2020/11/07(土) - 00:54
全日本選手権トラック2日目、注目の女子マディソンには、世界チャンピオンの梶原悠未がアルカンシェルを着て登場。4種目全てで首位となり、圧勝して見せた。男女スプリント予選では大会記録が更新され、男子スクラッチでは橋本英也、男子マディソンは近谷涼と沢田桂太郎のチームブリヂストンサイクリングBが優勝した。
335mの屋内トラックを備えるヤマダグリーンドーム前橋 photo:Satoru Kato
群馬県前橋市のヤマダグリーンドーム前橋で開催されている全日本選手権トラックの2日目は、男女スプリント、女子オムニアム、男子スクラッチ、男子マディソンで日本一が決定した。
スプリント 男子は深谷知広、女子は太田りゆが優勝
男子スプリント決勝 深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム・写真後方)がまくりに行く photo:Satoru Kato
男子スプリント 表彰式 photo:Satoru Kato
上位6名が9秒台の争いとなった男子スプリント予選の200mフライングタイムトライアル(FTT)は、9秒672の大会新記録を出した深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム)が順当に決勝まで勝ち進み、山崎賢人(JPCA)と対戦。1本目は4コーナーからのまくり、2本目は大きく先行して優勝を決めた。
深谷知広コメント
「予選のTTは前橋のバンクなのでもうちょっと良いタイムが出るかなと期待していたが、暖房が入らず気温が低い状態だったのでまずまずの結果だったと思う。決勝で対戦した山崎選手は、準決勝で東京五輪代表の脇本雄太選手を下し、次の五輪を目指す上で心強い存在。自分のテクニックを見せられたら良いと思っていた。自分自身、スプリントに注力してきて、国内と海外でスプリントの走り方の違いがあることに気づいて戦えたことが、ワールドカップのスプリントでメダルを獲得出来たことにも繋がっていると思う」
女子スプリント決勝 太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング)が2本連取して初優勝 photo:Satoru Kato
女子スプリント 表彰式 photo:Satoru Kato女子は200mFTTの予選で10秒936の大会新記録を出した太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング)と、梅川風子(JPCA)の決勝戦となり、太田が2本とも先行で連取して全日本初優勝を決めた。
太田りゆ コメント
「世界選手権後、初の公式戦になったが、深谷さんに教わったスプリントの走り方を昨日の夜も何度も暗唱して臨んだ。パリ五輪に向けてスプリントにどう向かい合っていくかを考えていたところなので、こうして結果が出てすごく嬉しい。昨年のワールドカップの予選で11秒を切ることが出来ていたので、今回はもう少し良いタイムが出せると思っていたが、気温が低かったこともあり思ったより伸びなかった。決勝は相手がスローな展開だったので、後ろで待つよりも自分からレースを作った方が勝ちにつながると考えた。今回は自信を持ってレースを出来たことが大きいと思う」
女子オムニアム 梶原悠未が圧倒的強さを見せる
女子オムニアム・スクラッチ 集団先頭でレースを進める梶原悠未(筑波大学大学院) photo:Satoru Kato
女子オムニアム・テンポレース 単独で飛び出し、集団を周回遅れにする梶原悠未(筑波大学大学院) photo:Satoru Kato
女子オムニアム・エリミネイション 最終周回に入り、鈴木奈央(JPCA)が梶原をバンク最上部へ押し上げる photo:Satoru Kato
女子オムニアムには、今年2月の世界選手権で優勝した梶原悠未(筑波大学大学院)がアルカンシェルを着て出場。最初の種目のスクラッチでは最終周回の1発で勝負を決めて1位を取る。続くテンポレースでは、レース中盤に単独で飛び出して集団を周回遅れにし、ラップポイントを加算して他を圧倒。エリミネイションでは、初日に単独種目として行われたエリミネイション同様に鈴木奈央(JPCA)との勝負となり、バンク最上方に押し上げられる牽制を受けながらも鈴木を下した。
女子オムニアム・ポイントレース ポイントを取りに行く梶原悠未(筑波大学大学院) photo:Satoru Kato
最後のポイントレースでは、全10回のポイント周回のうち、フィニッシュを含む9回を先頭通過。前日に「20ポイント以上の差をつけて勝ちたい」と宣言していたが、終わってみれば46ポイントもの大差をつけて圧勝して見せた。
女子オムニアムを制した梶原悠未(筑波大学大学院) photo:Satoru Kato
梶原悠未コメント
「落ち着いて各種目で確実に1位を獲っていくことが出来たことが今回の勝因だと思う。世界選手権以来久しぶりのレースだったので緊張したけれど、楽しむことも出来た。アルカンシェルを着て世界王者らしい走りをみなさんに見てもらいたかった。五輪に向けて、声援を力に変えて金メダルを取るための一歩になったと思う」
スクラッチ マディソンではブリヂストンが強さを見せる
男子スクラッチ 窪木一茂に続いて周回する橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato
男子スクラッチ 残り2周を逃げ切って優勝した橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato
男子スクラッチ 表彰式 photo:Satoru Kato
男子スクラッチは、逃げと吸収が繰り返される展開が続く中、最終盤の単独逃げを橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が追走して残り2周で捕まえ、そのまま先行してフィニッシュ。初日のチームパーシュート、エリミネイションに続く3つ目の全日本タイトルを手にした。
橋本英也 コメント
「牽制して逃げを吸収できないことは一番やりたくなかったので、自分の体力を使ってでも展開を動かした方が良いと思った。今回はその結果として優勝がついてきたので、動いてよかったと思う。今日の女子のオムニアムで梶原選手が良い走りをしていたので、明日はパーフェクトなレースが出来るようにしたい」
男子マディソン チームブリヂストンサイクリングの2チームが同時にハンドスリング photo:Satoru Kato
男子オムニアム 近谷涼から沢田桂太郎に交代するチームブリヂストンサイクリングB photo:Satoru Kato
2名が交代する際の「ハンドスリング」が見もののマディソンは、120周40kmで行われた。序盤は貝原涼太と中川拳の愛三工業レーシングチームAがリードするものの、中盤からは橋本英也と孫崎大樹のチームブリヂストンサイクリングA(以下ブリヂストンA)、近谷涼と沢田桂太郎のチームブリヂストンサイクリングB(以下ブリヂストンB)、窪木一茂と新村穣のJIK(Japan Institute of KEIRIN)の3チームが接戦を繰り広げた。
ポイント周回ごとに首位が入れ替わる目まぐるしいレース展開が終盤まで続き、ブリヂストンAが46ポイント、ブリヂストンAが37ポイント、JIKが33ポイントで、10ポイントを獲得できるフィニッシュへ。ブリヂストンBが首位を取り、ブリヂストンAとJIKはポイント圏外でフィニッシュしたため、ブリヂストンBが逆転優勝を決めた。
男子マディソン 表彰式 photo:Satoru Kato
男子マディソン 表彰式 チャンピオンジャージをお互いに着せ合う photo:Satoru Kato
近谷涼 コメント
「昨年は1点差で負けて、1点大きさを実感していたが、今年勝てて嬉しい。終盤になって最後の10点が取れれば逆転できるようなポイント差で展開すれば優勝の可能性がると思って走っていた。スプリントが得意な沢田選手がしっかり獲ってくれ、作戦通りに進んだ。沢田選手はスプリント、僕は長距離巡航が得意なので、それぞれの長所を活かせたと思う。マディソンは3回目の全日本優勝。難しい種目でもあるし、組む相手選手の特徴と作戦がうまくハマった時に勝てるので、マディソンの勝利はすごく嬉しい。」
沢田桂太郎 コメント
「率直に嬉しい。途中まで接戦で点差を付けられていたので、最後の倍点(フィニッシュの10ポイント)にかけて僕が行けるように近谷先輩に調整してもらった。相手チーム次第でもあったので、一か八かなところもあったけれど、それでもやる価値があると考えていた。レース中もコミュニケーションが取れてメリハリのある戦術が取れたことも勝因だと思う」
3日目は男女ケイリン、男子オムニアム、女子スクラッチ 、女子マディソン 、パラサイクリングタイムトライアルが行われる。なお、この大会は現地での観戦が可能なほか、 YouTubeライブ中継も行われる。
全日本選手権トラック2日目
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群馬県前橋市のヤマダグリーンドーム前橋で開催されている全日本選手権トラックの2日目は、男女スプリント、女子オムニアム、男子スクラッチ、男子マディソンで日本一が決定した。
スプリント 男子は深谷知広、女子は太田りゆが優勝
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上位6名が9秒台の争いとなった男子スプリント予選の200mフライングタイムトライアル(FTT)は、9秒672の大会新記録を出した深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム)が順当に決勝まで勝ち進み、山崎賢人(JPCA)と対戦。1本目は4コーナーからのまくり、2本目は大きく先行して優勝を決めた。
深谷知広コメント
「予選のTTは前橋のバンクなのでもうちょっと良いタイムが出るかなと期待していたが、暖房が入らず気温が低い状態だったのでまずまずの結果だったと思う。決勝で対戦した山崎選手は、準決勝で東京五輪代表の脇本雄太選手を下し、次の五輪を目指す上で心強い存在。自分のテクニックを見せられたら良いと思っていた。自分自身、スプリントに注力してきて、国内と海外でスプリントの走り方の違いがあることに気づいて戦えたことが、ワールドカップのスプリントでメダルを獲得出来たことにも繋がっていると思う」
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太田りゆ コメント
「世界選手権後、初の公式戦になったが、深谷さんに教わったスプリントの走り方を昨日の夜も何度も暗唱して臨んだ。パリ五輪に向けてスプリントにどう向かい合っていくかを考えていたところなので、こうして結果が出てすごく嬉しい。昨年のワールドカップの予選で11秒を切ることが出来ていたので、今回はもう少し良いタイムが出せると思っていたが、気温が低かったこともあり思ったより伸びなかった。決勝は相手がスローな展開だったので、後ろで待つよりも自分からレースを作った方が勝ちにつながると考えた。今回は自信を持ってレースを出来たことが大きいと思う」
女子オムニアム 梶原悠未が圧倒的強さを見せる
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女子オムニアムには、今年2月の世界選手権で優勝した梶原悠未(筑波大学大学院)がアルカンシェルを着て出場。最初の種目のスクラッチでは最終周回の1発で勝負を決めて1位を取る。続くテンポレースでは、レース中盤に単独で飛び出して集団を周回遅れにし、ラップポイントを加算して他を圧倒。エリミネイションでは、初日に単独種目として行われたエリミネイション同様に鈴木奈央(JPCA)との勝負となり、バンク最上方に押し上げられる牽制を受けながらも鈴木を下した。
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最後のポイントレースでは、全10回のポイント周回のうち、フィニッシュを含む9回を先頭通過。前日に「20ポイント以上の差をつけて勝ちたい」と宣言していたが、終わってみれば46ポイントもの大差をつけて圧勝して見せた。
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梶原悠未コメント
「落ち着いて各種目で確実に1位を獲っていくことが出来たことが今回の勝因だと思う。世界選手権以来久しぶりのレースだったので緊張したけれど、楽しむことも出来た。アルカンシェルを着て世界王者らしい走りをみなさんに見てもらいたかった。五輪に向けて、声援を力に変えて金メダルを取るための一歩になったと思う」
スクラッチ マディソンではブリヂストンが強さを見せる
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男子スクラッチは、逃げと吸収が繰り返される展開が続く中、最終盤の単独逃げを橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が追走して残り2周で捕まえ、そのまま先行してフィニッシュ。初日のチームパーシュート、エリミネイションに続く3つ目の全日本タイトルを手にした。
橋本英也 コメント
「牽制して逃げを吸収できないことは一番やりたくなかったので、自分の体力を使ってでも展開を動かした方が良いと思った。今回はその結果として優勝がついてきたので、動いてよかったと思う。今日の女子のオムニアムで梶原選手が良い走りをしていたので、明日はパーフェクトなレースが出来るようにしたい」
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2名が交代する際の「ハンドスリング」が見もののマディソンは、120周40kmで行われた。序盤は貝原涼太と中川拳の愛三工業レーシングチームAがリードするものの、中盤からは橋本英也と孫崎大樹のチームブリヂストンサイクリングA(以下ブリヂストンA)、近谷涼と沢田桂太郎のチームブリヂストンサイクリングB(以下ブリヂストンB)、窪木一茂と新村穣のJIK(Japan Institute of KEIRIN)の3チームが接戦を繰り広げた。
ポイント周回ごとに首位が入れ替わる目まぐるしいレース展開が終盤まで続き、ブリヂストンAが46ポイント、ブリヂストンAが37ポイント、JIKが33ポイントで、10ポイントを獲得できるフィニッシュへ。ブリヂストンBが首位を取り、ブリヂストンAとJIKはポイント圏外でフィニッシュしたため、ブリヂストンBが逆転優勝を決めた。
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近谷涼 コメント
「昨年は1点差で負けて、1点大きさを実感していたが、今年勝てて嬉しい。終盤になって最後の10点が取れれば逆転できるようなポイント差で展開すれば優勝の可能性がると思って走っていた。スプリントが得意な沢田選手がしっかり獲ってくれ、作戦通りに進んだ。沢田選手はスプリント、僕は長距離巡航が得意なので、それぞれの長所を活かせたと思う。マディソンは3回目の全日本優勝。難しい種目でもあるし、組む相手選手の特徴と作戦がうまくハマった時に勝てるので、マディソンの勝利はすごく嬉しい。」
沢田桂太郎 コメント
「率直に嬉しい。途中まで接戦で点差を付けられていたので、最後の倍点(フィニッシュの10ポイント)にかけて僕が行けるように近谷先輩に調整してもらった。相手チーム次第でもあったので、一か八かなところもあったけれど、それでもやる価値があると考えていた。レース中もコミュニケーションが取れてメリハリのある戦術が取れたことも勝因だと思う」
3日目は男女ケイリン、男子オムニアム、女子スクラッチ 、女子マディソン 、パラサイクリングタイムトライアルが行われる。なお、この大会は現地での観戦が可能なほか、 YouTubeライブ中継も行われる。
全日本選手権トラック2日目
H3
全日本トラック2日目 結果
スプリント結果
男子 | 女子 | |
---|---|---|
1位 | 深谷知広(ドリームシーカー・レーシングチーム) | 太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング) |
2位 | 山崎賢人(JPCA) | 梅川風子(JPCA) |
3位 | 新田祐大(ドリームシーカー・レーシングチーム) | 小林優香(ドリームシーカー・レーシングチーム) |
4位 | 脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング) | 佐藤水菜(JPCA) |
5位 | 河端朋之(JPC) | 松井優佳(同志社大学) |
6位 | 中野慎詞(ドリームシーカー・レーシングチーム) | 金田舞夏(祐誠高校) |
女子オムニアム 結果
Sc | Te | El | Po | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 梶原悠未(筑波大学大学院) | 40 | 40 | 40 | 52 | 172 |
2位 | 鈴木奈央(JPCA) | 38 | 36 | 38 | 14 | 126 |
3位 | 内野艶和(ライブガーデンBiciStelle/JIK) | 36 | 38 | 22 | 17 | 113 |
4位 | 中村妃智(日本写真判定株式会社) | 32 | 30 | 34 | 9 | 105 |
5位 | 吉川美穂(ライブガーデンBiciStelle/JIK) | 34 | 24 | 36 | 11 | 105 |
6位 | 古山稀絵(日本体育大学) | 28 | 32 | 30 | 13 | 103 |
Sc=スクラッチ、Te=テンポレース、El=エリミネイション、Po=ポイントレース
男子スクラッチ 結果
1位 | 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) | 17分31秒91 |
2位 | 新村 穣(CS Slinger/JIK) | |
3位 | 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) | |
4位 | 安彦統賀(日本体育大学) | |
5位 | 中村龍吉(中央大学) | |
6位 | 中川 拳(愛三工業レーシングチーム) |
男子マディソン 結果(40km)
1位 | チームブリヂストンサイクリングB(近谷、沢田) | 47p |
2位 | チームブリヂストンサイクリングA(橋本、孫崎) | 46p |
3位 | Japan Institude of KEIRIN(窪木、新村) | 33p |
text&photo:Satoru Kato
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