全日本選手権トラック3日目。男子オムニアムでは東京五輪代表の橋本英也が優勝。女子では梶原悠未がスクラッチとマディソンの2種目で優勝した。ケイリン男子は深谷知広が優勝してスプリントと合わせて2冠達成。ケイリン女子は梅川風子が初優勝した。



全日本選手権トラック3日目 土曜日となり観客が増えたメインスタンド全日本選手権トラック3日目 土曜日となり観客が増えたメインスタンド
ヤマダグリーンドーム前橋で開催されている全日本選手権トラック3日目は、男女ケイリン、男子オムニアム、女子スクラッチ、女子マディソン、パラサイクリングの500mタイムトライアルと1kmタイムトライアルが行われた。

この日は土曜日ということもあり、メインスタンドから多くの観客が勝負の行方を見守った。



ケイリン 男子は深谷知広、女子は梅川風子が優勝

男子ケイリン決勝 脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング)が先行して最終周回へ男子ケイリン決勝 脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング)が先行して最終周回へ
男子ケイリン決勝 脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング)と深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム)のハンドルの投げ合い男子ケイリン決勝 脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング)と深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム)のハンドルの投げ合い
男子は6組の予選から勝ち上がった6名による決勝。アジアチャンピオンジャージを着る脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング)が先行して最終周回へ入ると、バックストレートから深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム)が追い上げ、3コーナーから4コーナーにかけて並びかける。最後はフィニッシュライン上でのハンドルの投げ合いとなり、僅差で深谷が先着。前日のスプリントに続き2枚目の全日本チャンピオンジャージを手に入れた。

男子ケイリン 表彰式男子ケイリン 表彰式 深谷知広 コメント
「前回ケイリンで優勝した時はナショナルチームのメンバーが不在だったので、今回はフルメンバーの中で優勝できたことは嬉しい。決勝レースではワッキー(脇本雄太)が仕掛けるのはわかっていたので、もうちょっと緩くくるなら自分が突っ張ってと考えていたが、いい勢いで来たので後ろについてチャンスをうかがった。それが一番の勝因だったと思う。今回は五輪メンバーから優勝者を出さないという目標を立て、五輪代表が簡単に勝てないところを見せて選手層の厚さを世界にアピール出来たと思う」

女子ケイリン決勝 横一線の勝負は梅川風子(JPCA・写真左から2人目)が優勝女子ケイリン決勝 横一線の勝負は梅川風子(JPCA・写真左から2人目)が優勝
女子ケイリン 表彰式女子ケイリン 表彰式 決勝レースのみが行われた女子は横一線の勝負となり、太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング)、東京五輪代表の小林優香(ドリームシーカー・レーシングチーム)を僅差で下した梅川風子(JPCA)が初優勝を飾った。

梅川風子 コメント
「ケイリンという種目自体は走り慣れているものの、競技としてのルールで走るのは実際にやってみないとわからないと感じていた。本来なら予選から勝ち上がっていくものだけれど、1発勝負だったので喜び半分という感じ。出場メンバーを見て展開は色々考えていたが、その通りにレースは動かなかったし、自分はいつでも行ける準備をしていたので、冷静に走れたと思う。小林選手や太田選手ら格上の選手が相手だったので、挑戦するつもりで気楽に戦えたことも勝因のひとつだと思う」



男子オムニアム 五輪代表の橋本英也が貫禄を見せる勝利

男子オムニアム・スクラッチ  最終周回に飛び出した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が1着を獲る男子オムニアム・スクラッチ 最終周回に飛び出した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が1着を獲る 男子オムニアム・テンポレース レース中盤から橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)を含む4名が逃げる男子オムニアム・テンポレース レース中盤から橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)を含む4名が逃げる

男子オムニアム・エリミネイション  横一線でコントロールラインを通過する集団男子オムニアム・エリミネイション 横一線でコントロールラインを通過する集団 男子オムニアム・エリミネイション フィニッシュラインを前に勝ちを確信した橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)がガッツポーズ男子オムニアム・エリミネイション フィニッシュラインを前に勝ちを確信した橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)がガッツポーズ

男子オムニアムは、この種目の東京五輪代表に内定している橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が見事なレースコントロールを見せた。スクラッチこそ岡本隼(愛三工業レーシングチーム)に1位を譲ったものの、テンポレースでは4名の逃げ集団を形成してポイントを加算して1位。エリミネイションでは常に集団前方に位置しながら不要な動きをせず、最後は同チームの近谷涼との勝負を制して総合首位を維持した。

男子オムニアム・ポイントレース  集団をコントロールする橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)男子オムニアム・ポイントレース 集団をコントロールする橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)
男子オムニアム・ポイントレース 序盤に形成された5名の逃げ集団男子オムニアム・ポイントレース 序盤に形成された5名の逃げ集団 男子オムニアム優勝を決めた橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)男子オムニアム優勝を決めた橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)

橋本118ポイント、近谷112ポイント、孫崎大樹90ポイント、岡本86ポイントで迎えた最終種目のポイントレース。総合首位争いに影響しない5名の逃げを先行させた橋本は、逃げ集団がラップできない(周回遅れにさせない)ようメイン集団のペースをコントロール。橋本自信はポイントを加算出来なったものの、総合上位勢も道連れにしてポイントを取らせず、優勝を決めた。最後のフィニッシュで先着して10ポイントを獲得した岡本が、孫崎を逆転して3位に食い込み、前年チャンピオンの意地を見せた。

男子オムニアム 表彰式男子オムニアム 表彰式 橋本英也コメント
「気づけば3年ぶり3回目の優勝。本来なら五輪の年なので、順調に仕上がっていると感じている。人数の多いオムニアムは最初の3種目が重要になってくるので、うまく走ることが出来た。最後のポイントレースは、序盤に出来た4人の逃げをコントロールすることによって有利な展開になると思い、その通りに進めることが出来た。チームブリヂストンサイクリングとしても近谷選手とワン・ツーを獲ることが出来たので、よかったと思う。

リオ五輪には行けなかったけれど、東京五輪の代表に選ばれたことで、リオからのプロセスが間違っていなかったことが証明されたと思う。東京五輪でメダルを獲得することでこのスポーツの魅力を広められたらと思っている」



梶原悠未がさらに勝利を重ねる

女子スクラッチ  飛び出した古山稀絵(日本体育大学大学院)を梶原悠未(筑波大学大学院)がチェックに入る女子スクラッチ 飛び出した古山稀絵(日本体育大学大学院)を梶原悠未(筑波大学大学院)がチェックに入る 女子スクラッチ  後続を引き離して最終コーナーをクリアしていく梶原悠未(筑波大学大学院)女子スクラッチ 後続を引き離して最終コーナーをクリアしていく梶原悠未(筑波大学大学院)

女子のスクラッチは、レース終盤にアジアチャンピオンジャージを着る古山稀絵(日本体育大学大学院)の飛び出しを梶原が追走。最終周回のバックストレートで古山を捉えた梶原は一気に加速して後続を引き離し、優勝を決めた。

女子マディソン 梶原悠未が「石のようにしっかりとしている」と表現した中村妃智のハンドスリング女子マディソン 梶原悠未が「石のようにしっかりとしている」と表現した中村妃智のハンドスリング photo:Kensaku SAKAI
一方、中村妃智と組んで出場したマディソンでは、序盤こそ交代のタイミングが合わずに他チームにリードを許したものの、ポイント周回に合わせて梶原に交代出来るようにタイミングを修正した後は1位通過を連発して逆転。東京五輪内定チームの力を見せた。

オムニアムの世界選手権優勝の梶原悠未がスポーツ功労賞の表彰を受けたオムニアムの世界選手権優勝の梶原悠未がスポーツ功労賞の表彰を受けた 梶原悠未コメント
「スクラッチは逃げが出来る展開とスプリント勝負になる展開を予想していたが、スプリントでまとめるように展開を作り、それがうまくいった。

マディソンは普段の練習で交代の技術を徹底的に強化してきたので、ポイント周回のタイミングを合わせて5点を取りに行くことを目標にレースをした。序盤のタイミングのズレをなんとか修正し、中村妃智さんの力強い交代の勢いを活かしてスプリトで点を取りに行けるようにした。勝ててホッとしている。

明日の個人パーシュートとポイントレースで優勝して全6種目優勝を達成させたい」

女子マディソン  表彰式女子マディソン 表彰式 中村妃智 コメント
「序盤にタイミングが合わなかった時は冷や汗がとまらないくらいだったけれど、タイミングを合わせられるようになってからは考えていた作戦通りに運ぶことが出来た。交代前の自分の位置取りが影響するので、出来るだけ前にいてスピードを殺さないように交代することを心がけた。

東京五輪はまったく違うレベルのレースになると思うので、交代の技術や位置取りの技術を更に高めていきたい」



この日はパラサイクリングの500mタイムトライアルと1kmタイムトライアルも行われた。

パラサイクリング500mTT 杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)パラサイクリング500mTT 杉浦佳子(楽天ソシオビジネス) photo:Kensaku SAKAIパラサイクリング1kmTT 川本翔大(大和産業)パラサイクリング1kmTT 川本翔大(大和産業) photo:Kensaku SAKAI

パラサイクリング1kmTT 石井雅史(イナーメ信濃山形)パラサイクリング1kmTT 石井雅史(イナーメ信濃山形) photo:Kensaku SAKAIパラサイクリング1kmTT 木村和平・倉林巧和(楽天ソシオビジネス)パラサイクリング1kmTT 木村和平・倉林巧和(楽天ソシオビジネス) photo:Kensaku SAKAI




最終日は男女個人パーシュート、男子1kmタイムトライアル、女子500mタイムトライアル、男女ポイントレース 、パラサイクリングのパーシュートが行われる。
H3
全日本選手権トラック 3日目結果
ケイリン 結果
男子 女子
1位 深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム) 梅川風子(JPCA)
2位 脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング) 小林優香(Dream Seeker Racing Team)
3位 河端朋之(JPC) 太田りゆ(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
4位 新田祐大(ドリームシーカー・レーシングチーム) 佐藤水菜(JPCA)
5位 中野慎詞(ドリームシーカー・レーシングチーム) 田中夢菜(日本大学)
6位 松井宏佑(JPCA)
女子スクラッチ  結果
1位 梶原悠未(筑波大学大学院) 14分9秒46
2位 内野艶和(ライブガーデンBiciStelle/JIK)
3位 鈴木奈央(JPCA)
4位 吉川美穂(ライブガーデンBichiStelle/JIK)
5位 中村愛花(福井県自転車競技連盟)
6位 古山稀絵(日本体育大学大学院)
女子マディソン  結果
1位 チーム・ケイドリームス3(梶原、中村) 41p
2位 チーム・ケイドリームス4(鈴木、古山) 34p
3位 ライブガーデンBiciStelle/JIK(吉川、内野) 30p
4位 福井県自転車競技連盟(橋本、中村) 16p
男子オムニアム 結果
Sc Te El Po 合計
1位 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) 38 40 40 118
2位 近谷 涼(チームブリヂストンサイクリング) 36 38 38 112
3位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) 40 16 30 10 96
4位 孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング) 22 32 36 1 91
5位 兒島直樹(日本大学) 32 36 6 2 76
6位 渡邉翔太郎(那須ブラーゼン) 1 34 32 67
Sc=スクラッチ、Te=テンポレース、El=エリミネイション、Po=ポイントレース
パラサイクリング500mタイムトライアル 結果
タイム 係数タイム
1位 杉浦佳子(楽天ソシオビジネス) WC3 41秒611 41秒611
2位 藤井美穂(楽天ソシオビジネス) WC2 48秒975 45秒326
パラサイクリング1kmタイムトライアル 結果
MC2-3 タイム 係数タイム
1位 川本翔大(大和産業) 1分17秒060 1分14秒101
2位 藤田征樹(藤建設) 1分14秒784 1分14秒784
MC4-5
1位 石井雅史(イナーメ信濃山形) 1分12秒394 1分11秒757
2位 沼野康仁(usp lab.VC SPLENDOR) 1分29秒888 1分29秒888
MB
1位 木村和平・倉林巧和(楽天ソシオビジネス) 1分4秒586
text:Satoru Kato
photo:Kensaku SAKAI, Satoru Kato


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