、その路面の大部分がスリッピーな泥で覆われている。乗車率の低い登りとパワーが必要な凹凸の平地、そして神経質な下りが組み合わされた、ヨーロッパの中でも屈指のタフコースだ。
前日のX2Oトロフェー第3戦から連続開催された60分間の泥レースはクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム)のホールショットで幕開ける。続いてベルギー王者のローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が、そして2列目スタートだったトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)が先頭に立ち、5秒リードで1周回を完了する。前日勝者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はヘルマンスやトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)と共に2番手グループを組みあげた。
ピドコックがピットインしたことでファンデルプールが合流し、かつてこのガーフェレで何度も表彰台に登っているアールツも合流。その一方、前日に唯一ファンデルプールに食い下がったエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)は4番手グループに入るのがやっとだった。「スタートから出遅れてしまい、ずっと誰かの後ろで立ち往生してしまった。でも前を行く選手たちはとても強く、うまくスタートしたとしても3位止まりだったと思う」と、スーパープレスティージュのランキングリーダーはレースを振り返っている。
ファンデルプール、ピドコック、そしてアールツの3人はパックを組んだまま周回をこなしていたが、全8周回の5周目にイギリスチャンピオンが泥区間で猛然とアタックを開始する。ファンデルプールのみが追従し、アールツは脱落。その後もハイペースかつ丁寧な走りを続けるピドコックに対し、タイヤを滑らせるシーンが目立つファンデルプールは遅れを取った。
スリッピーな泥に覆われたコース上を飛ぶように走るピドコックとファンデルプールの差は、縮まるどころか拡大の一途を辿った。復帰2戦2連勝を目指した世界王者だったが、「良いレースだったが、僕よりもっと強い選手がいた。ピドコックはランニング区間の速さは驚くべきもので、自分自身を追い込む必要があった。昨日は限界を感じることもなかったけれど、今日はこれ以上ペースを上げられないと感じることがあった」と、4歳年下のイギリス王者に舌を巻く。最終周回突入時、2人の差は15秒まで広がっていた。
時折苦しい表情を見せながら、最終周回に入ってもなおファンデルプールとの差を広げ続けたピドコックが、ヨーロッパ屈指の難コースでシクロクロスメジャーレース初勝利。11月末のUCIワールドカップで遅いシーズンインを果たして以降、13位、9位、3位と着実に着順を上げていたイギリスチャンピオンが、両手で顔を覆いながら大きな勝ち星を挙げた。
「何と言ったら良いのか分からない」と、フィニッシュ直後のインタビューに答えたピドコック。シクロクロスのジュニアとU23で世界選手権優勝を飾り、ロードレースでも2017年世界選手権ジュニアで個人タイムトライアル&ロード2冠、2019年のU23世界選手権でも3位、2020年はベビージロ総合優勝と、MTB世界選手権でE-MTBとU23カテゴリー2冠という輝かしい戦績を持ち、3月1日からイネオス・グレナディアーズ入りを決めている逸材だ。
「ここ数年はスタートが悪く、そこを改善すれば1周目に追い込みすぎることもなく、安定した成績が出せるだろうと思って厳しい練習を重ねてきた。それが功を奏し、(今シーズンは)レースを走るたびに強くなってきた。今日はパワーというよりもテクニカル面で(マチューと)差がついたように思う。登りに特化した練習を重ねてきているので来週のナミュール(ナミュール城塞で行われる厳しい登坂のワールドカップ)も良い1日にできると思う」と語っている。
「出るレース全てで勝てるわけじゃない。ただし全体的に満足して2日間を過ごすことができた」と振り返るファンデルプールが2位。優勝争いを繰り広げた2人に置き去りにされながら、イゼルビッドの追走を抑えたアールツが3位表彰台に滑り込んでいる。
オランダ勢が席巻中の女子レースでホールショットを奪ったのは、元U23世界王者のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)。しかし、すぐさま今季上り調子のデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が先頭に立ち、前日メカトラブルで沈んだ世界王者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)とルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)がその背後につけた。
前日3位のアンマリー・ワースト(オランダ、777)がスタートダッシュ中に弾かれ、さらにコーナーで埋もれるのを尻目に、先頭では軽やかな走りを見せるベッツィマが飛ばし、ブラントが追従するも世界チャンピオンが遅れる。「二人は登りでとても強かった。今私はトップレベルではなく、世界選手権に向けて調子が上がっていくことを願うばかり」と話すアルバラードは、この日優勝争いに復帰することはなかった。
ブラントとベッツィマに絞られた優勝争いで、先に動いたのはブラントだった。激しい凹凸の直線区間で猛然と踏み込んだ元オランダチャンピオンに対してベッツィマが遅れ、その後も踏み続けたブラントがリードを稼ぎだす。2戦2勝を狙ったベッツィマだったが、バイク交換時のミスで転倒するなどリズムが噛み合わない。最終周回もノーミスでこなしたブラントが、持ち前のパワーでスーパープレスティージュ4連勝を飾った。
今季14レースを走り、そのうち7レースで優勝。直近8レースに限って見れば6勝と絶好調を維持しているブラント。無敵か?という質問に対しては「昨日負けたレースを見れば、そんなことなんてないと分かるはず。このコンディションのまま世界選手権を迎えたい」と慎重な答え。「来週の厳しいナミュールに向けても良い予行演習になった」と付け加えている。
「ルシンダは今日最強だった。彼女が先頭に立ってから暫く追走していたけれど、登りでは差を話されてしまい、さらにバイク交換のミスで気持ちが切れてしまった。彼女はナミュールの優勝候補筆頭だけど、私自身も勝利を狙っていく」と破れたベッツィマはライバルを称えている。
アルバラードが3位に入り、全米チャンピオンのクララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com)が欧州最高成績となる4位に。ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)が5位、そしてここ最近調子を上げている感のある本世界王者サンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン)が6位。テクニカルな難コースに、4位以下は普段と少々異なる顔ぶれが揃った。
ベルギー西部、ヘントの南に位置するガーフェレで開催されたスーパープレスティージュ第6戦。ガーフェレの森を走るコースは起伏に富んでおり、その路面の大部分がスリッピーな泥で覆われている。乗車率の低い登りとパワーが必要な凹凸の平地、そして神経質な下りが組み合わされた、ヨーロッパの中でも屈指のタフコースだ。
前日のX2Oトロフェー第3戦から連続開催された60分間の泥レースはクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム)のホールショットで幕開ける。続いてベルギー王者のローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が、そして2列目スタートだったトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)が先頭に立ち、5秒リードで1周回を完了する。前日勝者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はヘルマンスやトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)と共に2番手グループを組みあげた。
ピドコックがピットインしたことでファンデルプールが合流し、かつてこのガーフェレで何度も表彰台に登っているアールツも合流。その一方、前日に唯一ファンデルプールに食い下がったエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)は4番手グループに入るのがやっとだった。「スタートから出遅れてしまい、ずっと誰かの後ろで立ち往生してしまった。でも前を行く選手たちはとても強く、うまくスタートしたとしても3位止まりだったと思う」と、スーパープレスティージュのランキングリーダーはレースを振り返っている。
ファンデルプール、ピドコック、そしてアールツの3人はパックを組んだまま周回をこなしていたが、全8周回の5周目にイギリスチャンピオンが泥区間で猛然とアタックを開始する。ファンデルプールのみが追従し、アールツは脱落。その後もハイペースかつ丁寧な走りを続けるピドコックに対し、タイヤを滑らせるシーンが目立つファンデルプールは遅れを取った。
スリッピーな泥に覆われたコース上を飛ぶように走るピドコックとファンデルプールの差は、縮まるどころか拡大の一途を辿った。復帰2戦2連勝を目指した世界王者だったが、「良いレースだったが、僕よりもっと強い選手がいた。ピドコックはランニング区間の速さは驚くべきもので、自分自身を追い込む必要があった。昨日は限界を感じることもなかったけれど、今日はこれ以上ペースを上げられないと感じることがあった」と、4歳年下のイギリス王者に舌を巻く。最終周回突入時、2人の差は15秒まで広がっていた。
時折苦しい表情を見せながら、最終周回に入ってもなおファンデルプールとの差を広げ続けたピドコックが、ヨーロッパ屈指の難コースでシクロクロスメジャーレース初勝利。11月末のUCIワールドカップで遅いシーズンインを果たして以降、13位、9位、3位と着実に着順を上げていたイギリスチャンピオンが、両手で顔を覆いながら大きな勝ち星を挙げた。
「何と言ったら良いのか分からない」と、フィニッシュ直後のインタビューに答えたピドコック。シクロクロスのジュニアとU23で世界選手権優勝を飾り、ロードレースでも2017年世界選手権ジュニアで個人タイムトライアル&ロード2冠、2019年のU23世界選手権でも3位、2020年はベビージロ総合優勝と、MTB世界選手権でE-MTBとU23カテゴリー2冠という輝かしい戦績を持ち、3月1日からイネオス・グレナディアーズ入りを決めている逸材だ。
「ここ数年はスタートが悪く、そこを改善すれば1周目に追い込みすぎることもなく、安定した成績が出せるだろうと思って厳しい練習を重ねてきた。それが功を奏し、(今シーズンは)レースを走るたびに強くなってきた。今日はパワーというよりもテクニカル面で(マチューと)差がついたように思う。登りに特化した練習を重ねてきているので来週のナミュール(ナミュール城塞で行われる厳しい登坂のワールドカップ)も良い1日にできると思う」と語っている。
「出るレース全てで勝てるわけじゃない。ただし全体的に満足して2日間を過ごすことができた」と振り返るファンデルプールが2位。優勝争いを繰り広げた2人に置き去りにされながら、イゼルビッドの追走を抑えたアールツが3位表彰台に滑り込んでいる。
オランダ勢が席巻中の女子レースでホールショットを奪ったのは、元U23世界王者のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)。しかし、すぐさま今季上り調子のデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が先頭に立ち、前日メカトラブルで沈んだ世界王者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)とルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)がその背後につけた。
前日3位のアンマリー・ワースト(オランダ、777)がスタートダッシュ中に弾かれ、さらにコーナーで埋もれるのを尻目に、先頭では軽やかな走りを見せるベッツィマが飛ばし、ブラントが追従するも世界チャンピオンが遅れる。「二人は登りでとても強かった。今私はトップレベルではなく、世界選手権に向けて調子が上がっていくことを願うばかり」と話すアルバラードは、この日優勝争いに復帰することはなかった。
ブラントとベッツィマに絞られた優勝争いで、先に動いたのはブラントだった。激しい凹凸の直線区間で猛然と踏み込んだ元オランダチャンピオンに対してベッツィマが遅れ、その後も踏み続けたブラントがリードを稼ぎだす。2戦2勝を狙ったベッツィマだったが、バイク交換時のミスで転倒するなどリズムが噛み合わない。最終周回もノーミスでこなしたブラントが、持ち前のパワーでスーパープレスティージュ4連勝を飾った。
今季14レースを走り、そのうち7レースで優勝。直近8レースに限って見れば6勝と絶好調を維持しているブラント。無敵か?という質問に対しては「昨日負けたレースを見れば、そんなことなんてないと分かるはず。このコンディションのまま世界選手権を迎えたい」と慎重な答え。「来週の厳しいナミュールに向けても良い予行演習になった」と付け加えている。
「ルシンダは今日最強だった。彼女が先頭に立ってから暫く追走していたけれど、登りでは差を話されてしまい、さらにバイク交換のミスで気持ちが切れてしまった。彼女はナミュールの優勝候補筆頭だけど、私自身も勝利を狙っていく」と破れたベッツィマはライバルを称えている。
アルバラードが3位に入り、全米チャンピオンのクララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com)が欧州最高成績となる4位に。ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)が5位、そしてここ最近調子を上げている感のある本世界王者サンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン)が6位。テクニカルな難コースに、4位以下は普段と少々異なる顔ぶれが揃った。
スーパープレスティージュ2020-2021第6戦男子エリート結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング) | 58:11 |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:25 |
3位 | トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 0:44: |
4位 | エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:54 |
5位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 1:01 |
6位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:13 |
7位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) | 1:31 |
8位 | コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム) | 2:47 |
9位 | トーマス・メイン(イギリス、トルマンスシクロクロスチーム) | 3:24 |
10位 | ダーン・ソエテ(ベルギー、グループヘンス・マースコンテナーズ) | 3:33 |
スーパープレスティージュ2020-2021第6戦女子エリート結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 42:56 |
2位 | デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:13 |
3位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:34 |
4位 | クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com) | 0:44 |
5位 | ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 1:12 |
6位 | サンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン) | 1:21 |
7位 | マノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 1:27 |
8位 | クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、ブールス・ドルマンス) | 1:35 |
9位 | アニック・ファンアルフェン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 1:49 |
10位 | エヴァ・リヒナー(イタリア、スターカジノCXチーム) | 1:53 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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