2020/11/09(月) - 06:23
ブエルタ・ア・エスパーニャが、そして2020年シーズンがマドリードで閉幕を迎えた。マドリードでフィニッシュする最終日は写真判定の末にパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)が勝利。プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)が2年連続となるブエルタ総合優勝を果たした。
市内の移動やイベントの開催が大幅に制限されているスペインの首都マドリードが、第75回ブエルタ・ア・エスパーニャの、そして2020年UCIワールドツアーの終着地。いつもより2ヶ月近く遅れて、いつもより3日間短いブエルタがマドリードに凱旋した。
グランツール最終日恒例のパレードランをこなし、83km地点でフィニッシュラインを通過してからシベレス広場を中心にした5.9km周回コース(例年とは逆回り)を7周する。制限時間内に山岳ステージを乗り越えてきたピュアスプリンターたちに最後の活躍の場が用意された。
この日のスタート前、2019年に判明したファンホセ・コーボ(スペイン)のドーピング陽性&タイトル剥奪によって繰り上がりで2011年大会の総合優勝者となったクリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)に大会主催者が特別に優勝トロフィーを授与した。キャリアの中で最初のグランツール制覇を祝福されたフルームが、最終日まで生き残った141名の選手たちとともにイネオスジャージで走るラストレースをスタートさせる。
気温20度ほどの陽気に包まれたマドリード近郊を平均スピード35km/h強のゆったりペースで進み、マドリードの周回コースに入るとアタック合戦がスタート。今大会ステージ2勝を飾っているティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が飛び出し、ここに今大会出場選手の中で唯一マドリード出身のゴンサロ・セラノ(スペイン、カハルーラル)とウィリアム・スミット(南アフリカ、ブルゴスBH)、ドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)が追いついて4名の逃げが生まれた。
ウェレンスら4名は最大30秒ほどのタイム差を得たが、2つのUターンを含む周回コースを平均スピード50km/h前後で駆け抜けたメイン集団を振り切ることはできなかった。ドゥクーニンク・クイックステップやUAEチームエミレーツ、ボーラ・ハンスグローエが率いるメイン集団は残り6km地点で逃げを飲み込み、最終周回を平均57km/hという猛烈なスピードで駆け抜ける。
最終コーナーに向けての最高スピード75km/hに迫る超高速な位置取りを経て、各チームのリードアウトトレインが競り合うようにして最終ストレート。UAEチームエミレーツが割って入ったが、ボーラ・ハンスグローエが残り200mでパスカル・アッカーマン(ドイツ)を発射する。アッカーマンの後ろで数秒間待ってから踏み始めたベネットが並び、両者横並びでフィニッシュラインにハンドルを投げ込んだ。
ともに勝利を確信できずに写真判定を待った結果、アッカーマンが5cm程度先着していることが判明した。ベネットの降格によって繰り上げでステージ優勝に輝いた第9ステージに続いて、シーズン8勝目、今大会2勝目で締めくくった。
「サム(ベネット)にどっちが勝ったか聞いたけど、無線で結果を聞くまで勝ったのかどうかわからなかった。素晴らしいリードアウトを見せてくれたチームに感謝。最高の形でシーズンを終えることができた。サムが降格になったステージの勝利をカウントするつもりはないので、これで彼とステージ1勝ずつ。みんなハッピーな気分で大会を終えることができる」と僅差のスプリントを制したアッカーマンは語る。総合上位陣が独占するポイント賞ランキングの中で、アッカーマンは『スプリンターの中で最高位』となる6位に入っている。
そして総合優勝はプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)の手に。ログリッチのブエルタ総合優勝とポイント賞獲得は2年連続。最終日前日に逆転されたツール・ド・フランスの悔しさを、シーズン最終戦の大会連覇という形で晴らした。
「こうした形でシーズンを締めくくることができて幸せだ。家族に、チームに、そしてこの困難な状況下でレースを開催した主催者に感謝したい。そして来年またこのブエルタに戻ってきたいと思う」。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュとブエルタの同年制覇を果たしたログリッチ。参考までにモニュメントとグランツールの同年制覇は、過去20年間でダミアーノ・クネゴ(2004年ロンバルディア&ジロ)とダニーロ・ディルーカ(2007年リエージュ&ジロ)しか果たしていない。ユンボ・ヴィスマのブエルタ制覇は、ラボバンク時代の2007年デニス・メンショフ(ロシア)以来となる。
総合1位ログリッチと総合2位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の最終的なタイム差は24秒で、最終日に28秒遅れた総合3位ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング)は1分15秒遅れ。参考までに、ログリッチが合計48秒のボーナスタイムを獲得したのに対し、カラパスのボーナスタイムは合計16秒。ボーナスタイムを考慮しない実際の走行時間を比較すると、カラパスがログリッチよりも8秒少ない時間で2,892.6kmを走り切っていることになる。カラパスに2度マイヨロホを奪われながらも、今大会ステージ4勝を飾り、合計12のステージでトップ10フィニッシュしたログリッチが総合優勝に輝いた。
ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が山岳賞、エンリク・マス(スペイン、モビスター)がヤングライダー賞、モビスターがチーム総合時間賞、そしてレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が総合敢闘賞を獲得している。ユンボ・ヴィスマとNTTプロサイクリングは3週間を通して罰金ゼロだった。
市内の移動やイベントの開催が大幅に制限されているスペインの首都マドリードが、第75回ブエルタ・ア・エスパーニャの、そして2020年UCIワールドツアーの終着地。いつもより2ヶ月近く遅れて、いつもより3日間短いブエルタがマドリードに凱旋した。
グランツール最終日恒例のパレードランをこなし、83km地点でフィニッシュラインを通過してからシベレス広場を中心にした5.9km周回コース(例年とは逆回り)を7周する。制限時間内に山岳ステージを乗り越えてきたピュアスプリンターたちに最後の活躍の場が用意された。
この日のスタート前、2019年に判明したファンホセ・コーボ(スペイン)のドーピング陽性&タイトル剥奪によって繰り上がりで2011年大会の総合優勝者となったクリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)に大会主催者が特別に優勝トロフィーを授与した。キャリアの中で最初のグランツール制覇を祝福されたフルームが、最終日まで生き残った141名の選手たちとともにイネオスジャージで走るラストレースをスタートさせる。
気温20度ほどの陽気に包まれたマドリード近郊を平均スピード35km/h強のゆったりペースで進み、マドリードの周回コースに入るとアタック合戦がスタート。今大会ステージ2勝を飾っているティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が飛び出し、ここに今大会出場選手の中で唯一マドリード出身のゴンサロ・セラノ(スペイン、カハルーラル)とウィリアム・スミット(南アフリカ、ブルゴスBH)、ドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)が追いついて4名の逃げが生まれた。
ウェレンスら4名は最大30秒ほどのタイム差を得たが、2つのUターンを含む周回コースを平均スピード50km/h前後で駆け抜けたメイン集団を振り切ることはできなかった。ドゥクーニンク・クイックステップやUAEチームエミレーツ、ボーラ・ハンスグローエが率いるメイン集団は残り6km地点で逃げを飲み込み、最終周回を平均57km/hという猛烈なスピードで駆け抜ける。
最終コーナーに向けての最高スピード75km/hに迫る超高速な位置取りを経て、各チームのリードアウトトレインが競り合うようにして最終ストレート。UAEチームエミレーツが割って入ったが、ボーラ・ハンスグローエが残り200mでパスカル・アッカーマン(ドイツ)を発射する。アッカーマンの後ろで数秒間待ってから踏み始めたベネットが並び、両者横並びでフィニッシュラインにハンドルを投げ込んだ。
ともに勝利を確信できずに写真判定を待った結果、アッカーマンが5cm程度先着していることが判明した。ベネットの降格によって繰り上げでステージ優勝に輝いた第9ステージに続いて、シーズン8勝目、今大会2勝目で締めくくった。
「サム(ベネット)にどっちが勝ったか聞いたけど、無線で結果を聞くまで勝ったのかどうかわからなかった。素晴らしいリードアウトを見せてくれたチームに感謝。最高の形でシーズンを終えることができた。サムが降格になったステージの勝利をカウントするつもりはないので、これで彼とステージ1勝ずつ。みんなハッピーな気分で大会を終えることができる」と僅差のスプリントを制したアッカーマンは語る。総合上位陣が独占するポイント賞ランキングの中で、アッカーマンは『スプリンターの中で最高位』となる6位に入っている。
そして総合優勝はプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)の手に。ログリッチのブエルタ総合優勝とポイント賞獲得は2年連続。最終日前日に逆転されたツール・ド・フランスの悔しさを、シーズン最終戦の大会連覇という形で晴らした。
「こうした形でシーズンを締めくくることができて幸せだ。家族に、チームに、そしてこの困難な状況下でレースを開催した主催者に感謝したい。そして来年またこのブエルタに戻ってきたいと思う」。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュとブエルタの同年制覇を果たしたログリッチ。参考までにモニュメントとグランツールの同年制覇は、過去20年間でダミアーノ・クネゴ(2004年ロンバルディア&ジロ)とダニーロ・ディルーカ(2007年リエージュ&ジロ)しか果たしていない。ユンボ・ヴィスマのブエルタ制覇は、ラボバンク時代の2007年デニス・メンショフ(ロシア)以来となる。
総合1位ログリッチと総合2位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の最終的なタイム差は24秒で、最終日に28秒遅れた総合3位ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング)は1分15秒遅れ。参考までに、ログリッチが合計48秒のボーナスタイムを獲得したのに対し、カラパスのボーナスタイムは合計16秒。ボーナスタイムを考慮しない実際の走行時間を比較すると、カラパスがログリッチよりも8秒少ない時間で2,892.6kmを走り切っていることになる。カラパスに2度マイヨロホを奪われながらも、今大会ステージ4勝を飾り、合計12のステージでトップ10フィニッシュしたログリッチが総合優勝に輝いた。
ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が山岳賞、エンリク・マス(スペイン、モビスター)がヤングライダー賞、モビスターがチーム総合時間賞、そしてレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が総合敢闘賞を獲得している。ユンボ・ヴィスマとNTTプロサイクリングは3週間を通して罰金ゼロだった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2020第18ステージ結果
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:28:13 |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | マックス・カンター(ドイツ、サンウェブ) | |
4位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、サンウェブ) | |
6位 | エマヌエル・モラン(フランス、コフィディス) | |
7位 | レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、NTTプロサイクリング) | |
8位 | ロレンゾ・マンザン(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | |
9位 | ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
10位 | ジョン・アベラストゥリ(スペイン、カハルーラル) |
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 72:46:12 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:24 |
3位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) | 0:01:15 |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:02:43 |
5位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:03:36 |
6位 | ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン) | 0:07:16 |
7位 | ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 0:07:35 |
8位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:07:45 |
9位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:08:15 |
10位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:09:34 |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 99pts |
2位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 34pts |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 30pts |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 204pts |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 133pts |
3位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 111pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 72:49:48 |
2位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:04:09 |
3位 | アレクサンドル・ウラソフ(カザフスタン、アスタナ) | 0:06:00 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 218:37:21 |
2位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:10:23 |
3位 | アスタナ | 0:40:09 |
text:Kei Tsuji
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