2020/12/07(月) - 10:44
千葉市中心部で開催されたUrban MTB Festival in 千葉公園。MTB全日本選手権XCC(ショートトラック)で山本幸平(DREAM SEEKER)が東京五輪XC代表の力を見せつけて優勝。女子エリートは小林あか里(CMC/Aigle)が勝利し、初代XCC王者の座についた。
千葉公園で2日間に渡り開催された「Urban MTB Festival in 千葉公園」。初日のXCE(クロスカントリ・エリミネーター)に続き2日目はXCC(クロスカントリ・エリミネーター/ショートトラック)レースだ。
メインイベントは日本のトップライダーが集うマウンテンバイク全日本選手権XCE/XCC(クロスカントリ・ショートトラック)だ。昨日は雨が一日降り続いた寒い天候だったが、この日は朝から快晴。千葉公園は散歩に訪れた家族連れや子どもたちの姿が多く、道すがらレースの観客となる。
XCCのコースは昨日のXCEより少し延長され、一周800mほど。公園内の遊歩道や舗装路、斜面のオフロードを組み合わせて変化に富んだコースが設定された。競技時間は予選、決勝ともエリートで25分ほど。第1周回のラップタイムを参考にして周回数が決められるシクロクロスと同様の方式がとられ、大きく遅れるとレースから除外される「80%ルール」も採用される。
エリート男子は午前の予選2レースで勝ち上がった10名づつ、合計20名で午後の決勝レースとなる。つまり決勝含めて25分のレースを2本走るスタミナも要求され、そのペース配分とマネジメントも必要になってくる。
女子エリートは11名の選手で行われる決勝1レースのみ。スタートから昨日のXCEの覇者・川口うらら(FUKAYA RACING)、小林あか里(CMC/Aigle)、矢吹優夏(BBQ )のXCE上位3人がスピードの違いを見せつけて他をリードし、先頭交代を続けて飛ばし続ける。
6周目後半に川口がアタックして均衡を破り、2人を引き離しにかかるが、リードを広げようと飛ばす川口はヘアピンコーナーでスリップダウンし、7秒ほどのロス。バイクに再乗車してパスされた2人を追うが、2人とひとりの分の悪さで差を詰められない。80%ルールの適応でレース除外になる選手が続出し、後半にかけてコース上は上位争いをする3人のみという状態に。
川口との差を保ったまま張り合う小林と矢吹だが、最後の上り舗装路で小林がパワーを掛けると矢吹が離れ、少しの差を持って最終コーナーへ。差を詰める矢吹を振り切った小林が0.38秒差で片手で小さくガッツポーズしながらフィニッシュ。初代XCCチャンプに。小林は言う。「川口選手が仕掛けて離さたときは2位争いのために2人で回していこうと考えたけれど、川口選手にアクシデントがあった。今年はコロナで思うようなシーズンにならなけったけれど、最後に日本で初代のXCCチャンピオンになることができて本当に嬉しいです」。
XCC Men Elite
男子エリートは予選を勝ち上がった20人での闘い。午後2時を過ぎて気温が上がり、ジャケットの不要な天候になると公園来訪者の観客たちも増え、会場の盛り上がりも大きくなる。
他のクラスを圧倒するスピードで公園内のコースに飛び出ていく。ホールショットをとったのは山本幸平(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM)。続くチームメイトの北林力、平林安里(TEAM SCOTT JAPAN)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、竹内遼(FUKAYA RACING)、中原義貴(WIAWIS RACING TEAM)ら6人の先頭グループが形成され、少し間をあけて小集団が続く。
林間のコースを経て舗装路の登り、そしてコーナーの立ち上がりごとにスピードが上がり、ダッシュを繰り返すインターバル。まるでロードのクリテリウムのような走りが要求される。そのスピードと迫力に観客たちもヒートアップ。コンパクトなコースを走る目前のレースとオーロラビジョンに映し出されるスリリングな展開に息を呑む。
最終盤まで6人の走行が続いたが、残り1周+のバックストレートで山本が踏みを入れるとたちまち差が生まれる。追いすがる北林、平林、少し空いて前田の順で残り1周へ。後続グループもペースアップしてバラバラに。
山本はそのまま約4秒の差をもって、何度も大きなガッツポーズを繰り出しながらフィニッシュ。その圧倒的な力を誇示し、今年最後のレースを締めくくった。2位北林、3位平林。そして4位の前田はラストレースに感謝を示しながらフィニッシュした。
山本は言う。「ラスト5周ぐらいからどこでペースをあげようかを考えていて、できればリキ君(北林)とスプリント争いをして勝利しようと考えていた。リキがあがって来てくれると思っていたけど、少し差が開いたままになってしまった。アタックとしては最高のタイミングだったと思うけれど、チームで勝ちたいと思っていたんです」。
圧倒的な力で勝利してなお、チームメイトの北林に課題を突きつけた山本。北林も2位ながら喜びの表情は控えめだ。「昨日のレースといい(XCEでも2位)、もう少し戦略的に巧く走れるようにならないと」と、北林は自戒を込めて言う。
「初の都市型MTBイベント」として盛況だったこの大会。東京五輪期待のオリンピアンの走りを目に焼き付けた観客を前にして山本は言う。「こんなにたくさんの観客の前で走れて気持ちが上がりましたね。日本でここまで観客が集まったレースは他にないでしょう。都市型のレースが行われたのは第一歩、新たなページがめくられたのかな、と思います。今後もこうしたレースが増えて欲しい」とコメント。新たな試みとしてショー的要素を盛り込んで開催されたMTB全日本選手権XCE/XCEだが、大きなインパクトを残した。
そして来年はオリンピアンとして集大成を迎える山本。「東京五輪を迎える来年の7月26日が僕にとっていちばん大事な日になる。その日にそこで、自分自身のもっともキレの良い走りができるようにと決めています。この冬は例年行っていたタイでの合宿も現実的ではないので、長野であえて雪の中を走って鍛えたり、zwiftを活用して鍛えたいと思っています」。
千葉公園で2日間に渡り開催された「Urban MTB Festival in 千葉公園」。初日のXCE(クロスカントリ・エリミネーター)に続き2日目はXCC(クロスカントリ・エリミネーター/ショートトラック)レースだ。
メインイベントは日本のトップライダーが集うマウンテンバイク全日本選手権XCE/XCC(クロスカントリ・ショートトラック)だ。昨日は雨が一日降り続いた寒い天候だったが、この日は朝から快晴。千葉公園は散歩に訪れた家族連れや子どもたちの姿が多く、道すがらレースの観客となる。
XCCのコースは昨日のXCEより少し延長され、一周800mほど。公園内の遊歩道や舗装路、斜面のオフロードを組み合わせて変化に富んだコースが設定された。競技時間は予選、決勝ともエリートで25分ほど。第1周回のラップタイムを参考にして周回数が決められるシクロクロスと同様の方式がとられ、大きく遅れるとレースから除外される「80%ルール」も採用される。
エリート男子は午前の予選2レースで勝ち上がった10名づつ、合計20名で午後の決勝レースとなる。つまり決勝含めて25分のレースを2本走るスタミナも要求され、そのペース配分とマネジメントも必要になってくる。
女子エリートは11名の選手で行われる決勝1レースのみ。スタートから昨日のXCEの覇者・川口うらら(FUKAYA RACING)、小林あか里(CMC/Aigle)、矢吹優夏(BBQ )のXCE上位3人がスピードの違いを見せつけて他をリードし、先頭交代を続けて飛ばし続ける。
6周目後半に川口がアタックして均衡を破り、2人を引き離しにかかるが、リードを広げようと飛ばす川口はヘアピンコーナーでスリップダウンし、7秒ほどのロス。バイクに再乗車してパスされた2人を追うが、2人とひとりの分の悪さで差を詰められない。80%ルールの適応でレース除外になる選手が続出し、後半にかけてコース上は上位争いをする3人のみという状態に。
川口との差を保ったまま張り合う小林と矢吹だが、最後の上り舗装路で小林がパワーを掛けると矢吹が離れ、少しの差を持って最終コーナーへ。差を詰める矢吹を振り切った小林が0.38秒差で片手で小さくガッツポーズしながらフィニッシュ。初代XCCチャンプに。小林は言う。「川口選手が仕掛けて離さたときは2位争いのために2人で回していこうと考えたけれど、川口選手にアクシデントがあった。今年はコロナで思うようなシーズンにならなけったけれど、最後に日本で初代のXCCチャンピオンになることができて本当に嬉しいです」。
XCC Men Elite
男子エリートは予選を勝ち上がった20人での闘い。午後2時を過ぎて気温が上がり、ジャケットの不要な天候になると公園来訪者の観客たちも増え、会場の盛り上がりも大きくなる。
他のクラスを圧倒するスピードで公園内のコースに飛び出ていく。ホールショットをとったのは山本幸平(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM)。続くチームメイトの北林力、平林安里(TEAM SCOTT JAPAN)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、竹内遼(FUKAYA RACING)、中原義貴(WIAWIS RACING TEAM)ら6人の先頭グループが形成され、少し間をあけて小集団が続く。
林間のコースを経て舗装路の登り、そしてコーナーの立ち上がりごとにスピードが上がり、ダッシュを繰り返すインターバル。まるでロードのクリテリウムのような走りが要求される。そのスピードと迫力に観客たちもヒートアップ。コンパクトなコースを走る目前のレースとオーロラビジョンに映し出されるスリリングな展開に息を呑む。
最終盤まで6人の走行が続いたが、残り1周+のバックストレートで山本が踏みを入れるとたちまち差が生まれる。追いすがる北林、平林、少し空いて前田の順で残り1周へ。後続グループもペースアップしてバラバラに。
山本はそのまま約4秒の差をもって、何度も大きなガッツポーズを繰り出しながらフィニッシュ。その圧倒的な力を誇示し、今年最後のレースを締めくくった。2位北林、3位平林。そして4位の前田はラストレースに感謝を示しながらフィニッシュした。
山本は言う。「ラスト5周ぐらいからどこでペースをあげようかを考えていて、できればリキ君(北林)とスプリント争いをして勝利しようと考えていた。リキがあがって来てくれると思っていたけど、少し差が開いたままになってしまった。アタックとしては最高のタイミングだったと思うけれど、チームで勝ちたいと思っていたんです」。
圧倒的な力で勝利してなお、チームメイトの北林に課題を突きつけた山本。北林も2位ながら喜びの表情は控えめだ。「昨日のレースといい(XCEでも2位)、もう少し戦略的に巧く走れるようにならないと」と、北林は自戒を込めて言う。
「初の都市型MTBイベント」として盛況だったこの大会。東京五輪期待のオリンピアンの走りを目に焼き付けた観客を前にして山本は言う。「こんなにたくさんの観客の前で走れて気持ちが上がりましたね。日本でここまで観客が集まったレースは他にないでしょう。都市型のレースが行われたのは第一歩、新たなページがめくられたのかな、と思います。今後もこうしたレースが増えて欲しい」とコメント。新たな試みとしてショー的要素を盛り込んで開催されたMTB全日本選手権XCE/XCEだが、大きなインパクトを残した。
そして来年はオリンピアンとして集大成を迎える山本。「東京五輪を迎える来年の7月26日が僕にとっていちばん大事な日になる。その日にそこで、自分自身のもっともキレの良い走りができるようにと決めています。この冬は例年行っていたタイでの合宿も現実的ではないので、長野であえて雪の中を走って鍛えたり、zwiftを活用して鍛えたいと思っています」。
Urban MTB Festival in 千葉公園 全日本選手権XCCリザルト
Men Elite | ||
1位 | 山本幸平(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM) | 24:48.87 |
2位 | 北林力(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM ) | +3.51 |
3位 | 平林安里(TEAM SCOTT JAPAN) | +5.12 |
4位 | 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +9.93 |
5位 | 竹内遼(FUKAYA RACING) | +21.49 |
6位 | 竹之内悠(ToyoFrame) | +21.87 |
7位 | 鈴木来人(BonneChance Asia Cycling Academy) | +22.55 |
8位 | 高本亮太(Limited Team 846) | +22.92 |
9位 | 小森亮平(ToyoFrame) | +26.32 |
10位 | 中原義貴(WIAWIS RACING TEAM) | +28.03 |
Women Elite | ||
1位 | 小林あか里(CMC/Aigle) | 20:38.60 |
2位 | 矢吹優夏(BBQ ) | +0.38 |
3位 | 川口うらら(FUKAYA RACING) | +11.63 |
4位 | 金子尚代(Rapha Cycling Club ) | -3Laps |
5位 | 川崎路子(PAXPROJECT) | -3Laps |
6位 | 早瀬久美(日本ろう自転車競技協会)-4Laps | |
Men Masters | ||
1位 | 岡本紘幸(インパルス) | 19:36.06 |
2位 | 疇地利哉(名岐Vend) | +1.88 |
3位 | 山崎 雅典(Power sports SICK) | +7.25 |
4位 | 叶英樹 (Saturday Early Morning) | +54.74 |
5位 | 浅井秀樹(SNEL) | +1:19.74 2 |
6位 | 柳堀伸(042 SYNDICATE) | +1:20.28 |
Men Advance | ||
1位 | 森下奏(Rise-Ride) | 20:25.87 |
2位 | 山田太士(名岐Vend ) | +0.34 |
3位 | 岩崎基規(AX MTB team) | +3.35 |
Men Youth | ||
1位 | 落合康生(TEAM GRM) | 22:46.80 |
2位 | 山田愛太(ProRide) | +5.03 |
3位 | 綾野尋(cycleclub3UP) | +11.79 |
text&photo:Makoto AYANO
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